地域伝統芸能等を活用した行事の実施による観光及び特定地域商工業の振興に関する法律

法律第八十八号(平四・六・二六)

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 活用行事の実施等(第三条―第七条)

 第三章 民間団体による活用行事等の支援に関する事業の推進(第八条―第十一条)

 第四章 指定認定機関(第十二条―第二十四条)

 第五章 雑則(第二十五条―第三十条)

 第六章 罰則(第三十一条―第三十三条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、地域伝統芸能等を活用した行事の実施が、地域の特色を生かした観光の多様化による国民及び外国人観光旅客の観光の魅力の増進に資するとともに、消費生活等の変化に対応するための地域の特性に即した特定地域商工業の活性化に資することにかんがみ、当該行事の確実かつ効果的な実施を支援するための措置を講ずることにより、観光及び特定地域商工業の振興を図り、もってゆとりのある国民生活及び地域の固有の文化等を生かした個性豊かな地域社会の実現、国民経済の健全な発展並びに国際相互理解の増進に寄与することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「地域伝統芸能等」とは、地域の民衆の生活の中で受け継がれ、当該地域の固有の歴史、文化等を色濃く反映した伝統的な芸能及び風俗慣習をいう。

2 この法律において「活用行事」とは、観光及び特定地域商工業の振興を目的として実施される行事であって、地域伝統芸能等の実演、地域伝統芸能等に用いられる衣服、器具等の展示その他の方法により、地域伝統芸能等をその主題として活用するもののうち、国内観光及び国際観光並びに特定地域商工業の振興に相当程度寄与すると認められるものをいう。

3 この法律において「特定事業等」とは、地域伝統芸能等の実演等に係る人材の確保、地域伝統芸能等に係る実演等を行うための施設の確保、地域伝統芸能等に用いられる物品の確保、活用製品、宣伝、観光旅行者及び顧客の利便の増進等に関する事業又は措置であって活用行事に係るもののうち、活用行事の確実かつ効果的な実施を図るため、活用行事に関連して実施されるものをいう。

4 この法律において「特定地域商工業」とは、活用行事が実施される市町村(特別区を含む。以下同じ。)の区域における小売業、当該小売業に対し商品を販売する卸売業であって当該活用行事が実施される都道府県の区域におけるもの並びに当該活用行事に係る地域伝統芸能等に用いられる衣服、器具その他の物品及び当該地域伝統芸能等に係る活用製品の製造業であって当該活用行事が実施される都道府県の区域におけるものをいう。

5 この法律において「活用製品」とは、地域伝統芸能等の特徴又は地域伝統芸能等に用いられる衣服、器具その他の物品の特徴を活用して機能及び効用を高めた製品をいう。

   第二章 活用行事の実施等

 (基本方針)

第三条 運輸大臣、通商産業大臣、農林水産大臣、文部大臣及び自治大臣(以下「主務大臣」という。)は、活用行事の実施による観光及び特定地域商工業の振興に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。

2 基本方針においては、次に掲げる事項につき、次条第一項の基本計画の指針となるべきものを定めるものとする。

 一 活用行事の実施による観光及び特定地域商工業の振興に関する基本的な事項

 二 活用行事の実施に関する事項

 三 特定事業等の実施に関する事項

 四 文化財である地域伝統芸能等の保存に関する事項、農山漁村の活性化に関する施策との連携に関する事項その他活用行事の実施による観光及び特定地域商工業の振興に関する重要事項

3 主務大臣は、情勢の推移により必要が生じたときは、基本方針を変更するものとする。

4 主務大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更しようとするときは、関係行政機関の長に協議しなければならない。

5 主務大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

 (基本計画)

