独立行政法人国際交流基金法
法律第百三十七号(平一四・一二・六)
目次
第一章 総則(第一条―第六条)
第二章 役員及び職員(第七条―第十一条)
第三章 業務等(第十二条―第十六条)
第四章 雑則(第十七条―第二十一条)
第五章 罰則(第二十二条―第二十四条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、独立行政法人国際交流基金の名称、目的、業務の範囲等に関する事項を定めることを目的とする。
(名称)
第二条 この法律及び独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号。以下「通則法」という。)の定めるところにより設立される通則法第二条第一項に規定する独立行政法人の名称は、独立行政法人国際交流基金とする。
(基金の目的)
第三条 独立行政法人国際交流基金(以下「基金」という。)は、国際文化交流事業を総合的かつ効率的に行うことにより、我が国に対する諸外国の理解を深め、国際相互理解を増進し、及び文化その他の分野において世界に貢献し、もって良好な国際環境の整備並びに我が国の調和ある対外関係の維持及び発展に寄与することを目的とする。
(事務所)
第四条 基金は、主たる事務所を東京都に置く。
(資本金)
第五条 基金の資本金は、附則第三条第六項の規定により政府から出資があったものとされた金額とする。
2 政府は、必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、基金に追加して出資することができる。
3 政府は、必要があると認めるときは、前項の規定にかかわらず、土地又は建物その他の土地の定着物(第五項において「土地等」という。)を出資の目的として、基金に追加して出資することができる。
4 基金は、前二項の規定による政府の出資があったときは、その出資額により資本金を増加するものとする。
5 第三項の規定により出資の目的とする土地等の価額は、出資の日現在における時価を基準として評価委員の評価した価額とする。
6 前項に規定する評価委員その他同項の評価に関し必要な事項は、政令で定める。
(名称の使用制限)
第六条 基金でない者は、国際交流基金という名称を用いてはならない。
第二章 役員及び職員
(役員)
第七条 基金に、役員として、その長である理事長及び監事二人を置く。
2 基金に、役員として、理事三人以内を置くことができる。
(理事の職務及び権限等)
第八条 理事は、理事長の定めるところにより、理事長を補佐して基金の業務を掌理する。
2 通則法第十九条第二項の個別法で定める役員は、理事とする。ただし、理事が置かれていないときは、監事とする。
3 前項ただし書の場合において、通則法第十九条第二項の規定により理事長の職務を代理し又はその職務を行う監事は、その間、監事の職務を行ってはならない。
(役員の任期)
第九条 理事長及び理事の任期は四年とし、監事の任期は二年とする。
(役員及び職員の秘密保持義務)
第十条 基金の役員及び職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。
(役員及び職員の地位)
第十一条 基金の役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
第三章 業務等
(業務の範囲)
第十二条 基金は、第三条の目的を達成するため、次の業務を行う。
一 国際文化交流の目的をもって行う人物の派遣及び招へい
二 海外における日本研究に対する援助及びあっせん並びに日本語の普及
三 国際文化交流を目的とする催しの実施、援助及びあっせん並びにこれへの参加
四 日本文化を海外に紹介するための資料その他国際文化交流に必要な資料の作成、収集、交換及び頒布
五 国際文化交流を目的とする施設の整備に対する援助並びに国際文化交流のために用いられる物品の購入に関する援助及びこれらの物品の贈与(基金が寄附を受けた物品の贈与に限る。)
六 国際文化交流を行うために必要な調査及び研究
七 前各号の業務に附帯する業務
(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律の準用)
第十三条 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和三十年法律第百七十九号)の規定(罰則を含む。)は、前条第二号、第三号及び第五号の規定により基金が交付する助成金(政府以外の者からの寄附金のみを財源とするものを除く。)について準用する。この場合において、同法(第二条第七項を除く。)中「各省各庁」とあるのは「独立行政法人国際交流基金」と、「各省各庁の長」とあるのは「独立行政法人国際交流基金の理事長」と、同法第二条第一項及び第四項、第七条第二項、第十九条第一項及び第二項、第二十四条並びに第三十三条中「国」とあるのは「独立行政法人国際交流基金」と、同法第十四条中「国の会計年度」とあるのは「独立行政法人国際交流基金の事業年度」と読み替えるものとする。
