農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律

法律第百二十九号(平九・一二・一九)

 農水産業協同組合貯金保険法(昭和四十八年法律第五十三号)の一部を次のように改正する。

 第六十条第二項第五号中「当該担保権の目的となつている貯金等に係る債権の額から当該担保権に係る被担保債権の額を控除した額(次号において「担保余力額」という。)の大きいものを先とする」を「機構が指定するものとする」に改め、同項第六号を削る。

 第六十一条第二項を削り、同条第三項中「第一項」を「前項」に改め、同項第一号中「農水産業協同組合等」の下に「(農水産業協同組合及び漁業協同組合連合会をいう。以下同じ。)」を加え、同項中第二号を第三号とし、第一号の次に次の一号を加える。

 二 経営困難農水産業協同組合と他の農水産業協同組合等との合併で合併により農水産業協同組合等が設立されるもの

 第六十一条第三項を同条第二項とし、同条に次の三項を加える。

3 第一項の規定による申込みは、前項第二号に掲げる合併を行う農水産業協同組合等のうちに二以上の救済農水産業協同組合等がある場合には、当該二以上の救済農水産業協同組合等の連名で行わなければならない。

4 第一項に規定する資産の買取りは、合併等(第二項に規定する合併等をいう。以下同じ。)の次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める資産について行うものとする。

 一 第二項第一号に掲げる合併 当該合併により存続する農水産業協同組合等の資産(当該合併前に経営困難農水産業協同組合の資産であつたものに限る。)

 二 第二項第二号に掲げる合併 当該合併により設立される農水産業協同組合等の資産(当該合併前に経営困難農水産業協同組合の資産であつたものに限る。)

 三 第二項第三号に掲げる信用事業譲渡等 同号の他の農水産業協同組合等の資産で当該信用事業譲渡等により譲り受けたもの

5 第一項の規定による申込みを行つた農水産業協同組合等は、速やかに、その旨を都道府県知事(主務大臣の監督に係る農水産業協同組合等にあつては、主務大臣)に報告しなければならない。

 第六十二条第二項中「各号の一」を「各号のいずれか」に改め、同項第一号及び第二号中「又は経営困難農水産業協同組合」を「、経営困難農水産業協同組合又は合併により設立される農水産業協同組合等」に改める。

 第六十三条第一項中「合併等に係る」を「合併等を行う」に、「存続する」を「存続し、若しくは合併により設立される」に改め、同条第三項中「合併等に係る」を「合併等を行う」に改め、同条第四項第四号中「存続する」を「存続し、若しくは合併により設立される」に改める。

 第六十五条第一項中「又は農水産業協同組合連合会等」を「若しくは農水産業協同組合連合会等又は合併により設立される農水産業協同組合等」に改め、同条第五項中「同項に規定する」を「第六十一条第一項又は第六十二条第一項の規定による申込みを行つた」に改め、「これらの者」の下に「又は合併により設立される農水産業協同組合等」を加える。

 第六十六条第一項中「契約書(」の下に「機構と前条第五項の契約を締結した」を加え、「当該合併等に係る資金援助に関する」を「同項の」に改め、「書面、」の下に「機構と同項の契約を締結した」を加え、「当該特定援助に係る資金援助に関する」を「同項の」に改める。

 第六十七条の二の見出し中「合併等を行つた」を「合併等に係る」に改め、同条中「救済農水産業協同組合等である」を削り、「当該漁業協同組合連合会」を「合併後存続し、若しくは合併により設立された漁業協同組合連合会又は信用事業の全部若しくは一部を譲り受けた漁業協同組合連合会」に改める。

 附則第六条の次に次の九条を加える。

 (業務の特例)

第六条の二 機構は、当分の間、第三十四条に規定する業務のほか、次条から附則第六条の十までの規定による資金援助を行うことができる。

 (特定合併のあつせん)

第六条の三 都道府県知事(合併により設立される農水産業協同組合等が主務大臣の監督に係るものであるときは、主務大臣。次項及び附則第六条の六第一項において同じ。)は、平成十三年三月三十一日までを限り、次に掲げる要件のすべてに該当する場合には、二以上の経営困難農水産業協同組合に対し、書面により、特定合併(二以上の経営困難農水産業協同組合を全部の当事者とする合併で合併により農水産業協同組合等が設立されるものをいう。以下同じ。)のあつせんを行うことができる。

 一 当該二以上の営困難農水産業協同組合のそれぞれについて、その信用事業に係る業務の全部の廃止又は解散が行われる場合には、当該業務を行つている地域又は分野における資金の円滑な需給及び利用者の利便に大きな支障が生ずるおそれがあり、かつ、第六十四条第一項のあつせんを行うことが困難であると認められること。

