行政手続法の一部を改正する法律

法律第七十三号(平一七・六・二九)

 行政手続法(平成五年法律第八十八号)の一部を次のように改正する。

 目次中「第六章 補則(第三十八条)」を

第六章 意見公募手続等(第三十八条―第四十五条)

 
 

第七章 補則(第四十六条)

に改める。

 第一条第一項中「に関する手続」の下に「並びに命令等を定める手続」を加え、「第三十八条」を「第四十六条」に改め、同条第二項中「に関する手続」の下に「並びに命令等を定める手続」を加える。

 第二条第一号中「同じ」を「「規則」という」に改め、同条第五号イ中「内閣府、」を「法律の規定に基づき内閣に置かれる機関若しくは内閣の所轄の下に置かれる機関、」に、「法律の規定に基づき内閣の所轄の下に置かれる機関」を「会計検査院」に改め、同条に次の一号を加える。

 八 命令等 内閣又は行政機関が定める次に掲げるものをいう。

  イ 法律に基づく命令(処分の要件を定める告示を含む。次条第二項において単に「命令」という。)又は規則

  ロ 審査基準(申請により求められた許認可等をするかどうかをその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準をいう。以下同じ。)

  ハ 処分基準(不利益処分をするかどうか又はどのような不利益処分とするかについてその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準をいう。以下同じ。)

  ニ 行政指導指針(同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し行政指導をしようとするときにこれらの行政指導に共通してその内容となるべき事項をいう。以下同じ。)

 第三条第一項第四号中「処分」の下に「及び会計検査の際にされる行政指導」を加え、同条第二項中「前項各号」を「第一項各号及び前項各号」に、「並びに地方公共団体の機関に対する届出」を「、地方公共団体の機関に対する届出」に改め、「通知の根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)」の下に「並びに地方公共団体の機関が命令等を定める行為」を加え、「第五章」を「第六章」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。

2 次に掲げる命令等を定める行為については、第六章の規定は、適用しない。

 一 法律の施行期日について定める政令

 二 恩赦に関する命令

 三 命令又は規則を定める行為が処分に該当する場合における当該命令又は規則

 四 法律の規定に基づき施設、区間、地域その他これらに類するものを指定する命令又は規則

 五 公務員の給与、勤務時間その他の勤務条件について定める命令等

 六 審査基準、処分基準又は行政指導指針であって、法令の規定により若しくは慣行として、又は命令等を定める機関の判断により公にされるもの以外のもの

 第四条に次の一項を加える。

4 次に掲げる命令等を定める行為については、第六章の規定は、適用しない。

 一 国又は地方公共団体の機関の設置、所掌事務の範囲その他の組織について定める命令等

 二 皇室典範(昭和二十二年法律第三号)第二十六条の皇統譜について定める命令等

 三 公務員の礼式、服制、研修、教育訓練、表彰及び報償並びに公務員の間における競争試験について定める命令等

 四 国又は地方公共団体の予算、決算及び会計について定める命令等(入札の参加者の資格、入札保証金その他の国又は地方公共団体の契約の相手方又は相手方になろうとする者に係る事項を定める命令等を除く。)並びに国又は地方公共団体の財産及び物品の管理について定める命令等(国又は地方公共団体が財産及び物品を貸し付け、交換し、売り払い、譲与し、信託し、若しくは出資の目的とし、又はこれらに私権を設定することについて定める命令等であって、これらの行為の相手方又は相手方になろうとする者に係る事項を定めるものを除く。)

 五 会計検査について定める命令等

 六 国の機関相互間の関係について定める命令等並びに地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二編第十一章に規定する国と普通地方公共団体との関係及び普通地方公共団体相互間の関係その他の国と地方公共団体との関係及び地方公共団体相互間の関係について定める命令等(第一項の規定によりこの法律の規定を適用しないこととされる処分に係る命令等を含む。)

 七 第二項各号に規定する法人の役員及び職員、業務の範囲、財務及び会計その他の組織、運営及び管理について定める命令等(これらの法人に対する処分であって、これらの法人の解散を命じ、若しくは設立に関する認可を取り消す処分又はこれらの法人の役員若しくはこれらの法人の業務に従事する者の解任を命ずる処分に係る命令等を除く。)

 第五条第一項中「申請により求められた許認可等をするかどうかをその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準(以下「審査基準」という。)」を「審査基準」に改め、同条第二項及び第三項中「当該」を削る。

 第十二条第一項中「不利益処分をするかどうか又はどのような不利益処分とするかについてその法令の定めに従って判断するために必要とされる基準(次項において「処分基準」という。)」を「処分基準」に改め、同条第二項中「当該」を削る。

 第三十六条中「これらの行政指導に共通してその内容となるべき事項」を「行政指導指針」に改める。

 第三十八条中「第三条第二項」を「第三条第三項」に、「の手続」を「並びに命令等を定める行為に関する手続」に改め、同条を第四十六条とする。

 第六章を第七章とし、第五章の次に次の一章を加える。

   第六章 意見公募手続等

 (命令等を定める場合の一般原則)

