機械工業振興臨時措置法
法律第百五十四号(昭三一・六・一五)
(目的)
第一条 この法律は、機械工業の合理化を促進することにより、その振興を図り、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
(合理化基本計画)
第二条 通商産業大臣は、機械工業審議会の意見をきいて、機械器具又はその部品(部品の半製品を含む。以下同じ。)のうち、特に性能若しくは品質を改善し、又は生産費を低下させる必要があるものであつて、政令で定めるもの(以下「特定機械」という。)を製造する事業(以下「特定機械工業」という。)について、合理化基本計画を定めなければならない。
2 合理化基本計画に定める事項は、次のとおりとする。
一 昭和三十五年度末における特定機械の性能又は品質、生産費その他合理化の目標
二 新たに設置すべき設備の種類、資金の額その他合理化のため必要な設備の設置に関する事項
三 くず化、転用その他の方法により処理すべき設備の種類、処理の方法その他合理化のため必要な設備の処理に関する事項
四 前各号に定めるもののほか、生産技術の向上、能率の増進その他合理化に関する重要事項
3 通商産業大臣は、第一項の規定により合理化基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを告示しなければならない。
(合理化実施計画)
第三条 通商産業大臣は、毎年、機械工業審議会の意見をきいて、合理化基本計画の実施を図るため必要な合理化実施計画を定めなければならない。
2 前条第三項の規定は、前項の場合に準用する。
(計画の変更)
第四条 通商産業大臣は、特定機械工業における生産条件その他経済事情の著しい変動のため特に必要があると認めるときは、機械工業審議会の意見をきいて、合理化基本計画又は合理化実施計画を変更しなければならない。
2 第二条第三項の規定は、前項の場合に準用する。
(資金の確保)
第五条 政府は、合理化実施計画に定める特定機械工業の合理化のための設備の設置に必要な資金の確保に努めるものとする。
(共同行為の実施に関する指示)
第六条 通商産業大臣は、合理化基本計画に定める特定機械工業の合理化の目標を達成するため特に必要があると認めるときは、その特定機械工業を営む者に対し、次の事項に係る共同行為を実施すべきことを指示することができる。ただし、第二号の事項については、第一号の事項に係る共同行為を実施することが著しく困難であると認められる場合に限る。
一 品種の制限
二 品種別の製造数量の制限
三 技術の制限
四 部品又は原材料の購入方法
2 通商産業大臣は、前項第一号の事項に係る共同行為をもつてしては、特定の特定機械の規格の制限をすることが困難である場合において、特に必要があると認めるときは、その特定機械を部品又は材料として使用して機械器具又はその部品を製造する事業(特定機械工業を除く。以下この項において同じ。)を営む者に対し、その使用する特定機械の規格の制限に係る共同行為を実施すべきことを指示することができる。ただし、その特定機械を部品又は材料として使用して機械器具又はその部品を製造する事業の合理化に資すると認められないときは、この限りでない。
3 前二項の規定による指示は、共同行為をすべき期間及び共同行為の内容を定めて、告示により行う。
(共同行為の内容)
第七条 前条第一項又は第二項の共同行為の内容は、次の各号に適合するものでなければならない。
一 合理化基本計画に定める合理化の目標を達成するため必要な程度をこえないこと。
二 一般消費者及び関連事業者の利益を不当に害するおそれがないこと。
三 不当に差別的でないこと。
(共同行為の指示の変更等)
第八条 通商産業大臣は、第六条第一項又は第二項の規定による指示に係る共同行為の内容が前条各号に適合するものでなくなつたと認めるときは、その指示を変更し、又は取り消さなければならない。
(共同行為の届出)
第九条 第六条第一項又は第二項の規定による指示(前条の規定による変更があつたときは、その変更後のもの。以下同じ。)を受けた者は、その指示に従い共同行為をしたときは、遅滞なく、通商産業省令で定める事項を通商産業大臣に届け出なければならない。これを変更し、又は廃止したときも、同様とする。
(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外)
第十条 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)の規定は、第六条第一項又は第二項の規定による指示に従つてする共同行為については、適用しない。ただし、不公正な取引方法を用いるときは、この限りでない。
(公正取引委員会との関係)
第十一条 通商産業大臣は、第六条第一項又は第二項の規定による指示をしようとするときは、公正取引委員会に協議しなければならない。
2 通商産業大臣は、第八条の規定による処分をしたとき、又は第九条の規定による届出を受理したときは、遅滞なく、その旨を公正取引委員会に通知しなければならない。
(生産技術の向上のための基準の公表)
第十二条 通商産業大臣は、合理化基本計画を定めたときは、遅滞なく、機械工業審議会の意見をきいて、生産技術の向上を促進することが特に必要であると認められる特定機械工業について、合理化基本計画に定めるその特定機械工業の合理化の目標を達成するためにはその特定機械工業を営む者の工場又は事業場におけるその特定機械の製造及び検査の設備及び方法並びにその製造に従事する者の技術的能力が適合しなければならないと認められる基準を定めて、公表しなければならない。
2 第四条第一項の規定は、前項に規定する基準に準用する。
(機械工業審議会)
第十三条 通商産業省に、機械工業審議会を置く。
第十四条 機械工業審議会(以下「審議会」という。)は、この法律によりその権限に属させられた事項を調査審議するほか、通商産業大臣の諮問に応じ、機械工業の振興に関する重要事項を調査審議する。
第十五条 審議会は、委員五十人以内で組織する。
2 専門の事項を調査させるため、審議会に、専門委員を置くことができる。
第十六条 委員及び専門委員は、関係行政機関の職員及び機械工業に関し学識経験のある者のうちから、通商産業大臣が任命する。
2 通商産業大臣は、委員のうち一人を会長とし指名し、会務を総理させる。
第十七条 学識経験のある者のうちから任命された委員の任期は、一年とする。
第十八条 委員及び専門委員は、非常勤とする。
第十九条 審議会に、部会を置くことができる。
2 部会に部会長を置き、会長の指名する委員がこれに当る。
3 部会に属すべき委員は、会長が指名する。
4 審議会は、その定めるところにより、部会の決議をもつて審議会の決議とすることができる。
第二十条 第十三条から前条までに定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、通商産業省令で定める。
(報告の徴収)
第二十一条 通商産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、政令で定めるところにより、機械器具又はその部品を製造する事業を営む者に対し、その業務又は経理の状況に関し報告をさせることができる。
(罰則)
第二十二条 前条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、三万円以下の罰金に処する。
第二十三条 第九条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、一万円以下の罰金に処する。
第二十四条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の刑を科する。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 この法律は、施行の日から五年以内に廃止するものとする。
3 通商産業省設置法(昭和二十七年法律第二百七十五号)の一部を次のように改正する。
第二十五条第一項の表中
「 |
工業生産技術審議会 |
工業における生産技術の向上及び製品の品質の改善に関する事項を調査審議すること。 |
」 |
を
「 |
工業生産技術審議会 |
工業における生産技術の向上及び製品の品質の改善に関する事項を調査審議すること。 |
|
機械工業審議会 |
機械工業の振興に関する重要事項を調査審議すること。 |
」 |
に改める。
(内閣総理・通商産業大臣署名)