国民健康保険法施行法

法律第百九十三号(昭三三・一二・二七)

目次

 第一章 新法の総則に関する経過措置(第一条・第二条)

 第二章 市町村に関する経過措置(第三条―第七条)

 第三章 国民健康保険組合に関する経過措置(第八条―第十三条)

 第四章 保険給付に関する経過措置(第十四条―第二十七条)

 第五章 費用に関する経過措置(第二十八条・第二十九条)

 第六章 国民健康保険団体連合会に関する経過措置(第三十条―第三十二条)

 第七章 審査に関する経過措置(第三十三条・第三十四条)

 第八章 普通国民健康保険組合に関する経過措置(第三十五条―第四十二条)

 第九章 国民健康保険を行う社団法人に関する経過措置(第四十三条―第四十七条)

 第十章 他の法律の一部改正(第四十八条―第六十六条)

 第十一章 雑則(第六十七条―第七十一条)

 附則

   第一章 新法の総則に関する経過措置

 (勧告及び助言)

第一条 厚生大臣又は都道府県知事は、昭和三十六年三月三十一日までの間において、国民健康保険を行つていない市町村に対し、その行う国民健康保険事業の開始につき適切な勧告及び助言をすることができる。

 (保険者)

第二条 国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号。以下「新法」という。)の施行の際現に従前の国民健康保険法(昭和十三年法律第六十号。以下「旧法」という。)の規定により国民健康保険を行つている普通国民健康保険組合又は営利を目的としない社団法人は、新法第三条の規定にかかわらず、新法の施行後も、第八章又は第九章の定めるところにより、引き続き国民健康保険を行うことができる。

   第二章 市町村に関する経過措置

 (一部区域における実施)

第三条 新法の施行の際現に旧法第八条ノ十五第三項の規定により指定されている市及び新法の施行後国民健康保険事業を開始する市であつて特別の理由により厚生大臣が指定するものは、新法第五条の規定にかかわらず、昭和三十六年三月三十一日までの間は、条例の定めるところにより、その一部の区域内に住所を有する者のみを被保険者とすることができる。

2 市町村は、新法第五条の規定にかかわらず、当分の間、都道府県知事の承認を受け、条例の定めるところにより、その区域のうち医療機関のない離島その他国民健康保険を行うことが著しく困難である区域内に住所を有する者を被保険者としないことができる。

 (読替規定)

第四条 昭和三十三年七月一日前に日雇労働者健康保険法(昭和二十八年法律第二百七号)第八条の規定により交付された日雇労働者健康保険被保険者手帳に関しては、新法第六条第五号中「一年」とあるのは「六箇月」と読み替えるものとする。

 (被保険者の資格)

第五条 新法の施行の際現に国民健康保険を行つている市町村は、新法第五条及び第六条の規定にかかわらず、昭和三十六年三月三十一日までの間は、被保険者の資格に関して、条例の定めるところにより、旧法第八条ノ十五第一項(同項第四号の規定に基く条例を含む。)の規定の例によることができる。ただし、同項第二号中「六月」とあるのは、昭和三十三年七月一日以後に日雇労働者健康保険法第八条の規定により交付された日雇労働者健康保険被保険者手帳に関しては、「一年」とし、同項第三号中「特別国民健康保険組合」とあるのは、「国民健康保険組合」とする。

2 前項の市町村は、同項の規定により被保険者の資格に関して従前の例による場合においても、新法第六条第四号及び第五号に規定する被扶養者に該当する者は、被保険者とすることができない。ただし、新法の施行の際現に当該市町村の被保険者であり、かつ、新法第六条第四号及び第五号に規定する被扶養者に該当する者は、この限りでない。

3 第一項の市町村が被保険者の資格に関して従前の例によることとしないため、新法の施行の際現に療養の給付を受けている当該市町村の被保険者が新法の施行と同時にその資格を失つたとき、又は同項の市町村が同項の期間内に被保険者の資格に関して従前の例によらないこととしたため、若しくは同項の期間の経過によつて従前の例によることができなくなつたため、新法の施行前から引き続き当該市町村の被保険者であり、かつ、新法の施行の際現に療養の給付を受けていた者がその資格を喪失したときは、当該市町村は、その者の当該療養の給付の給付事由たる疾病又は負傷及びこれによつて発した疾病に関して、その者の被保険者の資格の喪失後も、旧法の規定によつて当該療養の給付を開始した日から起算して新法の施行の際における従前の例により療養の給付を行うべき期間、新法の施行の際における従前の例による療養の給付を行わなければならない。

4 前項の規定による療養の給付については、新法第五十六条及びこの法律の第二十三条の規定を準用する。

 (資格の取得及び喪失の時期)

第六条 第三条又は町村合併促進法(昭和二十八年法律第二百五十八号)第十八条(新市町村建設促進法(昭和三十一年法律第百六十四号)において例による場合を含む。以下同じ。)の規定によりその区域の一部につき国民健康保険を行う市町村の被保険者に関しては、新法第七条及び第八条第一項中「当該市町村の区域内」とあるのは、「当該市町村の国民健康保険を行う区域内」と読み替えるものとする。

2 前項の市町村の被保険者が当該市町村の国民健康保険を行う区域内に住所を有しなくなつた日に当該市町村のその他の区域内に住所を有するに至つた場合において、その日に普通国民健康保険組合又は国民健康保険を行う社団法人の被保険者となつたときは、前項の規定により読み替えられる新法第八条第一項本文の規定にかかわらず、その被保険者は、その日から、その資格を喪失する。