 二 当該特定合併が機構による資金援助を得て行われることが、貯金者等の保護に不可欠であること。

 三 機構による資金援助(附則第六条の五第一項の資金援助にあつては、当該資金援助に係る同項に規定する援助)が、当該特定合併により設立される農水産業協同組合等の信用事業に係る業務の健全かつ適切な運営のために活用されることが確実であると認められること。

2 都道府県知事は、前項のあつせんを行うときは、当該あつせんに係る経営困難農水産業協同組合に対し、当該あつせんが特定合併のあつせんであることを明らかにしなければならない。

3 第六十三条第五項、第六項及び第八項の規定は、第一項のあつせんを行う場合について準用する。

 (特定合併に係る資金援助の申込み)

第六条の四 前条第一項のあつせんを受けた経営困難農水産業協同組合は、当該あつせんを受けた日から一年以内に限り、機構が当該あつせんに係る特定合併を援助するため資金援助を行うことを、機構に申し込むことができる。

2 前項の規定による申込みは、同項の特定合併を行う経営困難農水産業協同組合の連名で行わなければならない。

3 第六十一条第五項及び第六十五条の規定は、第一項の規定による申込みについて準用する。

第六条の五 農水産業協同組合連合会等が、第六十二条第一項に規定する農水産業協同組合等に係る相互援助取決めにより特定合併について資金の貸付けその他の援助を行う場合において、当該農水産業協同組合連合会等は、附則第六条の三第一項のあつせんが行われた日から一年以内に限り、機構が当該援助について資金援助(資産の買取り及び債務の引受けを除く。)を行うことを、機構に申し込むことができる。

2 第六十二条第三項及び第六十五条の規定は、前項の規定による申込みについて準用する。

 (都道府県知事の承認)

第六条の六 附則第六条の四第一項又は前条第一項の規定による申込みに係る特定合併については、当該特定合併を行う経営困難農水産業協同組合は、これらの規定による申込みが行われる時までに、当該特定合併により設立される農水産業協同組合等の信用事業に係る業務の健全かつ適切な運営を確保するために必要な事項として主務省令で定めるものを実施するための計画を策定し、都道府県知事の承認を得なければならない。

2 前項の承認の申請は、同項の特定合併を行う経営困難農水産業協同組合の連名で行わなければならない。

3 第六十三条第六項及び第八項の規定は、第一項の承認を行う場合について準用する。

 (特定合併の契約の報告等)

第六条の七 附則第六条の三第一項のあつせんを受けた経営困難農水産業協同組合は、当該あつせんに係る特定合併の契約を締結したときは、直ちに、そのあつせんを行つた都道府県知事又は主務大臣に、その旨を報告し、かつ、当該特定合併の契約書(機構と附則第六条の四第三項において準用する第六十五条第五項の契約を締結した経営困難農水産業協同組合にあつては、当該特定合併の契約書及び同項の契約の内容を記載した書面)を提出しなければならない。

2 第六十六条第二項の規定は、前項の報告について準用する。

 (準用)

第六条の八 第六十七条の規定は、附則第六条の三第一項のあつせんを受けた農水産業協同組合について準用する。この場合において、第六十七条第一項中「当該適格性の認定等に係る合併等」とあるのは、「附則第六条の三第一項のあつせんに係る特定合併」と読み替えるものとする。

 (特定合併に係る漁業協同組合連合会の特例)

第六条の九 附則第六条の三第一項のあつせんを受けた漁業協同組合連合会が当該あつせんに係る特定合併を行つたときは、当該特定合併により設立された漁業協同組合連合会を特定漁業協同組合連合会とみなして、この法律の規定を適用する。

 (法律の適用)

第六条の十 附則第六条の二に規定する機構の資金援助が行われる場合には、次に定めるところによる。

 一 第十五条の規定の適用については、同条中「次章及び第四章」とあるのは、「次章、第四章並びに附則第六条の四第三項及び第六条の五第二項において準用する第六十五条第一項」とする。

 二 第四十二条の規定の適用については、同条第一項中「業務」とあるのは、「業務及び附則第六条の二に規定する資金援助」とする。

 三 第五十条第二項第二号の規定の適用については、同号中「規定する適格性の認定等」とあるのは「規定する適格性の認定等又は附則第六条の六第一項の承認」と、「当該適格性の認定等」とあるのは「当該適格性の認定等又は当該承認」とする。

 四 第五十八条第一項第三号及び第三項第三号の規定の適用については、これらの規定中「一部の当事者」とあるのは「全部又は一部の当事者」と、「第六十七条第一項」とあるのは「第六十七条第一項(附則第六条の八において読み替えて準用する場合を含む。以下この号において同じ。)」とする。

