中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律の一部を改 正する法律
法律第百二十七号(平一九・一二・五)中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律(平成六年法律 第三十号)の一部を次のように改正する。
第十三条を次のように改める。
(国民年金の特例等)
第十三条 永住帰国した中国残留邦人等(明治四十四年四月二日以後に生まれた者であって、永 住帰国した日から引き続き一年以上本邦に住所を有するものに限る。以下この項及び第五項において同じ。)であって、昭和二十一年十二月三十一日以前に生まれたもの(同日後 に生まれた者であって同日以前に生まれた永住帰国した中国残留邦人等に準ずる事情にあるものとして厚生労働省令で定める者を含む。)に係る昭和三十六年四月一日から初めて 永住帰国した日の前日までの期間であって政令で定めるものについては、政令で定めるところにより、国民年金法等の一部を改正する法律(昭和六十年法律第三十四号。第三項に おいて「昭和六十年法律第三十四号」という。)第一条の規定による改正前の国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)(以下「旧国民年金法」という。)による被保険者期 間(以下「旧被保険者期間」という。)又は国民年金法第七条第一項第一号に規定する第一号被保険者としての国民年金の被保険者期間(以下「新被保険者期間」という。)とみ なす。
2 前項に規定する永住帰国した中国残留邦人等(六十歳以上の者に限る。)であって昭和三十 六年四月一日以後に初めて永住帰国したもの(以下「特定中国残留邦人等」という。)は、旧被保険者期間又は新被保険者期間(同項の規定により旧被保険者期間又は新被保険者 期間とみなされた期間を含み、旧国民年金法第五条第三項に規定する保険料納付済期間、国民年金法第五条第二項に規定する保険料納付済期間その他の政令で定める期間を除く。 第四項において同じ。)に係る保険料を納付することができる。
3 国は、特定中国残留邦人等に対し、厚生労働省令で定めるところにより、当該特定中国残留 邦人等の旧被保険者期間(第一項の規定により旧被保険者期間とみなされた期間を含む。)及び昭和六十年法律第三十四号附則第八条第二項各号に掲げる期間(政令で定める期間 に限る。)並びに国民年金法による被保険者期間(第一項の規定により新被保険者期間とみなされた期間を含み、政令で定める期間を除く。)に応じ、政令で定める額の一時金を 支給する。
4 国は、前項の一時金の支給に当たっては、特定中国残留邦人等が満額の老齢基礎年金等の支 給を受けるために納付する旧被保険者期間又は新被保険者期間に係る保険料に相当する額として政令で定める額を当該一時金から控除し、当該特定中国残留邦人等に代わって当該 保険料を納付するものとする。
5 永住帰国した中国残留邦人等に係る国民年金法に規定する事項及び前各項の規定の適用に関 し必要な事項については、同法その他の法令の規定にかかわらず、政令で特別の定めをすることができる。
第十四条を第十七条とし、同条の次に次の一条を加える。
(事務の区分)
第十八条 第十四条第四項においてその例によるものとされた生活保護法別表の下欄に掲げる規 定によりそれぞれ同表の上欄に掲げる地方公共団体が処理することとされている事務は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第九項第一号に規定する第一号法定受 託事務とする。
第十三条の次に次の三条を加える。
(支援給付の実施)
第十四条 この法律による支援給付(以下「支援給付」という。)は、特定中国残留邦人等であ って、その者の属する世帯の収入の額(その者に支給される老齢基礎年金その他に係る厚生労働省令で定める額を除く。)がその者(当該世帯にその者の配偶者(婚姻の届出をし ていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下同じ。)、その者以外の特定中国残留邦人等その他厚生労働省令で定める者があるときは、これらの者を含む。) について生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第八条第一項の基準により算出した額に比して不足するものに対して、その不足する範囲内において行うものとす る。
2 支援給付の種類は、次のとおりとする。
一 生活支援給付
二 住宅支援給付
三 医療支援給付
四 介護支援給付
五 その他政令で定める給付
3 支援給付を受けている特定中国残留邦人等であって、その者の属する世帯にその者の配偶者(特定中国残留邦人等以外の者に限る。以下この条において同じ。)があるものが死亡した場合において、当該特定中国残留邦人等の死亡後も当該配偶者の属する世帯の収入の額(厚生労働省令で定める額を除く。)が当該配偶者(当該世帯に厚生労働省令で定める者があるときは、その者を含む。)について生活保護法第八条第一項の基準により算出した額に比して継続して不足するときは、当該世帯に他の特定中国残留邦人等がある場合を除き、当該配偶者に対して、厚生労働省令で定めるところにより、支援給付を行うものとする。ただし、当該配偶者が当該死亡後に婚姻したとき(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者となったときを含む。)は、この限りでない。