3 新法第八条第一項ただし書の規定は、被保険者が当該市町村の区域内に住所を有しなくなつた日に他の市町村の区域内に住所を有するに至つた場合において、その日に他の市町村又は普通国民健康保険組合若しくは国民健康保険を行う社団法人の被保険者となつたときに限り、適用する。

 (条例の協議)

第七条 新法の施行前に旧法第八条ノ十三第二項の規定による都道府県知事の認可を申請し、新法の施行の際まだその認可がされていない条例については、当該条例が新法第十二条の規定に基く政令で定める事項に関するものである場合には、当該市町村において同条の規定により都道府県知事に協議を求めたものとみなす。

   第三章 国民健康保険組合に関する経過措置

 (現に存する特別国民健康保険組合)

第八条 旧法第十一条の規定により設立された特別国民健康保険組合で新法の施行の際現に存するものは、新法第十七条の規定により設立された国民健康保険組合とみなす。

 (規約)

第九条 前条の国民健康保険組合の規約の規定で新法の施行の際現に効力を有するものは、新法及びこの法律並びにこれらに基く命令の規定に抵触するものを除き、新法の施行後も、なおその効力を有する。

2 前条の国民健康保険組合については、新法の施行の際現にその組合員が住所を有する市町村の区域が、その組合の地区として規約に定められているものとみなす。

3 前条の国民健康保険組合は、新法の施行後三箇月以内に、前項の規定による地区をその区域に含む市町村の名称を、主たる事務所の所在地の都道府県知事に届け出なければならない。

 (組合員及び被保険者の資格)

第十条 第八条の国民健康保険組合は、新法第十三条第三項及び第十九条第一項の規定にかかわらず、昭和三十六年三月三十一日までの間は、組合員及び被保険者の資格に関して、規約の定めるところにより、旧法第十条第二項及び第十四条第一項(同項第四号の規定に基く規約を含む。)の規定の例によることができる。ただし、同項第二号中「六月」とあるのは、昭和三十三年七月一日以後に日雇労働者健康保険法第八条の規定により交付された日雇労働者健康保険被保険者手帳に関しては、「一年」とし、同項第三号中「特別国民健康保険組合」とあるのは、「国民健康保険組合」とする。

2 前項の場合においては、第五条第二項から第四項までの規定を準用する。

 (資格の喪失の時期)

第十一条 国民健康保険組合の被保険者が組合員又は組合員の世帯に属する者でなくなつた場合において、組合員又は組合員の世帯に属する者でなくなつたことにより普通国民健康保険組合又は国民健康保険を行う社団法人の被保険者となつたときは、新法第二十一条本文の規定にかかわらず、その被保険者は、組合員又は組合員の世帯に属する者でなくなつた日から、その資格を喪失する。

 (役員及び組合会議員)

第十二条 新法の施行の際現に第八条の国民健康保険組合の理事又は当該組合の業務の執行及び財産の状況の監査を職務とする理事以外の役員の職にある者並びに組合会議員である者は、それぞれ新法の規定により理事若しくは監事に選任され、又は組合会議員に選挙されたものとみなす。ただし、その任期は、それぞれ旧法の規定により選任され、又は選挙された日から起算するものとする。

2 第八条の国民健康保険組合の組合会議員の定数については、新法の施行の際現に組合会議員である者の任期が満了するまでの間は、新法第二十六条第二項の規定にかかわらず、なお従前の例による。

 (清算)

第十三条 第八条の国民健康保険組合で新法の施行の際現に清算中のものの清算については、なお従前の例による。

   第四章 保険給付に関する経過措置

 (療養の給付の範囲)

第十四条 市町村又は国民健康保険組合(以下「保険者」という。)は、新法第三十六条第一項の規定かかわらず、当分の間、同項各号に掲げる療養のうち政令で定める範囲に属する療養については、条例又は規約の定めるところにより、療養の給付を行わないことができる。

2 保険者が新法第三十六条第一項第一号から第四号までに定める療養のうち前項の規定に基く政令で定める範囲に属する療養につき療養の給付を行うこととしている場合において、被保険者が当該範囲に属する療養につき療養の給付を受けようとするときは、新法第三十六条第五項の規定にかかわらず、保険者が開設者の同意を得て定める療養取扱機関のうち自己の選定するものについて、これを受けるものとする。

3 新法第三十六条第一項第一号から第四号までに定める療養のうち第一項の規定に基く政令で定める範囲に属する療養につき療養の給付を行うこととしている保険者は、被保険者が緊急その他やむを得ない理由により前項の療養取扱機関以外の療養取扱機関について当該範囲に属する療養を受けたときは、療養の給付に代えて、療養費を支給するものとする。この場合においては、その額の算定につき、新法第五十四条第三項及び第四項の規定を準用する。

4 新法の施行の際現に新法第三十六条第一項第一号から第四号までに定める療養のうち第一項の規定に基く政令で定める範囲に属する療養につき療養の給付を行うこととしている保険者が、新法の施行後も引き続き当該範囲に属する療養につき療養の給付を行う場合において、当該保険者が新法の施行の際現に旧法第八条ノ五の規定により定めている療養担当者(当該療養担当者が医師若しくは歯科医師又は薬剤師であるときは、これらの者が国民健康保険の診療又は調剤に従事している病院若しくは診療所又は薬局とする。以下同じ。)が新法の施行と同時に新法による療養取扱機関となつたときは、当該医療機関は、当該保険者が第二項の規定により定めた療養取扱機関とみなす。


 (療養取扱機関並びに国民健康保険医及び国民健康保険薬剤師)

