消防法及び石油コンビナート等災害防止法の一部を改正する法律

法律第六十五号(平一六・六・二)

 (消防法の一部改正)

第一条 消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)の一部を次のように改正する。

  第九条の三に次の一項を加える。

   指定数量未満の危険物及び指定可燃物その他指定可燃物に類する物品を貯蔵し、又は取り扱う場所の位置、構造及び設備の技術上の基準(第十七条第一項の消防用設備等の技術上の基準を除く。)は、市町村条例で定める。

  第九条の三を第九条の四とし、第九条の二を第九条の三とし、第九条の次に次の一条を加える。

 第九条の二 住宅の用途に供される防火対象物(その一部が住宅の用途以外の用途に供される防火対象物にあつては、住宅の用途以外の用途に供される部分を除く。以下この条において「住宅」という。)の関係者は、次項の規定による住宅用防災機器(住宅における火災の予防に資する機械器具又は設備であつて政令で定めるものをいう。以下この条において同じ。)の設置及び維持に関する基準に従つて、住宅用防災機器を設置し、及び維持しなければならない。

   住宅用防災機器の設置及び維持に関する基準その他住宅における火災の予防のために必要な事項は、政令で定める基準に従い市町村条例で定める。

  第四十二条第一項に次の一号を加える。

  八 第二十五条第三項(第三十条の二及び第三十六条において準用する場合を含む。)の規定による情報の提供を求められて、正当な理由がなく情報の提供をせず、又は虚偽の情報を提供した者

  第四十四条第六号中「第九条の二第一項」を「第九条の三第一項」に改める。

  第四十六条中「第九条の三」を「第九条の四」に改める。

 (石油コンビナート等災害防止法の一部改正)

第二条 石油コンビナート等災害防止法(昭和五十年法律第八十四号)の一部を次のように改正する。

  第十六条第二項中「業務を」を「業務(以下「防災業務」という。)を」に改め、同条第四項中「化学消防自動車」の下に「、泡放水砲」を加え、同条第六項中「事務所の長」の下に「(以下「関係管区海上保安本部の事務所の長」という。)」を加える。

  第十七条中第六項を第七項とし、第五項を第六項とし、第四項の次に次の一項を加える。

 5 特定事業者は、その選任した防災管理者(第一種事業者にあつては、副防災管理者を含む。)に対し、特定事業所における災害の発生又は拡大を防止するため、防災業務に関する能力の向上に資する研修の機会を与えるように努めなければならない。

  第十八条第一項中「第十六条第二項の規定による業務」を「防災業務」に改め、同条第二項中「前項」を「第一項」に改め、同項を同条第四項とし、同条第一項の次に次の二項を加える。

 2 市町村長等は、災害の発生又は拡大を防止するため必要があると認めるときは、特定事業者に対し、期間を定めて、前項の防災規程の変更を命ずることができる。

 3 市町村長等は、前項の規定による命令に違反した特定事業者に対し、期間を定めて、当該命令に係る特定事業所の施設の全部又は一部の使用の停止を命ずることができる。

  第十九条第五項中「準用する。」を「、前条第三項の規定は前項の規定による命令に違反した特定事業者について準用する。この場合において、前条第三項中「前項」とあるのは、「次条第五項」と読み替えるものとする。」に改め、同項を同条第六項とし、同条第四項の次に次の一項を加える。

 5 市町村長等は、災害の発生又は拡大を防止するため必要があると認めるときは、第一項の特定事業者に対し、期間を定めて、第二項の共同防災規程の変更を命ずることができる。

  第十九条の次に次の一条を加える。

  (広域共同防災組織)

 第十九条の二 二以上の特別防災区域にわたる区域であつて、地理的条件、交通事情、災害の発生のおそれ、特定事業所の集中度その他の事情を勘案して政令で定めるものに所在する特定事業所に係る特定事業者の全部又は一部は、共同して、これらの特定事業所の自衛防災組織の業務のうち政令で定めるものを行わせるための広域的な共同防災組織(以下「広域共同防災組織」という。)を設置することができる。

 2 主務大臣は、前項の区域を定める政令の制定又は改正の立案をしようとするときは、関係都道府県知事及び関係市町村長の意見を聴かなければならない。

 3 第一項の特定事業者は、主務省令で定めるところにより、その協議により、広域共同防災組織が行うべき業務に関する事項並びに防災要員及び防災資機材等に関する事項について広域共同防災規程を定めなければならない。

