海洋水産資源開発促進法の一部を改正する法律

法律第六十八号(平二・六・二九)

 海洋水産資源開発促進法(昭和四十六年法律第六十号)の一部を次のように改正する。 目次中「開発を」を「開発及び利用の合理化を」に、「第三章 沿岸海域における海洋水産資源の開発等(第五条―第十二条)」を

第三章 沿岸海域における海洋水産資源の開発等(第五条―第十二条)

 
 

第三章の二 海洋水産資源の自主的な管理に関する協定(第十二条の二―第十二条の七)

 に改める。

 第一条中「措置」の下に「並びに漁業者団体等による海洋水産資源の自主的な管理を促進するための措置」を加え、「開発を」を「開発及び利用の合理化を」に、「行なう」を「行う」に改める。

 第二条に次の一項を加える。

2 この法律において「海洋水産資源の利用の合理化」とは、水産動植物の採捕の方法、 期間等を適切にすることにより海洋における安定的な漁業生産を確保することをいう。 「第二章 海洋水産資源の開発を図るための基本方針」を「第二章 海洋水産資源の開発及び利用の合理化を図るための基本方針」に改める。

 第三条の見出し中「開発」の下に「及び利用の合理化」を加え、同条第一項中「の開発」の下に「及び海洋水産資源の利用の合理化(以下「海洋水産資源の開発及び利用の合理化」という。)」を加え、「開発基本方針」を「基本方針」に改め、同条第二項中「開発基本方針」を「基本方針」に改め、同項第三号中「開発」の下に「及び利用の合理化」を加え、同号を同項第五号とし、同項第二号の次に次の二号を加える。

 三 海洋水産資源の自主的な管理の促進に関する次の事項

  イ 漁業者団体等(漁業を営む者又はその団体をいう。以下同じ。)による海洋水産資源の自主的な管理の適切かつ有効な実施を図るための海洋水産資源の管理の対象、方法及び期間に関する基本的な指針

  ロ 漁業者団体等による海洋水産資源の自主的な管理を促進するために必要な国の関係行政機関が行う調査の課題及び方法に関する基本的な事項

 四 海洋の漁場における新漁業生産方式の企業化の促進に関する事項

 第三条第三項及び第四項中「開発基本方針」を「基本方針」に改め、同条第五項中「開発基本方針」を「基本方針」に、「きかなければ」を「聴かなければ」に改め、同条第六項中「開発基本方針」を「基本方針」に改める。

 第四条(見出しを含む。)、第五条第一項及び第七条第二項中「開発基本方針」を「基本方針」に改める。

 第三章の次に次の一章を加える。

   第三章の二 海洋水産資源の自主的な管理に関する協定

 (資源管理協定の締結)

第十二条の二 漁業者団体等は、一定の海域において海洋水産資源の利用の合理化を図るため、当該海域における海洋水産資源の自主的な管理に関する協定(以下「資源管理協定」という。)を締結し、当該資源管理協定が適当である旨の行政庁の認定を受けることができる。

2 資源管理協定においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

 一 資源管理協定の対象となる海域並びに海洋水産資源及び漁業の種類

 二 海洋水産資源の管理の方法

 三 資源管理協定の有効期間

 四 資源管理協定に違反した場合の措置

 五 その他農林水産省令で定める事項

 (資源管理協定の認定等)

第十二条の三 行政庁は、前条第一項の認定の申請が次の各号のすべてに該当するときは、同項の認定をするものとする。

 一 前条第二項第一号から第三号までに掲げる事項が基本方針において定められた第三条第二項第三号イの指針に適合するものであること。

 二 資源管理協定の内容が不当に差別的でないこと。

 三 資源管理協定の内容がこの法律及びこの法律に基づく命令その他関係法令に違反するものでないこと。

 四 その他政令で定める基準

2 前項に規定するもののほか、資源管理協定の認定(資源管理協定の変更の認定を含む。)及びその取消し並びに資源管理協定の廃止に関し必要な事項は、政令で定める。

 (認定資源管理協定への参加のあつせん)