第三十八条 命令等を定める機関(閣議の決定により命令等が定められる場合にあっては、当該命令等の立案をする各大臣。以下「命令等制定機関」という。)は、命令等を定めるに当たっては、当該命令等がこれを定める根拠となる法令の趣旨に適合するものとなるようにしなければならない。

2 命令等制定機関は、命令等を定めた後においても、当該命令等の規定の実施状況、社会経済情勢の変化等を勘案し、必要に応じ、当該命令等の内容について検討を加え、その適正を確保するよう努めなければならない。

 (意見公募手続)

第三十九条 命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合には、当該命令等の案(命令等で定めようとする内容を示すものをいう。以下同じ。)及びこれに関連する資料をあらかじめ公示し、意見(情報を含む。以下同じ。)の提出先及び意見の提出のための期間(以下「意見提出期間」という。)を定めて広く一般の意見を求めなければならない。

2 前項の規定により公示する命令等の案は、具体的かつ明確な内容のものであって、かつ、当該命令等の題名及び当該命令等を定める根拠となる法令の条項が明示されたものでなければならない。

3 第一項の規定により定める意見提出期間は、同項の公示の日から起算して三十日以上でなければならない。

4 次の各号のいずれかに該当するときは、第一項の規定は、適用しない。

 一 公益上、緊急に命令等を定める必要があるため、第一項の規定による手続(以下「意見公募手続」という。)を実施することが困難であるとき。

 二 納付すべき金銭について定める法律の制定又は改正により必要となる当該金銭の額の算定の基礎となるべき金額及び率並びに算定方法についての命令等その他当該法律の施行に関し必要な事項を定める命令等を定めようとするとき。

 三 予算の定めるところにより金銭の給付決定を行うために必要となる当該金銭の額の算定の基礎となるべき金額及び率並びに算定方法その他の事項を定める命令等を定めようとするとき。

 四 法律の規定により、内閣府設置法第四十九条第一項若しくは第二項若しくは国家行政組織法第三条第二項に規定する委員会又は内閣府設置法第三十七条若しくは第五十四条若しくは国家行政組織法第八条に規定する機関(以下「委員会等」という。)の議を経て定めることとされている命令等であって、相反する利害を有する者の間の利害の調整を目的として、法律又は政令の規定により、これらの者及び公益をそれぞれ代表する委員をもって組織される委員会等において審議を行うこととされているものとして政令で定める命令等を定めようとするとき。

 五 他の行政機関が意見公募手続を実施して定めた命令等と実質的に同一の命令等を定めようとするとき。

 六 法律の規定に基づき法令の規定の適用又は準用について必要な技術的読替えを定める命令等を定めようとするとき。

 七 命令等を定める根拠となる法令の規定の削除に伴い当然必要とされる当該命令等の廃止をしようとするとき。

 八 他の法令の制定又は改廃に伴い当然必要とされる規定の整理その他の意見公募手続を実施することを要しない軽微な変更として政令で定めるものを内容とする命令等を定めようとするとき。

 (意見公募手続の特例)

第四十条 命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合において、三十日以上の意見提出期間を定めることができないやむを得ない理由があるときは、前条第三項の規定にかかわらず、三十日を下回る意見提出期間を定めることができる。この場合においては、当該命令等の案の公示の際その理由を明らかにしなければならない。

2 命令等制定機関は、委員会等の議を経て命令等を定めようとする場合(前条第四項第四号に該当する場合を除く。)において、当該委員会等が意見公募手続に準じた手続を実施したときは、同条第一項の規定にかかわらず、自ら意見公募手続を実施することを要しない。

 (意見公募手続の周知等)

第四十一条 命令等制定機関は、意見公募手続を実施して命令等を定めるに当たっては、必要に応じ、当該意見公募手続の実施について周知するよう努めるとともに、当該意見公募手続の実施に関連する情報の提供に努めるものとする。

 (提出意見の考慮)

第四十二条 命令等制定機関は、意見公募手続を実施して命令等を定める場合には、意見提出期間内に当該命令等制定機関に対し提出された当該命令等の案についての意見(以下「提出意見」という。)を十分に考慮しなければならない。

 (結果の公示等)

第四十三条 命令等制定機関は、意見公募手続を実施して命令等を定めた場合には、当該命令等の公布(公布をしないものにあっては、公にする行為。第五項において同じ。)と同時期に、次に掲げる事項を公示しなければならない。

 一 命令等の題名

 二 命令等の案の公示の日

 三 提出意見(提出意見がなかった場合にあっては、その旨)

 四 提出意見を考慮した結果(意見公募手続を実施した命令等の案と定めた命令等との差異を含む。)及びその理由

2 命令等制定機関は、前項の規定にかかわらず、必要に応じ、同項第三号の提出意見に代えて、当該提出意見を整理又は要約したものを公示することができる。この場合においては、当該公示の後遅滞なく、当該提出意見を当該命令等制定機関の事務所における備付けその他の適当な方法により公にしなければならない。

