保険業法の一部を改正する法律
法律第百二十九号(平一五・七・二五)保険業法(平成七年法律第百五号)の一部を次のように改正する。
目次中「第一節 業務及び財産の管理等に関する内閣総理大臣の処分等」を
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第一節 契約条件の変更(第二百四十条の二―第二百四十条の十三) |
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第二節 業務及び財産の管理等に関する内閣総理大臣の処分等 |
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に、
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第三款 契約条件の変更(第二百五十条―第二百五十五条の五) |
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第一節の二 合併等の手続の実施の命令等(第二百五十六条―第二百五十八条) |
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第二節 保険契約者保護機構の行う資金援助等 |
」 |
を
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第三款 合併等における契約条件の変更(第二百五十条―第二百五十五条の五) |
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第三節 合併等の手続の実施の命令等(第二百五十六条―第二百五十八条) |
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第四節 保険契約者保護機構の行う資金援助等 |
」 |
に、「第三節 雑則(第二百七十一条―第二百七十一条の二の四)」を「第五節 雑則(第二百七十一条―第二百七十一条の二の四)」に改める。
第二十二条第二項第四号中「基金」の下に「(第五十六条の基金償却積立金を含む。)」を加える。
第五十二条の三第三項中「、第三百八十条第一項」を削り、「第六十条第四項」を「第六十条第五項」に改め、「商法第二百八十条ノ十五第一項」と」の下に「、「第三百八十条第一項」とあるのは「保険業法第五十六条の二第四項において準用する商法第三百八十条第一項」と」を加える。
第五十五条第一項第二号中「第五十七条第一項」を「第五十七条第二項」に改める。
第五十六条の見出しを「(基金償却積立金の積立て)」に改め、同条に次の一項を加える。
2 基金に係る債務の免除を受けたときは、その免除を受けた金額に相当する金額を、基金の総額から控除し、基金償却積立金として積み立てなければならない。
第五十六条の次に次の一条を加える。
(基金償却積立金の取崩し)
第五十六条の二 相互会社は、社員総会(総代会を設けているときは、総代会)の決議により、基金償却積立金を取り崩すことができる。
2 前項の場合には、第六十二条第二項に定める決議によらなければならない。
3 第一項の規定による基金償却積立金の取崩しによる変更の登記の申請書には、第六十五条において準用する商業登記法第十八条、第十九条(申請書の添付書面)及び第七十九条(株式会社の添付書面の通則)に定める書類のほか、次に掲げる書類を添付しなければならない。
一 次項において準用する商法第三百七十六条第一項(資本の減少に関する債権者の異議)の規定による公告及び催告をしたこと並びに異議を述べた債権者があるときは、その者に対し弁済し、若しくは担保を供し、若しくは信託したこと又は基金償却積立金の取崩しをしてもその者を害するおそれがないことを証する書面
二 次項において準用する第十七条第一項の規定による公告をしたことを証する書面
三 次項において準用する第十七条第二項の異議を述べた保険契約者の数又はその者の次項において準用する第十七条第四項の内閣府令で定める金額が、同項に定める割合を超えなかったことを証する書面
