厚生年金保険の保険給付及び保険料の納付の特例等に関する法律

法律第百三十一号(平一九・一二・一九)

 (保険給付等に関する特例等)

第一条 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第八条に規定する機関であって年金記録に関する事項の調査審議を専門的に行うものの調査審議の結果として、厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第二十七条に規定する事業主が、同法第八十四条第一項又は第二項の規定により被保険者の負担すべき保険料を控除した事実があるにもかかわらず、当該被保険者に係る同法第八十二条第二項の保険料を納付する義務を履行したことが明らかでない場合(当該保険料(以下「未納保険料」という。)を徴収する権利が時効によって消滅する前に同法第二十七条の規定による届出又は同法第三十一条第一項の規定による確認の請求があった場合を除き、未納保険料を徴収する権利が時効によって消滅している場合に限る。)に該当するとの当該機関の意見があった場合には、社会保険庁長官は、当該意見を尊重し、遅滞なく、未納保険料に係る期間を有する者(以下「特例対象者」という。)に係る同法の規定による被保険者の資格の取得及び喪失の確認又は標準報酬月額若しくは標準賞与額の改定若しくは決定(以下この条及び次条において「確認等」という。)を行うものとする。ただし、特例対象者が、当該事業主が当該義務を履行していないことを知り、又は知り得る状態であったと認められる場合には、この限りでない。

2 社会保険庁長官は、特例対象者に係る確認等を行ったときは、厚生年金保険法第二十八条の規定により記録した事項の訂正を行うものとする。

3 前項の訂正が行われた場合における厚生年金保険法第七十五条ただし書の規定(他の法令において引用し、又は準用する場合を含む。)の適用については、未納保険料を徴収する権利が時効によって消滅する前に同法第二十七条の規定による届出があったものとし、社会保険庁長官が確認等を行った特例対象者の厚生年金保険の被保険者であった期間について同法による保険給付(これに相当する給付を含む。以下同じ。)を行うものとする。

4 前二項の場合において、国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)の規定を適用するときは、前項に規定する期間の計算の基礎となった月に係る同法第七条第一項第二号に規定する第二号被保険者としての国民年金の被保険者期間については、同法第五条第二項に規定する保険料納付済期間に算入し、同法第十四条の規定により記録した事項の訂正を行うものとする。

5 前三項の場合において、厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付に係る時効の特例等に関する法律(平成十九年法律第百十一号)第一条及び第二条(これらの規定を同法附則第二条において準用する場合を含む。)の規定を適用するときは、未納保険料を徴収する権利が時効によって消滅する前に、厚生年金保険法第二十七条の規定による届出があったものとする。

6 社会保険庁長官は、特例対象者に係る確認等を行ったときは、厚生年金保険法第二十九条第一項の規定にかかわらず、当該特例対象者、当該特例対象者を使用し、又は使用していた第一項の事業主その他の厚生労働省令で定める者に対し、同条第一項の規定による通知を行うものとする。この場合においては、同条第二項から第四項までの規定は、適用しない。

7 社会保険庁長官は、前項の特例対象者、当該特例対象者を使用し、又は使用していた第一項の事業主その他の厚生労働省令で定める者の所在が明らかでない場合その他やむを得ない事情のため前項の通知をすることができない場合においては、同項の通知に代えて、厚生 年金保険法第二十九条第五項の規定による公告を行うものとする。

 (特例納付保険料の納付等)

第二条 社会保険庁長官が特例対象者に係る確認等を行った場合には、当該特例対象者を使用し、又は使用していた前条第一項の事業主(当該事業主の事業を承継する者及び当該事業主であった個人を含む。以下「対象事業主」という。)は、厚生労働省令で定めるところ により、特例納付保険料として、未納保険料に相当する額に厚生労働省令で定める額を加算した額を納付することができる。

2 社会保険庁長官は、対象事業主に対して、前項の特例納付保険料(以下「特例納付保険料」という。)の納付を勧奨しなければならない。ただし、やむを得ない事情のため当該勧奨を行うことができない場合は、この限りでない。

3 第一項の場合において、対象事業主(法人である対象事業主に限る。)に係る事業が廃止されているときその他やむを得ない事情のため前項の規定による勧奨を行うことができないときは、当該法人の役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有すると認められる者を含む。)であった者は、厚生労働省令で定めるところにより、特例納付保険料を納付することができる。

4 社会保険庁長官は、第二項の規定による勧奨を行うことができない場合においては、前項の役員であった者に対して、特例納付保険料の納付を勧奨しなければならない。ただし、やむを得ない事情のため当該勧奨を行うことができない場合は、この限りでない。

5 社会保険庁長官は、次条の規定による公表を行う前に第二項又は前項の規定による勧奨を行う場合(特例対象者に係る厚生年金保険法第八十二条第二項の保険料を納付する義務が履行されたかどうか明らかでないと認められる場合において第二項又は前項の規定による勧奨を行うときを除く。)には、対象事業主又は第三項の役員であった者に対して、社会保険庁長官が定める期限までに次項の規定による申出を行わないときは次条の規定による公表を行う旨を、併せて通知するものとする。

6 対象事業主又は第三項の役員であった者は、第二項又は第四項の規定による勧奨を受けた場合には、未納保険料に係るすべての期間に係る特例納付保険料を納付する旨を、厚生労働省令で定めるところにより、社会保険庁長官に対し書面により申し出ることができる。

7 対象事業主又は第三項の役員であった者は、前項の規定による申出を行った場合には、社会保険庁長官が定める納期限までに、同項に規定する特例納付保険料を納付しなければならない。

