著作権法の一部を改正する法律
法律第百六号(平四・一二・一六)
著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)の一部を次のように改正する。
目次中
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第五章 紛争処理(第百五条―第百十一条) |
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第六章 権利侵害(第百十二条―第百十八条) |
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第七章 罰則(第百十九条―第百二十四条) |
」 |
を
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第五章 私的録音録画補償金(第百四条の二―第百四条の十一) |
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第六章 紛争処理(第百五条―第百十一条) |
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第七章 権利侵害(第百十二条―第百十八条) |
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第八章 罰則(第百十九条―第百二十四条) |
」 |
に改める。
第三十条中「使用すること」の下に「(以下「私的使用」という。)」を加え、同条に次の一項を加える。
2 私的使用を目的として、デジタル方式の録音又は録画の機能を有する機器(放送の業務のための特別の性能その他の私的使用に通常供されない特別の性能を有するもの及び録音機能付きの電話機その他の本来の機能に附属する機能として録音又は録画の機能を有するものを除く。)であつて政令で定めるものにより、当該機器によるデジタル方式の録音又は録画の用に供される記録媒体であつて政令で定めるものに録音又は録画を行う者は、相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならない。
第四十三条第一号並びに第四十九条第一項第一号及び第二項第一号中「第三十条」を「第三十条第一項」に改める。
第八十六条第一項中「第三十条から第三十二条まで」を「第三十条第一項、第三十一条、第三十二条」に改め、同条第二項中「第三十条」を「第三十条第一項」に、「行なつた」を「行つた」に改める。
第八十九条第二項中「第九十六条第一項」を「第九十六条」に改める。
第九十六条第二項を削る。
第百二条第一項中「第三十条から第三十二条まで」を「第三十条第一項、第三十一条、第三十二条」に、「同条第二項」を「第三十条第二項の規定は、著作隣接権の目的となつている実演又はレコードの利用について準用し、第四十四条第二項」に改め、同条第四項中「第九十六条第一項」を「第九十六条」に改め、同項第一号中「第三十条」を「第三十条第一項」に改める。
第百十九条各号中「第三十条」を「第三十条第一項」に改める。
第七章を第八章とし、第六章を第七章とし、第五章を第六章とし、第四章の次に次の一章を加える。
第五章 私的録音録画補償金
(私的録音録画補償金を受ける権利の行使)
第百四条の二 第三十条第二項(第百二条第一項において準用する場合を含む。以下この章において同じ。)の補償金(以下この章において「私的録音録画補償金」という。)を受ける権利は、私的録音録画補償金を受ける権利を有する者(以下この章において「権利者」という。)のためにその権利を行使することを目的とする団体であつて、次に掲げる私的録音録画補償金の区分ごとに全国を通じて一個に限りその同意を得て文化庁長官が指定するもの(以下この章において「指定管理団体」という。)があるときは、それぞれ当該指定管理団体によつてのみ行使することができる。
一 私的使用を目的として行われる録音(専ら録画とともに行われるものを除く。以下この章において「私的録音」という。)に係る私的録音録画補償金
二 私的使用を目的として行われる録画(専ら録音とともに行われるものを含む。以下この章において「私的録画」という。)に係る私的録音録画補償金
2 前項の規定による指定がされた場合には、指定管理団体は、権利者のために自己の名をもつて私的録音録画補償金を受ける権利に関する裁判上又は裁判外の行為を行う権限を有する。
(指定の基準)
第百四条の三 文化庁長官は、次に掲げる要件を備える団体でなければ前条第一項の規定による指定をしてはならない。
一 民法第三十四条(公益法人の設立)の規定により設立された法人であること。
二 前条第一項第一号に掲げる私的録音録画補償金に係る場合についてはイ、ハ及びニに掲げる団体を、同項第二号に掲げる私的録音録画補償金に係る場合についてはロからニまでに掲げる団体を構成員とすること。
イ 私的録音に係る著作物に関し第二十一条に規定する権利を有する者を構成員とする団体(その連合体を含む。)であつて、国内において私的録音に係る著作物に関し同条に規定する権利を有する者の利益を代表すると認められるもの
ロ 私的録画に係る著作物に関し第二十一条に規定する権利を有する者を構成員とする団体(その連合体を含む。)であつて、国内において私的録画に係る著作物に関し同条に規定する権利を有する者の利益を代表すると認められるもの
ハ 国内において実演を業とする者の相当数を構成員とする団体(その連合体を含む。)
ニ 国内において商業用レコードの製作を業とする者の相当数を構成員とする団体(その連合体を含む。)
三 前号イからニまでに掲げる団体がそれぞれ次に掲げる要件を備えるものであること。
イ 営利を目的としないこと。
ロ その構成員が任意に加入し、又は脱退することができること。
ハ その構成員の議決権及び選挙権が平等であること。
四 権利者のために私的録音録画補償金を受ける権利を行使する業務(第百四条の八第一項の事業に係る業務を含む。以下この章において「補償金関係業務」という。)を的確に遂行するに足りる能力を有すること。
(私的録音録画補償金の支払の特例)
第百四条の四 第三十条第二項の政令で定める機器(以下この章において「特定機器」という。)又は記録媒体(以下この章において「特定記録媒体」という。)を購入する者(当該特定機器又は特定記録媒体が小売に供された後最初に購入するものに限る。)は、その購入に当たり、指定管理団体から、当該特定機器又は特定記録媒体を用いて行う私的録音又は私的録画に係る私的録音録画補償金の一括の支払として、第百四条の六第一項の規定により当該特定機器又は特定記録媒体について定められた額の私的録音録画補償金の支払の請求があつた場合には、当該私的録音録画補償金を支払わなければならない。