第四条 都道府県は、当該都道府県における活用行事の実施による観光及び特定地域商工業の振興に関する基本計画(以下「基本計画」という。)を定めることができる。

2 基本計画においては、次に掲げる事項について定めるものとする。

 一 当該都道府県における活用行事の実施による観光及び特定地域商工業の振興に関する基本的な方針

 二 活用行事において活用される地域伝統芸能等に関する事項

 三 活用行事の実施主体、実施場所、実施期間及び実施内容に関する基本的な事項

 四 特定事業等に関する基本的な事項

 五 活用行事において活用される地域伝統芸能等のうち文化財であるものの保存に関する事項

 六 農山漁村の活性化に関する施策との連携に関する事項

 七 その他活用行事の実施による観光及び特定地域商工業の振興に関する事項

3 基本計画は、基本方針に即するものでなければならない。

4 都道府県は、基本計画を定め、又はこれを変更しようとするときは、主務大臣に協議しなければならない。

5 都道府県は、前項の規定により主務大臣に協議しようとするときは、あらかじめ関係市町村に協議しなければならない。

6 都道府県は、基本計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

 (通訳案内業法の特例)

第五条 地域伝統芸能等通訳案内業(基本計画に基づき実施される活用行事(以下「計画活用行事」という。)に関する通訳案内業法(昭和二十四年法律第二百十号)第二条に規定する通訳案内業であって、当該計画活用行事の実施期間内に限り、当該計画活用行事が実施される市町村の区域において営まれるものをいう。以下同じ。)を営もうとする者は、計画活用行事ごとに、運輸大臣の認定を受けることができる。

2 運輸大臣は、前項の認定の申請者が次に掲げる要件に適合すると認めるときは、その認定をするものとする。

 一 伝統的な芸能及び風俗慣習一般に関し十分な知識を有していること。

 二 認定の申請に係る地域伝統芸能等に関し十分な知識を有していること。

 三 地域伝統芸能等に関する通訳案内をするために必要な外国語の能力を有していること。

3 運輸大臣は、前項の規定にかかわらず、次の各号の一に該当する者に対しては、第一項の認定をしないものとする。

 一 一年以上の懲役又は禁錮の刊に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者

 二 精神病又は伝染性の疾病にかかっている者

 三 通訳案内業法第十四条第一項第三号又は第四号の規定により同法第三条の免許を取り消され、その取消しの日から一年を経過しない者

 四 第五項の規定により読み替えて適用する通訳案内業法第十四条第一項第三号又は第四号の規定により第一項の認定を取り消され、その取消しの日から一年を経過しない者

4 第一項の認定を受けた者は、通訳案内業法第三条の規定にかかわらず、当該認定に係る地域伝統芸能等通訳案内業を営むことができる。

5 前項の規定により地域伝統芸能等通訳案内業を営む者についての次の表の上欄に掲げる通訳案内業法の規定の適用については、これらの規定中同表の中欄に掲げる字句は、同表の下欄に掲げる字句とする。

第九条(見出しを含む。)、第十二条見出し及び第一項、第十三条第三号

免許証

認定証

第九条、第十二条から第十四条まで

通訳案内業者

地域伝統芸能等通訳案内業を営む者

第九条、第十四条

都道府県知事

運輸大臣

第十四条見出し

免許

認定

第十四条第一項

その免許

地域伝統芸能等を活用した行事の実施による観光及び特定地域商工業の振興に関する法律第五条第一項の認定

第十五条、第十九条第二項

通訳案内業者

通訳案内業者(地域伝統芸能等通訳案内業を営む者を含む。)

第十七条第二号

通訳案内業

地域伝統芸能等通訳案内業

6 通訳案内業法第六条第一項及び第二項、第七条並びに第十一条の規定は、第一項の認定について準用する。この場合において、次の表の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。

第六条見出し

不正受験者

不正な認定申請者

第六条第一項

第三条の試験に合格しよう

地域伝統芸能等を活用した行事の実施による観光及び特定地域商工業の振興に関する法律(以下「地域伝統芸能等活用法」という。)第五条第一項の認定を受けよう

その試験

その認定の手続

その合格

その認定

第六条第二項

試験を受けさせない

地域伝統芸能等活用法第五条第一項の認定をしない

第七条(見出しを含む。)、第十一条

免許証

認定証

第七条

都道府県知事

運輸大臣

第三条の免許を与えた

地域伝統芸能等活用法第五条第一項の認定をした

第十一条見出し

免許の申請

認定

第十一条

第三条から前条まで

地域伝統芸能等活用法第五条第五項の規定により読み替えて適用する通訳案内業法第九条並びに地域伝統芸能等活用法第五条第六項において準用する通訳案内業法第六条第一項及び第二項並びに第七条

