学校教育法の一部を改正する法律
法律第百十八号(平一四・一一・二九)
学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)の一部を次のように改正する。
第四条第二項中「前項」を「第一項」に改め、同項に後段として次のように加える。
この場合において、当該幼稚園を設置する者は、同項に規定する事項を行おうとするときは、あらかじめ、都道府県の教育委員会に届け出なければならない。
第四条第三項を次のように改める。
第二項第一号の学位の種類及び分野の変更並びに同項第二号の学科の分野の変更に関する基準は、文部科学大臣が、これを定める。
第四条第一項の次に次の二項を加える。
前項の規定にかかわらず、同項第一号に掲げる学校を設置する者は、次に掲げる事項を行うときは、同項の認可を受けることを要しない。この場合において、当該学校を設置する者は、文部科学大臣の定めるところにより、あらかじめ、文部科学大臣に届け出なければならない。
一 大学の学部又は大学院の研究科の設置であつて、当該大学が授与する学位の種類及び分野の変更を伴わないもの
二 第六十九条の二第二項の大学の学科の設置であつて、当該大学が設置する学科の分野の変更を伴わないもの
三 大学の学部若しくは大学院の研究科又は第六十九条の二第二項の大学の学科の廃止
四 前三号に掲げるもののほか、政令で定める事項
文部科学大臣は、前項の届出があつた場合において、その届出に係る事項が、設備、授業その他の事項に関する法令の規定に適合しないと認めるときは、その届出をした者に対し、必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
第十四条中「公立又は私立の大学及び高等専門学校並びに放送大学学園の設置する大学については文部科学大臣、」を削る。
第十五条を次のように改める。
第十五条 文部科学大臣は、公立又は私立の大学及び高等専門学校並びに放送大学学園の設置する大学が、設備、授業その他の事項について、法令の規定に違反していると認めるときは、当該学校に対し、必要な措置をとるべきことを勧告することができる。
文部科学大臣は、前項の規定による勧告によつてもなお当該勧告に係る事項(次項において「勧告事項」という。)が改善されない場合には、当該学校に対し、その変更を命ずることができる。
文部科学大臣は、前項の規定による命令によつてもなお勧告事項が改善されない場合には、当該学校に対し、当該勧告事項に係る組織の廃止を命ずることができる。
文部科学大臣は、第一項の規定による勧告又は第二項若しくは前項の規定による命令を行うために必要があると認めるときは、当該学校に対し、報告又は資料の提出を求めることができる。
第六十条中「場合」の下に「及び第四条第五項に規定する基準を定める場合」を加える。
第六十条の二中「場合」の下に「及び大学に対し第四条第三項若しくは第十五条第二項若しくは第三項の規定による命令又は同条第一項の規定による勧告を行う場合」を加える。
第六十五条中「きわめて」を「きわめ、又は高度の専門性が求められる職業を担うための深い学識及び卓越した能力を培い」に改め、同条に次の一項を加える。
大学院のうち、学術の理論及び応用を教授研究し、高度の専門性が求められる職業を担うための深い学識及び卓越した能力を培うことを目的とするものは、専門職大学院とする。
第六十七条第一項中「修士の学位」の下に「若しくは第六十八条の二第一項に規定する文部科学大臣の定める学位」を加える。
第六十八条の二第一項中「大学院」の下に「(専門職大学院を除く。)」を、「博士の学位を」の下に「、専門職大学院の課程を修了した者に対し文部科学大臣の定める学位を」を加える。
第六十九条の二の次に次の四条を加える。
第六十九条の三 大学は、その教育研究水準の向上に資するため、文部科学大臣の定めるところにより、当該大学の教育及び研究、組織及び運営並びに施設及び設備(次項において「教育研究等」という。)の状況について自ら点検及び評価を行い、その結果を公表するものとする。
大学は、前項の措置に加え、当該大学の教育研究等の総合的な状況について、政令で定める期間ごとに、文部科学大臣の認証を受けた者(以下「認証評価機関」という。)による評価(以下「認証評価」という。)を受けるものとする。ただし、認証評価機関が存在しない場合その他特別の事由がある場合であつて、文部科学大臣の定める措置を講じているときは、この限りでない。