4 この法律に特別の定めがある場合のほか、支援給付については、生活保護法の規定の例による。
5 支援給付の実施に当たっては、特定中国残留邦人等の置かれている事情にかんがみ、特定中国残留邦人等及びその配偶者が日常生活又は社会生活を円滑に営むことができるようにするために必要な配慮をして、懇切丁寧に行うものとする。
6 支援給付については、政令で定めるところにより、支援給付を生活保護法による保護とみなして、国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)その他政令で定める法令の規定を適用する。
7 前項に定めるもののほか、支援給付に関する事項に係る他の法令の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
8 前各項に定めるもののほか、支援給付の実施に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。
(譲渡等の禁止等)
第十五条 第十三条第三項の一時金及び支援給付を受ける権利は、譲渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。
2 租税その他の公課は、第十三条第三項の一時金及び支援給付として支給を受けた金品を標準として、課することができない。
(情報の提供)
第十六条 社会保険庁長官は、厚生労働大臣に対し、厚生労働省令で定めるところにより、第十三条第三項の一時金の支給及び同条第四項の保険料の納付に関して必要な情報の提供を行うものとする。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、平成二十年一月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、それぞれ当該各号に定める日から施行する。
一 第十四条を第十七条とする改正規定及び第十三条の次に三条を加える改正規定(第十六条に係る部分に限る。)並びに附則第五条、第七条及び第八条の規定 公布の日
二 附則第九条の規定 この法律の公布の日又は被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成十九年法律第▼▼▼号)の公布の日のいずれか遅い日
三 第十三条の改正規定(同条第三項及び第五項に係る部分を除く。) 平成二十年三月一日
四 第十七条の次に一条を加える改正規定及び第十三条の次に三条を加える改正規定(第十四条に係る部分に限る。)並びに次条から附則第四条まで及び附則第六条の規定 平成二十年四月一日
(支援給付の実施に関する経過措置)
第二条 前条第四号に掲げる規定の施行の際現に生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)による保護を受けている同号に掲げる規定による改正後の中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律(以下「新法」という。)第十四条第一項に規定する特定中国残留邦人等(新法第十三条第二項の特定中国残留邦人等をいう。以下同じ。)に対しては、厚生労働省令で定めるところにより、新法第十四条第一項の支援給付を行うものとする。
第三条 附則第一条第四号に掲げる規定の施行の際現に生活保護法の規定により設置され、若しくは認可され、又は指定されている保護施設又は医療機関、介護機関その他厚生労働省令で定める機関(以下「医療機関等」という。)は、新法第十四条第四項(次条第二項にお いて準用する場合を含む。)においてその例によるものとされた生活保護法の規定により設置され、若しくは認可され、又は指定された保護施設又は医療機関等とみな す。
(施行前死亡者の配偶者に対する支援給付の実施)
第四条 特定中国残留邦人等であって、その者の属する世帯にその者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含み、特定中国残留邦人等以外の者に限る。以下同じ。)があるものが附則第一条第四号に掲げる規定の施行前に死亡した場合において、当該配偶者(以下「施行前死亡者の配偶者」という。)が当該規定の施行の際現に生活保護法による保護を受けている者であり、かつ、当該規定の施行後も当該施行前死亡者の配偶者の属する世帯の収入の額(厚生労働省令で定める額を除く。)が当該施行前死亡者の配偶者(当該世帯に厚生労働省令で定める者があるときは、その者を含む。)について生活保護法第八条第一項の基準により算出した額に比して継続して不足するときは、当該世帯に他の特定中国残留邦人等又は新法第十四条第三項の規定により同条第一項の支援給付を受けることとなる配偶者がある場合を除き、当該施行前死亡者の配偶者に対して、厚生労働省令で定めるところにより、当該施行前死亡者の配偶者の生活を支 援する給付(以下「支援給付」という。)を行うものとする。ただし、当該施行前死亡者の配偶者が当該死亡後に婚姻したとき(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者となったときを含む。)は、この限りでない。
