国鉄改革のあゆみ 「公企業レポート」と呼ばれる労働運動等の動向をレポートしたもの
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こちらでは、国鉄旅客輸送今昔というタイトルで書かせいただきました、blogのindexになります。
「国鉄改革のあゆみ」は、「公企業レポート」と呼ばれる公共企業体並びに現業機関の労働運動等の動向をレポートしたもので、国鉄改革の時期であったことからコピーをファイリングしていたものを底本としてblogにアップしたものです。
第20話以降は、こちらをクリックしてください- 国鉄改革のあゆみ 第21話
国鉄改革についての意見として、全施労の滝口書記長の意見を聞いてみたいと思います。
全施労の場合はその成り立ちからしてどちらかといえば、動労に近い物があるため、職能組合ありきという考え方があるようだが、動労や鉄労ほども偏っておらず比較的柔軟に対応できる姿勢を見せています。
公企労レポートから引用しますと。
【新事業体移行にあたり、一企業一組合という意見があるようですが、どのような対応を考えておられますか】
先日、運輸大臣と会見したおり労使共同宣言四組合が一緒になったらという話が出たわけです。どの組合も新事業体に移行した場合、複数の組合では民間企業として対応しきれないだろうという認識は持っているようです。- 国鉄改革のあゆみ 第22話
国鉄問題の話は、正直賛否両論があると思っています。
このような記事を書くことを不快に感じる方や、国労に所属していて国労の悪口を書かれていると感じる方もいるかも知れません、しかし、あくまでも当時の視点で書かれたレポートをその当時のママに、そして多少の解説を含めて書いているつもりです。
もちろん、感じ方はみなさんいろいろですので、一概に言えないとは思います、あえてこの時期にこのような記事を載せ続けるかというと、現在の政治を見るとき、国労の労務政策が結果的には多くの国鉄職員を路頭に迷わせる事になってしまったという事実、少なくとも北海道、九州で過剰になるのはわかりきっていたにも関わらず、これを無視してイデオロギーに走った結果が、現在まで続く国労闘争です。- 国鉄改革のあゆみ 第23話
国労がILOに提出した書簡に対する国鉄当局の見解を述べたいと思います。
国労は、当局との間に改めて雇用問題について、国鉄再建問題等懇談会を設置し、雇用問題について意見交換を行った直後にILO事務局長に書簡を送るという暴挙とも言えることをしたのですが、その点について、公企労レポートから引用してみたいと思います。
【国労は当局との間に改て国鉄再建問題等懇談会を設置し、雇用問題について意見交換に入った直後にILO事務局長に書簡を送り、団交が拒否されているというような訴えをしましたが、どのようにとらえられておりますか。】
今回設置した国鉄再建問題等懇談会は信頼関係を回復することをねらいにしたものでして、雇用問題、経営問題一般について忌憚のない話し合いをしながら信頼を深めていこうということが目的であるものです。しかし、国労の対応は極めて不誠実だという感じがしています。二度懇談会をやりましたが、入口のところで極めて抽象的、総論的な話だけで踏み込んでこない。せっかくの話を生かそうとするのではなくて、むしろ懇談会を形式的に継続する努力をしているかの如く装うことにねらいがあるように思えます。- 国鉄改革のあゆみ 第24話
この件につきまして、次回以降に掲載しますが、ILOへの書簡を出した結果、国鉄当局と国労との再建問題等懇談会の開催が凍結されるなどの問題が派生しました。
さて、さらに、公企労レポートのから引用を続けます。
私どもは話し合いを重ね、信頼関係を築いていく努力を放棄する気はありませんけれども国労のやったことに対してはきちっと仕切りをつける必要があると思い、国労に文書を出した訳です。
国労への文書は、第一にILO への手紙を撤回すること、第二は信頼関係を作ろうということで始めた懇談会が進行中でありながら、不信感を助長するようなことについてあやまってもら必要があるということです。そしてこれから懇談会を続けていくわけですから二度とアンフェアなことをしないと約束してもらう必要があるという文書の内容になっていまして、6月21日付で申し入れて、6月末までに返事をもらいたいということになっています。- 国鉄改革のあゆみ 第25話
先程の続きです、多少読みにくいかもしれませんがご了承ください。
どうして差別される可能性が強いというのか。これから決まる新事業体の設立委員の考え方を憶測して、しかも非常に悪意ある見方をして、それを前提にしてものごとを考えている訳で非常におかしいと思います。
