更生保護事業法等の一部を改正する法律
法律第四十六号(平一四・五・二九)
(更生保護事業法の一部改正)
第一条 更生保護事業法(平成七年法律第八十六号)の一部を次のように改正する。
第二条第二項中「一定の施設」を「更生保護施設」に、「生活の指導」を「職業を補導し、社会生活に適応させるために必要な生活指導」に改め、同条第四項中「(第四十六条第一項において「助成等」という。)」を削り、同条に次の一項を加える。
7 この法律において「更生保護施設」とは、被保護者の更生に必要な保護を行う施設のうち、被保護者を宿泊させることを目的とする建物及びそのための設備を有するものをいう。
第五条の次に次の一条を加える。
(経営の原則)
第五条の二 更生保護法人は、更生保護事業を確実、効果的かつ適正に行うため、自主的に、被保護者に対する処遇等その事業内容を向上させるとともに、経営の基盤の強化と透明性の確保を図らなければならない。
第六条第一項中「その収益を更生保護事業」の下に「若しくは公益事業(犯罪をした者の更生又は犯罪の予防に資するものとして法務省令で定めるものに限る。第四十二条第二号において同じ。)」を加える。
第十一条第三項中「更生保護事業を営む者」を「継続保護事業を営む者又は第四十七条の二の届出をして一時保護事業若しくは連絡助成事業を営む更生保護法人」に改める。
第二十九条に次の一項を加える。
3 更生保護法人は、第一項の書類について、請求があったときは、これを閲覧に供しなければならない。
第三十二条第二項中「更生保護事業を営む者」を「継続保護事業を営む者又は第四十七条の二の届出をして一時保護事業若しくは連絡助成事業を営む更生保護法人」に改める。
第四十二条中「当該更生保護法人に対し、」の下に「一年以内の期間を定めて」を加え、同条第二号中「更生保護事業」の下に「又は公益事業」を加える。
第四十五条の見出し中「事業」を「継続保護事業」に改め、同条各号列記以外の部分中「更生保護事業」を「継続保護事業」に改め、同条第三号を次のように改める。
三 継続保護事業の内容
第四十五条第五号中「建物その他の設備」を「更生保護施設」に改める。
第四十六条第一項第一号中「法務省令で定める」を「第四十九条の二の」に改め、同項第二号中「建物その他の設備」を「更生保護施設」に改め、同項第五号を削り、同項第六号を同項第五号とし、同条第二項中「更生保護事業」を「継続保護事業」に改める。
第四十七条第三項中「更生保護法人等(第四十五条の認可を受けて更生保護事業を営む者をいう。以下同じ。)」を「認可事業者(第四十五条の認可を受けて継続保護事業を営む者をいう。以下同じ。)」に改め、同条の次に次の一条を加える。
(一時保護事業及び連絡助成事業の届出)
第四十七条の二 国及び地方公共団体以外の者で一時保護事業又は連絡助成事業を営もうとするものは、あらかじめ、法務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を法務大臣に届け出なければならない。届け出た事項を変更し、又は当該事業を廃止しようとするときも、同様とする。
一 名称
二 事務所の所在地
三 事業の種類及び内容
四 更生保護法人以外の者にあっては、前各号に掲げる事項のほか、定款、寄附行為その他の基本約款、経理の方針、資産の状況並びに経営の責任者の氏名、経歴及び資産の状況
第四十八条第二項中「又は一時保護事業」を削り、同条第三項中「地方公共団体は、」の下に「一時保護事業又は」を加え、「第四十五条第一号から第三号まで」を「第四十七条の二第一号から第三号まで」に改める。
第四十九条の次に次の一条を加える。
(更生保護施設における処遇の基準)
第四十九条の二 更生保護施設における被保護者の処遇は、次に掲げる基準に従って行わなければならない。
一 被保護者の人権に十分に配慮すること。
二 被保護者に対する処遇の計画を立て、常に被保護者の心身の状態、環境の推移等を把握し、その者の状況に応じた適切な保護を実施すること。
三 被保護者に対し、自助の責任の自覚を促し、社会生活に適応するために必要な能力を会得させるとともに、特に保護観察に付されている者に対しては、遵守すべき事項を守るよう適切な補導を行うこと。
四 その他法務省令で定める事項
第五十条中「継続保護事業又は一時保護事業を営む更生保護法人等」を「認可事業者又は第四十七条の二の届出をして一時保護事業を営む更生保護法人」に改める。
第五十一条から第五十三条までの規定中「更生保護法人等」を「認可事業者」に改める。