(積立金の処分)
第十四条 基金は、通則法第二十九条第二項第一号に規定する中期目標の期間(以下この項において「中期目標の期間」という。)の最後の事業年度に係る通則法第四十四条第一項又は第二項の規定による整理を行った後、同条第一項の規定による積立金があるときは、その額に相当する金額のうち外務大臣の承認を受けた金額を、当該中期目標の期間の次の中期目標の期間に係る通則法第三十条第一項の認可を受けた中期計画(同項後段の規定による変更の認可を受けたときは、その変更後のもの)の定めるところにより、当該次の中期目標の期間における第十二条に規定する業務の財源に充てることができる。
2 外務大臣は、前項の規定による承認をしようとするときは、あらかじめ、外務省の独立行政法人評価委員会の意見を聴かなければならない。
3 基金は、第一項に規定する積立金の額に相当する金額から同項の規定による承認を受けた金額を控除してなお残余があるときは、その残余の額を国庫に納付しなければならない。
4 前三項に定めるもののほか、納付金の納付の手続その他積立金の処分に関し必要な事項は、政令で定める。
(運用資金)
第十五条 基金は、業務の運営に必要な財源をその運用によって得るために運用資金を設け、附則第三条第六項後段の規定により外務大臣が示した金額及び第五条第二項の規定により政府が出資した金額並びに運用資金に充てることを条件として政府以外の者から出えんされた金額の合計額に相当する金額をもってこれに充てるものとする。
2 前項の運用資金(以下「運用資金」という。)は、政令で定める場合を除くほか、取り崩してはならない。
(運用資金の運用)
第十六条 通則法第四十七条及び第六十七条(第四号に係る部分に限る。)の規定は、運用資金の運用について準用する。この場合において、通則法第四十七条第三号中「金銭信託」とあるのは、「金銭信託で元本補てんの契約があるもの」と読み替えるものとする。
2 前項の規定にかかわらず、基金は、支払が外国通貨で行われる事業の実施に必要な経費の財源を得ようとするときは、外貨建債券(外国通貨で表示される債券をいう。次項及び第十八条第二号において同じ。)の取得により運用資金を運用することができる。
3 前項の場合において、外貨建債券の種類、外貨建債券の取得により運用することができる運用資金の限度額その他外貨建債券に関する事項については、外務大臣の定めるところによるものとする。
第四章 雑則
(緊急の必要がある場合の外務大臣の要求)
第十七条 外務大臣は、国際情勢の急激な変化により又は外国政府若しくは国際機関(国際会議その他国際協調の枠組みを含む。)の要請等を受けて、外交政策の遂行上緊急の必要があると認めるときは、基金に対し、第十二条に規定する業務又は基金の外国にある事務所について必要な措置をとることを求めることができる。
2 基金は、外務大臣から前項の規定による求めがあったときは、正当な理由がない限り、その求めに応じなければならない。
(財務大臣との協議)
第十八条 外務大臣は、次の場合には、財務大臣に協議しなければならない。
一 第十四条第一項の規定による承認をしようとするとき。
二 第十六条第三項の規定により外貨建債券に関する事項を定めようとするとき。
(主務大臣等)
第十九条 基金に係る通則法における主務大臣、主務省及び主務省令は、それぞれ外務大臣、外務省及び外務省令とする。
(国家公務員宿舎法の適用除外)
第二十条 国家公務員宿舎法(昭和二十四年法律第百十七号)の規定は、基金の役員及び職員には適用しない。
(国家公務員共済組合法の適用に関する特例)
第二十一条 基金の役員及び職員は、国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)の規定の適用については、同法第二条第一項第一号に規定する職員には該当しないものとする。この場合において必要な事項は、政令で定める。
第五章 罰則
第二十二条 第十条の規定に違反して秘密を漏らした者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
第二十三条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした基金の役員は、二十万円以下の過料に処する。
一 第十二条に規定する業務以外の業務を行ったとき。
二 第十四条第一項の規定により外務大臣の承認を受けなければならない場合において、その承認を受けなかったとき。
三 第十五条第二項の規定に違反して運用資金を取り崩したとき。
四 第十六条第一項において準用する通則法第四十七条の規定に違反して運用資金を運用したとき。