「事実、国鉄当局は、全部あわせても国鉄労働者の30%に満たない4組合と雇用安定協約を調印しているにもかかわらず、国策に非協力的な国労のような組合との雇用安定協約の再締結を拒否している」と書いていますが、私どもは余剰人員対策を推進することについて平等な条件で各組合に対して協力を求めてきている訳です。そういうことができて初めて雇用安定の基板ができると、雇用安定協定を締結する前提が満足されるから手を握りましょうと言っているわけでして、国労がそれを拒否したということは雇用安定の基盤が国労組合員との関係において整備されてないという形となるので雇用安定協定を結びたいのですが結べない訳です。国民の前で、国鉄労使が協定を結んで必死の努力をしていると映れば雇用対策に積極的に協力してやろうという空気ができると思います。- 国鉄改革のあゆみ 番外編 国労ILO事務局長への書簡
国労が、ILO事務局長に総評と連名で出した書簡の全文を掲載します。
「国労ILO事務局長への書簡全文明らかに87・98号条約違反」
「国鉄の危機的状況調査を期待」
国労の1985年2月15日付書簡を「条約及び勧告の適用に関する専門委員会」に付託していただき、心から感謝致します。
同専門員会は、その書簡を受けて。1985年次報告の中で日本を取り上げ、第87号条約【結社の自由及び団結権の保護に関する条約)に関して意見を述べられました。それによれば、「委員会は、国労が国鉄職員の現状について、1985年3月1日、政府に対して意見を申し述べたことについて注目している。日本政府はその内容について未だに回答していない。委員会は、国労が提起した問題点を調査できるように、この問題について、日本政府が十分な情報を提供することを求めている。」となっています。また、委員会は第98号条約【団結権と団体交渉権についての原則の適用に関する条約】について取り上げた部分に関しても同様の意見を表明されました。- 国鉄改革のあゆみ 第26話
国労が、ILOに書簡を送ったことは国鉄当局との間に大きな溝を生むこととなりました。
特に、当局側は、その内容が事実に反する認識を対外的に宣伝し、誤解を招く悪意に満ちたものであるとして、国労に対し、書簡の撤回、謝罪等を求めたが、国労は事実に反することをILOに書いた覚えはないとして、当局に回答したことから、国労に対する懇談会を凍結する旨を6月30日に発表、国鉄当局と国労の対立は激化することとなったのです。
以下、澄田常務理事(当時・元島根県知事)の見解を公企労レポートから引用しますと。- 国鉄改革のあゆみ 第27話
国労が国鉄当局を批判する内容の書簡をILO書記長に送付したお話をさせてもらたのですが、本日はその続きです。
公企労レポートからの引用になりますがご留意ください。
【ILOに書簡を出した以上、あれは間違いでしたということは、不可能な気がしますが】
ただ、国際舞台に出そうが何であろうが、事実に反することを出してもらっては具合が悪い訳ですし、問題は書簡の中身が的確な正しいものでないと誤解を招きますし、国鉄がとっている態度はそんな態度かという国際機関に誤解を与えるような内容であっては困る訳ですから、その点についてはやはり直してもらわなければいけない。それが労使関係において信頼関係を築く一番基本的な一番大事なことではないかと考えています。少なくとも嘘を言って配管と、間違ったことを言ってはいかんと、これが一番基本だと思います。- 国鉄改革のあゆみ 第28話
今回は、ILOへの書簡を送付した件について国労の見解を述べたいと思います。
今回の件に関しては、国労もかなり先走ったといった感を持っているらしく、労使信義の問題としては率直に反省したいと語っています。
なお、今回唐突にILOに書簡を送ったわけではなく、昨年2月からの話が伏線としてあったそうで、日本政府が対応しないから国労として改めて書簡を送った、それが今回の問題となった部分だと言われています。
以下公企労レポートから引用します。- 国鉄改革のあゆみ 第29話
国鉄改革が議題に上り、国会で本格的に議論がなされている時に、国鉄動力車労働組合は、7月8日〜10日にかけて神奈川県箱根小涌園で第42回定期全国大会を開催、役員選出の後、組織綱領の変更などの提案がなされたといわれている。
特にこの大会では、国労と同じ総評を上部団体にいただく組合でありかつ、総評からの内部批判【動労という組織を守ることだけの闘いをしており労組全体の連帯が欠落している。」といった批判を受けながらも、労使協調宣言に基づく綱領の変更まで大きく踏み込んだことがこの大会の特徴であった。
以下、公企労レポートからその要約を引用したいと思います。- 国鉄改革のあゆみ 第30話
第31話以降は、こちらをクリックしてください
国鉄改革における動労の松崎委員長のあいさつを公企労レポートより引用したいと思います。
松崎委員長あいさつ(要旨)
わが動労は動労のえらんだみちを、そして組合員家族の選んでくれたこのみちを堂々と歩みつづけていきたいと思います。わが動労の仲間たちも雇用をまもるたたかいは完全に勝利をいたしました。われわれの条件は、きわめてきびしいですからパーフェクトな勝利を求めることはできません。
与えられた条件のなかでいかに生きるかとその賢明な考察を重ねてわれわれのみちをえらんできたわけであります。共同宣言に示されておりますように、まじめに働く意志のある仲間、しっかりと手をたずさえて今日、この時期に必要な国鉄改革を一生懸命すすめそうとすることをつうじて己の未来にしっかりとした確信をもたなければならないと思います。