預金保険法の一部を改正する法律

法律第百二十八号(平九・一二・一九)

 預金保険法(昭和四十六年法律第三十四号)の一部を次のように改正する。

 第五十六条第四項中「第五十九条第三項」を「第五十九条第五項」に改める。

 第五十八条第二項第二号中「これら」を「これ」に改め、同項第五号中「当該担保権の目的となつている預金等に係る債権の額から当該担保権に係る被担保債権の額を控除した額(次号において「担保余力額」という。)の大きいものを先とする」を「機構が指定するものとする」に改め、同項第六号を削る。

 第五十九条第四項を削り、同条第三項中「前二項」を「第一項又は前項」に改め、同項を同条第五項とし、同条第二項中「前項」を「第一項」に、「救済金融機関又は破綻金融機関の」を「合併等(第二項に規定する合併等をいう。以下同じ。)に係る破綻金融機関の資産又は次の各号に掲げる合併等の区分に応じ当該各号に定める」に、「同項」を「第一項」に改め、「うちに」の下に「合併等に係る」を加え、「当該救済金融機関」を「当該合併等に係る救済金融機関」に改め、同項に次の各号を加え、同項を同条第四項とする。

 一 第二項第一号に掲げる合併 当該合併により存続する金融機関の資産(当該合併前に破綻金融機関の資産であつたものに限る。)

 二 第二項第二号に掲げる合併 当該合併により設立される金融機関の資産(当該合併前に破綻金融機関の資産であつたものに限る。)

 三 第二項第三号に掲げる営業譲渡等 同号の他の金融機関の資産で当該営業譲渡等により譲り受けたもの

 四 第二項第四号に掲げる株式の取得 当該株式の取得をされた金融機関の資産

 第五十九条第一項の次に次の二項を加える。

2 前項の「合併等」とは、次に掲げるものをいう。

 一 破綻金融機関と合併する金融機関が存続する合併

 二 破綻金融機関と他の金融機関が合併して金融機関を設立する合併

 三 営業譲渡等で破綻金融機関がその営業の全部(当該破綻金融機関の資産の一部を機構が買い取る場合にあつては、その買い取られる資産に係る部分を除く。)を他の金融機関に譲渡するもの

 四 破綻金融機関の株式の他の金融機関による取得で当該破綻金融機関の業務の健全かつ適切な運営を確保するために必要な事項として大蔵大臣が定めるものを実施するために行うもの

3 第一項に規定する資金援助のうち前項第二号に掲げる合併を援助するために行うものは、救済金融機関又は当該合併により設立される金融機関に対して行うものとし、当該合併を行う金融機関のうちに二以上の救済金融機関がある場合には、第一項の規定による申込みは、当該二以上の救済金融機関の連名で行うものとする。

 第六十条第一項中「前条第四項に規定する合併等(以下「合併等」という。)を援助するため救済金融機関」を「合併等を援助するため当該合併等に係る金融機関(破綻金融機関を除く。)」に改める。

 第六十一条第一項及び第二項中「金融機関」を「破綻金融機関及び救済金融機関」に改める。

 第六十二条第一項中「合併等(」の下に「第五十九条第二項第二号に掲げる合併を除くものとし、」を加え、同条第三項中「対し」の下に「当該あつせんに係る」を加える。 第六十三条第三項中「第五十九条第四項第一号」を「第五十九条第二項第一号」に改める。

 第六十四条第一項中「第二項」を「第四項」に改める。

 第六十八条第一項中「合併(」の下に「第五十九条第二項第二号に掲げるもの及び」を加える。

 附則第六条の次に次の七条を加える。

 (業務の特例)

第六条の二 機構は、当分の間、第三十四条に規定する業務のほか、次条から附則第六条の八までの規定による資金援助及び附則第七条の規定による業務を行うことができる。

 (特定合併のあつせん)

第六条の三 大蔵大臣は、平成十三年三月三十一日までを限り、二以上の破綻金融機関のそれぞれについて、その業務の全部の廃止又は解散が行われる場合には、その破綻金融機関が業務を行つている地域又は分野における資金の円滑な需給及び利用者の利便に大きな支障が生ずるおそれがあると認めるときは、当該二以上の破綻金融機関に対し、書面により、特定合併(二以上の破綻金融機関を全部の当事者とする合併(当該合併により金融機関を設立するものに限る。)をいう。以下同じ。)のあつせんを行うことができる。

2 前項のあつせんを行うことができる特定合併は、機構による資金援助を得て行われることが預金者等の保護に不可欠であるものに限るものとする。

3 大蔵大臣は、第一項のあつせんを行うときは、当該あつせんに係る破綻金融機関に対し、当該あつせんが特定合併のあつせんであることを明らかにしなければならない。

4 第六十一条第四項及び第六項の規定は、大蔵大臣が第一項のあつせんを行う場合について準用する。

 (特定合併への資金援助の申込み)