免許の申請、第三条の試験

地域伝統芸能等活用法第五条第一項の認定

 (中小企業信用保険法の特例)

第六条 中小企業信用保険法(昭和二十五年法律第二百六十四号)第三条第一項に規定する普通保険(以下「普通保険」という。)、同法第三条の二第一項に規定する無担保保険(以下「無担保保険」という。)又は同法第三条の三第一項に規定する特別小口保険(以下「特別小口保険」という。)の保険関係であって、地域伝統芸能等関連保証(同法第三条第一項、第三条の二第一項又は第三条の三第一項に規定する債務の保証であって、基本計画に基づき実施される特定事業等(以下「計画特定事業等」という。)のうち特に事業資金の融通の円滑化が必要なものとして通商産業省令で定める事業を行う者としてその住所地を管轄する市町村の長の認定を受けた中小企業者が当該事業を行うのに必要な資金に係るものをいう。以下同じ。)を受けた中小企業者に係るものについての次の表の上欄に掲げる同法の規定の適用については、これらの規定中同表の中欄に掲げる字句は、同表の下欄に掲げる字句とする。

第三条第一項

保険価額の合計額が

地域伝統芸能等を活用した行事の実施による観光及び特定地域商工業の振興に関する法律第六条第一項に規定する地域伝統芸能等関連保証(以下「地域伝統芸能等関連保証」という。)に係る保険関係の保険価額の合計額とその他の保険関係の保険価額の合計額とがそれぞれ

第三条の二第一項、

第三条の三第一項

保険価額の合計額が

地域伝統芸能等関連保証に係る保険関係の保険価額の合計額とその他の保険関係の保険価額の合計額とがそれぞれ

第三条の二第三項、

第三条の三第二項

当該保証をした

地域伝統芸能等関連保証及びその他の保証ごとに、それぞれ当該保証をした

当該債務者

地域伝統芸能等関連保証及びその他の保証ごとに、当該債務者

2 普通保険の保険関係であって、地域伝統芸能等関連保証に係るものについての中小企業信用保険法第三条第二項及び第五条の規定の適用については、同法第三条第二項中「百分の七十」とあり、及び同法第五条中「百分の七十(無担保保険、特別小口保険、公害防止保険、エネルギー対策保険、海外投資関係保険及び新事業開拓保険にあっては、百分の八十)」とあるのは、「百分の八十」とする。

3 普通保険、無担保保険又は特別小口保険の保険関係であって、地域伝統芸能等関連保証に係るものについての保険料の額は、中小企業信用保険法第四条の規定にかかわらず、保険金額に年百分の二以内において政令で定める率を乗じて得た額とする。

 (国等の援助等)

第七条 国及び地方公共団体は、計画活用行事及び計画特定事業等(以下「計画活用行事等」という。)の実施主体に対し、計画活用行事等の確実かつ効果的な実施に関し必要な助言、指導その他の援助を行うよう努めなければならない。

2 地方公共団体が基本計画を達成するために行う事業に要する経費に充てるために起こす地方債については、法令の範囲内において、資金事情及び当該地方公共団体の財政状況が許す限り、特別の配慮をするものとする。

3 前二項に定めるもののほか、主務大臣、関係地方公共団体、関係団体及び関係事業者は、基本計画の円滑な実施が促進されるよう、相互に連携を図りながら協力しなければならない。

   第三章 民間団体による活用行事等の支援に関する事業の推進

 (支援事業実施機関の指定)

第八条 主務大臣は、計画活用行事等を支援することを目的として設立された民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の法人であって、次条に規定する事業を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、活用行事等支援事業実施機関(以下「支援事業実施機関」という。)として指定することができる。

 (事業)

第九条 支援事業実施機関は、次に掲げる事業を行うものとする。

 一 計画活用行事等の実施に関する情報を収集すること。

 二 計画活用行事等の確実かつ効果的な実施に資するため、その実施主体に対し前号の情報を提供すること。

 三 計画活用行事等の実施に関し必要な助言、指導、資金の支給その他の援助を行うこと。

 四 国際観光振興会が行う外国人観光旅客の来訪の促進及びその接遇の向上に関する業務の効率的な実施に資するため、国際観光振興会に対し第一号の情報を提供すること。

 五 活用行事の実施による観光及び特定地域商工業の振興に関する催しを実施し、並びに調査、研究及び広報を行うこと。

 (改善命令)

