更生保護事業法の施行及びこれに伴う関係法律の整備等に関する法律

法律第八十七号(平七・五・八)

 (更生緊急保護法の廃止)

第一条 更生緊急保護法(昭和二十五年法律第二百三号)は、廃止する。

 (更生保護法人への組織変更)

第二条 この法律の公布の際現に更生緊急保護法第五条第一項の認可を受けて更生保護事業を営んでいる民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の規定により設立された法人(以下「公益法人」という。)は、平成八年九月三十日までに、その組織を変更して更生保護法人(更生保護事業法(平成七年法律第八十六号)第二条第六項に規定する更生保護法人をいう。以下同じ。)となることができる。

2 前項の規定により公益法人がその組織を変更して更生保護法人となるには、その公益法人の定款又は寄附行為の定めるところにより、組織変更のため必要な定款又は寄附行為の変更をし、法務省令で定めるところにより、法務大臣の認可を受けなければならない。この場合においては、財団である公益法人は、寄附行為に寄附行為の変更に関する規定がないときでも、法務大臣の承認を得て、理事の定める手続に従い、寄附行為の変更をすることができる。

3 更生保護事業法第十二条の規定は、前項の認可について準用する。

4 第二項の認可がこの法律の施行の日(以下「施行日」という。)前にされたときは、定款又は寄附行為の変更は、施行日にその効力を生ずる。

5 第二項の組織変更は、更生保護法人の主たる事務所の所在地において、政令で定めるところにより、登記することによって、その効力を生ずる。

6 法務大臣は、第二項の認可をし、又は認可をしない処分をするときは、更生保護事業法第五十九条に規定する審議会の意見を聴かなければならない。

 (更生保護事業の認可に関する経過措置)

第三条 この法律の施行の際現に第一条の規定による廃止前の更生緊急保護法(以下「旧法」という。)第五条第一項の認可を受けて更生保護事業を営んでいる者は、その事業につき、更生保護事業法第四十五条の認可を受けたものとみなす。

 (委託費の支弁等に関する経過措置)

第四条 旧法第三条第二項の規定に基づく委託によって生じた費用の支弁又は徴収については、なお従前の例による。

2 平成七年度以前の年度における事業の実施に係る国の補助で、平成八年度以降の年度において支出するもの及び平成八年度以降の年度に繰り越されたものについては、なお従前の例による。

 (旧法の規定による処分等の効力)

第五条 前二条に定めるもののほか、施行日前に旧法の規定によってした許可その他の処分又は申請その他の手続は、更生保護事業法の相当規定によってした許可その他の処分又は申請その他の手続とみなす。

 (罰則に関する経過措置)

第六条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 (省令への委任)

第七条 第二条から前条までに定めるもののほか、更生保護事業法及びこの法律の施行に伴い必要な経過措置は、法務省令で定める。

 (犯罪者予防更生法の一部改正)

第八条 犯罪者予防更生法(昭和二十四年法律第百四十二号)の一部を次のように改正する。

 目次中「第三節の二 行政手続法の適用除外(第四十八条の二)」を

第三節の二 更生緊急保護(第四十八条の二―第四十八条の四)

 

 

第三節の三 行政手続法の適用除外(第四十八条の五)

に改める。

 第四十条に次の一項を加える。

3 前項の救護は、更生保護事業法(平成七年法律第八十六号)の規定により更生保護事業を営む者その他の適当な者に委託して行うことができる。

 第三章第三節の二中第四十八条の二を第四十八条の五とする。

 第三章中第三節の二を第三節の三とし、第三節の次に次の一節を加える。

   第三節の二 更正緊急保護

 (更生緊急保護)