第十五条 市町村若しくは第八条の国民健康保険組合が新法の施行の際現に旧法第八条ノ五の規定により定めている療養担当者又は新法の施行の際現に健康保険法第四十三条第二項第一号に掲げる保険医療機関若しくは保険薬局であるものについては、新法の施行の際、新法第三十七条第一項の申出の受理があつたものとみなす。ただし、その開設者が厚生省令の定めるところにより別段の申出をしたときは、この限りでない。

2 前項本文の規定により新法第三十七条第一項の申出の受理があつたものとみなされた療養担当者において新法の施行の際現に診療又は調剤に従事している医師、歯科医師若しくは薬剤師又は新法の施行の際現に健康保険法第四十三条ノ二に規定する保険医若しくは保険薬剤師であるもの(これらの者が診療所又は薬局を開設したものであり、かつ、これらの者のみが診療又は調剤に従事している場合におけるこれらの者を除く。)は新法の施行の際、新法第三十九条第一項の規定による国民健康保険医又は国民健康保険薬剤師の登録を受けたものとみなす。ただし、当該医師若しくは歯科医師又は薬剤師が厚生省令の定めるところにより別段の申出をしたときは、この限りでない。


 (一部負担金)

第十六条 新法の施行前に行われた療養の給付に関する一部負担金については、なお従前の例による。

第十七条 新法の施行の際現に旧法第八条ノ九の規定による一部負担金の療養の給付に要する費用に対する割合を二分の一未満としている保険者が、新法の施行後も引き続きその割合による場合において、当該保険者が新法の施行の際現に旧法第八条ノ五の規定により定めている療養担当者が新法の施行と同時に療養取扱機関となつたときは、当該医療機関は、当該保険者が新法第四十三条第二項の規定により定めた療養取扱機関とみなす。


 (診療報酬等)

第十八条 新法の施行前に行われた療養の給付に係る診療報酬の額及びその審査の基準については、なお従前の例による。

2 新法第四十五条第五項の規定は、新法の施行前に行われた療養の給付に係る診療報酬について新法の施行後に請求があつた場合におけるその審査及び支払に関する事務についても、適用する。

3 新法の施行前に旧法第四十七条ノ二第一項又は第二項の規定により社会保険診療報酬支払基金又は国民健康保険団体連合会に対して診療報酬請求書の審査の請求又は委託が行われ、新法の施行の際まだその審査に関する事務が終了していないものについては、新法第四十五条第五項の規定により診療報酬請求書の審査の委託があつたものとみなす。

4 新法の施行前に旧法第四十七条ノ二第一項の規定により国民健康保険診療報酬審査委員会に対して行われた請求に係る診療報酬請求書の審査に関する事務が終了するまでの間は、当該国民健康保険診療報酬審査委員会に関しては、旧法第四十七条ノ三から第四十七条ノ七までの規定は、新法の施行後も、なおその効力を有する。


 (療養取扱機関の報告等)

第十九条 旧法第八条ノ五の規定による療養担当者又は療養担当者であつたものが、第十五条第一項本文又は新法第三十七条第三項本文の規定により療養取扱機関となつたときは、新法第四十六条第一項の規定は、当該療養取扱機関又は当該療養取扱機関において診療若しくは調剤に従事する医師、歯科医師若しくは薬剤師が旧法第八条ノ五の規定により担当した療養の給付についても、適用する。


 (療養取扱機関に係る申出受理の取消等)

第二十条 前条の新法による療養取扱機関に対しては、都道府県知事は、当該療養取扱機関につき新法の施行前に新法第四十八条各号のいずれかに相当する事実があつたことを理由として、同条の規定による処分をすることができる。


 (給付の期間)

第二十?条 新法の施行の際現に旧法の規定による療養の給付を受けている者の当該疾病若しくは負傷又はこれによつて発した疾病については、当該保険者が旧法の規定により当該療養の給付を開始した日を新法の規定による療養の給付を開始した日とみなして、新法第五十三条の規定を適用する。

2 新法の施行の際現に旧法の規定に基く規約で同一の疾病又は負傷及びこれによつて発した疾病に関し三年をこえる期間療養の給付を行うこととしている国民健康保険組合は、新法の施行の際現に療養の給付を受けている者の当該疾病又は負傷及びこれによつて発した疾病については、新法第五十三条の規定にかかわらず、旧法の規定によつて当該療養の給付を開始した日から起算して従前の例により療養の給付を行うべき期間、従前の例による療養の給付を行わなければならない。

3 当分の間、特別の事情がある市町村は、厚生大臣の承認を受け、条例の定めるところにより新法第五十三条の期間を三年未満とすることができる。


 (被保険者が日雇労働者又はその被扶養者となつた場合)

第二十二条 被保険者が昭和三十六年三月三十一日以前に新法第六条第五号に該当するに至つたためその資格を喪失した場合においては、新法第五十五条第一項の規定による療養の給付は、同条第二項各号のいずれかに該当するに至つたときのほか、当該保険者が市町村である場合にはその者が昭和三十六年三月三十一日以前において当該市町村の区域内(当該市町村が第三条第一項又は町村合併促進法第十八条の規定によりその区域の一部につき国民健康保険を行つているときは、当該市町村の国民健康保険を行う区域内)に住所を有しなくなつたとき、当該保険者が国民健康保険組合である場合にはその者が昭和三十六年三月三十一日以前において当該組合の組合員又は組合員の世帯に属する者でなくなつたときも、行わない。


 (被保険者が被扶養者である場合)

第二十三条 新法第六条第四号又は第五号に規定する被扶養者に該当するにかかわらずこの法律の規定により被保険者である者については、新法第五十六条第一項の規定にかかわらず、その者の当該疾病又は負傷につき同項前段に規定する法律の規定によりその被扶養者たることによる医療に関する給付を受けることができる場合においても、同項の規定を適用しない。


