鉱業法の一部を改正する法律
法律第百九十三号(昭三〇・一二・一九)
鉱業法(昭和二十五年法律第二百八十九号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項中「コバルト鉱」の下に「、ウラン鉱、トリウム鉱」を加える。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、昭和三十一年二月一日から施行する。
(ウラン鉱及びトリウム鉱の掘採)
第二条 この法律の施行の際現にウラン鉱若しくはトリウム鉱を掘採している者又はその承継人は、この法律の施行の日から三月間は、従前の例によりその掘採を継続することができる。この法律の施行の日から三月以内に当該掘採者又はその承継人が当該掘採区域についてウラン鉱又はトリウム鉱を目的とする鉱業権の設定の出願をした場合において、出願の却下若しくは不許可の通知を受けるまで、鉱業法第四十三条の規定によつて許可がその効力を失うまで、又は鉱業権の設定の登録があるまで、当該出願の区域について、また同様とする。
(優先権)
第三条 この法律の施行の日の六月以前から引き続きウラン鉱若しくはトリウム鉱を掘採している者又はその承継人がこの法律の施行の日から三月以内にウラン鉱又はトリウム鉱を目的とする鉱業権の設定の出願をしたときは、当該掘採区域については、その者は、鉱業法第二十七条の規定にかかわらず、他の出願(この法律の施行前にした出願及び試掘権者がその試掘鉱区と重複してした採掘権の設定の出願を除く。)に対し優先権を有するものとし、かつ、鉱業法第十四条第二項、第十六条、第二十九条、第三十条及び第三十二条の規定は、その出願には、適用しない。
第四条 この法律の施行の日の一年以前から引き続きウラン鉱若しくはトリウム鉱の取得を目的とする土地の使用に関する権利を有している者(土地の所有者を除く。)又はその承継人がこの法律の施行の日から三月以内にウラン鉱又はトリウム鉱を目的とする鉱業権の設定の出願をしたときは、当該権利を行使することができる土地の区域については、その者は、鉱業法第二十七条の規定にかかわらず、他の出願(前条の規定による出願、この法律の施行前にした出願及び試掘権者がその試掘鉱区と重複してした採掘権の設定の出願を除く。)に対し優先権を有するものとし、かつ、鉱業法第十四条第二項、第十六条、第二十九条、第三十条及び第三十二条の規定は、その出願には、適用しない。ただし、当該土地の区域について前条の規定によるウラン鉱又はトリウム鉱を目的とする鉱業権の設定の出願が許可されたときは、同法第十六条、第二十九条又は第三十条の規定については、この限りでない。
第五条 土地の所有者がこの法律の施行の日から三月以内にウラン鉱又はトリウム鉱を目的とする鉱業権の設定の出願をしたときは、その所有する土地の区域については、その者は、鉱業法第二十七条の規定にかかわらず、他の出願(前二条又はこの条の規定による出願、この法律の施行前にした出願及び試掘権者がその試掘鉱区と重複してした採掘権の設定の出願を除く。)に対し優先権を有するものとし、かつ、鉱業法第十四条第二項及び第三十二条の規定は、その出願には、適用しない。
(重複する区域の出願等)
第六条 附則第三条又は第四条の規定により試掘権の設定の出願をし、その設定の登録を得た者がその試掘鉱区と重複してウラン鉱又はトリウム鉱を目的とする採掘権の設定の出願をしたときは、その重複する部分については、鉱業法第十六条及び第三十条の規定は、適用しない。
2 前三条の規定により試掘権の設定の出願をし、その設定の登録を得た者がその試掘鉱区の全部を含む区域についてウラン鉱又はトリウム鉱を目的とする採掘権の設定の出願をしたときは、鉱業法第十四条第二項の規定は、適用しない。
第七条 附則第三条若しくは第四条の規定による鉱業権の設定の出願に係る掘採区域若しくは権利を行使することができる土地の区域又は附則第三条、第四条若しくは前条第一項の規定によりその設定の出願をし、その設定の登録を得た鉱業権の鉱区と重複し、かつ、同種の鉱床中に存する鉱物を目的とする試掘鉱区の試掘権者がその重複する部分と重複して試掘権の目的となつている鉱物を目的とする採掘権の設定の出願をしたときは、その重複する部分については、鉱業法第十六条及び第三十条の規定は、適用しない。
(重複する鉱区の鉱業権等)
第八条 鉱業権者は、その鉱区が附則第三条若しくは第四条の規定による鉱業権の設定の出願に係る掘採区域若しくは権利を行使することができる土地の区域又は附則第三条、第四条若しくは第六条第一項の規定によりその設定の出願をし、その設定の登録を得た鉱業権の鉱区と重複するときは、その重複する部分については、鉱業法第五条の規定にかかわらず、ウラン鉱又はトリウム鉱を掘採し、及び取得することができない。
2 前項に規定する場合のほか、鉱業権者は、この法律の施行の日から三月間は、鉱業法第五条の規定にかかわらず、その鉱業権の目的となつている鉱物と同種の鉱床中に存するウラン鉱又はトリウム鉱を掘採し、及び取得することができない。
第九条 附則第三条、第四条又は第六条第一項の規定により鉱業権の設定の出願をし、その設定の登録を得た者は、その鉱区がウラン鉱又はトリウム鉱と同種の鉱床中に存する鉱物を目的とする他人の鉱区と重複するときは、その重複する部分については、鉱業法第五条の規定にかかわらず、ウラン鉱又はトリウム鉱以外の鉱物を掘採し、及び取得することができない。
(協議及び決定)
第十条 附則第三条、第四条又は第六条第一項の規定によりその設定の出願をし、その設定の登録を得た鉱業権の鉱区とウラン鉱又はトリウム鉱と同種の鉱床中に存する鉱物を目的とする鉱業権の鉱区が重複する場合においては、鉱業権者は、その重複する部分において鉱物を掘採しようとするときは、他の鉱業権者と協議しなければならない。
2 前項の協議をすることができず、又は協議がととのわないときは、鉱業権者は、通商産業局長の決定を申請することができる。
3 鉱業法第四十七条第二項から第六項までの規定は、前項の決定に準用する。
(補償金)
第十一条 この法律の施行の際、ウラン鉱若しくはトリウム鉱を掘採している者又はウラン鉱若しくはトリウム鉱を目的とする土地の使用に関する権利を有している者から契約又は慣習により代償を受けている土地の所有者は、附則第三条、第四条又は第六条第一項の規定により鉱業権の設定の出願をし、その設定の登録を得た者に対して、ウラン鉱又はトリウム鉱の掘採について相当の補償金を請求することができる。
2 前項の場合においては、土地の所有者は、鉱業権者に対して、補償金について相当の担保を提供すべきことを請求することができる。
3 前二項の場合においては、鉱業権者は、正当な理由がなければ、その承諾を拒むことができない。
4 土地の所有者は、前項の承諾を得ることができないときは、通商産業局長の決定を申請することができる。
5 鉱業法第四十七条第二項から第六項までの規定は、前項の決定に準用する。
(通商産業・内閣総理大臣署名)