第六条の四 前条第一項のあつせんを受けた破綻金融機関は、当該あつせんを受けた日から一年以内に限り、機構が、当該あつせんに係る特定合併を援助するため、当該破綻金融機関又は当該特定合併により設立される金融機関に対して資金援助を行うことを、連名で機構に申し込むことができる。

2 第五十九条第五項の規定は、前項の規定による申込みを行つた破綻金融機関について準用する。

第六条の五 大蔵大臣の指定する金融機関等で附則第六条の三第一項のあつせんに係る特定合併により設立される金融機関に対し当該特定合併を援助するため資金の貸付け又は預入れを行うものは、当該あつせんが行われた日から一年以内に限り、機構が資金援助(金銭の贈与、資産の買取り及び債務の引受けを除く。)を行うことを、機構に申し込むことができる。

2 第六十条第二項の規定は、前項の規定による申込みを行つた金融機関等について準用する。

 (大蔵大臣の承認)

第六条の六 附則第六条の四第一項又は前条第一項の規定による申込みに係る特定合併については、当該特定合併に係る破綻金融機関は、これらの規定による申込みの時までに、当該特定合併により設立される金融機関の業務の健全かつ適切な運営を確保するために必要な事項として大蔵大臣が定めるものの実施計画を策定し、大蔵大臣の承認を受けなければならない。

2 前項の承認の申請は、同項の特定合併に係る破綻金融機関の連名で行わなければならない。

3 第六十一条第四項及び第六項の規定は、大蔵大臣が第一項の承認をする場合について準用する。

 (破綻金融機関が信用協同組合である場合の特例)

第六条の七 都道府県知事は、破綻金融機関に該当する信用協同組合を全部又は一部の当事者とする特定合併が機構による資金援助を得て行われることが適当であると認めるときは、大蔵大臣に対し、附則第六条の三第一項のあつせんを行うことを要請することができる。

2 大蔵大臣は、前項の規定による要請を受けた場合に限り、同項の信用協同組合を全部又は一部の当事者とする特定合併に係る附則第六条の三第一項のあつせんを行うことができる。

3 第六十三条第五項の規定は、第一項の要請があつた場合について準用する。

 (準用)

第六条の八 第六十四条の規定は附則第六条の四第一項又は附則第六条の五第一項の規定による申込みがあつた場合について、第六十五条及び第六十六条の規定は附則第六条の三第一項のあつせんを受けた金融機関について、それぞれ準用する。

 附則第七条の見出しを「(協定銀行に係る業務の特例)」に改め、同条第一項中「、当分の間、第三十四条に規定する業務のほか」を削る。

 附則第十条第一項中「第六十四条第一項」の下に「(附則第六条の八において準用する場合を含む。)」を加え、同条第五項中「第六十四条第四項」及び「第六十五条」の下に「(附則第六条の八において準用する場合を含む。)」を加える。

 附則第十六条第一項中「第二項又は第六十条第一項」を「第四項、第六十条第一項、附則第六条の四第一項又は附則第六条の五第一項」に改め、「第六十四条第一項」の下に「(附則第六条の八において準用する場合を含む。第五項において同じ。)」を加え、同条第二項中「合併等」の下に「又は特定合併」を加え、同条第五項中「第六十四条第二項」の下に「(附則第六条の八において準用する場合を含む。)」を、「合併等」の下に「又は特定合併」を加え、「同条第一項」を「第六十四条第一項」に改める。

 附則第十八条第一項第一号中「業務」の下に「及び附則第六条の二に規定する資金援助」を、「特別資金援助」の下に「(当該特別資金援助に係る破綻金融機関に信用協同組合が含まれている場合には、当該信用協同組合に係る部分を除く。)」を加え、同条第二項第一号中「業務」の下に「及び附則第六条の二に規定する資金援助」を、「特別資金援助」の下に「(当該特別資金援助に係る破綻金融機関に信用協同組合以外の金融機関が含まれている場合には、当該信用協同組合以外の金融機関に係る部分を除く。)」を加える。

 附則第二十三条中第二項を第三項とし、第一項の次に次の一項を加える。

2 附則第六条の二に規定する資金援助が行われる場合には、次に定めるところによる。

 一 第十五条の適用については、同条中「次章及び第四章」とあるのは、「次章、第四章及び附則第六条の八において準用する第六十四条第一項」とする。

 二 第四十二条の規定の適用については、同条第一項中「第三十四条第二号から第五号までに掲げる業務」とあるのは、「第三十四条第二号から第五号までに掲げる業務及び附則第六条の二に規定する資金援助」とする。

 三 第五十条第二項第二号の規定の適用については、同号中「第六十五条に規定する適格性の認定等」とあるのは「第六十五条に規定する適格性の認定等又は附則第六条の六第一項に規定する承認」と、「当該適格性の認定等」とあるのは「当該適格性の認定等又は当該承認」とする。