8 前項の場合において、特例納付保険料は、厚生年金保険法の規定の例により徴収する。

9 国は、毎年度、社会保険庁長官が特例対象者に係る確認等を行った場合(特例対象者に係る厚生年金保険法第八十二条第二項の保険料を納付する義務が履行されたかどうか明らかでないと認められる場合において当該特例対象者に係る確認等を行ったときを除く。)であって次条(同条第一号ロ又は第二号ロに係る部分を除く。第一号において同じ。)の規定による公表を行ったときにおいて、その後に次の各号に掲げる場合に該当するときは、当該特例対象者に係る特例納付保険料の額に相当する額の総額を負担する。

 一 次条の規定による公表を行った後において社会保険庁長官が定める期限までに第六項の規定による申出が行われなかった場合(次号の場合を除く。)

 二 次のいずれかに該当するとき。

  イ 厚生労働省令で定める期限までに第二項の規定による勧奨を行うことができない場合(ロに掲げる場合及び第四項の規定による勧奨を行った場合を除く。)

  ロ イに規定する厚生労働省令で定める期限までに第二項及び第四項の規定による勧奨を行うことができない場合

10 前項の規定に基づく一般会計からの繰入金は、特別会計に関する法律(平成十九年法律第二十三号)第百十一条第三項の規定にかかわらず、年金特別会計の厚生年金勘定の歳入とする。

11 年金特別会計の厚生年金勘定において、第九項の規定に基づき一般会計から繰り入れた金額に係る特別会計に関する法律第百二十条第二項第二号の規定の適用については、同号中「金額」とあるのは、「金額(厚生年金保険の保険給付及び保険料の納付の特例等に関する法律(平成十九年法律第百三十一号)第二条第九項の規定に基づき繰り入れた金額を除く。)」とする。

12 次の各号に掲げる場合に該当するときは、納付された特例納付保険料に相当する額は、年金特別会計から一般会計に繰り入れるものとする。

 一 第九項第一号に該当する場合であって、同号の期限後に特例納付保険料が納付されたとき。

 二 第九項第二号に該当する場合であって、同号の期限後に特例納付保険料が納付されたとき。

13 国は、第九項の規定により特例対象者に係る特例納付保険料の額に相当する額を負担したときは、その負担した金額の限度において、前条第一項の事業主が当該特例対象者に係る厚生年金保険法第二十七条の規定による届出をしなかったこと又は同法第八十四条第一項若しくは第二項の規定により当該特例対象者の負担すべき保険料を控除したにもかかわらず当該特例対象者に係る同法第八十二条第二項の保険料を納付する義務を履行しなかったことに起因する当該特例対象者が当該事業主に対して有する金銭の給付を目的とする請求権を取得する。

 (公表)

第三条 社会保険庁長官は、政府が管掌する厚生年金保険事業及び国民年金事業の適正な運営並びに厚生年金保険制度及び国民年金制度に対する国民の信頼の確保を図るため、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める事項その他第一条第一項に規定する場合において社会保険庁長官が講ずる措置で厚生労働省令で定めるものの結果を、インターネットの利用その他の適切な方法により随時公表しなければならない。

 一 対象事業主に対して前条第二項の規定による勧奨を行った場合(特例対象者に係る厚生年 金保険法第八十二条第二項の保険料を納付する義務が履行されたかどうか明らかでないと認められる場合において前条第二項の規定による勧奨を行ったときを除く。)において、イ又はロに掲げる場合に該当するとき。 当該対象事業主の氏名又は名称

  イ 当該対象事業主が前条第五項の期限までに同条第六項の規定による申出を行わなかった場合

  ロ 当該対象事業主が前条第五項の期限までに同条第六項の規定による申出を行ったが、同条第七項の規定に違反して、同項の納期限までに特例納付保険料を納付しない場合

 二 前条第三項の役員であった者に対して同条第四項の規定による勧奨を行った場合(特例対象者に係る厚生年金保険法第八十二条第二項の保険料を納付する義務が履行されたかどうか明らかでないと認められる場合において前条第四項の規定による勧奨を行ったときを除く。)において、イ又はロに掲げる場合に該当するとき。 当該役員であった者(厚生労働省令で定める者を除く。)の氏名

  イ 当該役員であった者が前条第五項の期限までに同条第六項の規定による申出を行わなかった場合

  ロ 当該役員であった者が前条第五項の期限までに同条第六項の規定による申出を行ったが、同条第七項の規定に違反して、同項の納期限までに特例納付保険料を納付しない場合

 三 イ又はロに掲げる場合に該当するとき。 当該対象事業主の氏名又は名称

  イ 前条第二項の規定による勧奨を行うことができない場合(ロに掲げる場合、同条第四項の規定による勧奨を行った場合及び特例対象者に係る厚生年金保険法第八十二条第二項の保険料を納付する義務が履行されたかどうか明らかでないと認められる場合において前条第二項の規定による勧奨を行うことができないときを除く。)

  ロ 前条第二項及び第四項の規定による勧奨を行うことができない場合(特例対象者に係る厚生年金保険法第八十二条第二項の保険料を納付する義務が履行されたかどうか明らかでないと認められる場合において前条第二項及び第四項の規定による勧奨を行うことができないときを除く。)

 (厚生年金基金による老齢年金給付に関する特例等)

