公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律
法律第六十七号(平一四・六・一二)
(定義)
第一条 この法律において「公衆等脅迫目的の犯罪行為」とは、公衆又は国若しくは地方公共団体若しくは外国政府等(外国の政府若しくは地方公共団体又は条約その他の国際約束により設立された国際機関をいう。)を脅迫する目的をもって行われる犯罪行為であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。
一 人を殺害し、若しくは凶器の使用その他人の身体に重大な危害を及ぼす方法によりその身体を傷害し、又は人を略取し、若しくは誘拐し、若しくは人質にする行為
二イ 航行中の航空機を墜落させ、転覆させ、若しくは覆没させ、又はその航行に危険を生じさせる行為
ロ 航行中の船舶を沈没させ、若しくは転覆させ、又はその航行に危険を生じさせる行為
ハ 暴行若しくは脅迫を用い、又はその他の方法により人を抵抗不能の状態に陥れて、航行中の航空機若しくは船舶を強取し、又はほしいままにその運航を支配する行為
ニ 爆発物を爆発させ、放火し、又はその他の方法により、航空機若しくは船舶を破壊し、その他これに重大な損傷を与える行為
三 爆発物を爆発させ、放火し、又はその他次に掲げるものに重大な危害を及ぼす方法により、これを破壊し、その他これに重大な損傷を与える行為
イ 電車、自動車その他の人若しくは物の運送に用いる車両であって、公用若しくは公衆の利用に供するもの又はその運行の用に供する施設(ロに該当するものを除く。)
ロ 道路、公園、駅その他の公衆の利用に供する施設
ハ 電気若しくはガスを供給するための施設、水道施設若しくは下水道施設又は電気通信を行うための施設であって、公用又は公衆の利用に供するもの
ニ 石油、可燃性天然ガス、石炭又は核燃料である物質若しくはその原料となる物質を生産し、精製その他の燃料とするための処理をし、輸送し、又は貯蔵するための施設
ホ 建造物(イからニまでに該当するものを除く。)
(資金提供)
第二条 情を知って、公衆等脅迫目的の犯罪行為の実行を容易にする目的で、資金を提供した者は、十年以下の懲役又は千万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪の未遂は、罰する。
(資金収集)
第三条 公衆等脅迫目的の犯罪行為を実行しようとする者が、その実行のために使用する目的で、資金の提供を勧誘し、若しくは要請し、又はその他の方法により、資金を収集したときは、十年以下の懲役又は千万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪の未遂は、罰する。
(自首)
第四条 前二条の罪を犯した者が当該罪に係る公衆等脅迫目的の犯罪行為の実行の着手前に自首したときは、その刑を減軽し、又は免除する。
(国外犯)
第五条 第二条及び第三条の罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第三条及び第四条の二の例に従う。
(両罰規定)
第六条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して第二条又は第三条の罪を犯したときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても各本条の罰金刑を科する。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。ただし、第五条の規定(刑法第四条の二に係る部分に限る。)は、テロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約が日本国について効力を生ずる日から施行する。
(経過措置)
2 第五条の規定(刑法第四条の二に係る部分に限る。)は、前項ただし書に規定する規定の施行の日以後に日本国について効力を生ずる条約により日本国外において犯したときであっても罰すべきものとされる罪に限り適用する。
(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部改正)
3 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号)の一部を次のように改正する。
第二条第二項に次の一号を加える。
四 公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律(平成十四年法律第六十七号)第二条(資金提供)に規定する罪に係る資金
第十条第一項中「犯罪収益等の取得」を「犯罪収益等(公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律第二条第二項に規定する罪に係る資金を除く。以下この項及び次条において同じ。)の取得」に、「犯罪収益の発生」を「犯罪収益(同法第二条第二項に規定する罪に係る資金を除く。)の発生」に改める。
第二十二条第一項、第四十二条第一項、第五十六条第一項及び第五十九条第一項第一号中「同項第三号」の下に「若しくは第四号」を加える。
別表に次の一号を加える。
六十四 公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律第二条(資金提供)又は第三条(資金収集)の罪
(法務・内閣総理大臣署名)