 (給付制限)

第二十四条 市町村は、新法第三十六条第一項の規定にかかわらず、昭和三十六年三月三十一日までの間は、条例の定めるところにより、当該市町村の区域内(当該市町村が第三条第一項又は町村合併促進法第十八条の規定によりその区域の一部につき国民健康保険を行つているときは、当該市町村の国民健康保険を行う区域内とする。以下この条において同じ。)に住所を有するに至つたため被保険者の資格を取得した者に対して、当該資格を取得した日から起算して六箇月をこえない期間、当該資格を取得した日前に発した疾病若しくは負傷又はこれにより発した疾病に関し、療養の給付の一部を行わないことができる。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。

 一 国民健康保険を行つている他の市町村の区域内(当該他の市町村が第三条第一項又は町村合併促進法第十八条の規定によりその区域の一部につき国民健康保険を行つているときは、当該他の市町村の国民健康保険を行う区域内)又は普通国民健康保険組合若しくは国民健康保険を行う社団法人の地区内の住所を去つて当該市町村の区域内に住所を有するに至つたとき。

 二 婚姻、養子縁組その他厚生省令で定める理由により当該市町村の区域内に住所を有するに至つたとき。

第二十五条 新法第六十条及び第六十一条の規定は、新法の施行の際現に条例又は規約の定めるところにより新法第六十条又は第六十一条の規定する理由と同一の理由による給付の制限の全部又は一部を行わないこととしている保険者については、新法の施行前に疾病にかかり、又は負傷した被保険者が新法の施行後引き続き当該保険者の被保険者である間の当該疾病又は負傷に係る療養の給付に関し、当該給付の制限を行わないこととしている限度において、適用しない。


 (損害賠償請求権)

第二十六条 新法第六十四条の規定は、給付事由が第三者の新法の施行前の行為によつて生じた場合についても、適用するものとする。

2 第三者の新法の施行前の行為によつて生じた給付事由について旧法の規定によつて保険給付を行つた保険者は、新法の施行と同時に、その給付の価額(当該給付が療養の給付であるときは、当該療養の給付に要する費用の額から旧法の規定による一部負担金に相当する額を控除した額)の限度において、当該保険給付を受けた者が新法の施行の際第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。

3 第三者の新法の施行前の行為によつて給付事由が生じ、新法の施行前に第三者から同一の事由について損害賠償を受けた者については、新法の施行後は、保険者は、その価額の限度において、保険給付を行う責を負わない。


 (未支給の保険給付)

第二十七条 新法の施行前に行うべきであつた保険給付で新法の施行の際まだ行つていないものについては、この法律に別段の規定があるものを除くほか、なお従前の例による。

   第五章 費用に関する経過措置


 (国の負担等)

第二十八条 新法第六十九条、第七十条及び第七十二条から第七十四条までの規定は、昭和三十三年十月一日以後の期間に係る費用について適用する。この場合において、同日以後同年十二月三十一日までの間に旧法の規定によつて行われた国民健康保険事業は、新法の規定によつて行われたものとみなし、新法第七十一条の規定は、市町村が確保すべき同期間に係る旧法の規定による収入を不当に確保しなかつた場合においても、適用するものとする。

2 昭和三十三年九月三十日以前の期間に係る費用についての国庫の補助については、新法の施行後も、なお従前の例による。この場合において、旧法第四十七条第二項中「当該年度」とあるのは、昭和三十三年度の補助金については、「昭和三十三年四月一日ヨリ同年九月三十日マデノ間」とする。


 (保険料)

第二十九条 新法の施行前に旧法によつて賦課し、又は徴収すべきであつた保険料で、新法の施行前の期間に係るものについては、なお従前の例による。

2 新法の施行前に旧法によつて賦課し、又は徴収した保険料で新法の施行後の期間に係るものについては、新法の規定によつて賦課し、又は徴収したものとみなす。

   第六章 国民健康保険団体連合会に関する経過措置


 (現に存する国民健康保険団体連合会)

第三十条 旧法第三十八条第一項の規定により設立された国民健康保険団体連合会で新法の施行の際現に存するものは、新法第八十三条の規定により設立されたものとみなす。


 (規約)

第三十一条 前条の国民健康保険団体連合会の規約で新法の施行の際現に効力を有するものは、新法及びこの法律並びにこれらに基く命令の規定に抵触するものを除き、新法の施行後も、なおその効力を有する。

2 前条の国民健康保険団体連合会で、新法の施行の際現にその規約にその国民健康保険団体連合会の区域に関する規定がないものについては、新法の施行の際現にその会員である市町村の区域及び新法の施行の際現にその会員である国民健康保険組合(旧法の規定による普通国民健康保険組合及び国民健康保険を行う社団法人を含む。)が主たる事務所を有する市町村の区域が、その国民健康保険団体連合会の区域として規約に定められているものとみなす。

3 前条の国民健康保険団体連合会は、新法の施行後三箇月以内に、前項の規定による区域をその区域に含む都道府県の名称を、当該国民健康保険団体連合会の区域をその区域に含む都道府県を統轄する都道府県知事(その区域が二以上の都道府県の区域にまたがる連合会にあつては、厚生大臣)に届け出なければならない。


 (役員等)

第三十二条 新法の施行の際現に第三十条の国民健康保険団体連合会の理事又は当該連合会の業務の執行及び財産の状況の監査を職務とする理事以外の役員の職にある者並びに総会の議員である者は、それぞれ新法の規定により理事若しくは監事に選任され、又は総会の議員となつたものとみなす。ただし、理事又は監事に選任されたものとみなされる者については、その任期は、それぞれ旧法の規定により選任された日から起算するものとする。