2 新法第十四条第二項及び第四項から第八項まで並びに第十五条の規定は、支援給付について準用する。
3 前項において準用する新法第十四条第四項においてその例によるものとされた生活保護法別表の下欄に掲げる規定によりそれぞれ同表の上欄に掲げる地方公共団体が処理することとされている事務は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。
(訴訟上の救助により猶予された費用に関する特例等)
第五条 この法律の公布の際現に係属している永住帰国した中国残留邦人等(中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律第二条第一項に規定する中国残留邦人等をいう。以下同じ。)又はその相続人その他の一般承継人であると主張する者が国家賠償法(昭和二十二年法律第百二十五号)第一条第一項の規定に基づき国に対して提起した訴えに係る訴訟であって、当該者(以下「原告」という。)が国の公務員は原告(原告が中国残留邦人等の相続人その他の一般承継人であると主張する者である場合にあっては、当該中国残留邦人等)を早期に帰国させる義務又はその帰国後にその自立の支援を行う義務に違反したと主張するものにおいて、訴訟上の救助により支払が猶予された費用については、この法律の公布後に当該訴訟につき原告が訴え(原告が敗訴した場合における上訴を含む。)を取り下げ、若しくは請求の放棄をし、又は当事者が裁判所において和解(訴訟を終了させることをその合意の内容とするものに限る。)をしたときは、国は、当該訴訟の原告に対し、これを請求することができない。
2 租税その他の公課は、前項の規定により原告が受ける経済的利益を標準として、課することができない。
(地方自治法の一部改正)
第六条 地方自治法の一部を次のように改正する。
別表第一特定水道利水障害の防止のための水道水源水域の水質の保全に関する特別措置法(平成六年法律第九号)の項の次に次のように加える。
中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律(平成六年法律第三十号) |
第十四条第四項においてその例によるものとされた生活保護法別表の下欄に掲げる規定によりそれぞれ同表の上欄に掲げる地方公共団体が処理することとされている事務 |
別表第一に次のように加える。
中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律の一部を改正する法律(平成十九年法律第百二十七 号) |
附則第四条第二項において準用する中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律第十四条第四項におい てその例によるものとされた生活保護法別表の下欄に掲げる規定によりそれぞれ同表の上欄に掲げる地方公共団体が処理することとされている事務 |
(住民基本台帳法の一部改正)
第七条 住民基本台帳法(昭和四十二年法律第八十一号)の一部を次のように改正する。
別表第一の七十七の項の次に次のように加える。
七十七の二 厚生労働省 |
中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律(平成六年法律第三十号)による同法第十三条第三項の一時金の支給に関する事務であつて総務省令で定めるもの |
(日本年金機構法の一部改正)
第八条 日本年金機構法(平成十九年法律第百九号)の一部を次のように改正する。
附則第五十一条の次に次の一条を加える。
(中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律の一部改正)
第五十一条の二 中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律(平成六年法律第三十号)の一部を次のように改正する。
第十六条中「社会保険庁長官」を「日本年金機構」に改める。
(被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律の一部改正)
第九条 被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律の一部を次のように改正する。
附則第百三十二条の次に次の一条を加える。
(中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律の一部改正)
第百三十二条の二 中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律(平成六年法律第三十号)の一部を次のように改正する。
第十三条第二項中「第五条第二項」を「第五条第一項」に改め、同条第三項中「附則第八条第二項各号に掲げる期間」を「附則第八条第二項に規定する厚生年金保険の被保険者期間」に改める。
(総務・財務・厚生労働・内閣総理大臣署名)