医療法の一部を改正する法律
法律第百二十五号(平九・一二・一七)
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)の一部を次のように改正する。
第一条の四中第三項を第四項とし、第二項を第三項とし、第一項の次に次の一項を加える。
2 医師、歯科医師、薬剤師、看護婦その他の医療の担い手は、医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならない。
第一条の五中第二項を削り、第三項を第二項とし、同条に次の一項を加える。
3 この法律において、「療養型病床群」とは、病院の病床(第七条第二項に規定するその他の病床に限る。)又は診療所の病床のうち一群のものであつて、主として長期にわたり療養を必要とする患者を収容するためのものをいう。
第四条を次のように改める。
第四条 国、都道府県、市町村、第四十二条第二項に規定する特別医療法人その他厚生大臣の定める者の開設する病院であつて、地域における医療の確保のために必要な支援に関する次に掲げる要件に該当するものは、その所在地の都道府県知事の承認を得て地域医療支援病院と称することができる。
一 他の病院又は診療所から紹介された患者に対し医療を提供し、かつ、当該病院の建物の全部若しくは一部、設備、器械又は器具を、当該病院に勤務しない医師、歯科医師、薬剤師、看護婦その他の医療従事者の診療、研究又は研修のために利用させるための体制が整備されていること。
二 救急医療を提供する能力を有すること。
三 地域の医療従事者の資質の向上を図るための研修を行わせる能力を有すること。
四 厚生省令で定める数以上の患者の収容施設を有すること。
五 第二十一条第一項第二号から第十三号まで及び第十五号から第十七号まで並びに第二十二条第一号及び第四号から第九号までに規定する施設を有すること。
六 その施設の構造設備が第二十一条第一項及び第二十二条の規定に基づく厚生省令で定める要件に適合するものであること。
2 都道府県知事は、前項の承認をするに当たつては、あらかじめ、都道府県医療審議会の意見を聴かなければならない。
3 地域医療支援病院でないものは、これに地域医療支援病院又はこれに紛らわしい名称を付けてはならない。
第七条第一項中「以下この条、」を削り、同条第二項中「、医師及び歯科医師でない者で診療所を開設したもの又は助産婦でない者で助産所を開設したもの」を削り、「種別(」の下に「病院の病床についての」を、「事項を」の下に「変更しようとするとき、又は医師及び歯科医師でない者で診療所を開設したもの若しくは助産婦でない者で助産所を開設したものが、病床数その他厚生省令で定める事項を」を加え、同条第四項を同条第五項とし、同条第三項中「都道府県知事」の下に「又は保健所を設置する市の市長若しくは特別区の区長」を加え、「前二項」を「前三項」に、「省令」を「厚生省令」に改め、同項を同条第四項とし、同条第二項の次に次の一項を加える。
3 診療所に療養型病床群を設けようとするとき、又は診療所の療養型病床群に係る病床数その他厚生省令で定める事項を変更しようとするときは、厚生省令で定める場合を除き、当該診療所の所在地の都道府県知事の許可を受けなければならない。
第七条の二第一項中「病院の病床数が、同条第四項」を「病院の病床(当該申請に係る病床が前条第二項に規定するその他の病床である場合は、診療所の療養型病床群に係る病床を含む。)の数が、第三十条の三第四項」に、「前条第三項」を「前条第四項」に改め、同条第五項中「、又は」を「、若しくは」に、「種別を変更しよう」を「種別を変更し、又は診療所に療養型病床群を設け、若しくは診療所の療養型病床群に係る病床数を増加しよう」に改め、同項を同条第六項とし、同条第四項中「、第一項」の下に「又は第二項」を加え、「又は第二項」を「から第三項まで」に改め、同項を同条第五項とし、同条第三項中「第一項」の下に「又は第二項」を加え、同項を同条第四項とし、同条第二項中「前項」を「前二項」に改め、「病院」の下に「又は診療所」を加え、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 都道府県知事は、前項各号に掲げる者が診療所の療養型病床群の設置の許可又は診療所の療養型病床群に係る病床数の増加の許可の申請をした場合において、当該申請に係る診療所の所在地を含む地域(医療計画において定める第三十条の三第二項第一号に規定する区域をいう。)における前条第二項に規定するその他の病床(診療所の療養型病床群に係る病床を含む。)の数が、第三十条の三第四項の厚生省令で定める標準に従い医療計画において定める当該区域の必要病床数に既に達しているか、又は当該申請に係る療養型病床群の設置若しくは療養型病床群に係る病床数の増加によってこれを超えることになると認めるときは、前条第四項の規定にかかわらず、同条第三項の許可を与えないことができる。