2 第三十条の国民健康保険団体連合会で新法の施行の際現に清算中のものの清算については、なお従前の例による。

   第七章 審査に関する経過措置


 (不服の申立)

第三十三条 新法第九十一条第一項の規定による審査の請求は、旧法の規定による保険給付に関する処分又は保険料その他旧法の規定による徴収金に関する処分に不服がある者も、することができる。


 (審査会)

第三十四条 新法の施行の際現に旧法第五十二条ノ二の規定により置かれている国民健康保険審査会は、新法第九十二条の規定により置かれているものとみなし、旧法第五十二条ノ三第一項の規定により委嘱されたその委員である者及び旧法第五十二条ノ五第一項の規定により選挙されたその会長である者は、それぞれ新法第九十三条第一項の規定による委員及び新法第九十五条第一項の規定による会長とみなす。

2 前項の委員の任期は、旧法の規定により委嘱された日から、起算する。

   第八章 普通国民健康保険組合に関する経過措置


 (普通国民健康保険組合に関する旧法の規定)

第三十五条 第二条の規定により新法の施行後も引き続き国民健康保険を行う普通国民健康保険組合については、旧法第九条第二項、第十条第一項及び第三項、第十二条、第十三条、第十四条第二項、第十七条並びに第四章第二節及び第三節の規定は、なおその効力を有する。


 (組合員及び被保険者の資格)

第三十六条 前条の規定によりなおその効力を有する旧法第十条第一項の規定にかかわらず、新法第六条各号のいずれかに該当する者は、前条の普通国民健康保険組合の組合員となることができない。ただし、その者の世帯に同条各号のいずれにも該当しない者があるときは、この限りでない。

2 前条の普通国民健康保険組合の被保険者は、組合員及び組合員の世帯に属する者とする。ただし、新法第六条各号のいずれかに該当する者は、この限りでない。

第三十七条 第三十五条の普通国民健康保険組合は、前条の規定にかかわらず、組合員及び被保険者の資格に関して、規約の定めるところにより、旧法第十条第二項及び第十四条第一項(同項第四号の規定に基く規約を含む。)の規定の例によることができる。ただし、同項第二号中「六月」とあるのは、昭和三十三年七月一日以後に日雇労働者健康保険法第八条の規定により交付された日雇労働者健康保険被保険者手帳に関しては、「一年」とし、同項第三号中「特別国民健康保険組合」とあるのは、「国民健康保険組合」とする。

2 前項の場合においては、第五条第二項から第四項までの規定を準用する。


 (資格の取得及び喪失の時期)

第三十八条 第三十五条の普通国民健康保険組合の被保険者は、当該組合の組合員若しくは組合員の世帯に属する者となつた日又は新法第六条各号のいずれにも該当しなくなつた日から、その資格を取得する。

2 第三十五条の普通国民健康保険組合の被保険者は、組合員若しくは組合員の世帯に属する者でなくなつた日の翌日又は新法第六条各号(第七号を除く。)のいずれかに該当するに至つた日の翌日から、その資格を喪失する。ただし、組合員又は組合員の世帯に属する者でなくなつた日に他の普通国民健康保険組合又は市町村若しくは国民健康保険を行う社団法人の被保険者となつたときは、その日から、その資格を喪失する。

3 第三十五条の普通国民健康保険組合の被保険者は、新法第六条第七号に該当するに至つたときは、その日から、その資格を喪失する。


 (準用規定)

第三十九条 新法第九条の規定は、第三十五条の普通国民健康保険組合の被保険者に関する届出及び被保険者証について準用する。この場合において、新法第九条中「被保険者の属する世帯の世帯主」又は「世帯主」とあるのは「組合員」と、「市町村」とあるのは「普通国民健康保険組合」と読み替えるものとする。


 (新法及びこの法律の規定の適用)

第四十条 第三十五条の普通国民健康保険組合に関しては、当該組合を新法による国民健康保険組合又は旧法による特別国民健康保険組合とみなして、新法第十五条及び第十六条並びに第四章から第十二章まで(第七十三条を除く。)並びにこの法律の第四章及び第五章の規定を適用する。ただし、新法第四十三条第四項、第四十四条第三項、第五十三条ただし書及び第七十条から第七十二条まで並びにこの法律の第二十一条第三項及び第二十四条の規定の適用については、当該組合を市町村とみなす。


 (分割の認可及び解散)

第四十一条 第三十五条の普通国民健康保険組合の地区のうちその一部の区域につき市町村が国民健康保険を行うに至つたときは、当該組合については、当該一部の区域により分割することにつき同条の規定によりなおその効力を有する旧法第三十四条の規定による都道府県知事の認可があつたものとみなし、当該地区の全部につき市町村が国民健康保険を行うに至つたときは、当該組合は、解散するものとする。


 (他の法律における「国民健康保険組合」)

第四十二条 他の法律(新法を除く。)において「国民健康保険組合」には、第三十五条の普通国民健康保険組合を含むものとする。

   第九章 国民健康保険を行う社団法人に関する経過措置


 (国民健康保険を行う社団法人に関する旧法の規定)

第四十三条 第二条の規定により新法の施行後も引き続き国民健康保険を行う社団法人については、旧法第五章(第三十七条ノ四を除く。)の規定は、なおその効力を有する。


 (被保険者の資格)