第十条 主務大臣は、支援事業実施機関の前条に規定する事業の運営に関し改善が必要であると認めるときは、支援事業実施機関に対し、その改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

 (指定の取消し)

第十一条 主務大臣は、支援事業実施機関が前条の規定による命令に違反したときは、その指定を取り消すことができる。

   第四章 指定認定機関

 (指定認定機関の指定等)

第十二条 運輸大臣は、その指定する者(以下「指定認定機関」という。)に、第五条第一項の認定の実施に関する事務(同条第五項の規定により読み替えて適用する通訳案内業法第十四条並びに第五条第六項において準用する同法第六条第一項及び第二項の規定による事務を除く。以下「認定事務」という。)の全部又は一部を行わせることができる。

2 指定認定機関の指定は、認定事務を行おうとする者の申請により行う。

3 運輸大臣は、指定認定機関の指定をしたときは、指定認定機関が行う認定事務を行わないものとする。

4 指定認定機関が認定事務を行う場合における第五条第五項の規定により読み替えて適用する通訳案内業法第九条及び第五条第六項において準用する同法第七条の規定の適用については、これらの規定中「運輸大臣」とあるのは、「指定認定機関」とする。

5 指定認定機関は、認定事務の実施に関し、第五条第六項において準用する通訳案内業法第六条第一項に規定する運輸大臣の職権を行うことができる。

 (指定の基準)

第十三条 運輸大臣は、他に指定認定機関の指定を受けた者がなく、かつ、前条第二項の申請が次の基準に適合していると認めるときでなければ、指定認定機関の指定をしてはならない。

 一 職員、認定事務の実施の方法その他の事項についての認定事務の実施に関する計画が認定事務の適正かつ確実な実施のために適切なものであること。

 二 前号の認定事務の実施に関する計画を適正かつ確実に実施するに足りる経理的基礎及び技術的能力があること。

 三 認定事務以外の業務を行っている場合には、その業務を行うことによって認定事務が不公正になるおそれがないこと。

2 運輸大臣は、前条第二項の申請をした者が次の各号の一に該当する場合には、その指定をしてはならない。

 一 民法第三十四条の規定により設立された法人以外の者であること。

 二 この法律の規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者であること。

 三 第二十三条第一項又は第二項の規定により指定を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者であること。

 四 その役員のうちに、次のいずれかに該当する者があること。

  イ 第二号に該当する者

  ロ 第十六条第三項の規定による命令により解任され、その解任の日から二年を経過しない者

 (指定の公示等)

第十四条 運輸大臣は、指定認定機関の指定をしたときは、指定認定機関の名称及び住所、指定認定機関が行う認定事務の範囲、認定事務を行う事務所の所在地並びに認定事務の開始の日を公示しなければならない。

2 指定認定機関は、その名称若しくは住所又は認定事務を行う事務所の所在地を変更しようとするときは、変更しようとする日の二週間前までに、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。

3 運輸大臣は、前項の規定による届出があったときは、その旨を公示しなければならない。

 (認定員)

第十五条 指定認定機関は、認定事務を行う場合において、第五条第二項各号の知識及び能力を有するかどうかの判定に関する事務については、運輸省令で定める要件を備える者(以下「認定員」という。)に行わせなければならない。

 (役員等の選任及び解任)

第十六条 認定事務に従事する指定認定機関の役員の選任及び解任は、運輸大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

2 指定認定機関は、認定員を選任し、又は解任したときは、遅滞なく、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。

3 運輸大臣は、指定認定機関の役員又は認定員が、この法律、この法律に基づく命令若しくは処分若しくは第十八条第一項の認定事務規程に違反したとき、又は認定事務に関し著しく不適当な行為をしたときは、指定認定機関に対し、その役員又は認定員を解任すべきことを命ずることができる。

 (秘密保持義務等)

第十七条 指定認定機関の役員若しくは職員(認定員を含む。)又はこれらの職にあった者は、認定事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

2 認定事務に従事する指定認定機関の役員及び職員(認定員を含む。)は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。

