湖沼水質保全特別措置法の一部を改正する法律

法律第六十九(平一七・六・二二)

 湖沼水質保全特別措置法(昭和五十九年法律第六十一号)の一部を次のように改正する。

 目次中「第三章 指定湖沼の水質の保全に関する特別の措置(第七条─第二十五条)」を

第三章 指定湖沼の水質の保全に関する特別の措置

 
 

 第一節 湖沼特定事業場等に関する措置(第七条─第十四条)

 
 

 第二節 指定施設等に関する措置(第十五条─第二十二条)

 
 

 第三節 汚濁負荷量の総量の削減等(第二十三条・第二十四条)

 
 

 第四節 流出水対策の推進(第二十五条─第二十八条)

 
 

 第五節 湖辺環境等の保護(第二十九条─第三十六条)

に、「(第二十六条─第三十二条)」を「(第三十七条─第四十三条)」に、「(第三十三条─第三十八条)」を「(第四十四条─第四十九条)」に改める。

 第二条第二項第二号中「策定」の下に「、第二十五条第一項の流出水対策地区の指定、第二十九条第一項の湖辺環境保護地区の指定」を加える。

 第四条第一項中「、五年ごとに」を削り、同条第三項第四号中「前三号」を「前各号」に改め、同号を同項第五号とし、同項中第三号を第四号とし、同項第二号中「及びし尿処理施設」を「、し尿処理施設及び浄化槽」に改め、同号を同項第三号とし、同項中第一号を第二号とし、同号の前に次の一号を加える。

 一 湖沼水質保全計画の計画期間

 第四条第七項中「前三項」を「第二項及び第四項から前項まで」に改め、「変更」の下に「(第二十三条第一項の湖沼総量削減計画及び第二十六条第一項の流出水対策推進計画を策定し、又は変更する場合を含む。)」を加え、同項を同条第八項とし、同条中第六項を第七項とし、第五項を第六項とし、第四項を第五項とし、第三項の次に次の一項を加える。

4 都道府県知事は、湖沼水質保全計画を定めようとする場合において必要があると認めるときは、あらかじめ、公聴会の開催等指定地域の住民の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない。

 第七条第一項中「及び第三十二条」を「、第二十五条第一項及び第四十三条」に改め、第三章中同条の前に次の節名を付する。

    第一節 湖沼特定事業場等に関する措置

 第十一条の前の見出しを削り、同条に見出しとして「(承継)」を付し、同条第一項を削り、同条第二項中「、前条及び前項」を「及び前条」に改め、同項を同条とする。

 第十二条に見出しとして「(適用除外等)」を付する。

 第十四条の次に次の節名を付する。

    第二節 指定施設等に関する措置

 第二十二条の次に次の節名を付する。

    第三節 汚濁負荷量の総量の削減等

 第三十八条を第四十九条とする。

 第三十七条中「第三十三条」を「第四十四条」に改め、同条を第四十八条とする。

 第三十六条中「一に」を「いずれかに」に、「十万円」を「二十万円」に改め、同条を第四十七条とする。

 第三十五条を削る。

 第三十四条中「含む。)」の下に「又は第三十条第二項」を加え、「三十万円」を「五十万円」に改め、同条を第四十五条とし、同条の次に次の一条を加える。

第四十六条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。

 一 第十五条第一項、第十七条第一項又は第三十条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

 二 第三十条第五項の規定に違反して、届出に係る行為に着手した者

 三 第三十二条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査若しくは調査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者

 第三十三条中「又は第十条」を「、第十条又は第三十一条第一項」に、「五十万円」を「百万円」に改め、同条を第四十四条とする。

 第四章中第三十二条を第四十三条とする。

 第三十一条第一項中「並びに第二十三条第一項及び第三項」を「、第二十三条第一項及び第三項、第二十五条第一項、第二十六条第一項並びに第二十九条第一項」に改め、同条を第四十二条とする。

 第三十条を第四十一条とし、第二十六条から第二十九条までを十一条ずつ繰り下げる。

 第二十五条の見出しを「(国及び地方公共団体の責務)」に改め、同条中「湖辺」を「湖沼の水辺地」に改め、第三章中同条を第三十六条とする。

 第二十四条の次に次の一節並びに節名及び七条を加える。

    第四節 流出水対策の推進

 (流出水対策地区の指定)

第二十五条 都道府県知事は、湖沼水質保全基本方針に基づき、指定湖沼の水質の保全を図るために流出水(水質汚濁防止法第二条第二項に規定する特定施設及び指定施設から排出される水並びに同条第八項に規定する生活排水以外の水であつて、指定地域内の土地から指定湖沼に流入するものをいう。以下同じ。)の水質の改善に資する対策(以下「流出水対策」という。)の実施を推進する必要があると認める地区を、流出水対策地区として当該指定湖沼に係る指定地域内に指定することができる。