第十二条の二を第十二条の三とし、第十二条の次に次の一条を加える。
第十二条の二 地域医療支援病院の開設者は、厚生省令の定めるところにより、業務に関する報告書を都道府県知事に提出しなければならない。
第十三条中「こえて」を「超えて」に、「つとめなければ」を「努めなければ」に改め、同条に次のただし書を加える。
ただし、療養型病床群に収容されている患者については、この限りでない。
第十六条の二を第十六条の三とし、第十六条の次に次の一条を加える。
第十六条の二 地域医療支援病院の管理者は、厚生省令の定めるところにより、次に掲げる事項を行わなければならない。
一 当該病院の建物の全部若しくは一部、設備、器械又は器具を、当該病院に勤務しない医師、歯科医師、薬剤師、看護婦その他の医療従事者の診療、研究又は研修のために利用させること。
二 救急医療を提供すること。
三 地域の医療従事者の資質の向上を図るための研修を行わせること。
四 第二十二条第二号及び第三号に掲げる諸記録を体系的に管理すること。
五 当該地域医療支援病院に患者を紹介しようとする医師その他厚生省令で定める者から第二十二条第二号又は第三号に掲げる諸記録の閲覧を求められたときは、正当の理由がある場合を除き、当該諸記録のうち患者の秘密を害するおそれのないものとして厚生省令で定めるものを閲覧させること。
六 他の病院又は診療所から紹介された患者に対し、医療を提供すること。
七 その他厚生省令で定める事項
第二十一条第二項中「前項第一号又は第一号の二」を「第一項第一号若しくは第一号の二又は前項第一号」に、「十万円」を「二十万円」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 療養型病床群を有する診療所は、厚生省令の定めるところにより、次に掲げる人員及び施設を有しなければならない。
一 厚生省令で定める員数の医師、歯科医師、看護婦及び看護の補助その他の業務の従業者
二 給水施設
三 暖房施設
四 機能訓練室
五 その他厚生省令で定める施設
第二十二条を次のように改める。
第二十二条 地域医療支援病院は、前条第一項(第十四号を除く。)に定めるもののほか、厚生省令の定めるところにより、次に掲げる施設を有し、かつ、記録を備えて置かなければならない。
一 集中治療室
二 診療に関する諸記録
三 病院の管理及び運営に関する諸記録
四 化学、細菌及び病理の検査施設
五 病理解剖室
六 研究室
七 講義室
八 図書室
九 その他厚生省令で定める施設
第二十二条の二第五号中「前条第一号から第五号まで」を「前条第四号から第八号まで」に改める。
第二十三条第二項中「十万円」を「二十万円」に改める。
第二十四条第一項中「第二十一条第一項」の下に「若しくは第二項」を加え、「省令」を「厚生省令」に改める。
第二十九条第二項を次のように改める。
2 都道府県知事は、次の各号のいずれかに該当する場合においては、地域医療支援病院の承認を取り消すことができる。
一 地域医療支援病院が第四条第一項各号に掲げる要件を欠くに至つたとき。
二 地域医療支援病院の開設者が第十二条の二の規定に違反したとき。
三 地域医療支援病院の開設者が第二十四条第一項の規定に基づく命令に違反したとき。
四 地域医療支援病院の管理者が第十六条の二の規定に違反したとき。
第二十九条第三項第二号中「第十二条の二」を「第十二条の三」に改め、同項第四号中「第十六条の二」を「第十六条の三」に改め、同条第四項中「前項」を「第三項」に改め、同項を同条第五項とし、同条第三項の次に次の一項を加える。
4 都道府県知事は、第二項の規定により地域医療支援病院の承認を取り消すに当たつては、あらかじめ、都道府県医療審議会の意見を聴かなければならない。
第三十条の三第二項第一号中「除く」を「除き、診療所の療養型病床群に係る病床を含む」に改め、同項第三号中「第七条第二項に規定するその他の病床」の下に「(診療所の療養型病床群に係る病床を含む。)」を加え、同項に次の六号を加える。
