電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律
法律第百五十三号(平一四・一二・一三)
目次
第一章 総則(第一条・第二条)
第二章 認証業務
第一節 電子証明書(第三条─第十六条)
第二節 署名検証者に対する失効情報等の提供(第十七条─第十九条)
第三章 認証業務情報等の保護(第二十条─第三十三条)
第四章 指定認証機関(第三十四条─第五十四条)
第五章 雑則(第五十五条─第六十条)
第六章 罰則(第六十一条─第六十六条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する制度その他必要な事項を定めることにより、電磁的方式による申請、届出その他の手続における電子署名の円滑な利用の促進を図り、もって住民の利便性の向上並びに国及び地方公共団体の行政運営の簡素化及び効率化に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「電子署名」とは、電子署名及び認証業務に関する法律(平成十二年法律第百二号)第二条第一項に規定する電子署名であって、総務省令で定める基準に適合するものをいう。
2 この法律において「認証業務」とは、自らが行う電子署名についてその業務を利用する者(以下「利用者」という。)又は第十七条第四項に規定する署名検証者の求めに応じて行う利用者署名検証符号(当該利用者が電子署名を行うために用いる符号(以下「利用者署名符号」という。)と総務省令で定めるところにより対応する符号であって、当該電子署名が当該利用者署名符号を用いて行われたものであることを確認するために用いられるものをいう。以下同じ。)が当該利用者に係るものであることの証明に関する業務をいう。
第二章 認証業務
第一節 電子証明書
(電子証明書の発行)
第三条 住民基本台帳に記録されている者は、その者が記録されている住民基本台帳を備える市町村(特別区を含む。以下同じ。)の市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)を経由して、当該市町村を包括する都道府県の都道府県知事に対し、自己に係る電子証明書(利用者署名検証符号が当該利用者に係るものであることを証明するために作成される電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)をいう。以下同じ。)の発行の申請をすることができる。
2 前項の申請をしようとする者(以下この条において「申請者」という。)は、その者が記録されている住民基本台帳を備える市町村の市町村長(以下「住所地市町村長」という。)に対し、政令で定めるところにより、当該申請者に係る住民票に記載されている事項のうち住民基本台帳法(昭和四十二年法律第八十一号)第七条第一号から第三号まで及び第七号に掲げる事項(同号に掲げる事項については、住所とする。)を記載した申請書(以下この条において「申請書」という。)を提出しなければならない。
3 住所地市町村長は、前項の規定により申請書の提出を受けたときは、申請者が当該市町村の備える住民基本台帳に記録されている者であることの確認(以下この条において「利用者確認」という。)をするものとし、利用者確認のため、総務省令で定めるところにより、これを証明する書類の提示又は提出を申請者に求めることができる。
4 住所地市町村長により利用者確認を受けた申請者は、住所地市町村長の使用に係る電子計算機を用いて、総務省令で定める基準により、利用者署名符号及びこれと対応する利用者署名検証符号を作成し、これらを住民基本台帳法第三十条の四十四第一項に規定する住民基本台帳カードその他の総務省令で定める電磁的記録媒体(電磁的記録に係る記録媒体をいう。以下同じ。)に記録するとともに、当該利用者署名検証符号を住所地市町村長に通知するものとする。
5 住所地市町村長は、総務省令で定めるところにより、利用者確認をした申請者に係る申請書の内容及び利用者署名検証符号を都道府県知事に通知するものとする。
6 前項の規定による通知を受けた都道府県知事は、総務省令で定めるところにより、当該都道府県知事が電子署名を行った当該申請に係る電子証明書を発行し、これを住所地市町村長に通知するものとする。
7 前項の規定による通知を受けた住所地市町村長は、総務省令で定めるところにより、当該通知に係る電子証明書を第四項の電磁的記録媒体に記録して申請者に提供するものとする。
8 第五項の規定による申請書の内容及び利用者署名検証符号の通知並びに第六項の規定による電子証明書の通知は、総務省令で定めるところにより、住所地市町村長又は都道府県知事の使用に係る電子計算機から電気通信回線を通じて相手方である都道府県知事又は住所地市町村長の使用に係る電子計算機に送信することによって行うものとする。
(利用者署名符号の適切な管理)