第四条 厚生年金基金(以下「基金」という。)の設立事業所の事業主であって、第一条第六項の通知を受けたもの又は同条第七項の公告をされたものが、厚生年金保険法第百四十一条第一項の規定により準用される同法第八十四条第一項又は第二項の規定により加入員の負担すべき掛金を控除した事実があるにもかかわらず、当該加入員に係る同法第百三十九条第四項の掛金を納付する義務を履行したことが明らかでない場合(当該掛金(免除保険料(当該掛金の算定の基礎となる期間に係る標準報酬月額及び標準賞与額に当該期間に係る同法第八十一条の三第一項に規定する免除保険料率を乗じて得た額をいう。)に相当する部分に限る。以下「未納掛金」という。)を徴収する権利について同法第百七十条第一項に規定する時効の期間が経過する前に同法第百二十八条の規定による届出があった場合を除き、未納掛金を徴収する権利について同法第百七十条第一項に規定する時効の期間が経過している場合に限る。)には、基金は、遅滞なく、未納掛金に係る期間を有する者(以下「特例対象加入員」という。)に係る加入員の資格の取得及び喪失の確認(以下この条及び次条において「確認」という。)又は同法第百二十九条第五項の規定による標準給与の改定若しくは決定(以下この条及び次条において「改定等」という。)を行うものとする。ただし、特例対象加入員が、当該事業主が当該義務を履行していないことを知り、又は知り得る状態であったと認められる場合には、この限りでない。

2 基金は、特例対象加入員に係る確認を行ったときは、当該特例対象加入員、当該特例対象加入員を使用し、又は使用していた前項に規定する事業主その他の厚生労働省令で定める者に対し、その旨の通知を行わなければならない。

3 基金は、特例対象加入員に係る改定等を行ったときは、厚生年金保険法第百二十九条第五項の規定にかかわらず、当該特例対象加入員、当該特例対象加入員を使用し、又は使用していた第一項に規定する事業主その他の厚生労働省令で定める者に対し、同条第五項の規定による通知を行うものとする。この場合においては、同条第六項の規定は、適用しない。

4 基金は、第二項又は前項の特例対象加入員、当該特例対象加入員を使用し、又は使用していた第一項に規定する事業主その他の厚生労働省令で定める者の所在が明らかでない場合その他やむを得ない事情のため第二項又は前項の通知をすることができない場合においては、第二項又は前項の通知に代えて、その通知すべき事項の公告を行うものとする。

5 前各項の規定は、特例対象加入員に係る厚生年金保険法第百二十九条第二項の適用事業所の事業主について準用する。

6 前各項に定めるもののほか、基金による老齢年金給付の特例に関し必要な事項は、政令で定める。

 (未納掛金の納付等)

第五条 基金が特例対象加入員に係る確認又は改定等を行った場合には、当該特例対象加入員を使用し、又は使用していた前条第一項に規定する事業主(当該事業主の事業を承継する者(当該基金の設立事業所の事業主であるものを除く。以下この項において「事業承継事業主」という。)及び当該事業主であった個人を含む。以下「対象設立事業主」という。)は、厚生労働省令で定めるところにより、未納掛金(事業承継事業主については、未納掛金に相当する額。次項及び次条第一項第一号ロにおいて同じ。)を納付することができる。

2 基金は、対象設立事業主に対して、未納掛金の納付を勧奨しなければならない。ただし、やむを得ない事情のため当該勧奨を行うことができない場合は、この限りでない。

3 第一項の場合において、対象設立事業主(法人である対象設立事業主に限る。)に係る事業が廃止されているときその他やむを得ない事情のため前項の規定による勧奨を行うことができないときは、当該法人の役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有すると認められる者を含む。)であった者は、厚生労働省令で定めるところにより、未納掛金に相当する額を納付することができる。

4 基金は、第二項の規定による勧奨を行うことができない場合においては、前項の役員であった者に対して、未納掛金に相当する額の納付を勧奨しなければならない。ただし、やむを得ない事情のため当該勧奨を行うことができない場合は、この限りでない。

5 基金は、次条第一項の規定による公表を行う前に第二項又は前項の規定による勧奨を行う場合(特例対象加入員に係る厚生年金保険法第百三十九条第四項の掛金を納付する義務が履行されたかどうか明らかでないと認められる場合において第二項又は前項の規定による勧奨を行うときを除く。)には、対象設立事業主又は第三項の役員であった者に対して、基金が定める期限までに次項の規定による申出を行わないときは次条第一項の規定による公表を行う旨を、併せて通知するものとする。

6 対象設立事業主又は第三項の役員であった者は、第二項又は第四項の規定による勧奨を受けた場合には、前条第一項の未納掛金に係る期間のすべての期間に係る未納掛金又は未納掛金に相当する額(以下この条において「未納掛金等」という。)を納付する旨を、厚生労働省令で定めるところにより、基金に対し書面により申し出ることができる。

7 対象設立事業主又は第三項の役員であった者は、前項の規定による申出を行った場合には、基金が定める納期限までに、同項に規定する未納掛金等を納付しなければならない。

8 前項の場合において、未納掛金に相当する額は、基金の掛金の例により徴収する。

9 政府は、毎年度、基金が特例対象加入員に係る確認又は改定等を行った場合(特例対象加入員に係る厚生年金保険法第百三十九条第四項の掛金を納付する義務が履行されたかどうか明らかでないと認められる場合において当該特例対象加入員に係る確認又は改定等を行ったときを除く。)であって次条第一項(同項第一号ロ又は第二号ロに係る部分を除く。第一号において同じ。)の規定による公表を行ったときにおいて、その後に次の各号に掲げる場合に該当するときは、当該特例対象加入員に係る未納掛金等の額に相当する額の総額を、当該基金に対し交付する。

 一 次条第一項の規定による公表を行った後において基金が定める期限までに第六項の規定による申出が行われなかった場合(次号の場合を除く。)

 二 次のいずれかに該当するとき。

  イ 厚生労働省令で定める期限までに第二項の規定による勧奨を行うことができない場合(ロに掲げる場合及び第四項の規定による勧奨を行った場合を除く。)