2 都道府県知事は、流出水対策地区を指定しようとするときは、関係市町村長の意見を聴かなければならない。

3 都道府県知事は、流出水対策地区の指定をしたときは、その旨を公表するとともに、当該流出水対策地区をその区域に含む市町村に通知しなければならない。

4 前二項の規定は、流出水対策地区の変更について準用する。

 (流出水対策推進計画の策定)

第二十六条 都道府県知事は、前条の規定により流出水対策地区を指定したときは、湖沼水質保全計画において、当該流出水対策地区における流出水対策の実施を推進するための計画(以下「流出水対策推進計画」という。)を定めなければならない。

2 流出水対策推進計画においては、次の事項を定めるものとする。

 一 流出水対策の実施の推進に関する方針

 二 流出水の水質を改善するための具体的方策に関すること。

 三 流出水対策に係る啓発に関すること。

 四 前三号に掲げるもののほか、流出水対策の実施の推進のために必要な措置に関すること。

 (住民の理解を深める等のための措置)

第二十七条 都道府県は、広報活動等を通じて、流出水対策推進計画の意義に関する流出水対策地区内の住民の理解を深めるとともに、流出水対策推進計画の実施に関する流出水対策地区内の住民の協力を求めるよう努めなければならない。

 (指導等)

第二十八条 都道府県知事は、流出水対策推進計画を実施するために特に必要があると認めるときは、流出水対策地区内の土地であつて、流出水の汚濁の原因となる物が著しく発生していると認められるものの所有者、管理者又は占有者に対し、流出水対策を実施するよう必要な指導、助言及び勧告をすることができる。

    第五節 湖辺環境等の保護

 (湖辺環境保護地区の指定)

第二十九条 都道府県知事は、湖沼水質保全基本方針に基づき、指定湖沼の水質の保全を図るために、湖沼の水辺地及びこれに隣接する水域のうち、植物(湖沼の水質の改善に資するものとして環境省令で定めるものに限る。以下同じ。)が生育している地区の自然環境(以下「湖辺環境」という。)を保護する必要があると認めるときは、当該地区を湖辺環境保護地区として当該指定湖沼に係る指定地域内に指定することができる。

2 都道府県知事は、湖辺環境保護地区を指定しようとする場合において必要があると認めるときは、あらかじめ、公聴会の開催等指定地域の住民の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない。

3 都道府県知事は、湖辺環境保護地区を指定しようとするときは、関係市町村長の意見を聴くとともに、当該湖辺環境保護地区に係る指定湖沼を管理する河川管理者に協議しなければならない。

4 都道府県知事は、湖辺環境保護地区の指定をしたときは、その旨を公表するとともに、当該湖辺環境保護地区をその区域に含む市町村に通知しなければならない。

5 前三項の規定は、湖辺環境保護地区の変更について準用する。

 (湖辺環境保護地区内における行為の届出等)

第三十条 湖辺環境保護地区内において、次に掲げる行為をしようとする者は、都道府県知事に対し、環境省令で定めるところにより、行為の種類、場所並びに開始及び終了の時期その他環境省令で定める事項を届け出なければならない。

 一 植物を採取し、又は損傷すること。

 二 水面を埋め立て、又は干拓すること。

 三 鉱物を掘採し、又は土石を採取すること。

 四 前三号に掲げるもののほか、湖辺環境の保護に支障があると認められる行為として政令で定める行為をすること。

2 都道府県知事は、指定湖沼の湖辺環境を保護するために必要があると認めるときは、湖辺環境保護地区内において前項の規定により届出を要する行為をしようとする者又はした者に対して、その湖辺環境を保護するために必要な限度において、当該行為を禁止し、若しくは制限し、又は必要な措置を執るべき旨を命ずることができる。

3 前項の処分は、第一項の規定による届出をした者に対しては、その届出があつた日から起算して三十日以内に限り、することができる。

4 都道府県知事は、第一項の規定による届出があつた場合において、実地の調査をする必要があるとき、その他前項の期間内に第二項の処分をすることができない合理的な理由があるときは、その理由が存続する間、前項の期間を延長することができる。この場合においては、同項の期間内に、第一項の規定による届出をした者に対し、その旨及び期間を延長する理由を通知しなければならない。

5 第一項の規定による届出をした者は、その届出をした日から起算して三十日を経過した後でなければ、当該届出に係る行為に着手してはならない。

6 都道府県知事は、指定湖沼の湖辺環境の保護に支障を及ぼすおそれがないと認めるときは、前項の期間を短縮することができる。

7 前各項の規定にかかわらず、国の機関又は地方公共団体が行う行為については、第一項の規定による届出をすることを要しない。この場合において、当該国の機関又は地方公共団体は、同項の届出を要する行為をしようとするときは、あらかじめ、都道府県知事にその旨を通知しなければならない。