第四条 利用者は、総務省令で定めるところにより、当該利用者に係る利用者署名符号の漏えい、滅失及びき損の防止その他利用者署名符号の適切な管理を行わなければならない。
(電子証明書の有効期間)
第五条 電子証明書の有効期間は、当該電子証明書の発行の日から起算して三年とする。
(電子証明書の二重発行の禁止)
第六条 利用者は、当該利用者に係る電子証明書が第十五条第一項の規定により効力を失わない限り、重ねて電子証明書の発行を受けることができない。
(電子証明書の記録事項)
第七条 電子証明書には、次に掲げる事項を記録するものとする。
一 電子証明書の発行の番号、発行年月日及び有効期間の満了する日
二 利用者署名検証符号及び当該利用者署名検証符号に関する事項で総務省令で定めるもの
三 利用者に係る住民票に記載されている事項のうち住民基本台帳法第七条第一号から第三号まで及び第七号に掲げる事項(同号に掲げる事項については、住所とする。)
四 その他総務省令で定める事項
(発行記録の記録)
第八条 電子証明書を発行した都道府県知事は、総務省令で定めるところにより、当該電子証明書(当該電子証明書について当該都道府県知事が行った電子署名に係る電磁的記録を含む。以下「発行記録」という。)を電磁的記録媒体に記録し、これを発行した日から政令で定める期間保存しなければならない。
(電子証明書の失効を求める旨の申請)
第九条 利用者は、当該利用者に係る電子証明書を発行した都道府県知事に対し、当該電子証明書の失効を求める旨の申請をすることができる。
2 第三条第二項、第三項、第五項及び第八項の規定は、前項の申請について準用する。この場合において、同条第五項中「申請書の内容及び利用者署名検証符号」とあるのは「申請書の内容」と、同条第八項中「申請書の内容及び利用者署名検証符号の通知並びに第六項の規定による電子証明書の通知」とあるのは「申請書の内容の通知」と、「住所地市町村長又は都道府県知事」とあるのは「住所地市町村長」と、「都道府県知事又は住所地市町村長」とあるのは「都道府県知事」と読み替えるものとする。
3 利用者は、前項において準用する第三条第二項、第三項、第五項及び第八項の規定によるほか、総務省令で定めるところにより、当該利用者の使用に係る電子計算機から電気通信回線を通じて当該利用者に係る電子証明書を発行した都道府県知事の使用に係る電子計算機に送信することにより第一項の申請をすることができる。この場合においては、当該利用者は、同条第四項の規定により作成した利用者署名符号を用いて、当該申請に電子署名を行わなければならない。
4 第一項の規定による申請については、行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律(平成十四年法律第百五十一号)第三条の規定は、適用しない。
(利用者署名符号の漏えい等があった旨の届出)
第十条 利用者は、第三条第四項の規定により作成した利用者署名符号が漏えいし、滅失し、若しくはき損したとき、又は当該利用者署名符号を記録した同項の電磁的記録媒体が使用できなくなったときは、住所地市町村長を経由して、速やかに当該利用者に係る電子証明書を発行した都道府県知事にその旨を届け出なければならない。
2 第三条第二項、第三項、第五項及び第八項の規定は、前項の届出について準用する。この場合において、同条第二項中「申請をしようとする者」とあるのは「届出をしようとする者」と、「申請者」とあるのは「届出者」と、「申請書」とあるのは「届出書」と、同条第三項中「申請書」とあるのは「届出書」と、「申請者」とあるのは「届出者」と、同条第五項中「申請者」とあるのは「届出者」と、「申請書の内容及び利用者署名検証符号」とあるのは「届出書の内容」と、同条第八項中「申請書の内容及び利用者署名検証符号の通知並びに第六項の規定による電子証明書の通知」とあるのは「届出書の内容の通知」と、「住所地市町村長又は都道府県知事」とあるのは「住所地市町村長」と、「都道府県知事又は住所地市町村長」とあるのは「都道府県知事」と読み替えるものとする。
(失効申請等情報の記録)
第十一条 第九条第一項の規定による申請又は前条第一項の規定による届出を受けた都道府県知事は、直ちに、当該申請又は届出に係る電子証明書の発行の番号、第九条第一項の規定による申請があった旨又は前条第一項の規定による届出があった旨及びこれらの事項をこの条の規定により記録する年月日(以下「失効申請等情報」という。)を、総務省令で定めるところにより、電磁的記録媒体に記録し、これを当該記録をした日から政令で定める期間保存しなければならない。
(異動等失効情報の記録)
第十二条 都道府県知事は、利用者について、住民基本台帳法第三十条の八第三項に規定する通知があったときは、直ちに、当該通知に係る利用者に発行した電子証明書の発行の番号、当該通知があった旨及びこれらの事項をこの条の規定により記録する年月日(以下「異動等失効情報」という。)を、総務省令で定めるところにより、電磁的記録媒体に記録し、これを当該記録をした日から政令で定める期間保存しなければならない。