  ロ イに規定する厚生労働省令で定める期限までに第二項及び第四項の規定による勧奨を行うことができない場合

10 前項の基金は、次の各号に掲げる場合に該当するときは、当該未納掛金等に相当する額を国庫に納付するものとする。

 一 前項第一号に該当する場合であって、同号の期限後に未納掛金等が納付されたとき。

 二 前項第二号に該当する場合であって、同号の期限後に未納掛金等が納付されたとき。

11 前項の規定により国庫に納付された未納掛金等に相当する額は、一般会計に帰属する。

12 政府は、第九項の規定により特例対象加入員に係る未納掛金の額に相当する額を交付したときは、その交付した金額の限度において、前条第一項に規定する事業主が当該特例対象加入員に係る厚生年金保険法第百二十八条の規定による届出をしなかったこと又は同法第百四十一条第一項の規定により準用される同法第八十四条第一項若しくは第二項の規定により当該特例対象加入員の負担すべき掛金を控除したにもかかわらず当該特例対象加入員に係る同法第百三十九条第四項の掛金を納付する義務を履行しなかったことに起因する当該特例対象加入員が当該事業主に対して有する金銭の給付を目的とする請求権を取得する。

13 前各項の規定は、前条第五項の規定により同条第一項から第四項までの規定が準用される厚生年金保険法第百二十九条第二項の適用事業所の事業主について準用する。

 (公表)

第六条 基金は、基金の事業の適正な運営及び厚生年金保険制度に対する国民の信頼の確保を図るため、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める事項その他第四条第一項に規定する場合において基金が講ずる措置で厚生労働省令で定めるものの結果を、インターネットの利用その他の適切な方法により随時公表しなければならない。

 一 対象設立事業主に対して前条第二項の規定による勧奨を行った場合(特例対象加入員に係る厚生年金保険法第百三十九条第四項の掛金を納付する義務が履行されたかどうか明らかでないと認められる場合において前条第二項の規定による勧奨を行ったときを除く。)において、イ又はロに掲げる場合に該当するとき。 当該対象設立事業主の氏名又は名称

  イ 当該対象設立事業主が前条第五項の期限までに同条第六項の規定による申出を行わなかった場合

  ロ 当該対象設立事業主が前条第五項の期限までに同条第六項の規定による申出を行ったが、同条第七項の規定に違反して、同項の納期限までに未納掛金を納付しない場合

 二 前条第三項の役員であった者に対して同条第四項の規定による勧奨を行った場合(特例対象加入員に係る厚生年金保険法第百三十九条第四項の掛金を納付する義務が履行されたかどうか明らかでないと認められる場合において前条第四項の規定による勧奨を行ったときを除く。)において、イ又はロに掲げる場合に該当するとき。 当該役員であった者(厚生労働省令で定める者を除く。)の氏名

  イ 当該役員であった者が前条第五項の期限までに同条第六項の規定による申出を行わなかった場合

  ロ 当該役員であった者が前条第五項の期限までに同条第六項の規定による申出を行ったが、同条第七項の規定に違反して、同項の納期限までに未納掛金に相当する額を納付しない場合

 三 イ又はロに掲げる場合に該当するとき。 当該対象設立事業主の氏名又は名称

  イ 前条第二項の規定による勧奨を行うことができない場合(ロに掲げる場合、同条第四項の規定による勧奨を行った場合及び特例対象加入員に係る厚生年金保険法第百三十九条第四項の掛金を納付する義務が履行されたかどうか明らかでないと認められる場合において前条第二項の規定による勧奨を行うことができないときを除く。)

  ロ 前条第二項及び第四項の規定による勧奨を行うことができない場合(特例対象加入員に係る厚生年金保険法第百三十九条第四項の掛金を納付する義務が履行されたかどうか明らかでないと認められる場合において前条第二項及び第四項の規定による勧奨を行うことができないときを除く。)

2 前項の規定は、前条第十三項の適用事業所の事業主について準用する。

 (企業年金連合会による老齢年金給付に関する特例等)

第七条 解散した基金の設立事業所の事業主であって、第一条第六項の通知を受けたもの又は同条第七項の公告をされたものが、厚生年金保険法第百四十一条第一項の規定により準用される同法第八十四条第一項又は第二項の規定により解散した基金の解散基金加入員(同法第百四十九条第一項に規定する解散基金加入員をいう。以下この項において同じ。)の負担すべき掛金を控除した事実があるにもかかわらず、当該解散基金加入員に係る同法第百三十九条第四項の掛金を納付する義務を履行したことが明らかでない場合(未納掛金を徴収する権利について同法第百七十条第一項に規定する時効の期間が経過する前に同法第百二十八条の規定による届出があった場合を除き、未納掛金を徴収する権利について同法第百七十条第一項に規定する時効の期間が経過している場合に限る。)には、企業年金連合会(以下「連合会」という。)は、遅滞なく、未納掛金に係る期間を有する者(以下「特例対象解散基金加入員」という。)に係る加入員の資格の取得及び喪失の確認又は標準給与の改定若しくは決定(以下この条及び次条において「確認等」という。)を行うものとする。ただし、特例対象解散基金加入員が、当該事業主が当該義務を履行していないことを知り、又は知り得る状態であったと認められる場合には、この限りでない。

2 連合会は、特例対象解散基金加入員に係る確認等を行ったときは、当該特例対象解散基金加入員、当該特例対象解散基金加入員を使用し、又は使用していた前項に規定する事業主その他の厚生労働省令で定める者に対し、その旨の通知を行わなければならない。

3 連合会は、前項の特例対象解散基金加入員、当該特例対象解散基金加入員を使用し、又は使用していた第一項に規定する事業主その他の厚生労働省令で定める者の所在が明らかでない場合その他やむを得ない事情のため前項の通知をすることができない場合においては、 同項の通知に代えて、その通知すべき事項の公告を行うものとする。

4 前三項の規定は、特例対象解散基金加入員に係る厚生年金保険法第百二十九条第二項の適用事業所の事業主について準用する。

5 前各項に定めるもののほか、連合会による老齢年金給付の特例に関し必要な事項は、政令で定める。

 (特例掛金の納付等)