 (認定事務規程)

第十八条 指定認定機関は、運輸省令で定める認定事務の実施に関する事項について認定事務規程を定め、運輸大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2 運輸大臣は、前項の認可をした認定事務規程が認定事務の公正かつ適確な実施上不適当となったと認めるときは、指定認定機関に対し、これを変更すべきことを命ずることができる。

 (事業計画等)

第十九条 指定認定機関は、毎事業年度、認定事務に係る事業計画及び収支予算を作成し、当該事業年度の開始前に(指定を受けた日の属する事業年度にあっては、その指定を受けた後遅滞なく)、運輸大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2 指定認定機関は、毎事業年度、認定事務に係る事業報告書及び収支決算書を作成し、当該事業年度の終了後三月以内に運輸大臣に提出しなければならない。

 (帳簿の備付け等)

第二十条 指定認定機関は、運輸省令で定めるところにより、帳簿を備え付け、これに認定事務に関する事項で運輸省令で定めるものを記載し、及びこれを保存しなければならない。

 (監督命令)

第二十一条 運輸大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、指定認定機関に対し、認定事務に関し監督上必要な命令をすることができる。

 (認定事務の休廃止)

第二十二条 指定認定機関は、運輸大臣の許可を受けなければ、認定事務の全部又は一部を休止し、又は廃止してはならない。

2 運輸大臣は、前項の許可をしたときは、その旨を公示しなければならない。

 (指定の取消し等)

第二十三条 運輸大臣は、指定認定機関が第十三条第二項各号(第三号を除く。)の一に該当するに至ったときは、その指定を取り消さなければならない。

2 運輸大臣は、指定認定機関が次の各号の一に該当するときは、その指定を取り消し、又は期間を定めて認定事務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。

 一 この章の規定に違反したとき。

 二 第十三条第一項各号の一に適合しなくなったと認められるとき。

 三 第十六条第三項、第十八条第二項又は第二十一条の規定による命令に違反したとき。

 四 第十八条第一項の規定により認可を受けた認定事務規程によらないで認定事務を行ったとき。

 五 不正な手段により指定を受けたとき。

3 運輸大臣は、第一項若しくは前項の規定により指定を取り消し、又は同項の規定により認定事務の全部若しくは一部の停止を命じたときは、その旨を公示しなければならない。

 (運輸大臣による認定事務の実施)

第二十四条 運輸大臣は、指定認定機関が第二十二条第一項の規定により認定事務の全部若しくは一部を休止したとき、前条第二項の規定により指定認定機関に対し認定事務の全部若しくは一部の停止を命じたとき、又は指定認定機関が天災その他の事由により認定事務の全部若しくは一部を実施することが困難となった場合において必要があると認めるときは、第十二条第三項の規定にかかわらず、認定事務の全部又は一部を自ら行うものとする。

2 運輸大臣は、前項の規定により認定事務を行うこととし、又は同項の規定により行っている認定事務を行わないこととするときは、その旨を公示しなければならない。

3 運輸大臣が、第一項の規定により認定事務を行うこととし、第二十二条第一項の規定により認定事務の廃止を許可し、又は前条第一項若しくは第二項の規定により指定を取り消した場合における認定事務の引継ぎその他の必要な事項は、運輸省令で定める。

   第五章 雑則

 (報告の徴収及び立入検査)

第二十五条 主務大臣は、この法律の施行に必要な限度において、支援事業実施機関に対し、その事業に関し報告をさせ、又はその職員に、支援事業実施機関の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。

2 運輸大臣は、この法律の施行に必要な限度において、指定認定機関に対し、認定事務に関し報告をさせ、又はその職員に、指定認定機関の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。

3 前二項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。

4 第一項及び第二項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

 (手数料)

第二十六条 第五条第一項の認定又は第五条第五項の規定により読み替えて適用する通訳案内業法第九条の規定による認定証の再交付若しくは書換えを受けようとする者は、実費を勘案して運輸省令で定める額の手数料を国(指定認定機関が行う認定に係るものにあっては、指定認定機関)に納めなければならない。

2 前項の規定により指定認定機関に納められた手数料は、指定認定機関の収入とする。

 (指定認定機関の処分についての審査請求)