 4 第一項の特定事業者を代表する者は、広域共同防災組織を設置したときは、主務省令で定めるところにより、その防災要員の数、備え付けた防災資機材等の種類別の数量、前項の広域共同防災規程その他の事項を都道府県知事(当該広域共同防災組織に係る特定事業所が所在する区域が二以上の都道府県の区域にわたる場合にあつては、主務大臣。以下この条において「都道府県知事等」という。)に届け出なければならない。届け出られた事項に変更があつたときも、同様とする。

 5 都道府県知事等は、前項の規定による届出があつたときは、遅滞なく、当該届出の内容を関係管区海上保安本部の事務所の長及び関係市町村長(広域共同防災組織に係る特定事業所が所在する区域が二以上の都道府県の区域にわたる場合にあつては、関係都道府県知事を含む。第七項において同じ。)に通知しなければならない。

 6 都道府県知事等は、災害の発生又は拡大を防止するため必要があると認めるときは、第一項の特定事業者に対し、期間を定めて、第三項の広域共同防災規程の変更を命ずることができる。

 7 都道府県知事等は、前項の規定により変更を命ずるとき及び次項において準用する第十八条第三項の規定により停止を命ずるときは、あらかじめ、関係市町村長に協議しなければならない。

 8 第十六条第二項の規定は広域共同防災組織について、第十八条第三項の規定は第六項の規定による命令に違反した特定事業者について、前条第四項の規定は広域共同防災組織を設置している特定事業者について準用する。この場合において、第十八条第三項中「市町村長等」とあるのは「都道府県知事等」と、「前項」とあるのは「第十九条の二第六項」と読み替えるものとする。

  第二十条の次に次の一条を加える。

  (定期報告)

 第二十条の二 特定事業者は、一年を下らない主務省令で定める期間ごとに、主務省令で定めるところにより、防災業務の実施の状況について市町村長等に報告しなければならない。

  第二十一条第一項第三号中「第十九条第四項」の下に「(第十九条の二第八項において準用する場合を含む。)」を加え、同条第二項を次のように改める。

 2 市町村長等は、前項の規定によるほか、特定事業者の防災業務の適正な運営を確保するために特に必要があると認めるときは、必要な限度において、当該特定事業者に対し、期間を定めて、防災業務の運営の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

  第二十一条に次の一項を加える。

 3 第十八条第三項の規定は、前二項の規定による命令に違反した特定事業者について準用する。この場合において、第十八条第三項中「前項」とあるのは、「第二十一条第一項又は第二項」と読み替えるものとする。

  第二十四条第一項中「共同防災規程」の下に「、広域共同防災規程」を加え、「及び共同防災組織」を「、共同防災組織及び広域共同防災組織」に改め、同条の次に次の一条を加える。

  (情報提供の要求)

 第二十四条の二 災害の現場においては、市町村長(特別区の存する区域においては、都知事。次条において同じ。)又はその委任を受けた市町村(特別区の存する区域においては、都。次条において同じ。)の吏員は、特定事業所においてその事業の実施を統括管理する者に対して、当該特定事業所の構造、救助を要する者の存否その他災害の発生若しくは拡大の防止又は人命の救助のため必要な事項について、情報の提供を求めることができる。

  第二十五条第一項中「(特別区の存する区域においては、都知事。次項において同じ。)」を削り、「第十六条第六項に規定する政令で定める管区海上保安本部」を「関係管区海上保安本部」に、「又は共同防災組織」を「、共同防災組織又は広域共同防災組織」に改め、同条第二項中「(特別区の存する区域においては、都)の吏員及び同項に規定する」を「の吏員及び」に、「管区海上保安本部」を「関係管区海上保安本部」に改める。

  第二十七条第三項第六号中「除く。)」の下に「との連絡を行い、」を加え、「連絡」を「連絡調整」に改める。

  第二十八条中第八項を第九項とし、第七項の次に次の一項を加える。

 8 本部長は、特別防災区域において発生した災害の応急対策の実施について必要があると認めるときは、消防庁長官に対し、専門的知識を有する職員を防災本部に派遣するよう要請することができる。この場合において、消防庁長官は、適任と認める職員を派遣しなければならない。