第八条 連合会が特例対象解散基金加入員に係る確認等を行った場合には、当該特例対象解散基金加入員を使用し、又は使用していた前条第一項に規定する事業主(当該事業主の事業を承継する者及び当該事業主であった個人を含む。以下「解散した基金の対象設立事業主」という。)は、厚生労働省令で定めるところにより、特例掛金として、未納掛金に相当する額を納付することができる。

2 連合会は、解散した基金の対象設立事業主に対して、前項の特例掛金(以下「特例掛金」という。)の納付を勧奨しなければならない。ただし、やむを得ない事情のため当該勧奨を行うことができない場合は、この限りでない。

3 第一項の場合において、解散した基金の対象設立事業主(法人である解散した基金の対象設立事業主に限る。)に係る事業が廃止されているときその他やむを得ない事情のため前項の規定による勧奨を行うことができないときは、当該法人の役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有すると認められる者を含む。)であった者は、厚生労働省令で定めるところにより、特例掛金を納付することができる。

4 連合会は、第二項の規定による勧奨を行うことができない場合においては、前項の役員であった者に対して、特例掛金の納付を勧奨しなければならない。ただし、やむを得ない事情のため当該勧奨を行うことができない場合は、この限りでない。

5 連合会は、次条第一項の規定による公表を行う前に第二項又は前項の規定による勧奨を行う場合(特例対象解散基金加入員に係る厚生年金保険法第百三十九条第四項の掛金を納付する義務が履行されたかどうか明らかでないと認められる場合において第二項又は前項の規定による勧奨を行うときを除く。)には、解散した基金の対象設立事業主又は第三項の役員であった者に対して、連合会が定める期限までに次項の規定による申出を行わないときは次条第一項の規定による公表を行う旨を、併せて通知するものとする。

6 解散した基金の対象設立事業主又は第三項の役員であった者は、第二項又は第四項の規定による勧奨を受けた場合には、未納掛金に係るすべての期間に係る特例掛金を納付する旨を、厚生労働省令で定めるところにより、連合会に対し書面により申し出ることができ る。

7 解散した基金の対象設立事業主又は第三項の役員であった者は、前項の規定による申出を行った場合には、連合会が定める納期限までに、同項に規定する特例掛金を納付しなければならない。

8 前項の場合において、特例掛金は、基金の掛金の例により徴収する。

9 政府は、毎年度、連合会が特例対象解散基金加入員に係る確認等を行った場合(特例対象解散基金加入員に係る厚生年金保険法第百三十九条第四項の掛金を納付する義務が履行されたかどうか明らかでないと認められる場合において当該特例対象解散基金加入員に係る確認等を行ったときを除く。)であって次条第一項(同項第一号ロ又は第二号ロに係る部分を除く。第一号において同じ。)の規定による公表を行ったときにおいて、その後に次の各号に掲げる場合に該当するときは、当該解散基金加入員に係る特例掛金の額に相当する額の総額を、連合会に対し交付する。

 一 次条第一項の規定による公表を行った後において連合会が定める期限までに第六項の規定による申出が行われなかった場合(次号の場合を除く。)

 二 次のいずれかに該当するとき。

  イ 厚生労働省令で定める期限までに第二項の規定による勧奨を行うことができない場合(ロに掲げる場合及び第四項の規定による勧奨を行った場合を除く。)

  ロ イに規定する厚生労働省令で定める期限までに第二項及び第四項の規定による勧奨を行うことができない場合

10 連合会は、次の各号に掲げる場合に該当するときは、当該特例掛金に相当する額を国庫に納付するものとする。

 一 前項第一号に該当する場合であって、同号の期限後に特例掛金が納付されたとき。

 二 前項第二号に該当する場合であって、同号の期限後に特例掛金が納付されたとき。

11 前項の規定により国庫に納付された特例掛金に相当する額は、一般会計に帰属する。

12 政府は、第九項の規定により特例対象解散基金加入員に係る特例掛金の額に相当する額を交付したときは、その交付した金額の限度において、前条第一項に規定する事業主が当該特例対象解散基金加入員に係る厚生年金保険法第百二十八条の規定による届出をしなかったこと又は同法第百四十一条第一項の規定により準用される同法第八十四条第一項若しくは第二項の規定により当該特例対象解散基金加入員の負担すべき掛金を控除したにもかかわらず当該特例対象解散基金加入員に係る同法第百三十九条第四項の掛金を納付する義務を履行しなかったことに起因する当該特例対象解散基金加入員が当該事業主に対して有する金銭の給付を目的とする請求権を取得する。

13 前各項の規定は、前条第四項の規定により同条第一項から第三項までの規定が準用される厚生年金保険法第百二十九条第二項の適用事業所の事業主について準用する。

 (公表)

第九条 連合会は、基金の事業の適正な運営及び厚生年金保険制度に対する国民の信頼の確保を図るため、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める事項その他第七条第一項に規定する場合において連合会が講ずる措置で厚生労働省令で定めるものの結果を、インターネットの利用その他の適切な方法により随時公表しなければならない。

 一 解散した基金の対象設立事業主に対して前条第二項の規定による勧奨を行った場合(特例対象解散基金加入員に係る厚生年金保険法第百三十九条第四項の掛金を納付する義務が履行されたかどうか明らかでないと認められる場合において前条第二項の規定による勧奨を行ったときを除く。)において、イ又はロに掲げる場合に該当するとき。 当該解散した基金の対象設立事業主の氏名又は名称

  イ 当該解散した基金の対象設立事業主が前条第五項の期限までに同条第六項の規定による申出を行わなかった場合

  ロ 当該解散した基金の対象設立事業主が前条第五項の期限までに同条第六項の規定による申出を行ったが、同条第七項の規定に違反して、同項の納期限までに特例掛金を納付しない場合