4 第十六条の二並びに第十七条第一項から第五項まで、第七項及び第九項から第十一項まで並びに商法第三百七十六条及び第三百八十条(資本減少無効の訴え)の規定は、第一項の基金償却積立金の取崩しについて準用する。この場合において、第十六条の二第一項中「委員会等設置会社」とあるのは「第五十二条の三第一項に規定する委員会等設置相互会社」と、「資本の減少」とあるのは「基金償却積立金の取崩し」と、「株主総会」とあるのは「社員総会(総代会を設けているときは、総代会)」と、同条第二項中「株主」とあるのは「社員」と、第十七条第一項及び第四項中「資本の減少」とあるのは「基金償却積立金の取崩し」と、同条第五項中「商法」とあるのは「第五十六条の二第四項において準用する商法」と、同条第七項中「前各項」とあるのは「第一項から第五項まで及び第五十六条の二第五項」と、同項及び同条第九項中「資本の減少」とあるのは「基金償却積立金の取崩し」と、同条第十項において準用する第十六条の二第二項中「株主」とあるのは「社員」と、同法第三百七十六条第一項中「前条第一項」とあるのは「保険業法第五十六条の二第一項」と、「資本ノ減少」とあるのは「基金償却積立金ノ取崩」と、「減少スベキ資本ノ額、同項各号ニ掲グル場合ニ於ケル其ノ各号ニ定ムル金額」とあるのは「取リ崩スベキ基金償却積立金ノ額」と、同法第三百八十条第一項中「資本減少」とあるのは「基金償却積立金ノ取崩」と、同条第二項中「株主」とあるのは「社員」と、「資本ノ減少」とあるのは「基金償却積立金ノ取崩」と、同条第三項において準用する同法第二百四十九条中「株主」とあるのは「社員」と読み替えるものとする。
5 第一項の規定による基金償却積立金の取崩しは、内閣総理大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
第五十七条を次のように改める。
(損失のてん補に充てるための損失てん補準備金等の取崩し)
第五十七条 損失てん補準備金は、損失のてん補に充てる場合を除くほか、取り崩すことができない。
2 損失てん補準備金を損失のてん補に充ててもなお不足するときは、前条の規定によらないで、基金償却積立金を損失のてん補に充てるため取り崩すことができる。
第六十条第一項中「その定款を変更して基金の総額を増加し」を「社員総会(総代会を設けているときは、総代会)の決議により」に改め、同条第四項中「第六十条第二項」」を「第六十条第三項」」に、「第六十条第二項各号」を「第六十条第三項各号」に改め、同項を同条第五項とし、同条第三項を同条第四項とし、同条第二項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 前項の場合には、第六十二条第二項に定める決議によらなければならない。
第八十八条の見出しを「(基金の償却等)」に改め、同条第二項中「前項本文の場合」を「相互会社から株式会社への組織変更を行う場合」に改める。
第百二十六条に次の一号を加える。
八 第二百四十条の五第五項の方針に関する事項
第百五十一条中「第六十条第四項」を「第六十条第五項」に改め、「準用スル第二百八十条ノ十五」の下に「、同法第五十六条の二第四項ニ於テ準用スル第三百八十条」を加える。
第百八十四条中「第六十条第四項」を「第六十条第五項」に改める。
第二編第十章中第三節を第五節とし、第二節を第四節とし、第一節の二を第三節とする。
第二百四十一条第一項中「(外国保険会社等を含む。第二百四十三条、第二百五十四条、第二百五十五条、第二百六十条第一項第二号、第六項及び第八項第二号並びに第二百七十条の六を除き、以下この章において同じ。)」、「(外国保険会社等にあっては、日本における保険業。以下この条及び第二百六十二条において同じ。)」及び「(外国保険会社等の場合にあっては、日本における保険契約者等。以下この章において同じ。)」を削る。
第二百四十二条第一項中「第六十条第四項」を「第六十条第五項」に改め、「(資本減少無効の訴え)(」の下に「第五十六条の二第四項及び」を加え、同条第六項中「(平成十四年法律第百五十四号)」を削る。
第二百四十九条の二第三項中「)若しくは」の下に「第五十六条の二第二項、第六十条第二項、」を加える。
第二百四十九条の三第六項中「、第二百五十条第三項及び第五項並びに第二百五十一条第二項」を「並びに第二百五十条第三項及び第五項」に、「同条第五項中「前項の公告」とあり、及び第二百五十一条第二項中「第二百五十条第四項」を「及び同条第五項中「前項」に改める。
第二編第十章第一節第三款の款名を次のように改める。
第三款 合併等における契約条件の変更
第二百五十条第三項を次のように改める。
3 前二項に規定する「特定契約」とは、次に掲げるものをいう。
一 次項の公告の時(当該公告の時において既に、第二百四十一条第一項の規定により業務の全部若しくは一部の停止を命ぜられ、保険契約に係る支払を停止している場合又は第二百四十五条(第二百五十八条第二項において準用する場合を含む。)、この条第五項、第二百五十四条第四項若しくは第二百五十五条の二第三項の規定によりその業務を停止し、保険契約に係る支払を停止している場合にあっては、その保険契約に係る支払を停止した時。次号において「公告等の時」という。)において既に保険事故が発生している保険契約(当該保険事故に係る保険金の支払により消滅することとなるものに限る。)