専門職大学院を置く大学にあつては、前項に規定するもののほか、当該専門職大学院の設置の目的に照らし、当該専門職大学院の教育課程、教員組織その他教育研究活動の状況について、政令で定める期間ごとに、認証評価を受けるものとする。ただし、当該専門職大学院の課程に係る分野について認証評価を行う認証評価機関が存在しない場合その他特別の事由がある場合であつて、文部科学大臣の定める措置を講じているときは、この限りでない。
前二項の認証評価は、大学からの求めにより、大学評価基準(前二項の認証評価を行うために認証評価機関が定める基準をいう。次条において同じ。)に従つて行うものとする。
第六十九条の四 認証評価機関になろうとする者は、文部科学大臣の定めるところにより、申請により、文部科学大臣の認証を受けることができる。
文部科学大臣は、前項の規定による認証の申請が次の各号のいずれにも適合すると認めるときは、その認証をするものとする。
一 大学評価基準及び評価方法が認証評価を適確に行うに足りるものであること。
二 認証評価の公正かつ適確な実施を確保するために必要な体制が整備されていること。
三 第四項に規定する措置(同項に規定する通知を除く。)の前に認証評価の結果に係る大学からの意見の申立ての機会を付与していること。
四 認証評価を適確かつ円滑に行うに必要な経理的基礎を有する法人(人格のない社団又は財団で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。次号において同じ。)であること。
五 次条第二項の規定により認証を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない法人でないこと。
六 その他認証評価の公正かつ適確な実施に支障を及ぼすおそれがないこと。
前項に規定する基準を適用するに際して必要な細目は、文部科学大臣が、これを定める。
認証評価機関は、認証評価を行つたときは、遅滞なく、その結果を大学に通知するとともに、文部科学大臣の定めるところにより、これを公表し、かつ、文部科学大臣に報告しなければならない。
認証評価機関は、大学評価基準、評価方法その他文部科学大臣の定める事項を変更しようとするとき、又は認証評価の業務の全部若しくは一部を休止若しくは廃止しようとするときは、あらかじめ、文部科学大臣に届け出なければならない。
文部科学大臣は、認証評価機関の認証をしたとき、又は前項の規定による届出があつたときは、その旨を官報で公示しなければならない。
第六十九条の五 文部科学大臣は、認証評価の公正かつ適確な実施が確保されないおそれがあると認めるときは、認証評価機関に対し、必要な報告又は資料の提出を求めることができる。
文部科学大臣は、認証評価機関が前項の求めに応じず、若しくは虚偽の報告若しくは資料の提出をしたとき、又は前条第二項及び第三項の規定に適合しなくなつたと認めるときその他認証評価の公正かつ適確な実施に著しく支障を及ぼす事由があると認めるときは、当該認証評価機関に対してこれを改善すべきことを求め、及びその求めによつてもなお改善されないときは、その認証を取り消すことができる。
文部科学大臣は、前項の規定により認証評価機関の認証を取り消したときは、その旨を官報で公示しなければならない。
第六十九条の六 文部科学大臣は、次に掲げる場合には、第六十条の政令で定める審議会等に諮問しなければならない。
一 認証評価機関の認証をするとき。
二 第六十九条の四第三項の細目を定めるとき。
三 認証評価機関の認証を取り消すとき。
第七十条の十中「第六十条、」を「第六十条(設置基準に係る部分に限る。)、」に、「及び第六十九条」を「、第六十九条、第六十九条の三(第三項を除く。)及び第六十九条の四から第六十九条の六まで」に改める。
第八十二条の十一第一項及び第八十三条第二項中「公立又は私立の大学及び高等専門学校並びに放送大学学園の設置する大学については文部科学大臣、」を削る。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、平成十五年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 第六十九条の二の次に四条を加える改正規定及び第七十条の十の改正規定(「及び第六十九条」を「、第六十九条、第六十九条の三(第三項を除く。)及び第六十九条の四から第六十九条の六まで」に改める部分に限る。) 平成十六年四月一日