第十二条の四 第十二条の二第一項の認定を受けた資源管理協定(以下「認定資源管理協定」という。)に参加している漁業者団体等は、認定資源管理協定の対象となる海域において認定資源管理協定の対象となる種類の海洋水産資源を利用する漁業を営む者(認定資源管理協定の対象となる種類の漁業により利用するものに限る。以下「特定漁業者」という。)又はその団体であつて認定資源管理協定に参加していないものに対し認定資源管理協定を示して参加を求めた場合においてその参加を承諾しない者があるときは、農林水産省令で定めるところにより、行政庁に対し、その者の承諾を得るために必要なあつせんをすべきことを求めることができる。

2 行政庁は、前項の規定による申請があつた場合において、認定資源管理協定に参加していない者の認定資源管理協定への参加が前条第一項の規定に照らして相当であり、かつ、認定資源管理協定の内容からみてその者に対し参加を求めることが特に必要であると認めるときは、あつせんをするものとする。

 (水産業協同組合法の特例)

第十二条の五 認定資源管理協定に参加している漁業協同組合が認定資源管理協定の内容を遵守させるために、総会(総代会を含む。)で次の各号に掲げる事項の議決を行おうとする場合において、当該各号に掲げる者の三分の二以上の書面による同意を農林水産省令で定めるところにより得ているときは、水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号)第五十条(同法第五十二条第六項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定にかかわらず、同法第五十条の規定による議決によることを要しないものとする。

 一 特定漁業者たる組合員(以下「特定組合員」という。)が第十二条の二第二項第二号に掲げる事項の内容に違反した場合に当該特定組合員に対し過怠金を課するために必要な定款の変更 特定組合員

 二 第十二条の二第二項第二号に掲げる事項の内容に適合するように行う漁業権行使規則又は入漁権行使規則(漁業法(昭和二十四年法律第二百六十七号)第八条第一項の漁業権行使規則又は入漁権行使規則をいう。)の変更(同項に規定する漁業を営む権利を有する者の資格に関する事項の変更を除く。次項第二号において同じ。) 特定組合員であつて当該漁業権又は入漁権の内容たる漁業を営む権利を有するもの

2 認定資源管理協定に参加している漁業協同組合連合会が認定資源管理協定の内容を遵守させるために、総会(総代会を含む。)で次の各号に掲げる事項の議決を行おうとする場合において、当該各号に掲げる者のすべての同意を農林水産省令で定めるところにより得ているときは、水産業協同組合法第九十二条第三項において準用する同法第五十条(同法第九十二条第三項において準用する同法第五十二条第六項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定にかかわらず、同法第九十二条第三項において準用する同法第五十条の規定による議決によることを要しないものとする。

 一 会員たる漁業協同組合の特定組合員及び会員たる漁業協同組合又は漁業生産組合で特定漁業者であるもの(以下「漁業自営組合」という。)が第十二条の二第二項第二号に掲げる事項の内容に違反した場合に当該特定組合員を直接若しくは間接の構成員とする漁業協同組合(以下「特定組合員所属組合」という。)又は当該漁業自営組合に対し過怠金を課するために必要な定款の変更 特定組合員所属組合及び漁業自営組合

 二 第十二条の二第二項第二号に掲げる事項の内容に適合するように行う前項第二号に規定する漁業権行使規則又は入漁権行使規則の変更 当該漁業権又は入漁権の内容たる漁業を営む権利を有する者を直接又は間接の構成員とする会員たる漁業協同組合

3 第一項の規定は、認定資源管理協定に参加している漁業協同組合連合会の特定組合員所属組合について準用する。

 (漁業法等による措置)