第二十七条 指定認定機関が行う認定事務に係る処分又はその不作為については、運輸大臣に対し、行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)による審査請求をすることができる。

 (経過措置)

第二十八条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃するときは、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

 (聴聞)

第二十九条 主務大臣は、第十一条の規定による処分をしようとするときは、当該処分に係る者に対し、期日及び場所を指定して、聴聞をしなければならない。

2 運輸大臣は、第二十三条第一項又は第二項の規定による処分をしようとするときは、当該処分に係る者に対し、期日及び場所を指定して、聴聞をしなければならない。

3 前二項の聴聞に際しては、これらの者に対し、意見を述べ、及び証拠を提出する機会が与えられなければならない。

 (命令への委任)

第三十条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な手続その他の事項は、命令で定める。

   第六章 罰則

第三十一条 次の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

 一 第十七条第一項の規定に違反してその職務に関し知り得た秘密を漏らした者

 二 指定認定機関が第二十三条第二項の規定による認定事務の停止の命令に違反した場合におけるその違反行為をした指定認定機関の役員又は職員

第三十二条 次の各号の一に該当するときは、その違反行為をした指定認定機関の役員又は職員は、二十万円以下の罰金に処する。

 一 第二十条の規定に違反して帳簿を備え付けず、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかったとき。

 二 第二十二条第一項の規定に違反して認定事務の全部を廃止したとき。

 三 第二十五条第二項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をしたとき。

第三十三条 第二十五条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をしたときは、その違反行為をした支援事業実施機関の役員又は職員は、二十万円以下の罰金に処する。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (文部省設置法の一部改正)

第二条 文部省設置法(昭和二十四年法律第百四十六号)の一部を次のように改正する。

  第五条中第百二号を第百三号とし、第九十九号から第百一号までを一号ずつ繰り下げ、第九十八号の次に次の一号を加える。

  九十九 地域伝統芸能等を活用した行事の実施による観光及び特定地域商工業の振興に関する法律(平成四年法律第八十八号)の施行に関する事務で所掌に属するものを処理すること。

  第十三条中「第百一号まで」を「第百三号まで」に改める。

 (農林水産省設置法の一部改正)

第三条 農林水産省設置法(昭和二十四年法律第百五十三号)の一部を次のように改正する。

  第四条第八十七号の二の次に次の一号を加える。

  八十七の三 地域伝統芸能等を活用した行事の実施による観光及び特定地域商工業の振興に関する法律(平成四年法律第八十八号)の施行に関する事務で所掌に属するものを処理すること。

 (運輸省設置法の一部改正)

第四条 運輸省設置法(昭和二十四年法律第百五十七号)の一部を次のように改正する。

  第三条の二第一項第二十一号の次に次の一号を加える。

  二十一の二 地域伝統芸能等を活用した行事の実施による観光及び特定地域商工業の振興に関する法律(平成四年法律第八十八号)の施行に関すること。

  第四条第一項第十四号の六の次に次の一号を加える。

  十四の六の二 地域伝統芸能等を活用した行事の実施による観光及び特定地域商工業の振興に関する法律の規定に基づき、基本方針を定め、又は必要な処分をすること。

 (自治省設置法の一部改正)

第五条 自治省設置法(昭和二十七年法律第二百六十一号)の一部を次のように改正する。

  第四条第四号の前に次の一号を加える。

  三の七 地域伝統芸能等を活用した行事の実施による観光及び特定地域商工業の振興に関する法律(平成四年法律第八十八号)の施行に関する事務を行うこと。

  第五条第四号の前に次の一号を加える。

  三の七 地域伝統芸能等を活用した行事の実施による観光及び特定地域商工業の振興に関する法律に基づき、基本方針を定めること。

 (通商産業省設置法の一部改正)

第六条 通商産業省設置法(昭和二十七年法律第二百七十五号)の一部を次のように改正する。

  第四条第三十八号の二の次に次の一号を加える。

  三十八の三 地域伝統芸能等を活用した行事の実施による観光及び特定地域商工業の振興に関する法律(平成四年法律第八十八号)の施行に関すること。

(文部・農林水産・通商産業・運輸・自治・内閣総理大臣署名)

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