二 附則第三条の規定 公布の日
(認可の申請に関する経過措置)
第二条 この法律の施行の際現に改正前の学校教育法第四条第一項の規定によりされている大学の学部若しくは大学院の研究科又は改正前の同法第六十九条の二第二項の大学の学科の設置廃止その他政令で定める事項についての認可の申請であって、改正後の同法第四条第二項各号の規定に該当するものは、改正後の同項後段の規定によりされた届出とみなす。
(専門職大学院の設置のため必要な行為)
第三条 専門職大学院の設置のため必要な手続その他の行為は、この法律の施行前においても行うことができる。
(私立学校法の一部改正)
第四条 私立学校法(昭和二十四年法律第二百七十号)の一部を次のように改正する。
目次中「第六十五条の三」を「第六十五条の四」に改める。
第五条を次のように改める。
(学校教育法の特例)
第五条 私立学校には、学校教育法第十四条の規定は、適用しない。
第八条第一項中「第五条第一項各号に掲げる」を「学校教育法第四条第一項又は第十三条に規定する」に改め、同条第二項中「第五条第一項第一号に掲げる事項のうち私立学校の廃止、設置者の変更若しくは収容定員に係る学則の変更の認可を行う場合又は同項第二号の閉鎖を命ずる」を「学校教育法第四条第一項又は第十三条に規定する事項(同法第六十条の二の規定により諮問すべきこととされている事項を除く。)を行う」に、「学校教育法」を「同法」に改める。
第三十条第一項第三号中「に広域の通信制の課程」の下に「(学校教育法第四十五条第三項(同法第五十一条の九第一項において準用する場合を含む。)に規定する広域の通信制の課程をいう。)」を加え、「広域の通信制の課程である旨」を「その旨」に改める。
第四十五条の見出しを「(寄附行為変更の認可等)」に改め、同条中「変更」の下に「(文部科学省令で定める事項に係るものを除く。)」を加え、同条に次の一項を加える。
2 学校法人は、前項の文部科学省令で定める事項に係る寄附行為の変更をしたときは、遅滞なく、その旨を所轄庁に届け出なければならない。
第六十四条第一項中「第五条第二項」を「第五条」に、「について、第五条、第六条及び第八条第一項の規定は」を「及び」に改め、「、それぞれ」を削り、「第五条第一項各号に掲げる」を「学校教育法第四条第一項又は第十三条に規定する」に、「「第五条第一項各号」とあるのは「第六十四条第一項において準用する第五条第一項各号」」を「「学校教育法第四条第一項」とあるのは「学校教育法第八十三条第二項において読み替えて準用する同法第四条第一項」」に改める。
第四章中第六十五条の三の次に次の一条を加える。
(経過措置)
第六十五条の四 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
第六十六条中「一に」を「いずれかに」に、「一万円」を「二十万円」に改め、第七号を第八号とし、第三号から第六号までを一号ずつ繰り下げ、第二号の次に次の一号を加える。
三 第四十五条第二項の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
第六十七条中「五千円」を「十万円」に改める。
附則第九項を削り、附則第十項を附則第九項とし、附則第十一項を附則第十項とし、附則第十二項から第十五項までを削り、附則第十六項を附則第十一項とし、附則第十七項を削り、附則第十八項を附則第十二項とする。
(私立学校法の一部改正に伴う経過措置)
第五条 前条の規定の施行の際現に改正前の私立学校法第四十五条の規定によりされている学校法人の寄附行為変更の認可の申請であって、改正後の同条第一項の文部科学省令で定める事項に係るものは、改正後の同条第二項の規定によりされた届出とみなす。
2 前条の規定の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(税理士法の一部改正)
第六条 税理士法(昭和二十六年法律第二百三十七号)の一部を次のように改正する。
第七条第二項中「同じ。)」の下に「又は同法第六十八条の二第一項に規定する文部科学大臣の定める学位で財務省令で定めるもの」を加え、同条第三項中「修士の学位」の下に「又は学校教育法第六十八条の二第一項に規定する文部科学大臣の定める学位で財務省令で定めるもの」を加える。
(法務・文部科学・内閣総理大臣署名)