(記録誤り等に係る情報の記録)
第十三条 都道府県知事は、前条に定めるもののほか、当該都道府県知事が発行した電子証明書に記録された事項について、当該電子証明書に係る利用者に係る住民票に記載されている事項と異なるものがあることその他の記録誤り又は記録漏れ(以下「記録誤り等」という。)があることを知ったときは、直ちに、当該記録誤り等があった電子証明書の発行の番号、記録誤り等があった旨及びこれらの事項をこの条の規定により記録する年月日(以下「記録誤り等に係る情報」という。)を、総務省令で定めるところにより、電磁的記録媒体に記録し、これを当該記録をした日から政令で定める期間保存しなければならない。
(発行者署名符号の漏えい等に係る情報の記録)
第十四条 都道府県知事は、当該都道府県知事が発行した電子証明書に係る発行者署名符号(当該電子証明書を発行した都道府県知事が当該電子証明書について電子署名を行うために用いた符号をいう。以下この条において同じ。)が漏えいし、滅失し、又はき損したこと(以下この条において「発行者署名符号の漏えい等」という。)を知ったときは、直ちに、当該発行者署名符号を用いて電子署名を行った電子証明書の発行の番号、発行者署名符号の漏えい等があった旨及びこれらの事項をこの条の規定により記録する年月日(以下「発行者署名符号の漏えい等に係る情報」という。)を、総務省令で定めるところにより、電磁的記録媒体に記録し、これを当該記録をした日から政令で定める期間保存しなければならない。
(電子証明書の失効)
第十五条 電子証明書は、次の各号のいずれかに該当するときは、その効力を失う。
一 都道府県知事が第十一条の規定により失効申請等情報を記録したとき。
二 都道府県知事が第十二条の規定により異動等失効情報を記録したとき。
三 都道府県知事が第十三条の規定により記録誤り等に係る情報を記録したとき。
四 都道府県知事が前条の規定により発行者署名符号の漏えい等に係る情報を記録したとき。
五 電子証明書の有効期間が満了したとき。
2 都道府県知事は、前項第三号の規定により電子証明書の効力が失われたときは、記録誤り等があった電子証明書の発行を受けた利用者に対し、速やかに当該電子証明書に記録誤り等があった旨及び当該電子証明書の効力が失われた旨を通知しなければならない。
3 都道府県知事は、第一項第四号の規定により電子証明書の効力が失われたときは、総務省令で定めるところにより、遅滞なくその旨を公表しなければならない。
(失効情報ファイルの作成等)
第十六条 都道府県知事は、総務省令で定めるところにより、失効情報ファイル(一定の時点において保存されている失効情報(第十一条の規定により保存する失効申請等情報、第十二条の規定により保存する異動等失効情報、第十三条の規定により保存する記録誤り等に係る情報及び第十四条の規定により保存する発行者署名符号の漏えい等に係る情報をいう。以下同じ。)の集合物であって、それらの失効情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものをいう。以下同じ。)を定期的に作成し、これを作成した日から政令で定める期間保存しなければならない。
第二節 署名検証者に対する失効情報等の提供
(都道府県知事への届出等)
第十七条 行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律第二条第二号に規定する行政機関等(以下「行政機関等」という。)並びに電子署名及び認証業務に関する法律第八条に規定する認定認証事業者及び同法第二条第三項に規定する特定認証業務を行う者であって政令で定める基準に適合するものとして総務大臣が認定する者(以下この項において「認定認証事業者等」という。)は、利用者から通知された電子署名が行われた情報について当該利用者が当該電子署名を行ったことを確認するため、都道府県知事に対して次条第一項の規定による同項に規定する保存期間に係る失効情報の提供及び同条第二項の規定による同項に規定する保存期間に係る失効情報ファイルの提供を求めようとする場合(認定認証事業者等にあっては、同法第二条第三項に規定する特定認証業務を行う場合に限る。)には、あらかじめ、当該都道府県知事に対し、総務省令で定めるところにより、これらの提供を求める旨の届出をしなければならない。
2 前項の認定(次項において「認定」という。)は、一年を下らない政令で定める期間ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失う。
3 総務大臣は、次の各号のいずれかに該当するときは、認定を取り消すことができる。
一 認定を受けた者が第一項の政令で定める基準に適合しなくなったとき。