二 公告等の時において既に保険期間が終了している保険契約(公告等の時において保険期間の中途で解約その他の保険契約の終了の事由が発生しているもの(第二百四十条の三の規定による命令により保険契約に係る支払が停止されているものを除く。)を含み、前号に掲げるものを除く。)
第二百五十一条第二項を次のように改める。
2 前条第一項の保険契約の移転をする場合における第百三十五条第二項及び第百三十七条第四項(第二百十条第一項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定の適用については、第百三十五条第二項中「第百三十七条第一項の公告の時において既に保険事故が発生している保険契約(当該保険事故に係る保険金の支払により消滅することとなるものに限る。)その他の政令で定める保険契約」とあるのは「第二百五十条第三項に規定する特定契約」と、第百三十七条第四項中「五分の一」とあるのは「十分の一」と、「当該保険契約について、第一項の公告の時において」とあるのは「当該保険契約が第二百五十条第三項に規定する特定契約である場合において、当該保険契約につき」とする。
第二百五十四条第二項中「同条第三項」を「同条第三項第一号」に改める。
第二百五十五条第二項を次のように改める。
2 前条第一項の合併をする場合における第百六十六条第二項において準用する第十七条第二項及び第四項の規定の適用については、同条第二項中「当該公告の時において既に保険事故の発生その他の事由により保険金請求権その他の政令で定める権利(以下この条において「保険金請求権等」という。)が生じている保険契約(当該保険金請求権等に係る支払により消滅することとなるものに限る。)」とあるのは「第二百五十四条第二項において準用する第二百五十条第三項に規定する特定契約」と、同条第四項中「五分の一」とあるのは「十分の一」と、「保険金請求権等」とあるのは「第二百五十四条第二項において準用する第二百五十条第三項に規定する特定契約に係る保険金請求権その他の政令で定める権利(以下この条において「保険金請求権等」という。)」とする。
第二百五十五条の二第二項中「同条第三項」を「同条第三項第一号」に改める。
第二編第十章中第一節を第二節とし、同章に第一節として次の一節を加える。
第一節 契約条件の変更
(契約条件の変更の申出)
第二百四十条の二 保険会社(外国保険会社等を含む。第二百四十条の五、第二百四十条の六、第二百四十三条、第二百五十四条、第二百五十五条、第二百六十条第一項第二号、第六項及び第八項第二号並びに第二百七十条の六を除き、以下この章において同じ。)は、その業務又は財産の状況に照らしてその保険業(外国保険会社等にあっては、日本における保険業。以下この条、第二百四十条の十一、第二百四十一条及び第二百六十二条において同じ。)の継続が困難となる蓋然性がある場合には、内閣総理大臣に対し、当該保険会社に係る保険契約(変更対象外契約を除く。)について保険金額の削減その他の契約条項の変更(以下この節において「契約条件の変更」という。)を行う旨の申出をすることができる。
2 保険会社は、前項の申出をする場合には、契約条件の変更を行わなければ保険業の継続が困難となる蓋然性があり、保険契約者等(外国保険会社等の場合にあっては、日本における保険契約者等。以下この章において同じ。)の保護のため契約条件の変更がやむを得ない旨及びその理由を、文章をもって、示さなければならない。
3 内閣総理大臣は、第一項の申出に理由があると認めるときは、その申出を承認するものとする。
4 第一項に規定する「変更対象外契約」とは、契約条件の変更の基準となる日において既に保険事故が発生している保険契約(当該保険事故に係る保険金の支払により消滅することとなるものに限る。)その他の政令で定める保険契約をいう。
(業務の停止等)
第二百四十条の三 内閣総理大臣は、前条第三項の承認をした場合において、保険契約者等の保護のため必要があると認めるときは、当該保険会社に対し、期限を付して当該保険会社の保険契約の解約に係る業務の停止その他必要な措置を命ずることができる。
(契約条件の変更の限度)
第二百四十条の四 契約条件の変更は、契約条件の変更の基準となる日までに積み立てるべき責任準備金に対応する保険契約に係る権利に影響を及ぼすものであってはならない。
2 契約条件の変更によって変更される保険金、返戻金その他の給付金の計算の基礎となる予定利率については、保険契約者等の保護の見地から保険会社の資産の運用の状況その他の事情を勘案して政令で定める率を下回ってはならない。
(契約条件の変更の決議)
