国鉄改革のあゆみ 「公企業レポート」と呼ばれる労働運動等の動向をレポートしたもの
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こちらでは、国鉄旅客輸送今昔というタイトルで書かせいただきました、blogのindexになります。
「国鉄改革のあゆみ」は、「公企業レポート」と呼ばれる公共企業体並びに現業機関の労働運動等の動向をレポートしたもので、国鉄改革の時期であったことからコピーをファイリングしていたものを底本としてblogにアップしたものです。
第30話以前は、こちらをクリックしてください- 国鉄改革のあゆみ 第31話
第42回動労全国大会での地方代議員の主な発言についてまとめてみたいいと思います。
今回も、全面的に公企労レポートからの引用となります。
▽・・・各代議員の発言の主なものは、@雇用確保に向けた苦闘の取組が今、実を結んだ。A混迷する国労運動の中で、真面目に働く組合員に動労加入を呼びかけよう。B新しい鉄道事業活性化のため積極的に取り組もう。
また、一部ではあるが、昨年の運動方針にあった。ィ分割・民営化反対、労働組合攻撃粉砕が見当たらない。ロ新綱領の制定は情勢の変化で変えられるものか、といった一部方針を危惧する意見があったが、圧倒的意見は、「道なき道を歩んだ苦闘の取組によって、今、雇用の確保を始め多大な勝利を獲得した。これは基礎にゆるぎない組織を確立して国鉄改革に邁進し、新事業体の担い手としての方針を確実に実践すべきであるという」本部方針を支持する意見が全てであった。- 国鉄改革のあゆみ 第32話
国鉄末期の昭和61年に開かれた、国鉄最後の大会であろう全国定期大会での最終日総括答弁にたった福原書記長は、今後の労働運動にも触れ、労使協調宣言を結んだ4組合が過去のしがらみを捨てて共闘関係を結び、国労との闘いを強化していくと宣言、そのためにも協議会を結成、最終的には一企業一組合のための総連合への結集を構想していると述べ、分割に関するデメリットについても最終的には容認する方向に総括がなされました。- 国鉄改革のあゆみ 第33話
鉄労を軸に国鉄労働組合再編を確認
鉄労は、昭和61年7月8日から4日間、京都市・京都国際ホテルで鉄労第19回定期大会を開催されたが、この大会では、三塚運輸大臣(代理)、杉浦国鉄総裁、他初めて他の労組幹部が参加した総会となり、労働組合再編の意向が再確認される反面、現場サイドに残る鉄労との拭いきれない障壁などについても話し合いがもたれることとなりました。- 国鉄改革のあゆみ 第34話
新国労時代から労使協路線を貫いいてきた鉄労は、今回の分割民営化に際しては最も注目される組合となりました。
そんな中で、鉄労大会に挑んだ組合員に対し、風間組合長代行のあいさつを下記の通り公企労レポートから引用させていただきます。
なお、鉄労は社会党右派を中心にした民社党【その後新進党に吸収合併】を支持しており、総評に所属し、社会党を支持する動労や国労とは一線を引いていました。- 国鉄改革のあゆみ 第35話
一般経過報告に対する質疑応答
鉄労入りが即免罪符ではない
鉄労定期大会初日、開会のセレモニーに続き午後に入って高橋副組合長から一般経過報告、岡田業務部長から協約、協定締結報告が行われ、それに対して
@人材活用センター問題
A動労との共闘問題
B組織拡大についての問題点など若干の質疑応答が行われたのち、それらを承認したが、主な質疑応答はつぎの通りである。- 国鉄改革のあゆみ 第36話
・・・・・国労運動打倒に全精力を結集・・・・
志摩(しま)書記長、集約答弁
代議員の質疑に対し、志摩(しま)書記長は
(1)当局との関係については、総裁以下の改革に対する執念に対し全面的に支持する。
(2)動労との連合については組合員の感情を無視して進める気は毛頭ないが、共同歩調を無視して鉄労だけで進める状況でない。
(3)組織拡大の目標は今後は現場を中心に、運動の主導権を取り、国労打倒に全精力をそそぐ、など大要次の通り集約答弁を行った。
ということで、志摩(しま)書記長は、動労との連合は鉄労の執行部が先行するわけではありませんが、国労にたいしては強い姿勢で挑むとしています。
実際にこの時期は特に、鉄労による多少強引な組合運動に対し当局は容認する傾向があったようです。- 国鉄改革のあゆみ 第37話
国労は定期大会を7月22日からの4日間、千葉市文化会館において、代議員300名、役員、来賓、傍聴者を含めた約1000名が参加して行われました。
重苦しい雰囲気の中始まった大会で冒頭あいさつに立った山崎委員長は、「雇用と組織を守るため、戦術上の決断は中央闘争委員会に一任していただきたい。」・「目的達成のため、場合によっては大胆な妥協が必要なことがある。」と現実的かつ柔軟な態度をとる必要があるとその決意を表明しました。
しかし、この「大胆な妥協」は当時の非主流派(左派)からの猛烈な反対などもあり、事態は紛糾してしまいます。- 国鉄改革のあゆみ 第38話
今回は元島根県知事、澄田常務理事の見解です。
今回の国労の「大胆な妥協」「運動方針」の整合性の不可解を感じているとともに、共同宣言に共感し同調して欲しいと考えていると述べています。
以下公企労レポートから引用しますと。
【国労の大会で運動方針として、組織防衛、雇用不安という緊急事態への対応から「大胆な妥協」もあり得る、「本部に一任」という決定がなされた訳ですが、その大会決定をどのように受け止めていますか】
まだ直接に国労から考え方を聞いていませんのであくまで報道なりで間接的に知っているという状況です。
"戦術には、前進、停滞、後退があり、目標達成のためには、場合によっては、大胆な妥協を行うため、"中央委に一任"というような決定がなされたと聞いておりますけれども、それがいったい何を意味するのか分かりかねているところです。同時に大会で決定された方針との関連が、いったいどういうことなのかなという点で理解に苦しむところがあります。- 国鉄改革のあゆみ 第39話
例えば、国鉄時代「スト権」は認められていませんでしたが、国労の方針では、「違法なストライキを前提に、妥協するところは妥協する」と言った運動方針を掲げており。
いささか自分勝手なわがままな論理とでも言うのでしょうか、そんな不可解な理屈を掲げていたようです。
【分割・民営化に対しては、ストライキで闘うという内容も入っているようですが】
「ストライキ」を前提とした闘いを考えているなど、強硬な運動方針は従来どおり決めておいて、他方では柔軟に事態に対応するということとどのような関連があるのかという点が、分からないところです。- 国鉄改革のあゆみ 第40話
第41話以降は、こちらをクリックしてください
鉄労は、設立当初から労使協調路線を標榜していた組合ですが、動労との確執はやはり大きいようです。
三塚運輸大臣から、組合統一の要請を受けたのですがこれに対して、鉄労の志摩書記長は現時点では組織の合同を考えておらず、努力はするが具体的に動くつもりはないと言っています。
以下、公企労レポートから引用しますと。