第五十四条第一項中「、更生保護法人等」を「、認可事業者」に、「当該更生保護法人等に対し」を「当該認可事業者に対し、一年以内の期間を定めて」に改め、同条第三項を削り、同条第二項中「更生保護法人等」を「認可事業者」に、「その事業により」を「更生保護事業により不当に」に、「前項」を「第一項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 更生保護法人以外の認可事業者が、更生保護事業に関し不当に営利を図ったときも、前項と同様とする。
第五十五条及び第五十六条中「更生保護法人等」を「認可事業者」に改め、同条の次に次の一条を加える。
(届出事業者に対する監督)
第五十六条の二 第五十一条、第五十二条、第五十五条及び前条の規定は、届出事業者(第四十七条の二の届出をして一時保護事業又は連絡助成事業を営む者をいう。以下同じ。)について準用する。
2 法務大臣は、届出事業者につき次の各号のいずれかに該当する事由があると認めるときは、当該届出事業者に対し、一年以内の期間を定めて、更生保護事業を営むことを制限し、又はその停止を命ずることができる。
一 被保護者の処遇につき不当な行為をしたとき。
二 前項において準用する第五十一条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
三 前項において準用する第五十二条の規定に違反して、帳簿の備付け、記載若しくは保存をせず、又はこれに虚偽の記載をしたとき。
四 前項において準用する第五十五条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
五 第六十条第二項の規定により付された条件に違反したとき。
3 更生保護法人以外の届出事業者が、更生保護事業に関し不当に営利を図ったときも、前項と同様とする。
4 届出事業者の代表者その他の業務を執行する役員(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものの代表者又は管理人を含む。)が、更生保護事業により不当に個人の営利を図ったときも、第二項と同様とする。
第五十七条の見出しを「(更生保護事業を営む地方公共団体の報告義務)」に改め、同条第二項を削り、同条の次に次の一条を加える。
(その他の事業者に対する監督)
第五十七条の二 認可事業者及び届出事業者以外の者(国及び地方公共団体を除く。)であって更生保護事業を営むもの(本条において「その他の事業者」という。)が、その事業に関し不当に営利を図り、又は被保護者の処遇につき不当な行為をしたときは、法務大臣は、その者に対し、一年以内の期間を定めて、更生保護事業を営むことを制限し、又はその停止を命ずることができる。
2 その他の事業者の代表者その他の業務を執行する役員(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものの代表者又は管理人を含む。)が、更生保護事業により不当に個人の営利を図ったときも、前項と同様とする。
3 第五十五条の規定は、その他の事業者について準用する。
第五十九条第三号中「第四十六条第一項第一号から第三号まで」を「第四十六条第一項第二号及び第三号並びに第四十九条の二第四号」に改め、同号を同条第四号とし、同条第二号の次に次の一号を加える。
三 第五十六条の二第二項から第四項まで、又は第五十七条の二第一項若しくは第二項の規定により、事業を営むことを制限し、又はその停止を命ずるとき。
第六十一条中「更生保護法人等又は更生保護事業に従事する者」を「認可事業者若しくは届出事業者又はその役職員」に改め、同条の次に次の一条を加える。
(人材の確保等)
第六十一条の二 法務大臣は、認可事業者及び届出事業者が犯罪をした者に対し専門的知識に基づくより適切な保護を行うことができるようにするため、これら事業者が、専門的知識を有する人材を確保し、その資質を向上させるために必要な施策の推進に努めなければならない。
第六十二条中「及び第五十四条」を「、第五十四条、第五十六条の二第二項から第四項まで、並びに第五十七条の二第一項及び第二項」に改める。
第六十三条中「更生保護法人等」を「認可事業者」に改める。
第六十六条第二号中「第五十四条」の下に「、第五十六条の二第二項から第四項まで、又は第五十七条の二第一項若しくは第二項」を加える。
第六十七条第一号中「第五十二条」の下に「(第五十六条の二第一項において準用する場合を含む。)」を加え、同条第二号中「第五十七条第二項」を「第五十七条の二第三項」に改める。
(犯罪者予防更生法の一部改正)
第二条 犯罪者予防更生法(昭和二十四年法律第百四十二号)の一部を次のように改正する。
第三十六条第一項中第七号を第八号とし、第六号の次に次の一号を加える。