五 第十六条第三項の規定により外務大臣が定めた事項に違反して運用資金を運用したとき。
第二十四条 第六条の規定に違反した者は、十万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
第一条この法律は、公布の日から施行する。ただし、第六条及び第二十四条並びに附則第五条から第七条まで及び第九条から第十一条までの規定は、平成十五年十月一日から施行する。
(持分の払戻し)
第二条 国際交流基金は、国際交流基金法(昭和四十七年法律第四十八号)第五条第一項の規定にかかわらず、国際交流基金の解散の日の前日までに、国際交流基金に出資した政府以外の者に対し、当該持分に係る出資額に相当する金額により持分の払戻しをするものとする。この場合において、国際交流基金は、その払戻しをした金額により資本金を減少するものとする。
(国際交流基金の解散等)
第三条 国際交流基金(以下この条において「旧基金」という。)は、基金の成立の時において解散するものとし、その一切の権利及び義務は、次項の規定により国が承継する資産を除き、その時において基金が承継する。
2 基金の成立の際現に旧基金が有する権利のうち、基金がその業務を確実に実施するために必要な資産以外の資産は、基金の成立の時において国が承継する。
3 前項の規定により国が承継する資産の範囲その他当該資産の国への承継に関し必要な事項は、政令で定める。
4 旧基金の平成十五年四月一日に始まる事業年度は、旧基金の解散の日の前日に終わるものとする。
5 旧基金の平成十五年四月一日に始まる事業年度に係る決算並びに財産目録、貸借対照表及び損益計算書については、なお従前の例による。
6 第一項の規定により基金が旧基金の権利及び義務を承継したときは、その承継の際、基金が承継する資産の価額(政府以外の者から旧基金に出えんされた金額のうち外務大臣が財務大臣と協議して定める金額及び基金の最初の中期目標の期間における業務の財源に充てる金額として外務大臣が財務大臣と協議して定める金額を除く。)から負債の金額を差し引いた額は、政府から基金に出資されたものとする。この場合において、外務大臣は、財務大臣と協議の上、当該出資のうち、第十五条に規定する運用資金に充てるべきものの金額を示すものとする。
7 前項の資産の価額は、基金の成立の日現在における時価を基準として評価委員が評価した価額とする。
8 前項の評価委員その他評価に関し必要な事項は、政令で定める。
9 旧基金の解散については、国際交流基金法第三十九条第一項の規定による残余財産の分配は、行わない。
10 第一項の規定により旧基金が解散した場合における解散の登記については、政令で定める。
(国有財産の無償使用)
第四条 外務大臣は、基金の成立の日の前日において現に外務省設置法(平成十一年法律第九十四号)第四条第一号ニ及び第十六号に掲げる事務の用に供されている国有財産であって政令で定めるものを、政令で定めるところにより、基金の用に供するため、基金に無償で使用させることができる。
(国際交流基金法の廃止)
第五条 国際交流基金法は、廃止する。
(国際交流基金法の廃止に伴う経過措置)
第六条 前条の規定の施行前に国際交流基金法(第十二条を除く。)の規定によりした処分、手続その他の行為は、通則法又はこの法律の相当する規定によりした処分、手続その他の行為とみなす。
第七条 附則第五条の規定の施行前にした行為及び附則第三条第五項の規定によりなお従前の例によることとされる事項に係るこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(政令への委任)
第八条 附則第二条から第四条まで及び前二条に定めるもののほか、基金の設立に伴い必要な経過措置その他この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
(独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律の一部改正)
第九条 独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成十三年法律第百四十号)の一部を次のように改正する。
別表第一国際交流基金の項を削る。
(沖縄振興特別措置法の一部改正)
第十条 沖縄振興特別措置法(平成十四年法律第十四号)の一部を次のように改正する。
第八十八条中「国際交流基金」を「独立行政法人国際交流基金」に改める。
(独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律の一部改正)
第十一条 独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十四年法律第 号)の一部を次のように改正する。
別表国際交流基金の項を削る。
(内閣総理・総務・外務・財務大臣署名)