四 地域医療支援病院の整備の目標、療養型病床群に係る病床の整備の目標その他機能を考慮した医療提供施設の整備の目標に関する事項
五 医療提供施設の設備、器械又は器具の共同利用等病院、診療所、薬局その他医療に関する施設の相互の機能の分担及び業務の連係に関する事項
六 休日診療、夜間診療等の救急医療の確保に関する事項
七 へき地の医療の確保が必要な場合にあつては、当該医療の確保に関する事項
八 医師及び歯科医師並びに薬剤師、看護婦その他の医療従事者の確保に関する事項
九 前各号に掲げるもののほか、医療を提供する体制の確保に関し必要な事項
第三十条の三第三項を次のように改める。
3 前項第四号から第九号までの事項を定めるに当たつては、同項第一号に規定する区域ごとの医療を提供する体制が明らかになるように定めなければならない。
第三十条の三第四項中「並びに」を「、同項第三号に規定する」に改め、「必要病床数」の下に「並びに同項第四号に規定する療養型病床群に係る病床の整備の目標」を加える。
第三十条の七中「病院を」を「病院若しくは診療所を」に、「病院の開設者」を「病院若しくは診療所の開設者」に、「開設又は」を「開設若しくは」に改め、「変更」の下に「又は診療所の療養型病床群の設置若しくは診療所の療養型病床群に係る病床数の増加」を加える。
第四十二条第七号中「その他」を「前各号に掲げるもののほか、」に改め、同条に次の一号を加える。
八 社会福祉事業法(昭和二十六年法律第四十五号)第二条第三項第二号から第三号の二までに掲げる事業のうち厚生大臣が定めるものの実施
第四十二条に次の二項を加える。
2 医療法人のうち、次に掲げる要件に該当するもの(以下「特別医療法人」という。)は、その開設する病院、診療所又は老人保健施設の業務に支障のない限り、定款又は寄附行為の定めるところにより、その収益を当該特別医療法人が開設する病院、診療所又は老人保健施設の経営に充てることを目的として、厚生大臣が定める業務を行うことができる。
一 役員のうちには、各役員について、その役員、その配偶者及び三親等以内の親族が役員の総数の二分の一を超えて含まれることがないことその他公的な運営に関する厚生省令で定める要件に適合するものであること。
二 定款又は寄附行為において解散時の残余財産を国、地方公共団体又は厚生省令で定める者に帰属させる旨を定めていること。
3 前項に規定する厚生大臣が定める業務(第六十四条の二において「収益業務」という。)に関する会計は、当該特別医療法人が開設する病院、診療所又は老人保健施設の業務及び第一項各号に掲げる業務に関する会計から区分し、特別の会計として経理しなければならない。
第六十四条の次に次の一条を加える。
第六十四条の二 都道府県知事は、収益業務を行う特別医療法人につき、次の各号のいずれかに該当する事由があると認めるときは、当該特別医療法人に対して、収益業務の停止を命ずることができる。
一 当該特別医療法人が定款又は寄附行為で定められた業務以外の業務を行うこと。
二 当該特別医療法人が収益業務から生じた収益を当該特別医療法人が開設する病院、診療所又は老人保健施設の経営に充てないこと。
三 収益業務の継続が、当該特別医療法人が開設する病院、診療所又は老人保健施設の業務に支障があること。
第六十五条中「成立した後」の下に「又はすべての病院、診療所及び老人保健施設を休止若しくは廃止した後」を加え、「第三十九条第一項に規定する」を削り、「とき」の下に「、又は再開しないとき」を加える。
第六十九条第一項中第九号を第十一号とし、第八号を第十号とし、第七号の次に次の二号を加える。
八 療養型病床群の有無
九 紹介をすることができる他の病院又は診療所の名称
第六十九条第二項中「前項第八号及び第九号」を「前項第十号及び第十一号」に改め、同条第三項及び第四項中「第一項第九号」を「第一項第十一号」に改める。
第七十二条第一項中「三十万円」を「五十万円」に改める。
第七十三条中「二十万円」を「三十万円」に改める。
第七十四条中「十万円」を「二十万円」に改め、同条第一号中「第四条第二項」を「第四条第三項」に、「、第二十二条第一号から第五号まで」を「若しくは第二項第二号から第四号まで、第二十二条第一号若しくは第四号から第八号まで」に改める。