 五 第五十八条第一項第四号及び第三項第四号の規定の適用については、これらの規定中「一部の当事者」とあるのは「全部又は一部の当事者」と、「第六十七条第一項」とあるのは「第六十七条第一項(附則第六条の八において読み替えて準用する場合を含む。)」とする。

 六 第七十二条の規定の適用については、同条第一項第二号中「第六十五条第四項」とあるのは「第六十五条第四項(附則第六条の四第三項及び第六条の五第二項において準用する場合を含む。)」と、同条第二項中「第六十五条第三項」とあるのは「第六十五条第三項(附則第六条の四第三項及び第六条の五第二項において準用する場合を含む。)」と、「同条第一項」とあるのは「第六十五条第一項(附則第六条の四第三項及び第六条の五第二項において準用する場合を含む。)」とする。

 七 第七十五条の規定の適用については、同条中「第六十七条第一項」とあるのは、「第六十七条第一項(附則第六条の八において読み替えて準用する場合を含む。)」とする。

 八 第七十六条の規定の適用については、同条第一号中「第六十五条第三項」とあるのは「第六十五条第三項(附則第六条の四第三項及び第六条の五第二項において準用する場合を含む。)」と、同条第三号中「第三十四条に規定する業務」とあるのは「第三十四条に規定する業務及び附則第六条の二に規定する資金援助」とする。

 附則第七条第一項中「又は第六十二条第一項」を「若しくは第六十二条第一項又は附則第六条の四第一項若しくは第六条の五第一項」に改め、「第六十五条第一項」の下に「(附則第六条の四第三項及び第六条の五第二項において準用する場合を含む。第五項及び第六項において同じ。)」を加え、同条第二項中「合併等」の下に「若しくは特定合併」を加え、同条第五項中「第六十五条第二項」の下に「(附則第六条の四第三項及び第六条の五第二項において準用する場合を含む。)」を、「合併等」の下に「若しくは特定合併」を加え、「同条第一項」を「第六十五条第一項」に改め、同条第六項中「第六十五条第三項」の下に「(附則第六条の四第三項及び第六条の五第二項において準用する場合を含む。)」を加え、「同条第一項」を「第六十五条第一項」に改める。

 附則第九条第一項第一号中「業務」の下に「及び附則第六条の二に規定する資金援助」を加える。

 附則第十二条の見出しを削り、同条の前に見出しとして「(罰則)」を付し、同条の次に次の一条を加える。

第十三条 附則第六条の七第一項の規定による報告をせず、又は不正の報告をした農水産業協同組合の理事は、三十万円以下の過料に処する。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から施行する。

 (金融監督庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律の一部改正)

第二条 金融監督庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律(平成九年法律第百二号)の一部を次のように改正する。

  第三十九条中農水産業協同組合貯金保険法第六十五条の改正規定の次に次のように加える。

  第六十六条第一項中「前条第五項」を「前条第六項」に改める。

  第三十九条中農水産業協同組合貯金保険法第七十六条の改正規定の次に次のように加える。

   附則第六条の七第一項中「第六十五条第五項」を「第六十五条第六項」に改める。

   附則第六条の十第四号中「第三項第三号」を「第四項第三号」に改め、同条第五号中「第三項第四号」を「第四項第四号」に改め、同条第六号中「第六十五条第四項」を「第六十五条第五項」に改める。

  第三十九条のうち農水産業協同組合貯金保険法附則中第十二条を第十三条とし、第十一条の次に一条を加える改正規定を次のように改める。

   附則第十三条を附則第十四条とし、附則第十二条の前の見出しを削り、同条を附則第十三条とし、同条の前に見出しとして「(罰則)」を付し、附則第十一条の次に次の一条を加える。

  (主務大臣)

  第十二条 第七十条第一項本文の規定にかかわらず、附則第二条第二項、附則第六条の三第一項、同条第三項において準用する第六十三条第五項、第六項及び第八項、附則第六条の四第三項において準用する第六十一条第五項、附則第六条の五第二項において準用する第六十二条第三項、附則第六条の六第三項において準用する第六十三条第六項及び第八項、附則第六条の七第一項、同条第二項において準用する第六十六条第二項並びに附則第六条の八において読み替えて準用する第六十七条に規定する主務大臣は農林水産大臣及び内閣総理大臣とし、附則第七条第一項及び第二項、同条第三項において準用する第六十三条第六項並びに附則第七条第四項に規定する主務大臣は農林水産大臣、大蔵大臣及び内閣総理大臣とする。

(内閣総理・大蔵・農林水産大臣署名)

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