第四十四条 前条の社団法人の被保険者は、その社員及び社員の世帯に属する者並びに当該社団法人の地区内の世帯主及びその世帯に属する者とする。ただし、新法第六条各号のいずれかに該当する者は、この限りでない。

2 前条の社団法人は、前項の規定にかかわらず、被保険者の資格に関して、規程の定めるところにより、旧法第三十七条ノ四第一項(同項第四号の規定に基く規程を含む。)の規定の例によることができる。ただし、同項第二号中「六月」とあるのは、「昭和三十三年七月一日以後に日雇労働者健康保険法第八条の規定により交付された日雇労働者健康保険被保険者手帳に関しては、「一年」とし、同項第三号中「特別国民健康保険組合」とあるのは、「国民健康保険組合」とする。

3 前項の場合においては、第三十七条第二項の規定を準用する。


 (準用規定)

第四十五条 第三十八条の規定は、第四十三条の社団法人の被保険者の資格の取得及び喪失の時期について準用する。この場合において、第三十八条第一項及び第二項中「組合員」とあるのは、「社員若しくは当該社団法人の地区内の世帯主」と読み替えるものとする。

2 新法第九条の規定は、第四十三条の社団法人の被保険者に関する届出及び被保険者証について準用する。この場合において、新法第九条中「被保険者の属する世帯の世帯主」とあるのは「社員又は被保険者の属する世帯の世帯主」と、「世帯主」とあるのは「社員又は世帯主」と、「市町村」とあるのは「国民健康保険を行う社団法人」と読み替えるものとする。


 (新法及びこの法律の規定の適用)

第四十六条 第四十三条の社団法人に関しては、当該社団法人を新法による国民健康保険組合又は旧法による特別国民健康保険組合とみなして、新法第四章から第十二章まで(第七十三条、第七十九条、第八十条及び第百二十八条を除く。)並びにこの法律の第四章及び第五章の規定を適用する。ただし、新法第四十三条第四項、第四十四条第三項、第五十三条ただし書及び第七十条から第七十二条まで並びにこの法律の第二十一条第三項及び第二十四条の規定の適用については、当該社団法人を市町村とみなす。

2 前項の規定により第四十三条の社団法人に関して新法及びこの法律の規定を適用する場合においては、これらの規定中「規約」とあるのは「規程」と、「組合員」とあるのは「社員又は世帯主」と、新法第百九条第四項中「解散を命ずる」とあるのは「国民健康保険を行うことの許可を取り消す」と読み替えるものとする。


 (廃止の許可)

第四十七条 第四十三条の社団法人の地区の全部又は一部につき市町村が国民健康保険を行うに至つたときは、当該社団法人については、同条の規定によりなおその効力を有する旧法第三十七条ノ二第三項の規定による国民健康保険を廃止することの許可があつたものとみなす。

   第十章 他の法律の一部改正


 (登録税法の一部改正)

第四十八条 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。 第十九条第十八号中「労働福祉事業団」の下に「、国民健康保険組合、国民健康保険団体連合会」を加え、同条に次の一号を加える。

  二十九 国民健康保険組合又ハ国民健康保険団体連合会ガ国民健康保険法第八十二条第一項(同法第八十六条ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル施設ノ用ニ供スル建物又ハ土地ノ権利ノ取得又ハ所有権ノ保存ノ登記


 (印紙税法の一部改正)

第四十九条 印紙税法(明治三十二年法律第五十四号)の一部を次のように改正する。

  第五条第九号ノ十の次に次の一号を加える。

  九ノ十一 国民健康保険ニ関スル証書、帳簿


 (健康保険法の一部改正)

第五十条 健康保険法の一部を次のように改正する。

  第十三条ノ二第一項第六号中「又ハ国民健康保険ヲ行フ社団法人」を削り、同条第二項を次のように改める。

  前条ノ規定ニ依リ健康保険ノ被保険者タルべキ者ニシテ保険者又ハ第十二条ノ規定ニ依ル共済組合ノ承認ヲ受ケタルモノハ健康保険ノ被保険者トセズ但シ健康保険ノ被保険者タラザルニ依リ国民健康保険ノ被保険者タルべキ期間ニ限ル

  第五十九条ノ六第一項中「国民健康保険ヲ行フ市町村若ハ国民健康保険組合又ハ国民健康保険ヲ行フ社団法人」を「市町村又ハ国民健康保険組合」に改める。


 (健康保険法の一部改正に伴う経過措置)

第五十一条 第二条の規定により普通国民健康保険組合又は営利を目的としない社団法人が国民健康保険を行う間は、当該組合又は社団法人の事業所に使用される者の健康保険の被保険者の資格に関しては、健康保険法第十三条ノ二第一項第六号の改正規定にかかわらず、なお従前の例による。

2 昭和三十六年三月三十一日までの間は、国民健康保険の保険者に対する家族療養費の支給の委託に関しては、健康保険法第五十九条ノ六第一項の改正規定にかかわらず、なお従前の例による。


 (地方財政法の一部改正)

第五十二条 地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)の一部を次のように改正する。

  第十条第八号の二を次のように改める。

  八の二 国民健康保険の事務の執行並びに療養の給付及び療養費の支給に要する経費


 (社会保険診療報酬支払基金法の一部改正)

第五十三条 社会保険診療報酬支払基金法(昭和二十三年法律第百二十九号)の一部を次のように改正する。

  第一条中「国民健康保険を行う市町村、国民健康保険組合若しくは国民健康保険を行う社団法人」を「市町村若しくは国民健康保険組合」に、「国民健康保険法(昭和十三年法律第六十号)」を「国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)」に改め、「又はこれを使用する者」を削る。