3 命令等制定機関は、前二項の規定により提出意見を公示し又は公にすることにより第三者の利益を害するおそれがあるとき、その他正当な理由があるときは、当該提出意見の全部又は一部を除くことができる。

4 命令等制定機関は、意見公募手続を実施したにもかかわらず命令等を定めないこととした場合には、その旨(別の命令等の案について改めて意見公募手続を実施しようとする場合にあっては、その旨を含む。)並びに第一項第一号及び第二号に掲げる事項を速やかに公示しなければならない。

5 命令等制定機関は、第三十九条第四項各号のいずれかに該当することにより意見公募手続を実施しないで命令等を定めた場合には、当該命令等の公布と同時期に、次に掲げる事項を公示しなければならない。ただし、第一号に掲げる事項のうち命令等の趣旨については、同項第一号から第四号までのいずれかに該当することにより意見公募手続を実施しなかった場合において、当該命令等自体から明らかでないときに限る。

 一 命令等の題名及び趣旨

 二 意見公募手続を実施しなかった旨及びその理由

 (準用)

第四十四条 第四十二条の規定は第四十条第二項に該当することにより命令等制定機関が自ら意見公募手続を実施しないで命令等を定める場合について、前条第一項から第三項までの規定は第四十条第二項に該当することにより命令等制定機関が自ら意見公募手続を実施しないで命令等を定めた場合について、前条第四項の規定は第四十条第二項に該当することにより命令等制定機関が自ら意見公募手続を実施しないで命令等を定めないこととした場合について準用する。この場合において、第四十二条中「当該命令等制定機関」とあるのは「委員会等」と、前条第一項第二号中「命令等の案の公示の日」とあるのは「委員会等が命令等の案について公示に準じた手続を実施した日」と、同項第四号中「意見公募手続を実施した」とあるのは「委員会等が意見公募手続に準じた手続を実施した」と読み替えるものとする。

 (公示の方法)

第四十五条 第三十九条第一項並びに第四十三条第一項(前条において読み替えて準用する場合を含む。)、第四項(前条において準用する場合を含む。)及び第五項の規定による公示は、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により行うものとする。

2 前項の公示に関し必要な事項は、総務大臣が定める。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次条及び附則第八条の規定は、公布の日から施行する。

 (経過措置)

第二条 この法律による改正後の行政手続法(以下「新法」という。)第二条第八号に規定する命令等(以下この条において「命令等」という。)を定める機関(以下この条において「命令等制定機関」という。)は、命令等を定めようとするときは、この法律の施行前においても、新法第六章の規定の例によることができる。この場合において、同章の規定の例により実施した手続は、新法の適用については、当該命令等制定機関が同章の規定により実施したものとみなす。

2 前項の規定の適用がある場合を除き、命令等制定機関がこの法律の施行の日から六十日以内に定める命令等については、新法第六章の規定は、適用しない。

 (火薬類取締法の一部改正)

第三条 火薬類取締法(昭和二十五年法律第百四十九号)の一部を次のように改正する。

  第五十三条を削り、第五十二条の二を第五十三条とする。

 (高圧ガス保安法の一部改正)

第四条 高圧ガス保安法(昭和二十六年法律第二百四号)の一部を次のように改正する。

  第七十五条の見出しを「(協会の意見の聴取)」に改め、同条中「聴くとともに、公聴会を開き、広く一般の意見を」を削る。

 (ガス事業法の一部改正)

第五条 ガス事業法(昭和二十九年法律第五十一号)の一部を次のように改正する。

  第四十八条中「若しくは第十八条第二項」を「又は第十八条第二項」に改め、「、又は第三十九条の二の政令の制定若しくは改廃の立案をしようとするとき」を削り、「きかなければ」を「聴かなければ」に改める。

 (電気用品安全法の一部改正)

第六条 電気用品安全法(昭和三十六年法律第二百三十四号)の一部を次のように改正する。

  第四十七条から第四十九条までを次のように改める。

 第四十七条から第四十九条まで 削除

 (液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律の一部改正)

第七条 液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律(昭和四十二年法律第百四十九号)の一部を次のように改正する。

  第八十九条の見出しを「(協会の意見の聴取)」に改め、同条第一項を削り、同条第二項中「若しくは改廃」を「又は改廃」に改め、「聴くとともに、公聴会を開き、広く一般の意見を」を削り、同項を同条とする。

 (火薬類取締法等の一部改正に伴う経過措置)

第八条 附則第三条の規定による改正前の火薬類取締法第五十三条の規定、附則第四条の規定による改正前の高圧ガス保安法第七十五条の規定、附則第五条の規定による改正前のガス事業法第四十八条の規定、附則第六条の規定による改正前の電気用品安全法第四十九条の規定又は前条の規定による改正前の液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律第八十九条の規定に基づいて、公聴会を開き、広く一般の意見を聴いたときは、新法の適用については、それぞれ新法第三十九条第一項の規定による手続を実施したものとみなす。

(内閣総理・総務・経済産業・国土交通大臣署名) 

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