2 前項の規定により私的録音録画補償金を支払つた者は、指定管理団体に対し、その支払に係る特定機器又は特定記録媒体を専ら私的録音及び私的録画以外の用に供することを証明して、当該私的録音録画補償金の返還を請求することができる。
3 第一項の規定による支払の請求を受けて私的録音録画補償金が支払われた特定機器により同項の規定による支払の請求を受けて私的録音録画補償金が支払われた特定記録媒体に私的録音又は私的録画を行う者は、第三十条第二項の規定にかかわらず、当該私的録音又は私的録画を行うに当たり、私的録音録画補償金を支払うことを要しない。ただし、当該特定機器又は特定記録媒体が前項の規定により私的録音録画補償金の返還を受けたものであるときは、この限りでない。
(製造業者等の協力義務)
第百四条の五 前条第一項の規定により指定管理団体が私的録音録画補償金の支払を請求する場合には、特定機器又は特定記録媒体の製造又は輸入を業とする者(次条第三項において「製造業者等」という。)は、当該私的録音録画補償金の支払の請求及びその受領に関し協力しなければならない。
(私的録音録画補償金の額)
第百四条の六 第百四条の二第一項の規定により指定管理団体が私的録音録画補償金を受ける権利を行使する場合には、指定管理団体は、私的録音録画補償金の額を定め、文化庁長官の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 前項の認可があつたときは、私的録音録画補償金の額は、第三十条第二項の規定にかかわらず、その認可を受けた額とする。
3 指定管理団体は、第百四条の四第一項の規定により支払の請求をする私的録音録画補償金に係る第一項の認可の申請に際し、あらかじめ、製造業者等の団体で製造業者等の意見を代表すると認められるものの意見を聴かなければならない。
4 文化庁長官は、第一項の認可の申請に係る私的録音録画補償金の額が、第三十条第一項(第百二条第一項において準用する場合を含む。)及び第百四条の四第一項の規定の趣旨、録音又は録画に係る通常の使用料の額その他の事情を考慮した適正な額であると認めるときでなければ、その認可をしてはならない。
5 文化庁長官は、第一項の認可をしようとするときは、第七十一条の政令で定める審議会に諮問しなければならない。
(補償金関係業務の執行に関する規程)
第百四条の七 指定管理団体は、補償金関係業務を開始しようとするときは、補償金関係業務の執行に関する規程を定め、文化庁長官に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 前項の規程には、私的録音録画補償金(第百四条の四第一項の規定に基づき支払を受けるものに限る。)の分配に関する事項を含むものとし、指定管理団体は、第三十条第二項の規定の趣旨を考慮して当該分配に関する事項を定めなければならない。
(著作権等の保護に関する事業等のための支出)
第百四条の八 指定管理団体は、私的録音録画補償金(第百四条の四第一項の規定に基づき支払を受けるものに限る。)の額の二割以内で政令で定める割合に相当する額を、著作権及び著作隣接権の保護に関する事業並びに著作物の創作の振興及び普及に資する事業のために支出しなければならない。
2 文化庁長官は、前項の政令の制定又は改正の立案をしようとするときは、第七十一条の政令で定める審議会に諮問しなければならない。
3 文化庁長官は、第一項の事業に係る業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、指定管理団体に対し、当該業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(報告の徴収等)
第百四条の九 文化庁長官は、指定管理団体の補償金関係業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、指定管理団体に対し、補償金関係業務に関して報告をさせ、若しくは帳簿、書類その他の資料の提出を求め、又は補償金関係業務の執行方法の改善のため必要な勧告をすることができる。
(著作権に関する仲介業務に関する法律の適用除外)
第百四条の十 著作権に関する仲介業務に関する法律(昭和十四年法律第六十七号)の規定は、指定管理団体が行う補償金関係業務については、適用しない。
(政令への委任)
第百四条の十一 この章に規定するもののほか、指定管理団体及び補償金関係業務に関し必要な事項は、政令で定める。
附則第五条の二中「第三十条」を「第三十条第一項」に改める。
附則第十五条の次に次の一条を加える。
(レコード保護条約により保護の義務を負うレコードに係る複製権についての経過措置)
第十五条の二 新法第九十六条の規定は、専ら放送又は有線放送の目的をもつて新法第八条第四号に掲げるレコードを複製する場合には、当分の間、適用しない。
附則第十七条中「第六章」を「第七章」に改める。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、目次の改正規定、第七章を第八章とし、第六章を第七章とし、第五章を第六章とし、第四章の次に一章を加える改正規定(第百四条の四、第百四条の五並びに第百四条の八第一項及び第三項に係る部分を除く。)及び附則第十七条の改正規定は、公布の日から施行する。
(経過措置)
2 改正後の著作権法(以下「新法」という。)の規定は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前の購入(小売に供された後の最初の購入に限る。以下同じ。)に係る新法第百四条の四第一項の特定機器により施行日前の購入に係る同項の特定記録媒体に行われる新法第百四条の二第一項第一号の私的録音又は同項第二号の私的録画については、適用しない。
3 施行日前の購入に係る新法第百四条の四第一項の特定機器により施行日以後の購入に係る同項の特定記録媒体に新法第百四条の二第一項第一号の私的録音又は同項第二号の私的録画を行う場合には、当該特定機器は、新法第百四条の四第一項の規定により私的録音録画補償金が支払われたものとみなす。施行日以後の購入に係る同項の特定機器により施行日前の購入に係る同項の特定記録媒体に新法第百四条の二第一項第一号の私的録音又は同項第二号の私的録画を行う場合の当該特定記録媒体についても、同様とする。
(文部・内閣総理大臣署名)