第七十六条第五号中「第六十四条第二項」の下に「又は第六十四条の二」を加える。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第一条の四の改正規定及び第四十二条の改正規定(同条に二項を加える部分を除く。)並びに附則第三条、第九条及び第十四条の規定は、公布の日から施行する。
(医療計画に関する経過措置)
第二条 この法律の施行前に改正前の医療法(附則第五条において「旧法」という。)第三十条の三の規定により定められ、又は変更された医療計画は、改正後の医療法第三十条の三の規定により定められ、又は変更されるまでの間は、同条の規定により定められ、又は変更された医療計画とみなす。
(罰則に関する経過措置)
第三条 この法律(附則第一条ただし書に規定する規定については、当該規定)の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(死体解剖保存法の一部改正)
第四条 死体解剖保存法(昭和二十四年法律第二百四号)の一部を次のように改正する。
第十七条第一項中「総合病院」を「地域医療支援病院若しくは特定機能病院」に改める。
(死体解剖保存法の一部改正に伴う経過措置)
第五条 この法律の施行の際現に旧法第四条の規定による承認を受けている病院の長については、前条の規定による改正前の死体解剖保存法第十七条第一項の規定は、なおその効力を有する。ただし、当該病院が患者百人以上の収容施設を有しなくなったとき、又はその診療科名中に内科、外科、産婦人科、眼科若しくは耳鼻いんこう科のいずれかを含まなくなったときは、この限りでない。
(水源地域対策特別措置法の一部改正)
第六条 水源地域対策特別措置法(昭和四十八年法律第百十八号)の一部を次のように改正する。
別表第一中「第一条の五第三項」を「第一条の五第二項」に改める。
(防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律の一部改正)
第七条 防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律(昭和四十九年法律第百一号)の一部を次のように改正する。
第三条第二項第二号中「同条第三項」を「同条第二項」に改める。
(看護婦等の人材確保の促進に関する法律の一部改正)
第八条 看護婦等の人材確保の促進に関する法律(平成四年法律第八十六号)の一部を次のように改正する。
第二条第二項中「同条第三項」を「同条第二項」に改める。
(医療法の一部を改正する法律の一部改正)
第九条 医療法の一部を改正する法律(平成四年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。
附則第二条の前の見出しを削り、同条を次のように改める。
第二条 削除
附則第三条の前に見出しとして「(検討等)」を付する。
(介護保険法の一部改正)
第十条 介護保険法(平成九年法律第百二十三号)の一部を次のように改正する。
第七条第二十三項中「第一条の五第二項」を「第一条の五第三項」に改め、「有する病院」の下に「又は診療所」を加える。
第百七条第一項及び第三項中「病院」の下に「又は診療所」を加える。
(介護保険法施行法の一部改正)
第十一条 介護保険法施行法(平成九年法律第百二十四号)の一部を次のように改正する。
第六十一条のうち医療法第七条の二第三項、第三十九条第一項及び第四十二条の改正規定中「第七条の二第三項」を「第七条の二第四項」に改める。
第六十一条のうち医療法第四十七条第一項、第四十八条、第六十五条及び第六十八条の二第一項の改正規定中「第四十八条」の下に「、第六十四条の二」を加える。
(租税特別措置法の一部改正)
第十二条 租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)の一部を次のように改正する。
第十二条の三第一項及び第四十五条の二第三項第三号中「第一条の五第二項」を「第一条の五第三項」に改める。
(地価税法の一部改正)
第十三条 地価税法(平成三年法律第六十九号)の一部を次のように改正する。
別表第一第五号中「同条第三項」を「同条第二項」に改める。
(その他の経過措置の政令への委任)
第十四条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。
(内閣総理・大蔵・厚生大臣署名)