第四十八条の二 この節において「更生緊急保護」とは、次に掲げる者が、刑事上の手続による身体の拘束を解かれた後、親族、縁故者等からの援助若しくは公共の衛生福祉その他の施設から医療、宿泊、職業その他の保護を受けることができない場合、又はこれらの援助若しくは保護のみによつては更生できないと認められる場合に、緊急に、その者に対し、帰住をあつせんし、金品を給与し、若しくは貸与する等の一時保護又は一定の施設に収容して、宿泊所を供与し、必要な教養、訓練、医療、保養若しくは就職を助け、環境の改善若しくは調整を図る等の継続保護を行うことにより、本人が進んで法律を守る善良な社会人となることを援護し、その速やかな更生を保護することをいう。

 一 懲役、禁 錮又は拘留につき刑の執行を終わつた者

 二 懲役、禁錮又は拘留につき刑の執行の免除を得た者

 三 懲役又は禁錮につき刑の執行猶予の言渡しを受け、その裁判が確定するまでの者

 四 懲役又は禁錮につき刑の執行猶予の言渡しを受け、保護観察に付されなかつた者

 五 訴追を必要としないため公訴を提起しない処分を受けた者

2 更生緊急保護は、前項各号に掲げる者の更生に必要な限度で、国の責任において、行うものとする。

3 更生緊急保護は、保護観察所の長が、自ら行い、又は更生保護事業法の規定により更生保護事業を営む者に委託して行うものとする。

4 更生緊急保護は、本人が刑事上の手続による身体の拘束を解かれた後六月を越えない範囲において、その意思に反しない場合に限り、行うものとする。

5 更生緊急保護を行うに当たつては、本人が公共の衛生福祉その他の施設から必要な保護を受けるようにあつせんするとともに、更生緊急保護の活動の実効を上げることに努めて、その期間の短縮と費用の節減を図らなければならない。

6 更生緊急保護に関し職業のあつせんの必要があると認められるときは、公共職業安定所は、更生緊急保護を行う者の協力を得て、職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)の規定に基づき、本人の能力に適当な職業をあつせんすることに努めるものとする。

 (更生緊急保護の開始等)

第四十八条の三 更生緊急保護は、本人の申出があつた場合において、保護観察所の長がその必要があると認めたときに限り、行うものとする。

2 検察官又は監獄の長は、前条第一項各号に掲げる者につき、刑事上の手続による身体の拘束を解くときは、本人に対し、この法律に定める更生緊急保護及びその申出の手続を示さなければならない。

3 保護観察所の長は、第一項の規定により更生緊急保護の要否を定めるときは、本人の刑事上の手続に関与した検察官又は本人が拘禁されていた監獄の長の意見を聴かなければならない。ただし、仮出獄の期間の満了によつて前条第一項第一号に該当した者については、この限りでない。

 (費用の支弁)

第四十八条の四 国は、法務大臣が大蔵大臣と協議して定める基準に従い、第四十八条の二第三項の規定に基づく委託によつて生ずる費用を支弁する。

2 第四十八条の二第三項の規定に基づく委託は、前項の規定により国が支弁する金額が予算の金額を超えない範囲内において行わなければならない。

 第六十条第一項中「支払つた費用」の下に「及び第四十八条の四第一項の費用」を加え、「但し」を「ただし」に改める。

 (執行猶予者保護観察法の一部改正)

第九条 執行猶予者保護観察法(昭和二十九年法律第五十八号)の一部を次のように改正する。

  第六条に次の一項を加える。

 3 前項の援護は、更生保護事業法(平成七年法律第八十六号)の規定により更生保護事業を営む者その他の適当な者に委託して行うことができる。

 (売春防止法の一部改正)

第十条 売春防止法(昭和三十一年法律第百十八号)の一部を次のように改正する。

  第三十一条を次のように改める。

 (更生緊急保護)