 二 前条第三項の役員であった者に対して同条第四項の規定による勧奨を行った場合(特例対象解散基金加入員に係る厚生年金保険法第百三十九条第四項の掛金を納付する義務が履行されたかどうか明らかでないと認められる場合において前条第四項の規定による勧奨を行ったときを除く。)において、イ又はロに掲げる場合に該当するとき。 当該役員であった者(厚生労働省令で定める者を除く。)の氏名

  イ 当該役員であった者が前条第五項の期限までに同条第六項の規定による申出を行わなかった場合

  ロ 当該役員であった者が前条第五項の期限までに同条第六項の規定による申出を行ったが、同条第七項の規定に違反して、同項の納期限までに特例掛金を納付しない場合

 三 イ又はロに掲げる場合に該当するとき。 当該解散した基金の対象設立事業主の氏名又は名称

  イ 前条第二項の規定による勧奨を行うことができない場合(ロに掲げる場合、同条第四項の規定による勧奨を行った場合及び特例対象解散基金加入員に係る厚生年金保険法第百三十九条第四項の掛金を納付する義務が履行されたかどうか明らかでないと認められる場合において前条第二項の規定による勧奨を行うことができないときを除く。)

  ロ 前条第二項及び第四項の規定による勧奨を行うことができない場合(特例対象解散基金加入員に係る厚生年金保険法第百三十九条第四項の掛金を納付する義務が履行されたかどうか明らかでないと認められる場合において前条第二項及び第四項の規定による勧奨を行うことができないときを除く。)

2 前項の規定は、前条第十三項の適用事業所の事業主について準用する。

 (基金等への情報提供)

第十条 社会保険庁長官は、基金又は連合会に対し、基金の設立事業所(厚生年金保険法第百二十九条第二項の適用事業所を含む。)の事業主であって、第一条第六項の通知を行ったもの又は同条第七項の公告をしたものの名称及び所在地その他必要な情報を提供するものとする。

 (審査請求等)

第十一条 社会保険庁長官のした特例納付保険料の徴収の処分又は第二条第八項の規定によりその例によるものとされる厚生年金保険法第八十六条の規定による処分は、同法に基づく処分とみなして、同法第九十一条から第九十一条の三までの規定及び社会保険審査官及び社会保険審査会法(昭和二十八年法律第二百六号)の規定を適用する。

2 基金のした第五条第八項(同条第十三項において準用する場合を含む。)の規定によりその例によるものとされる厚生年金保険法第百四十一条第一項の規定により準用される同法第八十六条の規定による処分は、同法に基づく処分とみなして、同法第百六十九条の規定により準用される同法第九十一条から第九十一条の三までの規定及び社会保険審査官及び社会保険審査会法の規定を適用する。

3 第七条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)及び第八条第八項(同条第十三項において準用する場合を含む。)の規定による処分に不服がある者については、厚生年金保険法第六章の規定を準用する。この場合において、同法第九十一条の三中「第九十条第一項又は第九十一条」とあるのは、「厚生年金保険の保険給付及び保険料の納付の特例等に関する法律(平成十九年法律第百三十一号)第十一条第三項において準用する第九十条第一項又は第九十一条」と読み替えるものとする。

4 社会保険審査官又は社会保険審査会は、社会保険審査官及び社会保険審査会法第一条第一項及び第十九条の規定にかかわらず、前項の審査請求の事件を取り扱う。

 (時効)

第十二条 特例納付保険料その他この法律の規定による徴収金(次項において「特例納付保険料等」という。)を徴収し、又はその還付を受ける権利は、二年を経過したときは、時効によって、消滅する。

2 特例納付保険料等の納入の告知又は第二条第八項の規定によりその例によるものとされる厚生年金保険法第八十六条第一項若しくは第五条第八項(同条第十三項において準用する場合を含む。)及び第八条第八項(同条第十三項において準用する場合を含む。)の規定によりその例によるものとされる同法第百四十一条第一項において準用する同法第八十六条第一項の規定による督促は、民法(明治二十九年法律第八十九号)第百五十三条の規定にかかわらず、時効中断の効力を有する。

 (期間の計算)

第十三条 この法律又はこの法律に基づく命令に規定する期間の計算については、民法の期間に関する規定を準用する。

 (協力)

第十四条 対象事業主又は第二条第三項の役員であった者は、第一条第一項に規定する場合に特例対象者その他の関係者に対して厚生年金保険法による保険給付又は国民年金法による給付(これに相当する給付を含む。)が適正に行われるようにするため社会保険庁長官が講ずる措置にできる限り協力しなければならない。

2 対象設立事業主若しくは第五条第三項の役員であった者又は解散した基金の対象設立事業主若しくは第八条第三項の役員であった者は、第四条第一項又は第七条第一項に規定する場合に特例対象加入員又は特例対象解散基金加入員その他の関係者に対して厚生年金保険法 による保険給付が適正に行われるようにするため基金又は連合会が講ずる措置にできる限り協力しなければならない。

3 前項の規定は、第四条第五項の規定により同条第一項から第四項までの規定が準用される厚生年金保険法第百二十九条第二項の適用事業所の事業主若しくは第五条第十三項において準用する同条第三項の役員であった者又は第七条第四項の規定により同条第一項から第三項までの規定が準用される同法第百二十九条第二項の適用事業所の事業主若しくは第八条第十三項において準用する同条第三項の役員であった者について準用する。この場合において、前項中「第四条第一項又は第七条第一項」とあるのは、「第四条第五項において準用する同条第一項又は第七条第四項において準用する同条第一項」と読み替えるものとする。

 (国会への報告)