第二百四十条の五 保険会社は、契約条件の変更を行おうとするときは、第二百四十条の二第三項の承認を得た後、契約条件の変更につき、株主総会等の決議を経なければならない。
2 前項の場合には、商法第三百四十三条(定款変更の決議の方法)に定める決議又は第六十二条第二項に定める決議によらなければならない。
3 第一項の決議を行う場合には、保険会社は、商法第二百三十二条第一項(招集の通知)(第四十一条及び第四十九条において準用する場合を含む。)の規定による通知において、契約条件の変更がやむを得ない理由、契約条件の変更の内容、契約条件の変更後の業務及び財産の状況の予測、基金及び保険契約者等以外の債権者に対する債務の取扱いに関する事項、経営責任に関する事項その他の内閣府令で定める事項を示さなければならない。
4 第一項の決議を行う場合において、契約条件の変更に係る保険契約に関する契約者配当、剰余金の分配その他の金銭の支払に関する方針があるときは、前項の通知において、その内容を示さなければならない。
5 前項の方針については、その方針を定款に記載し、又は記録しなければならない。
(契約条件の変更における株主総会等の特別決議等に関する特例)
第二百四十条の六 株式会社である保険会社における前条第一項の決議又はこれとともに行う商法第二百十四条第一項(株式併合)、第二百四十五条第一項(営業の譲渡及び譲受け)、第二百八十条ノ二第二項(新株の有利発行)(同法第二百十一条第三項(会社が有する自己の株式の処分についての準用規定)において準用する場合を含む。)、第三百四十六条(ある種類の株主の総会)若しくは第三百七十五条第一項(資本の減少)若しくは第六十九条第二項、第百三十六条第二項若しくは第百四十四条第三項の規定による決議若しくは同法第三百四十三条(定款変更の決議の方法)、第三百四十五条第二項(ある種類の株主の総会)、第三百五十三条第五項(株式交換契約書の承認)(同法第三百六十五条第三項(株式移転事項の承認)において準用する場合を含む。)、第四百五条(解散の決議)若しくは第四百八条第四項(合併契約書の承認)に規定する決議は、これらの規定にかかわらず、出席した株主の議決権の三分の二以上に当たる多数をもって、仮にすることができる。
2 株式会社である保険会社における前条第一項の決議とともに行う商法第三百四十八条第一項(株式の譲渡を制限する定款変更の決議方法)、第三百五十三条第六項(株式交換契約書の承認)、第三百六十五条第二項(株式移転事項の承認)又は第四百八条第五項(合併契約書の承認)の規定による決議は、これらの規定にかかわらず、出席した株主の過半数であって出席した株主の議決権の三分の二以上に当たる多数をもって、仮にすることができる。
3 相互会社である保険会社における前条第一項の決議又はこれとともに行う第四十一条若しくは第四十九条において準用する商法第二百四十五条第一項(第二号を除く。)(営業の譲渡及び譲受け)若しくは第五十六条の二第二項、第六十条第二項、第八十六条第三項、第百三十六条第二項若しくは第百四十四条第三項の規定による決議若しくは第六十二条第二項、第百五十六条若しくは第百七十二条第一項に規定する決議は、これらの規定にかかわらず、出席した社員(総代会を設けているときは、総代)の議決権の四分の三以上に当たる多数をもって、仮にすることができる。
4 第一項の規定により仮にした決議(以下この条において「仮決議」という。)があった場合においては、各株主に対し、当該仮決議の趣旨を通知し、当該仮決議の日から一月以内に再度の株主総会を招集しなければならない。
5 前項の株主総会において第一項に規定する多数をもって仮決議を承認した場合には、当該承認のあった時に、当該仮決議をした事項に係る決議があったものとみなす。
6 前二項の規定は、第二項の規定により仮にした決議があった場合について準用する。この場合において、前項中「第一項」とあるのは、「第二項」と読み替えるものとする。
7 第四項及び第五項の規定は、第三項の規定により仮にした決議があった場合について準用する。この場合において、第四項中「各株主」とあるのは「各社員(総代会を設けているときは、各総代)」と、同項及び第五項中「株主総会」とあるのは「社員総会(総代会を設けているときは、総代会)」と、同項中「第一項」とあるのは「第三項」と読み替えるものとする。
(契約条件の変更に係る書類の備置き等)
第二百四十条の七 保険会社の取締役(委員会等設置会社等にあっては、執行役)は、第二百四十条の五第一項の決議を行うべき日の二週間前(外国保険会社等にあっては、契約条件の変更についての決定を行った日)から第二百四十条の十三第一項の公告の日まで、契約条件の変更がやむを得ない理由を示す書類、契約条件の変更の内容を示す書類、契約条件の変更後の業務及び財産の状況の予測を示す書類、基金及び保険契約者等以外の債権者に対する債務の取扱いに関する事項を示す書類、経営責任に関する事項を示す書類その他の内閣府令で定める書類(第二百四十条の五第四項に規定する方針がある場合にあっては、その方針の内容を示す書類を含む。)を各営業所又は各事務所(外国保険会社等にあっては、第百八十五条第一項に規定する支店等)に備え置かなければならない。