 四 第五十六条第一項第三号若しくは第四号又は第三項第三号若しくは第四号の規定の適用については、これらの規定中「第一種保険事故の発生した金融機関を一部の当事者」とあるのは「第一種保険事故の発生した金融機関を全部若しくは一部の当事者」と、「合併又は」とあるのは「合併又は当該金融機関を一部の当事者とする」と、「第六十六条第一項」とあるのは「第六十六条第一項(附則第六条の八において準用する場合を含む。)」とする。

 五 第五十六条第四項の規定の適用については、同項中「第五十九条第五項、第六十条第二項、第六十一条第四項、第六十三条、第六十四条第三項、第六十六条第一項、第六十八条第三項及び第八十一条の三第三項」とあるのは、「第五十九条第五項(附則第六条の四第二項において準用する場合を含む。)、第六十条第二項(附則第六条の五第二項において準用する場合を含む。)、第六十一条第四項(附則第六条の三第四項及び附則第六条の六第三項において準用する場合を含む。)、第六十三条、第六十四条第三項(附則第六条の八において準用する場合を含む。)、第六十六条第一項(附則第六条の八において準用する場合を含む。)、第六十八条第三項、第八十一条の三第三項並びに附則第六条の七第一項及び第二項」とする。

 六 第八十七条の規定の適用については、同条第二号中「第五十六条第四項」とあるのは「附則第二十三条第二項第四号の規定により読み替えて適用する第五十六条第一項又は第三項の規定による決定をしたときに、附則第二十三条第二項第五号の規定により読み替えて適用する第五十六条第四項」と、「第六十四条第三項」とあるのは「第六十四条第三項(附則第六条の八において準用する場合を含む。)」とする。

 七 第九十一条の規定の適用については、同条第三号中「第三十四条に規定する業務」とあるのは、「第三十四条に規定する業務及び附則第六条の二に規定する資金援助」とする。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から施行する。

 (経過措置)

第二条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 (金融監督庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律の一部改正)

第三条 金融監督庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律(平成九年法律第百二号)の一部を次のように改正する。

  第三十七条中預金保険法第五十九条の改正規定を次のように改める。

   第五十九条第五項中「大蔵大臣」を「内閣総理大臣」に改め、同条に次の一項を加える。

  6 機構は、第一項又は第四項の規定による申込みを受けたときは、速やかに、その旨を大蔵大臣に報告しなければならない。

  第三十七条のうち、預金保険法第六十条の改正規定中「第六十条第一項」の下に「及び第二項」を加え、「、「前条第四項」を「前条第五項」に改め、同条第二項中「大蔵大臣」を「内閣総理大臣」に」を削り、同法第六十三条の改正規定中「中「大蔵大臣」を「内閣総理大臣」に改め、同条第三項中「第五十九条第四項第一号」を「第五十九条第五項第一号」に、「大蔵大臣」を「内閣総理大臣」に改め、同条第四項及び第六項」を「、第三項、第四項及び第六項」に改め、同法第九十一条に一号を加える改正規定中「第五十九条第四項」を「第五十九条第六項」に改める。

  第三十七条中預金保険法第九十一条に一号を加える改正規定の次に次のように加える。

   附則第六条の三第一項及び第三項中「大蔵大臣」を「内閣総理大臣」に改め、同条第四項中「及び第六項」を「、第六項及び第七項」に、「大蔵大臣」を「内閣総理大臣」に改める。

   附則第六条の四第二項を次のように改める。

  2 第五十九条第五項の規定は前項の規定による申込みを行つた破綻金融機関について、同条第六項の規定は機構が前項の規定による申込みを受けた場合について、それぞれ準用する。

   附則第六条の五第一項中「大蔵大臣」を「内閣総理大臣」に改め、同条第二項を次のように改める。

  2 第六十条第二項の規定は前項の規定による申込みを行つた金融機関等について、同条第三項の規定は機構が前項の規定による申込みを受けた場合について、それぞれ準用する。

   附則第六条の六の見出し及び同条第一項中「大蔵大臣の承認」を「内閣総理大臣の承認」に改め、同条第三項中「及び第六項」を「、第六項及び第七項」に、「大蔵大臣」を「内閣総理大臣」に改める。

   附則第六条の七第一項及び第二項中「大蔵大臣」を「内閣総理大臣」に改める。

  第三十七条中預金保険法附則第二十二条第一項の改正規定の次に次のように加える。

   附則第二十三条第二項第四号中「第三項第三号」を「第四項第三号」に改め、同項第五号中「第五十六条第四項」を「第五十六条第五項」に、「第八十一条の三第三項」を「第八十一条の三第四項」に改め、同項第七号を同項第八号とし、同項第六号中「第五十六条第四項」を「第五十六条第五項」に、「又は第三項」を「又は第四項」に改め、同号を同項第七号とし、同項第五号の次に次の一号を加える。

   六 第六十七条の二の規定の適用については、同条中「適格性の認定等」とあるのは「適格性の認定等又は附則第六条の三第一項の規定によるあつせん」と、「合併等」とあるのは「合併等又は同項に規定する特定合併」とする。

(内閣総理・大蔵大臣署名)

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