  第三十一条第二項第九号中「及び共同防災組織」を「、共同防災組織及び広域共同防災組織」に改め、同条中第三項を第四項とし、第二項の次に次の一項を加える。

 3 防災本部及びその協議会は、第一項の規定により防災計画を作成し、又は修正しようとするときは、災害の発生のおそれ及び災害による影響について科学的知見に基づく調査、予測及び評価を行うとともに、これらの結果に関して、防災計画の的確かつ円滑な実施の推進に関する関係特定事業者の理解と協力を得るため、啓発活動及び広報活動を行うよう努めるものとする。

  第四十六条第一項第一号中「第三十一条第三項」を「第三十一条第四項」に改め、同項中第三号を削り、第二号を第三号とし、第一号の次に次の一号を加える。

  二 第十九条の二第二項の規定による意見の聴取、同条第四項の規定による届出の受理、同条第五項の規定による通知、同条第六項若しくは同条第八項において準用する第十八条第三項の規定による命令、第十九条の二第七項の規定による協議又は第三十六条第二項の規定による指定に関する事項については、総務大臣

  第四十六条第二項第一号中「第十七条第五項若しくは」を「第十七条第六項、」に、「の規定による届出、」を「若しくは第十九条の二第四項の規定による届出、」に、「若しくは第十九条第二項の防災規程若しくは共同防災規程」を「の防災規程、第十九条第二項の共同防災規程」に、「又は」を「、第十九条の二第三項の広域共同防災規程又は」に、「第四十一条第一項」を「第二十条の二若しくは第四十一条第一項」に改める。

  第四十九条中「五十万円」を「百万円」に改め、同条第三号中「第二十一条第二項」を「第十八条第三項(第十九条第六項、第十九条の二第八項又は第二十一条第三項において準用する場合を含む。)」に改め、同条に次の一号を加える。

  四 第二十四条の二の規定による情報の提供を求められて、正当な理由がなく情報の提供をせず、又は虚偽の情報を提供した者

  第五十条中「三十万円」を「五十万円」に改め、同条第三号中「第二十一条第一項」を「第十八条第二項、第十九条第五項、第十九条の二第六項又は第二十一条第一項若しくは第二項」に改める。

  第五十一条中「十万円」を「三十万円」に改め、同条第二号中「第十七条第五項」を「第十七条第六項」に改め、同条中第四号を削り、第三号を第四号とし、第二号の次に次の一号を加える。

  三 第二十条の二又は第三十九条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

 一 第一条中消防法第九条の三に一項を加える改正規定並びに第二条中石油コンビナート等災害防止法第十六条第四項の改正規定、同法第十九条の次に一条を加える改正規定、同法第二十一条第一項第三号及び第二十四条第一項の改正規定、同法第二十五条第一項の改正規定(「又は共同防災組織」を「、共同防災組織又は広域共同防災組織」に改める部分に限る。)、同法第二十七条第三項第六号及び第三十一条第二項第九号の改正規定、同法第四十六条第一項中第三号を削り、第二号を第三号とし、第一号の次に一号を加える改正規定、同法第四十六条第二項第一号の改正規定(「の規定による届出、」を「若しくは第十九条の二第四項の規定による届出、」に改める部分及び「又は」を「、第十九条の二第三項の広域共同防災規程又は」に改める部分に限る。)、同法第四十九条第三号の改正規定(同法第十九条の二第八項において準用する第十八条第三項に係る部分に限る。)並びに同法第五十条第三号の改正規定(同法第十九条の二第六項に係る部分に限る。) 公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日

 二 第一条中消防法第九条の三を同法第九条の四とし、同法第九条の二を同法第九条の三とし、同法第九条の次に一条を加える改正規定、同法第四十四条及び第四十六条の改正規定並びに次条の規定 公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日

 (住宅用防災機器に関する経過措置)

第二条 前条第二号に掲げる規定の施行の際、現に存する改正後の消防法第九条の二第一項に規定する住宅(以下この条において「住宅」という。)における同項に規定する住宅用防災機器(以下この条において「住宅用防災機器」という。)又は現に新築、増築、改築、移転、修繕若しくは模様替えの工事中の住宅に係る住宅用防災機器が同条第二項の規定による住宅用防災機器の設置及び維持に関する基準に適合しないときは、当該住宅用防災機器については、市町村(特別区の存する区域においては、都)の条例で定める日までの間、同条第一項の規定は、適用しない。

 (罰則に関する経過措置)

第三条 この法律(附則第一条各号に掲げる規定については、当該規定)の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 (経過措置の政令への委任)

第四条 前二条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。

(総務・経済産業・内閣総理大臣署名) 

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