第十二条の六 認定資源管理協定に参加している漁業者団体等は、認定資源管理協定に参加している漁業を営む者(認定資源管理協定に参加している団体の直接又は間接の構成員となつている特定漁業者を含む。)の数が認定資源管理協定の対象となる海域において認定資源管理協定の対象となる海洋水産資源を利用する漁業を営む者のすべての数の三分の二以上であつて農林水産省令で定める割合を超えていることその他の農林水産省令で定める基準に該当するときは、農林水産省令で定めるところにより、農林水産大臣又は都道府県知事に対し、認定資源管理協定の対象となる海域における海洋水産資源の利用の合理化を図るための措置であつて認定資源管理協定の目的を達成するために必要なものを講ずべきことを求めることができる。

2 農林水産大臣又は都道府県知事は、前項の規定による申出があつた場合において、漁業調整、水産資源の保護培養その他公益のために必要があると認めるときは、その申出の内容を勘案して、漁業法第三十四条第一項(同法第六十三条において読み替えて準用する場合を含む。)若しくは第三項、第六十五条第一項若しくは第六十六条第一項又は水産資源保護法(昭和二十六年法律第三百十三号)第四条第一項の規定による水産動植物の採捕の制限等の措置その他の適切な措置を講ずるものとする。

3 都道府県知事は、第一項に規定する申出に基づき漁業法第三十四条第三項の規定を適用しようとするときは、同項に規定する海区漁業調整委員会の申請によらず、漁業権に制限又は条件を付けることができる。この場合においては、同条第二項及び第四項の規定を準用する。

 (行政庁)

第十二条の七 この章の規定中「行政庁」とあるのは、資源管理協定の対象となる海域が一の都道府県知事の管轄に属し、かつ、当該資源管理協定の対象となる漁業の種類に漁業法第五十二条第一項に規定する指定漁業又は同法第六十五条第一項若しくは水産資源保護法第四条第一項の規定に基づく省令の規定により農林水産大臣の許可その他の処分を要する漁業が含まれない場合については当該海域を管轄する都道府県知事、その他の場合については農林水産大臣とする。

2 前項の規定による農林水産大臣の権限は、政令で定めるところにより、その一部を都道府県知事に委任することができる。

 第十三条中「の開発」の下に「及び利用の合理化」を加え、「行なう」を「行う」に改める。

 第二十二条第一項中「の開発」の下に「及び利用の合理化」を加える。

 第二十四条中「行なわれ」を「行われ」に改め、「開発」の下に「及び利用の合理化」を加える。

 第三十二条第三項中「開発」の下に「及び利用の合理化」を加える。

 第三十五条第一項中「行なう」を「行う」に改め、同項第一号の次に次の二号を加える。

 一の二 海洋の漁場における新漁業生産方式であつて漁業者団体等のみではその企業化を図ることが著しく困難なものの企業化のための調査を行うこと。

 一の三 海洋の漁場の生産力の増進又は利用の合理化を図るための水産動植物の生育環境、漁業を営む者による利用状況その他の海洋の漁場の自然的経済的条件の現状及びその改善の可能性に関する総合的な調査を行うこと。

 第三十五条第一項第二号中「開発」の下に「及び利用の合理化」を加え、同項第三号中「前二号」を「前各号」に改め、同項第四号中「前三号」を「前各号」に改め、同条第二項中「ほか」の下に「、同項の業務の遂行に支障のない範囲内で」を加え、「海洋水産資源に関する生物学的調査を行なう」を「海洋生物資源の合理的な保存、管理及び利用のために必要な調査並びにこれらの調査を行う者の養成及び確保を行う」に改める。

 第五十四条及び第五十五条中「三万円」を「十万円」に改める。

 第五十六条中「三万円」を「十万円」に改め、同条第三号中「行なつた」を「行つた」に改める。

 第五十七条中「一万円」を「五万円」に改める。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、目次の改正規定(「開発を」を「開発及び利用の合理化を」に改める部分を除く。)、第一条の改正規定(「措置」の下に「並びに漁業者団体等による海洋水産資源の自主的な管理を促進するための措置」を加える部分に限る。)、第三条第二項第三号を同項第五号とし、同項第二号の次に二号を加える改正規定(第三号に係る部分に限る。)及び第三章の次に一章を加える改正規定は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (経過規定)

第二条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(農林水産・内閣総理大臣署名) 

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