2 保険会社の株主又は保険契約者(外国保険会社等にあっては、日本における保険契約者)は、その営業時間又は事業時間内に限り、前項の書類の閲覧を求め、又は保険会社の定める費用を支払ってその謄本若しくは抄本の交付を求めることができる。
(保険調査人)
第二百四十条の八 内閣総理大臣は、第二百四十条の二第三項の承認をした場合において、必要があると認めるときは、保険調査人を選任し、保険調査人をして、契約条件の変更の内容その他の事項を調査させることができる。
2 前項の場合においては、内閣総理大臣は、保険調査人が調査すべき事項及び内閣総理大臣に対して調査の結果の報告をすべき期限を定めなければならない。
3 内閣総理大臣は、保険調査人が調査を適切に行っていないと認めるときは、保険調査人を解任することができる。
4 会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第八十条及び第八十一条第一項(管財人の注意義務並びに費用の前払及び報酬)の規定は、保険調査人について準用する。この場合において、同項中「裁判所」とあるのは、「内閣総理大臣」と読み替えるものとする。
5 前項において準用する会社更生法第八十一条第一項に規定する費用及び報酬は、第二百四十条の二第一項の保険会社(次条及び第三百十八条の二において「被調査会社」という。)の負担とする。
(保険調査人の調査等)
第二百四十条の九 保険調査人は、被調査会社の取締役、執行役、監査役及び支配人その他の使用人並びにこれらの者であった者に対し、被調査会社の業務及び財産の状況(これらの者であった者については、その者が当該被調査会社の業務に従事していた期間内に知ることのできた事項に係るものに限る。)につき報告を求め、又は被調査会社の帳簿、書類その他の物件を検査することができる。
2 保険調査人は、その職務を行うため必要があるときは、官庁、公共団体その他の者に照会し、又は協力を求めることができる。
(保険調査人の秘密保持義務)
第二百四十条の十 保険調査人は、その職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。保険調査人がその職を退いた後も、同様とする。
2 保険調査人が法人であるときは、保険調査人の職務に従事するその役員及び職員は、その職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その役員又は職員が保険調査人の職務に従事しなくなった後においても、同様とする。
(契約条件の変更に係る承認)
第二百四十条の十一 保険会社は、第二百四十条の五第一項の決議(外国保険会社等にあっては、契約条件の変更についての決定。以下この節において同じ。)があった場合(第二百四十条の六第五項(同条第六項及び第七項において準用する場合を含む。)の規定により第二百四十条の五第一項の決議があったものとみなされる場合を含む。)には、当該決議の後、遅滞なく、当該決議に係る契約条件の変更について、内閣総理大臣の承認を求めなければならない。
2 内閣総理大臣は、当該保険会社において保険業の継続のために必要な措置が講じられた場合であって、かつ、第二百四十条の五第一項の決議に係る契約条件の変更が当該保険会社の保険業の継続のために必要なものであり、保険契約者等の保護の見地から適当であると認められる場合でなければ、前項の承認をしてはならない。
(契約条件の変更の通知及び異議申立て等)
第二百四十条の十二 保険会社は、前条第一項の承認があった場合には、当該承認があった日から二週間以内に、第二百四十条の五第一項の決議に係る契約条件の変更の主要な内容を公告するとともに、契約条件の変更に係る保険契約者(以下この条において「変更対象契約者」という。)に対し、同項の決議に係る契約条件の変更の内容を、書面をもって、通知しなければならない。
2 前項の場合においては、契約条件の変更がやむを得ない理由を示す書類、契約条件の変更後の業務及び財産の状況の予測を示す書類、基金及び保険契約者等以外の債権者に対する債務の取扱いに関する事項を示す書類、経営責任に関する事項を示す書類その他の内閣府令で定める書類(第二百四十条の五第四項に規定する方針がある場合にあっては、その方針の内容を示す書類を含む。)を添付し、変更対象契約者で異議がある者は、一定の期間内に異議を述べるべき旨を、前項の書面に付記しなければならない。