 (社会保険診療報酬支払基金法の一部改正に伴う経過措置)

第五十四条 第二条の規定により新法の施行後も国民健康保険を行う普通国民健康保険組合及び営利を目的としない社団法人は、前条の規定による改正後の社会保険診療報酬支払基金法の適用については、国民健康保険組合とみなす。


 (厚生省設置法の一部改正)

第五十五条 厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)の一部を次のように改正する。

  第五条第六十号を次のように改める。

  六十 国民健康保険団体連合会の設立及び規約の変更、予算等に関する総会又は代議員会の議決を認可し、国民健康保険の保険者及び国民健康保険団体連合会に対し、事業及び財産に関する報告をさせ、その状況を検査し、その他監督上必要な命令又は処分をすること。

  第五条中第六十一号を削り、第六十号の二を第六十一号とする。

  第十四条第七号を次のように改める。

  七 国民健康保険の保険者及び国民健康保険団体連合会を指導監督すること。

  第二十九条第一項の表中央社会保険医療協議会の項中「国民健康保険の療養の給付を担当する者」を「国民健康保険の療養取扱機関、国民健康保険医及び国民健康保険薬剤師」に改め、「並びに国民健康保険の適正な診療報酬の標準額」を削る。


 (社会保険審議会及び社会保険医療協議会法の一部改正)

第五十六条 社会保険審議会及び社会保険医療協議会法(昭和二十五年法律第四十七号)の一部を次のように改正する。

  第十三条第一項中「国民健康保険の療養の給付を担当する者(以下」を「国民健康保険の療養取扱機関、国民健康保険医及び国民健康保険薬剤師(以下単に」に改め、「並びに国民健康保険の適正な診療報酬の標準額」を削る。

  第十四条第一項第二号中「並びに国民健康保険における適正な診療報酬の標準額」を削り、同条第二項に後段として次のように加える。

   国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)第三十七条第一項に規定する申出の受理及び同法第四十八条に規定するその申出の受理の取消並びに同法第四十九条の規定による登録の取消についても、同様とする。


 (生活保護法の一部改正)

第五十七条 生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)の一部を次のように改正する。

  第五十二条第一項を次のように改める。

   指定医療機関の診療方針及び診療報酬は、国民健康保険の診療方針及び診療報酬の例による。


 (地方税法の一部改正)

第五十八条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。

  第七十二条の十四第一項ただし書中「国民健康保険法(昭和十三年法律第六十号)」を「国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)」に改める。

  第七百三条の三第二項中「療養の給付に要する費用の総額の見込額の百分の七十に相当する額」を「療養の給付及び療養費の支給に要する費用の総額の見込額から療養の給付についての一部負担金の総額の見込額を控除した額の百分の九十に相当する額」に改め、同条第三項を次のように改める。

 3 前項の標準課税総額は、次の表の上欄に掲げる額の合計額のいずれかによるものとし、同表の上欄に掲げる額の標準課税総額に対する標準割合は、それぞれ同表の中欄に掲げる所得割総額、資産割総額、被保険者均等割総額及び世帯別平等割総額の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げるところによるものとする。

所得割総額、資産割総額、被保険者均等割総額及び世帯別平等割総額

所得割総額

百分の四十

資産割総額

百分の十

被保険者均等割総額

百分の三十五

世帯別平等割総額

百分の十五

所得割総額、被保険者均等割総額及び世帯別平等割総額

所得割総額

百分の五十

被保険者均等割総額

百分の三十五

世帯別平等割総額

百分の十五

所得割総額及び被保険者均等割総額

所得割総額

百分の五十

被保険者均等割総額

百分の五十

  第七百三条の三第四項を削り、同条第五項中「課税額は、」の下に「前項の表の上欄に掲げる標準課税総額の区分に応じ、」を加え、「所得割額及び資産割額並びに被保険者均等割額及び世帯別平等割額」を「所得割額、資産割額、被保険者均等割額又は世帯別平等割額」に改め、同項を同条第四項とし、同条第六項中「市町村民税の所得割額」を「同号本文の課税総所得金額又は市町村民税の所得割額」に改め、同項を同条第五項とし、同条第七項中「第五項」を「第四項」に改め、同項を同条第六項とし、同条第八項を同条第七項とする。

  第七百六条の次に次の二条を加える。

  (国民健康保険税の徴収の特例)

 第七百六条の二 市町村は、国民健康保険税の所得割額の算定の基礎に用いる第二百九十二条第四号の課税総所得金額又は市町村民税の所得割額が確定しないため当該年度分の国民健康保険税額を確定することができない場合においては、その確定する日までの間において到来する納期において徴収すべき国民健康保険税に限り、国民健康保険税の納税義務者について、その者の前年度の国民健康保険税額を当該年度の納期の数で除して得た額の範囲内において、それぞれの納期に係る国民健康保険税を徴収することができる。ただし、当該徴収することができる額の総額は、前年度の国民健康保険税額の二分の一に相当する額をこえることができない。

 2 市町村は、前項の規定によつて国民健康保険税を賦課した場合において、当該国民健康保険税額が当該年度分の国民健康保険税額に満たないこととなるときは、当該年度分の国民健康保険税額が確定した日以後の納期においてその不足税額を徴収し、すでに徴収した国民健康保険税額が当該年度分の国民健康保険税額をこえることとなるときは、第十七条の規定の例によつて、その過納額を還付し、又は当該納税義務者の未納に係る地方団体の徴収金に充当しなければならない。

  (徴収の特例に係る国民健康保険税額の修正の申出等)