第十五条 政府は、おおむね六月に一回、国会に、厚生年金保険法第二十八条の規定により記録した事項の訂正が行われた各事案についての第一条第一項に規定する機関が行った調査審議の結果の概要(当該事案が、同項の事業主が同法第八十二条第二項の保険料を納付する義務を履行したと認められる場合、当該事業主が当該義務を履行しなかったと認められる場合又は当該事業主が当該義務を履行したかどうか明らかでないと認められる場合のいずれに該当するかに関する事項を含む。)、社会保険庁長官が行った特例対象者に係る第一条第一項に規定する確認等の件数、特例納付保険料の納付の状況、国が負担した特例対象者に係る特例納付保険料の額に相当する額の総額その他この法律の施行の状況についての報告を提出しなければならない。

 (命令への委任)

第十六条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施に関し必要な事項は、命令で定める。

 (罰則)

第十七条 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。

 一 第二条第八項の規定によりその例によるものとされる厚生年金保険法第八十九条の規定によりその例によるものとされる国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第百四十一条の規定による徴収職員の質問に対して答弁をせず、又は偽りの陳述をした者

 二 第二条第八項の規定によりその例によるものとされる厚生年金保険法第八十九条の規定によりその例によるものとされる国税徴収法第百四十一条の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は当該検査に関し偽りの記載若しくは記録をした帳簿書類を提示した 者

第十八条 法人(法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるもの(以下この条において「人格のない社団等」という。)を含む。以下この項において同じ。)の代表者(人格のない社団等の管理人を含む。)又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して、前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、同条の刑を科する。

2 人格のない社団等について前項の規定の適用がある場合においては、その代表者又は管理人がその訴訟行為につき当該人格のない社団等を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、附則第五条の規定は、この法律の公布の日又は被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成十九年法律第▼▼▼号)の公布の日のいずれか遅い日から施行する。

 (この法律の失効)

第二条 この法律は、第一条第一項に規定する国家行政組織法第八条に規定する機関であって年金記録に関する事項の調査審議を専門的に行うものが廃止される日限り、その効力を失う。ただし、同日までにあった第一条第一項の意見に係る事案については、この法律の規定は、この法律の失効後も、なおその効力を有する。

2 この法律の失効前にした行為に対する罰則の適用については、この法律は、前項の規定にかかわらず、同項に規定する日後も、なおその効力を有する。

3 前二項に規定するもののほか、この法律の失効に伴い必要な経過措置は、政令で定める。

 (旧船員保険法等に関する特例)

第三条 国民年金法等の一部を改正する法律(昭和六十年法律第三十四号)第五条の規定による改正前の船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)その他厚生労働省令で定める法令の適用に関し、第一条第一項の意見に相当する意見があったときは、当該意見を同項の意見とみなして、この法律の規定を適用する。この場合において、必要な読替えは厚生労働省令で定める。

 (日本年金機構法の一部改正)

第四条 日本年金機構法(平成十九年法律第百九号)の一部を次のように改正する。

  附則第六十九条の次に次の一条を加える。

  (厚生年金保険の保険給付及び保険料の納付の特例等に関する法律の一部改正)

 第六十九条の二 厚生年金保険の保険給付及び保険料の納付の特例等に関する法律(平成十九年法律第百三十一号)の一部を次のように改正する。

   本則中「社会保険庁長官」を「厚生労働大臣」に改める。

   第十八条を第二十六条とする。

   第十七条第一号中「(昭和三十四年法律第百四十七号)」を削り、同条を第二十五条とする。

   第十六条を第二十四条とし、第十五条の次に次の八条を加える。

   (機構への厚生労働大臣の権限に係る事務の委任)

  第十六条 次に掲げる厚生労働大臣の権限に係る事務は、日本年金機構(以下「機構」という。)に行わせるものとする。

   一 第二条第六項の規定による申出の受理

   二 第二条第八項の規定によりその例によるものとされる厚生年金保険法第八十三条の二の規定による申出の受理及び承認

   三 第二条第八項の規定によりその例によるものとされる厚生年金保険法第八十六条第五項の規定による国税滞納処分の例による処分及び同項の規定による市町村に対する処分の請求

   四 第二条第八項の規定によりその例によるものとされる厚生年金保険法第八十九条の規定により国税徴収の例によるものとされる徴収に係る権限(国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第三十六条第一項の規定の例による納入の告知、同法第四十二条において準用する民法第四百二十三条第一項の規定の例による納付義務者に属する権利の行使、国税通則法第四十六条の規定の例による納付の猶予その他の厚生労働省令で定める権限並びに次号に掲げる質問及び検査並びに捜索を除く。)

   五 第二条第八項の規定によりその例によるものとされる厚生年金保険法第八十九条の規 定によりその例によるものとされる国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第百四十一条の規定による質問及び検査並びに同法第百四十二条の規定による捜索

   六 前各号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める権限

  2 機構は、前項第三号に掲げる国税滞納処分の例による処分及び同項第五号に掲げる権限(以下「滞納処分等」という。)その他同項各号に掲げる権限のうち厚生労働省令で定める権限に係る事務を効果的に行うため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に当該権限の行使に必要な情報を提供するとともに、厚生労働大臣自らその権限を行うよう求めることができる。

  3 厚生労働大臣は、前項の規定による求めがあった場合において必要があると認めるとき、又は機構が天災その他の事由により第一項各号に掲げる権限に係る事務の全部若しくは一部を行うことが困難若しくは不適当となったと認めるときは、同項各号に掲げる権限の全部又は一部を自ら行うものとする。

  4 厚生年金保険法第百条の四第四項から第七項までの規定は、機構による第一項各号に掲げる権限に係る事務の実施又は厚生労働大臣による同項各号に掲げる権限の行使について準用する。

   (財務大臣への権限の委任)