七 社会生活に適応させるために必要な生活指導を行うこと。
第三十九条に次の一項を加える。
2 前項の補導援護は、本人の更生を図るため有効かつ適切であると認められる場合には、更生保護事業法(平成七年法律第八十六号)の規定により更生保護事業を営む者その他の適当な者に委託して行うことができる。
第四十条第三項中「(平成七年法律第八十六号)」を削る。
第四十八条の二第一項中「刑事上の手続」の下に「又は保護処分」を加え、「、縁故者等」を削り、「、若しくは貸与する等の一時保護又は一定の施設に収容して」を「、又は貸与し」に改め、「必要な」を削り、「若しくは就職を助け」を「又は就職を助け、職業を補導し、社会生活に適応させるために必要な生活指導を行い」に、「若しくは調整」を「又は調整」に改め、「継続」を削り、同項に次の三号を加える。
六 罰金又は科料の言渡しを受けた者
七 労役場から出場し、又は仮出場を許された者
八 少年院から退院し、又は仮退院を許された者(保護観察に付されている者を除く。)
第四十八条の二第三項中「更生保護事業を営む者」の下に「その他の適当な者」を加え、同条第四項中「刑事上の手続」の下に「又は保護処分」を加え、同項に次のただし書を加える。
ただし、本人の更生を保護するため特に必要があると認められるときは、更に六月を超えない範囲において、これを行うことができる。
第四十八条の三第二項中「監獄」の下に「若しくは少年院」を、「刑事上の手続」の下に「又は保護処分」を加え、同条第三項中「監獄」の下に「若しくは少年院」を、「前条第一項第一号に該当した者」の下に「又は仮退院の終了により同項第八号に該当した者」を加える。
第六十条第一項中「保護観察所の長は」の下に「、第三十九条第二項(第五十三条第二項において準用する場合を含む。)の規定による委託に要した費用」を加える。
(執行猶予者保護観察法の一部改正)
第三条 執行猶予者保護観察法(昭和二十九年法律第五十八号)の一部を次のように改正する。
第六条第一項中「あつ旋する」を「あつせんする」に改め、「、本人の環境を調整し」を削り、同条第二項中「が得られないため」を「を受けることができないため」に、「帰住旅費、衣類、食事等」を「金品」に改め、「給与し」の下に「、又は貸与し」を加え、「医療又は」を削り、「その他」を「教養、訓練、医療又は就職を助け、職業を補導し、社会生活に適応させるために必要な生活指導を行い、環境の改善又は調整を図る等」に改める。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(認可等に関する経過措置)
第二条 この法律の施行の際現に改正前の更生保護事業法(以下「旧法」という。)第四十五条の法務大臣の認可を受けている者(更生保護事業法の施行及びこれに伴う関係法律の整備等に関する法律(平成七年法律第八十七号)第三条の規定により旧法第四十五条の法務大臣の認可を受けたものとみなされる者を含む。)は、この法律の施行の際に、改正後の更生保護事業法(以下「新法」という。)第四十五条の規定が適用される事業にあっては同条の規定によりした認可を受けたものと、新法第四十七条の二の規定が適用される事業にあっては同条の規定による届出をしたものとみなす。
2 この法律の施行の際現にされている旧法第四十五条の規定による更生保護事業の認可の申請は、新法第四十五条の規定が適用される事業にあっては同項の規定によりした認可の申請と、新法第四十七条の二の規定が適用される事業にあっては同項の規定によりした届出とみなす。
(旧法の規定に基づく処分又は手続の効力)
第三条 前条に定めるもののほか、施行日前に旧法の規定によりした認可その他の処分又は申請その他の手続で新法に相当の規定があるものは、新法の相当の規定によりした認可その他の処分又は申請その他の手続とみなす。
(残余財産の帰属に関する経過措置)
第四条 この法律の施行の際現に旧法第四十五条の認可を受けて更生保護事業を営む者に残余財産を帰属させることを定めた定款には、新法第四十五条の認可を受けて継続保護事業を営む者又は第四十七条の二の届出をして一時保護事業若しくは連絡助成事業を営む更生保護法人に残余財産を帰属させる旨の定めがあるものとみなす。
(罰則に関する経過措置)
第五条 この法律の施行の前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(売春防止法の一部改正)
第六条 売春防止法(昭和三十一年法律第百十八号)の一部を次のように改正する。
第三十一条中「刑事上の手続」の下に「又は保護処分」を、「監獄」の下に「若しくは少年院」を加える。
(法務・内閣総理大臣署名)