3 前項の期間は、一月を下ってはならない。
4 第二項の期間内に異議を述べた変更対象契約者の数が変更対象契約者の総数の十分の一を超え、かつ、当該異議を述べた変更対象契約者の保険契約に係る債権の額に相当する金額として内閣府令で定める金額が変更対象契約者の当該金額の総額の十分の一を超えるときは、契約条件の変更をしてはならない。
5 第二項の期間内に異議を述べた変更対象契約者の数又はその者の前項の内閣府令で定める金額が、同項に定める割合を超えないときは、当該変更対象契約者全員が当該契約条件の変更を承認したものとみなす。
(契約条件の変更の公告等)
第二百四十条の十三 保険会社は、契約条件の変更後、遅滞なく、契約条件の変更をしたことその他の内閣府令で定める事項を公告しなければならない。契約条件の変更をしないこととなったときも、同様とする。
2 保険会社は、契約条件の変更後三月以内に、当該契約条件の変更に係る保険契約者に対し、当該契約条件の変更後の保険契約者の権利及び義務の内容を通知しなければならない。
第三百十一条の二第一項中第三号を第四号とし、第二号を第三号とし、第一号の次に次の一号を加える。
二 第二百四十条の三の規定による業務の停止の命令
第三百十一条の三第一項第三号中「第二百三十一条」の下に「、第二百四十条の三」を加える。
第三百十六条中第六号を第七号とし、第三号から第五号までを一号ずつ繰り下げ、第二号の次に次の一号を加える。
三 第二百四十条の三の規定による業務の停止の命令に違反した者
第三百十八条中「第二百四十七条の三」を「第二百四十条の十、第二百四十七条の三」に改める。
第三百十八条の二を同条第二項とし、同条に第一項として次の一項を加える。
被調査会社の取締役、執行役、監査役若しくは支配人その他の使用人又はこれらの者であった者が第二百四十条の九第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したときは、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第三百二十一条第一項第一号中「第三百十六条第一号、第二号、第五号又は第六号」を「第三百十六条第一号から第三号まで、第六号又は第七号」に改め、同項第三号中「第三百十六条第三号若しくは第四号」を「第三百十六条第四号若しくは第五号」に改める。
第三百二十八条第一項中「規定する者」の下に「、保険会社の保険調査人」を加える。
第三百三十条第一項第二号中「第六十条第四項」を「第六十条第五項」に改める。
第三百三十三条第一項各号列記以外の部分中「保険管理人」の下に「、保険調査人」を加え、同項第五号中「、第五十七条」を「から第五十七条まで」に改め、同項第八号中「第六十条第四項」を「第六十条第五項」に改め、同項第三十号中「第二百三十条第一項」の下に「、第二百四十条の三」を加え、同項第四十九号の二を同項第四十九号の三とし、同項第四十九号の次に次の一号を加える。
四十九の二 第二百四十条の八第二項の期限までに調査の結果の報告をしないとき。
第三百三十七条の二第一号中「第二編第十章第二節」を「第二編第十章第四節」に改める。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(経過措置の政令への委任)
第二条 この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
(船主相互保険組合法の一部改正)
第三条 船主相互保険組合法(昭和二十五年法律第百七十七号)の一部を次のように改正する。
第五十二条第二項中「第二編第十章第一節第二款」を「第二編第十章第二節第二款」に改める。
(金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部改正)
第四条 金融機関等の更生手続の特例等に関する法律(平成八年法律第九十五号)の一部を次のように改正する。
第百九十七条第一項中第六号を第七号とし、第五号の次に次の一号を加える。
六 基金償却積立金の取崩し
第二百六十二条に次の一号を加える。
五 基金償却積立金の取崩し
第二百六十三条第一号中「第六十条第二項第二号」を「第六十条第三項第二号」に改める。
第三百二条の次に次の一条を加える。
(基金償却積立金の取崩しに関する特例)
第三百二条の二 更生計画において更生会社の基金償却積立金の取崩しをすることを定めた場合においては、保険業法第五十六条の二第四項の規定は、適用しない。
第三百三条第四項及び第三百十七条第二号中「第六十条第四項」を「第六十条第五項」に改める。
(内閣総理・財務・国土交通大臣署名)