第三十一条 婦人補導院から退院した者及び前条の規定により補導処分の執行を受け終わつたとされた者については、予防更生法第四十八条の二第一項第一号に掲げる者とみなし、予防更生法第四十八条の二から第四十八条の四まで及び第六十条の規定を適用する。この場合において、予防更生法第四十八条の二第一項及び第四項中「刑事上の手続による身体の拘束」とあるのは「補導処分による身体の拘束」と、第四十八条の三第二項中「監獄の長」とあるのは「婦人補導院の長」と、「刑事上の手続による身体の拘束」とあるのは「補導処分による身体の拘束」と、同条第三項中「監獄の長」とあるのは「婦人補導院の長」と、「仮出獄」とあるのは「仮退院」とする。

 第三十七条中「更生緊急保護法」を「更生保護事業法(平成七年法律第八十六号)」に改める。

 (健康保険法の一部改正)

第十一条 健康保険法(大正十一年法律第七十号)の一部を次のように改正する。

  第十三条第一号(タ)中「更生緊急保護法(昭和二十五年法律第二百三号)」を「更生保護事業法(平成七年法律第八十六号)」に改める。

 (資産再評価法の一部改正)

第十二条 資産再評価法(昭和二十五年法律第百十号)の一部を次のように改正する。

  第三十九条第一項第一号中「社会福祉法人」の下に「、更生保護法人」加える。

 (地方税法の一部改正)

第十三条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。

  第二十五条第一項第二号及び第七十二条の五第一項第一号中「社会福祉法人」の下に「、更生保護法人」を加える。

  第七十三条の四第一項第四号中「更生緊急保護法(昭和二十五年法律第二百三号)」を「更生保護事業法(平成七年法律第八十六号)」に改める。

  第二百九十六条第一項第二号中「社会福祉法人」の下に「、更生保護法人」を加える。

  第三百四十八条第二項第十号中「更生緊急保護法」を「更生保護事業法」に改める。

 (地方税法の一部改正に伴う経過措置)

第十四条 施行日前の前条の規定による改正前の地方税法第七十三条の四第一項第四号に規定する更生保護事業を経営する者がその事業の用に供する不動産の取得に対して課する不動産取得税については、なお従前の例による。

2 前条の規定による改正後の地方税法第三百四十八条第二項第十号の規定は、平成九年度以後の年度分の固定資産税について適用し、平成八年度分までの固定資産税については、なお従前の例による。

 (社会福祉事業法の一部改正)

第十五条 社会福祉事業法(昭和二十六年法律第四十五号)の一部を次のように改正する。

  第二条第四項第一号中「更生緊急保護法(昭和二十五年法律第二百三号)」を「更生保護事業法(平成七年法律第八十六号)」に改める。

 (土地収用法の一部改正)

第十六条 土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)の一部を次のように改正する。

  第三条第二十三号中「社会福祉事業の」を「社会福祉事業若しくは更生保護事業法(平成七年法律第八十六号)による更生保護事業の」に改める。

 (国有財産特別措置法の一部改正)

第十七条 国有財産特別措置法(昭和二十七年法律第二百十九号)の一部を次のように改正する。

  第二条第二項各号列記以外の部分中「更生保護会」を「更生保護法人」に改め、同項第二号を次のように改める。

  二 地方公共団体又は更生保護法人(更生保護事業法(平成七年法律第八十六号)第二条第六項に規定する更生保護法人をいう。以下同じ。)において、更生保護事業法第四十九条に規定する保護観察所の長の委託を受けて行う保護の用に主として供する施設の用に供するとき。

  第三条第一項第一号チ中「更生緊急保護法第二条第二項」を「更生保護事業法第二条第一項」に改め、同項第四号中「更生保護会」を「更生保護法人」に改め、同条第二項中「更生保護会」を「更生保護法人」に、「更生緊急保護法第十二条第二項」を「更生保護事業法第五十八条」に改める。

  第十一条第一項第一号中「更生保護会」を「更生保護法人」に改める。

 (厚生年金保険法の一部改正)

第十八条 厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)の一部を次のように改正する。

  第六条第一項第一号タ中「更生緊急保護法(昭和二十五年法律第二百三号)」を「更生保護事業法(平成七年法律第八十六号)」に改める。

 (所得税法の一部改正)