8 都道府県知事は、前項の規定による通知があつた場合において、湖辺環境保護地区の湖辺環境を保護するために必要があると認めるときは、当該通知をした国の機関又は地方公共団体に対し、湖辺環境の保護のために執るべき措置について協議を求めることができる。

9 次に掲げる行為については、前各項の規定は、適用しない。

 一 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為であつて、指定湖沼の湖辺環境の保護に支障を及ぼすおそれがないと認められるものとして環境省令で定めるもの

 二 湖辺環境保護地区が指定され、又はその区域が拡張された際既に着手していた行為

 三 非常災害のために必要な応急措置として行う行為

 四 河川法第二十三条から第二十五条まで、第二十六条第一項若しくは第二十七条第一項(これらの規定を同法第百条第一項において準用する場合を含む。)の規定又は同法第二十八条若しくは第二十九条(これらの規定を同法第百条第一項において準用する場合を含む。)の規定に基づく政令若しくは都道府県の条例の規定による許可を要する行為

 五 河川法第二十八条又は第二十九条(これらの規定を同法第百条第一項において準用する場合を含む。)の規定に基づく政令又は都道府県の条例の規定により制限された行為

 (原状回復命令等)

第三十一条 都道府県知事は、指定湖沼の湖辺環境の保護のために必要があると認めるときは、その必要な限度において、前条第二項の規定による処分に違反した者又はその者からその行為の行われた土地についての権利を承継した者に対して、相当の期限を定めて、原状回復を命じ、又は原状回復が著しく困難である場合に、これに代わるべき必要な措置を執るべき旨を命ずることができる。

2 前項の規定により原状回復又はこれに代わるべき必要な措置(以下「原状回復等」という。)を命じようとする場合において、過失がなくて当該原状回復等を命ずべき者を確知することができないときは、都道府県知事は、その者の負担において、当該原状回復等を自ら行い、又はその命じた者若しくは委任した者にこれを行わせることができる。この場合においては、相当の期限を定めて、当該原状回復等を行うべき旨及びその期限までに当該原状回復等を行わないときは、都道府県知事又はその命じた者若しくは委任した者が当該原状回復等を行う旨をあらかじめ公告しなければならない。

3 前項の規定により原状回復等を行おうとする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。

 (報告及び検査等)

第三十二条 都道府県知事は、この法律の施行に必要な限度において、第三十条第二項又は前条第一項の規定による処分を受けた者に対し、当該処分に係る措置の実施状況その他必要な事項に関し報告を求め、又はその職員に、湖辺環境保護地区内の土地若しくは建物内に立ち入り、第三十条第一項各号に掲げる行為の実施状況を検査させ、若しくはこれらの行為の湖辺環境に及ぼす影響を調査させることができる。

2 前項に規定する職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。

3 第一項の規定による立入検査又は立入調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

 (公害等調整委員会の裁定)

第三十三条 第三十条第二項又は第三十一条第一項の規定による都道府県知事の処分に不服がある者は、その不服の理由が鉱業、採石業又は砂利採取業との調整に関するものであるときは、公害等調整委員会に裁定を申請することができる。この場合には、行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)による不服申立てをすることができない。

2 行政不服審査法第十八条の規定は、前項の処分につき、処分庁が誤つて審査請求又は異議申立てをすることができる旨を教示した場合について準用する。

 (損失の補償)

第三十四条 都道府県は、第三十条第二項の規定による処分を受けたため損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない。

2 前項の規定による補償を受けようとする者は、都道府県知事にこれを請求しなければならない。

3 都道府県知事は、前項の規定による請求を受けたときは、補償すべき金額を決定し、当該請求者にこれを通知しなければならない。

 (訴えの提起)

第三十五条 前条第三項の規定による決定に不服がある者は、その通知を受けた日から六月以内に訴えをもつて補償すべき金額の増額を請求することができる。

2 前項の訴えにおいては、都道府県を被告とする。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第二条の改正規定は、公布の日から施行する。

 (検討)

第二条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、この法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

 (鉱業等に係る土地利用の調整手続等に関する法律の一部改正)

第三条 鉱業等に係る土地利用の調整手続等に関する法律(昭和二十五年法律第二百九十二号)の一部を次のように改正する。

  第一条第二号中カをヨとし、ワをカとし、ヲの次に次のように加える。

   ワ 湖沼水質保全特別措置法(昭和五十九年法律第六十一号)第三十三条第一項

(総務・環境・内閣総理大臣署名) 

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