  第十七条 厚生労働大臣は、前条第三項の規定により滞納処分等及び同条第一項第四号に掲げる権限の全部又は一部を自らが行うこととした場合におけるこれらの権限並びに同号に規定する厚生労働省令で定める権限のうち厚生労働省令で定めるもの(以下この項において「滞納処分等その他の処分」という。)に係る納付義務者が滞納処分等その他の処分の執行を免れる目的でその財産について隠ぺいしているおそれがあることその他の政令で定める事情があるため特例納付保険料及び延滞金の効果的な徴収を行う上で必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、財務大臣に、当該納付義務者に関する情報その他必要な情報を提供するとともに、当該納付義務者に係る滞納処分等その他の処分の権限の全部又は一部を委任することができる。

  2 厚生年金保険法第百条の五第二項から第七項までの規定は、前項の規定による財務大臣への権限の委任について準用する。

   (機構が行う滞納処分等に係る認可等)

  第十八条 機構は、滞納処分等を行う場合には、あらかじめ、厚生労働大臣の認可を受けるとともに、次条第一項に規定する滞納処分等実施規程に従い、徴収職員に行わせなければならない。

  2 厚生年金保険法第百条の六第二項及び第三項の規定は、前項の規定による機構が行う滞納処分等について準用する。

   (滞納処分等実施規程の認可等)

  第十九条 機構は、滞納処分等の実施に関する規程(次項において「滞納処分等実施規程」という。)を定め、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

  2 厚生年金保険法第百条の七第二項及び第三項の規定は、滞納処分等実施規程の認可及び変更について準用する。

   (地方厚生局長等への権限の委任)

  第二十条 この法律に規定する厚生労働大臣の権限(第十七条第一項及び同条第二項において準用する厚生年金保険法第百条の五第二項に規定する厚生労働大臣の権限を除く。)は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生局長に委任することができる。

  2 前項の規定により地方厚生局長に委任された権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生支局長に委任することができる。

   (機構への事務の委託)

  第二十一条 厚生労働大臣は、機構に、次に掲げる事務を行わせるものとする。

   一 第二条第二項及び第四項の規定による勧奨に係る事務(当該勧奨を除く。)

   二 第二条第五項の規定による通知に係る事務(当該通知を除く。)

   三 第二条第八項及び同項の規定によりその例によるものとされる厚生年金保険法第八十五条の規定による特例納付保険料の徴収に係る事務(第十六条第一項第二号から第五号までに掲げる権限を行使する事務及び次条第一項の規定により機構が行う収納、第二条第八項の規定によりその例によるものとされる同法第八十六条第一項の規定による督促その他の厚生労働省令で定める権限を行使する事務並びに次号及び第七号に掲げる事務を除く。)

   四 第二条第八項の規定によりその例によるものとされる厚生年金保険法第八十六条第一項及び第二項の規定による督促に係る事務(当該督促及び督促状を発すること(督促状の発送に係る事務を除く。)を除く。)

   五 第二条第八項の規定によりその例によるものとされる厚生年金保険法第八十七条第一項及び第四項の規定による延滞金の徴収に係る事務(第十六条第一項第三号から第五号までに掲げる権限を行使する事務及び次条第一項の規定により機構が行う収納、第二条第八項の規定によりその例によるものとされる同法第八十六条第一項の規定による督促その他の厚生労働省令で定める権限を行使する事務並びに前号及び第七号に掲げる事務を除く。)

   六 第十条の規定による情報の提供に係る事務(当該情報の提供を除く。)

   七 第十六条第一項第四号に規定する厚生労働省令で定める権限に係る事務(当該権限を行使する事務を除く。)

   八 前各号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事務

  2 厚生年金保険法第百条の十第二項及び第三項の規定は、前項の規定による機構への事務の委託について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。

   (機構が行う収納)

  第二十二条 厚生労働大臣は、会計法(昭和二十二年法律第三十五号)第七条第一項の規定にかかわらず、政令で定める場合における特例納付保険料及び延滞金の収納を、政令で定めるところにより、機構に行わせることができる。

  2 厚生年金保険法第百条の十一第二項から第六項までの規定は、前項の規定による機構が行う収納について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。

   (情報の提供等)

  第二十三条 機構は、厚生労働大臣に対し、厚生労働省令で定めるところにより、特例納付保険料の納付に関する事項その他厚生労働大臣の権限の行使に関して必要な情報の提供を行うものとする。

  2 厚生労働大臣及び機構は、特例納付保険料の納付及び厚生労働大臣による公表が、適正 かつ円滑に行われるよう、必要な情報交換を行うことその他相互の密接な連携の確保に努めるものとする。

   本則に次の一条を加える。

  第二十七条 機構の役員は、次の各号のいずれかに該当する場合には、二十万円以下の過料に処する。

   一 第十八条第一項、同条第二項において準用する厚生年金保険法第百条の六第二項、第十九条第一項及び第二十二条第二項において準用する同法第百条の十一第二項の規定により厚生労働大臣の認可を受けなければならない場合において、その認可を受けなかったとき。

   二 第十九条第二項において準用する厚生年金保険法第百条の七第三項の規定による命令に違反したとき。

 (被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律の一部改正)

第五条 被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律の一部を次のように改正する。

  附則第百五十二条の次に次の一条を加える。

  (厚生年金保険の保険給付及び保険料の納付の特例等に関する法律の一部改正)

 第百五十二条の二 厚生年金保険の保険給付及び保険料の納付の特例に関する法律(平成十九年法律第百三十一号)の一部を次のように改正する。

   第一条第四項中「第五条第二項」を「第五条第一項」に改める。

   第十一条第一項及び第二項中「第九十一条から第九十一条の三までの規定及び」を「第九十一条第一項、第九十一条の二及び第九十一条の三の規定並びに」に改め、同条第三項中「第九十一条」を「第九十一条第一項」に改める。

 (政令への委任)

第六条 この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

(厚生労働・内閣総理大臣署名)