第十九条 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)の一部を次のように改正する。

  別表第一第一号の表中

 

厚生年金基金

厚生年金保険法

 

 

厚生年金基金連合会

 を

 

厚生年金基金

厚生年金保険法

 

 

厚生年金基金連合会

更生保護法人

更生保護事業法(平成七年法律第八十六号)

 に改める。

 (法人税法の一部改正)

第二十条 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)の一部を次のように改正する。

  別表第二第一号の表中

 

厚生年金基金

厚生年金保険法

 

厚生年金基金連合会

 を

 

厚生年金基金

厚生年金保険法

 

厚生年金基金連合会

更生保護法人

更生保護事業法(平成七年法律第八十六号)

 に改める。

 (登録免許税法の一部改正)

第二十一条 登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。

  別表第三の六の項の次に次のように加える。

六の二 更生保護法人

更生保護事業法(平成七年法律第八十六号)

更生保護事業法第二条第一項(定義)に規定する更生保護事業の用に供する建物の所有権の取得登記又は当該事業の用に供する土地の権利の取得登記

第三欄の登記に該当するものであることを証する大蔵省令で定める書類の添付があるものに限る。

  別表第三の二十九の項を次のように改める。

二十九 民法第三十四条(公益法人の設立)の規定により設立した法人

民法

一 自己の設置運営する学校の校舎等の所有権の取得登記又は当該校舎等の敷地、当該学校の運動場、実習用地その他の直接に保育若しくは教育の用に供する土地の権利の取得登記

二 住宅金融公庫法第十七条第一項第四号、第二項若しくは第四項(業務の範囲)若しくは沖縄振興開発金融公庫法第十九条第一項第三号ニ若しくはホ(業務の範囲)又は産業労働者住宅資金融通法第七条第一項第二号、第四号若しくは第二項(資金の貸付けの範囲)の規定による住宅金融公庫又は沖縄振興開発金融公庫からの資金の貸付け(政令で定める貸付けを除く。)を受けて譲渡のため取得する建物の所有権の取得登記又は当該譲渡のために取得する土地の権利の取得登記

第三欄の第一号又は第二号の登記に該当するものであることを証する大蔵省令で定める書類の添付があるものに限る。

 (消費税法の一部改正)

第二十二条 消費税法(昭和六十三年法律第百八号)の一部を次のように改正する。

  別表第一第七号イ中「更生緊急保護法(昭和二十五年法律第二百三号)第二条第二項(定義)に規定する更生保護を行う事業」を「更生保護事業法(平成七年法律第八十六号)第二条第一項(定義)に規定する更生保護事業」に改める。

  別表第三第一号の表中

 

厚生年金基金

厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)

 

厚生年金基金連合会

 を

 

厚生年金基金

厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)

 

厚生年金基金連合会

更生保護法人

更生保護事業法

 に改める。

 (地価税法の一部改正)

第二十三条 地価税法(平成三年法律第六十九号)の一部を次のように改正する。

  別表第一第六号中「更生緊急保護法(昭和二十五年法律第二百三号)第二条第二項」を「更生保護事業法(平成七年法律第八十六号)第二条第一項」に改める。

 (旧社会福祉事業振興会法の一部改正)

第二十四条 社会福祉・医療事業団法(昭和五十九年法律第七十五号)附則第十条の規定によりなおその効力を有するものとされる旧社会福祉事業振興会法(昭和二十八年法律第二百四十号)の一部を次のように改正する。

  附則第八項中「及び更生緊急保護法(昭和二十五年法律第二百三号)」を「並びに更生保護事業法(平成七年法律第八十六号)」に改め、「営む」の下に「更生保護法人及び」を加える。

   附 則

 この法律は、更生保護事業法の施行の日から施行する。ただし、第二条の規定は、公布の日から施行する。

(法務・大蔵・厚生・建設・自治・内閣総理大臣署名) 

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