外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律
法律第三十四号(平一四・五・七)
外国為替及び外国貿易法(昭和二十四年法律第二百二十八号)の一部を次のように改正する。
第十八条を次のように改める。
(銀行等の本人確認義務等)
第十八条 銀行等は、次の各号に掲げる顧客と本邦から外国へ向けた支払又は非居住者との間でする支払等(当該顧客が非居住者である場合を除く。)に係る為替取引(政令で定める小規模の支払又は支払等に係るものを除く。以下「特定為替取引」という。)を行うに際しては、当該顧客について、運転免許証の提示を受ける方法その他の財務省令で定める方法による当該各号に定める事項(以下「本人特定事項」という。)の確認(以下「本人確認」という。)を行わなければならない。
一 自然人 氏名、住所又は居所及び生年月日
二 法人 名称及び主たる事務所の所在地
2 銀行等は、顧客の本人確認を行う場合において、会社の代表者が当該会社のために特定為替取引を行うときその他の当該銀行等との間で現に特定為替取引の任に当たつている自然人が当該顧客と異なるとき(次項に規定する場合を除く。)は、当該顧客の本人確認に加え、当該特定為替取引の任に当たつている自然人(以下この条及び次条において「代表者等」という。)についても、本人確認を行わなければならない。
3 顧客が国、地方公共団体、人格のない社団又は財団その他の政令で定めるものである場合には、当該国、地方公共団体、人格のない社団又は財団その他の政令で定めるもののために当該銀行等との間で現に特定為替取引の任に当たつている自然人を顧客とみなして、第一項の規定を適用する。
4 顧客(前項の規定により顧客とみなされる自然人を含む。以下同じ。)及び代表者等は、銀行等が本人確認を行う場合において、当該銀行等に対して、顧客又は代表者等の本人特定事項を偽つてはならない。
第十八条の次に次の四条を加える。
(銀行等の免責)
第十八条の二 銀行等は、顧客又は代表者等が特定為替取引を行う際に本人確認に応じないときは、当該顧客又は代表者等がこれに応ずるまでの間、当該特定為替取引に係る義務の履行を拒むことができる。
(本人確認記録の作成義務等)
第十八条の三 銀行等は、本人確認を行つた場合には、直ちに、財務省令で定める方法により、本人特定事項その他の本人確認に関する事項として財務省令で定める事項に関する記録(以下「本人確認記録」という。)を作成しなければならない。
2 銀行等は、本人確認記録を、特定為替取引が終了した日その他の財務省令で定める日から、七年間保存しなければならない。
(本人確認及び本人確認記録の作成のための是正措置)
第十八条の四 財務大臣は、銀行等が特定為替取引に関して第十八条第一項から第三項まで又は前条第一項若しくは第二項の規定に違反していると認めるときは、当該銀行等に対し、当該違反を是正するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
(郵政官署への準用)
第十八条の五 第十八条から第十八条の三までの規定は、郵政官署が郵便為替業務又は郵便振替業務において特定為替取引を行う場合について準用する。
第二十二条の次に次の二条を加える。
(金融機関等の本人確認義務等)
第二十二条の二 銀行等、信託会社(信託業法(大正十一年法律第六十五号)第三条第一項に規定する信託会社をいう。以下同じ。)、証券会社(証券取引法第二条第九項に規定する証券会社及び外国証券業者に関する法律(昭和四十六年法律第五号)第二条第二号に規定する外国証券会社をいう。以下同じ。)及び金融先物取引業者(金融先物取引法第二条第十一項に規定する金融先物取引業者をいう。以下同じ。)(以下「金融機関等」という。)は、顧客又はこれに準ずる者として政令で定める者(以下この項において「顧客等」という。)との間で資本取引に係る契約の締結その他の政令で定める行為(以下この条及び次条において「資本取引に係る契約締結等行為」という。)を行うに際しては、当該顧客等について、本人確認を行わなければならない。
2 第十八条第二項から第四項まで及び第十八条の二から第十八条の四までの規定は、金融機関等が資本取引に係る契約締結等行為を行う場合について準用する。この場合において、第十八条の三第二項中「特定為替取引」とあるのは、「第二十二条の二第一項に規定する資本取引に係る契約」と読み替えるものとする。
(郵政官署等への準用)
第二十二条の三 第十八条第二項から第四項まで、第十八条の二、第十八条の三及び前条第一項の規定は、郵政官署が郵便貯金業務、郵便振替業務その他政令で定める業務において資本取引に係る契約締結等行為を行う場合又は両替業務(業として外国通貨又は旅行小切手の売買を行うことをいう。次項において同じ。)において顧客と両替(政令で定める小規模のものを除く。次項において同じ。)を行う場合について準用する。この場合において、郵便貯金業務、郵便振替業務その他政令で定める業務については、第十八条の三第二項中「特定為替取引」とあるのは、「第二十二条の二第一項に規定する資本取引に係る契約」と読み替えるものとする。
2 第十八条第二項から第四項まで、第十八条の二から第十八条の四まで及び前条第一項の規定は、本邦において両替業務を行う者(郵政官署を除く。)が顧客と両替を行う場合について準用する。
第五十五条の二を次のように改める。
第五十五条の二 削除
第五十五条の三第二項中「(証券取引法第二条第九項に規定する証券会社及び外国証券業者に関する法律(昭和四十六年法律第五号)第二条第二号に規定する外国証券会社をいう。以下同じ。)」及び「(金融先物取引法第二条第十一項に規定する金融先物取引業者をいう。以下同じ。)」を削る。
第六十九条の四第一項中「国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため」を「当該各号に定める規定の運用に関し、」に、「当該各号に定める規定の運用に関し、外務大臣に意見」を「外務大臣その他の関係行政機関の長に資料又は情報の提供、意見の表明その他必要な協力」に改め、同項第三号中「第二十四条第一項」の下に「、第二十五条第一項若しくは第二項又は第四十八条第一項若しくは第二項」を加え、同条第二項を削り、同条第三項中「外務大臣は、国際平和」を「外務大臣その他の関係行政機関の長は、我が国が締結した条約その他の国際約束を誠実に履行するため又は国際平和」に改め、同項を同条第二項とする。
第七十条の次に次の一条を加える。
第七十条の二 第十八条の四(第二十二条の二第二項及び第二十二条の三第二項において準用する場合を含む。)の規定による命令に違反した者は、二年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第七十一条の次に次の一条を加える。
第七十一条の二 本人特定事項を隠ぺいする目的で、第十八条第四項(第十八条の五、第二十二条の二第二項並びに第二十二条の三第一項及び第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者は、五十万円以下の罰金に処する。
第七十二条第一項中「第六十九条の六から前条まで」の下に「(第七十条の二を除く。)」を加え、同条第二項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第七十条の二の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人に対して三億円以下の罰金刑を、その人に対して同条の罰金刑を科する。
第七十三条中第一号を削り、第二号を第一号とし、第三号を第二号とする。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
ただし、第六十九条の四の改正規定は、公布の日から施行する。
(罰則に関する経過措置)
第二条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(その他の経過措置の政令への委任)
第三条 前条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
(財務・経済産業・内閣総理大臣署名)