 第七百六条の三 前条第一項の規定によつて国民健康保険税を賦課した場合において、当該年度分の国民健康保険税額が前年度の国民健康保険税額の二分の一に相当する額に満たないこととなると認められるときは、同項の規定によつて国民健康保険税を徴収されることとなる者は、条例で定める期限までに、市町村長に同項の規定によつて徴収される国民健康保険税額の修正を申し出ることができる。

 2 前項の規定による修正の申出があつた場合において、当該申出について相当の理由があると認められるときは、市町村長は、当該年度分の国民健康保険税額の見積額を基礎として、前条第一項の規定によつて徴収する国民健康保険税額を修正しなければならない。

 3 第七百二十五条第二項から第六項までの規定は、前二項の規定による修正の申出及び修正について準用する。

  第七百二十八条第一項に次のただし書を加える。

   ただし、第七百六条の二の規定によつて徴収する国民健康保険税について滞納処分を行う場合においては、当該年度分の国民健康保険税額が確定する日までの間は、国税徴収法第二十四条の規定による公売は、することができない。


 (地方税法の一部改正に伴う経過措置)

第五十九条 医療法人その他旧法の規定による療養担当者が旧法の規定に基く療養の給付につき支払を受けた金額については、なお従前の例による。

2 前条の規定による改正後の地方税法の規定中国民健康保険税に関する部分は、昭和三十四年度分の国民健康保険税から適用する。

3 昭和三十三年度分以前の国民健康保険税については、なお従前の例による。


 (結核予防法の一部改正)

第六十条 結核予防法(昭和二十六年法律第九十六号)の一部を次のように改正する。

  第三十七条第一項中「国民健康保険法(昭和十三年法律第六十号)」を「国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)」に改める。

  第三十九条第一項中「指定医療機関が所在する市町村(特別区を含む。以下同じ。)に国民健康保険(特別国民健康保険組合又は社団法人の行うものを除く。以下同じ。)が行われているときは、その診療報酬の例により、指定医療機関が所在する市町村に国民健康保険が行われていないときは、」を削り、「健康保険」を「国民健康保険」に改める。

  第五十二条中「市町村」の下に「(特別区を含む。以下同じ。)」を加える。


 (結核予防法の一部改正に伴う経過措置)

第六十一条 第二条の規定により新法の施行後も引き続き国民健康保険を行う普通国民健康保険組合及び営利を目的としない社団法人は、前条の規定による改正後の結核予防法の適用については、新法の規定による保険者とみなし、その被保険者は、新法の規定による被保険者とみなす。


 (日雇労働者健康保険法の一部改正)

第六十二条 日雇労働者健康保険法の一部を次のように改正する。

  第十八条第四項中「療養の給付又は」を削り、「若しくは出産手当金」を「又は出産手当金」に、「国民健康保険法(昭和十三年法律第六十号)」を「国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)」に改める。


 (日雇労働者健康保険法の一部改正に伴う経過措置)

第六十三条 新法の施行前に旧法の規定によつて日雇労働者健康保険法の規定による療養の給付又は埋葬料若しくは分べん費の支給に相当する給付があつた疾病、負傷、死亡又は分べんについての同法の規定による療養の給付又は埋葬料若しくは分べん費の支給については、なお従前の例による。


 (町村合併促進法の一部改正)

第六十四条 町村合併促進法の一部を次のように改正する。

  第十八条第一項中「同法第八条ノ十三第一項及び第八条ノ十五第一項本文」を「国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)第五条」に、「町村合併後五箇年以内の期間に限り」を「昭和三十六年三月三十一日までの間において町村合併後五箇年以内に限り」に、「区域内の世帯主及びその世帯に属する者」を「区域内に住所を有する者」に改め、同条第五項中「国民健康保険法の適用については、」及び「同法第八条ノ十三第一項の規定により」を削り、同条第六項中「第八条ノ十五第一項本文」を「第五条」に、「区域内の世帯主及びその世帯に属する者」を「区域内に住所を有する者」に改め、同条第七項を削る。


 (租税特別措置法の一部改正)

第六十五条 租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)の一部を次のように改正する。

  第二十六条第一項第一号中「国民健康保険法(昭和十三年法律第六十号)」を「国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)」に改める。


 (租税特別措置法の一部改正に伴う経過措置)

第六十六条 医業若しくは歯科医業を営む個人又は医療法人が旧法の規定による療養の給付につき支払を受けるべき金額については、なお従前の例による。

   第十一章 雑則


 (従前の行為及び手続)

第六十七条 この法律に別段の規定があるものを除くほか、旧法の規定に基いてした保険給付、審査の請求その他の行為又は手続で、新法に相当規定があるものは、新法の当該相当規定に基いてした行為又は手続とみなす。


 (従前の行為に対する罰則の適用)

第六十八条 新法の施行前にした違反行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。


 (特別区)

第六十九条 この法律において「市町村」には、特別区を含むものとする。


 (新法及びこの法律の施行のために必要な行為)

第七十条 新法及びこの法律を施行するために必要な条例又は規約の制定又は改正、新法第四十五条第三項の規定による別段の定の設定及びその認可、新法第八十八条の規定による国民健康保険診療報酬審査委員会の委員の委嘱の手続その他の行為は、新法の施行前においても、行うことができる。


 (政令への委任)

第七十一条 この法律に規定するもののほか、新法の施行に関して必要な事項は、政令で定める。


   附 則

 この法律は、新法の施行の日(昭和三十四年一月一日)から施行する。ただし、第七十条の規定は、公布の日から施行し、第五十二条の規定は、昭和三十三年十月一日から適用する。

(内閣総理・大蔵・厚生大臣署名) 

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