二 認定を受けた者が第十九条、第二十五条第一項又は第二十六条の規定に違反したとき。
三 認定を受けた者から第二十五条第一項に規定する受領した失効情報等の電子計算機処理等(電子計算機処理(電子計算機を使用して行われる情報の入力、蓄積、編集、加工、修正、更新、検索、消去、出力又はこれらに類する処理をいう。)又は情報の入力のための準備作業若しくは電磁的記録媒体の保管をいう。以下同じ。)の委託を受けた者が同条第二項において準用する同条第一項の規定に違反したとき。
四 認定を受けた者若しくはその役員若しくは職員又はこれらの者であった者が第二十七条第一項の規定に違反したとき。
五 認定を受けた者から第二十五条第一項に規定する受領した失効情報等の電子計算機処理等の委託を受けた者若しくはその役員若しくは職員又はこれらの者であった者が第二十七条第二項の規定に違反したとき。
六 認定を受けた者の委託を受けて行う第二十五条第一項に規定する受領した失効情報等の電子計算機処理等に関する事務に従事している者又は従事していた者が第二十八条の規定に違反したとき。
4 第一項の届出を受けた都道府県知事及び当該届出をした者(以下「署名検証者」という。)は、当該都道府県知事が次条第一項及び第二項の規定により提供を行う情報の範囲その他当該提供を行うに当たって合意しておくべきものとして総務省令で定める事項について、あらかじめ、取決めを締結しなければならない。
(署名検証者に対する失効情報の提供等)
第十八条 都道府県知事は、次条第一項の規定による確認をしようとする署名検証者の求めがあったときは、政令で定めるところにより、速やかに、保存期間に係る失効情報(第十一条から第十四条までの規定による保存期間が経過していない失効情報をいう。以下同じ。)の提供を行うものとする。
2 都道府県知事は、署名検証者の求めに応じ、政令で定めるところにより、保存期間に係る失効情報ファイル(第十六条の規定による保存期間が経過していない失効情報ファイルをいう。以下同じ。)の提供を行うことができる。
3 都道府県知事は、次の各号のいずれかに該当し、又は該当するおそれがあると認めるときは、署名検証者に対する前二項の規定による保存期間に係る失効情報及び保存期間に係る失効情報ファイルの提供を停止することができる。
一 署名検証者が次条、第二十五条第一項又は第二十六条の規定に違反したとき。
二 署名検証者から第二十五条第一項に規定する受領した失効情報等の電子計算機処理等の委託を受けた者が同条第二項において準用する同条第一項の規定に違反したとき。
三 署名検証者若しくはその役員若しくは職員又はこれらの者であった者が第二十七条第一項の規定に違反したとき。
四 署名検証者から第二十五条第一項に規定する受領した失効情報等の電子計算機処理等の委託を受けた者若しくはその役員若しくは職員又はこれらの者であった者が第二十七条第二項の規定に違反したとき。
五 署名検証者の委託を受けて行う第二十五条第一項に規定する受領した失効情報等の電子計算機処理等に関する事務に従事している者又は従事していた者が第二十八条の規定に違反したとき。
4 都道府県知事は、毎年少なくとも一回、第一項及び第二項の規定による保存期間に係る失効情報及び保存期間に係る失効情報ファイルの提供の状況について、総務省令で定めるところにより、報告書を作成し、これを公表するものとする。
(署名検証者の義務)
第十九条 署名検証者は、利用者から当該利用者に係る利用者署名符号を用いて電子署名が行われた情報及び電子証明書の通知を受理したときは、当該電子証明書が第十五条第一項の規定により効力を失っていないこと及び当該電子証明書に記録された利用者署名検証符号に対応する利用者署名符号を用いて当該電子署名が行われたことを確認しなければならない。
2 署名検証者は、利用者から通知された電子証明書を、当該電子証明書とともに通知された情報について行われている電子署名が当該電子証明書に記録された利用者署名検証符号に対応する利用者署名符号を用いて行われていることの確認以外の目的に利用してはならない。
第三章 認証業務情報等の保護
(認証業務情報の安全確保)
第二十条 都道府県知事が発行記録、失効情報及び失効情報ファイル(以下「認証業務情報」という。)の電子計算機処理等を行うに当たっては、当該都道府県知事は、当該認証業務情報の漏えい、滅失及びき損の防止その他の当該認証業務情報の適切な管理のために必要な措置を講じなければならない。
2 前項の規定は、都道府県知事から認証業務情報の電子計算機処理等の委託を受けた者が受託した業務を行う場合について準用する。
(認証業務情報の利用及び提供の制限)
第二十一条 都道府県知事は、第十一条から第十四条までの規定による失効情報の記録のために発行記録を利用する場合、第十八条第一項の規定により保存期間に係る失効情報を提供する場合若しくは同条第二項の規定により保存期間に係る失効情報ファイルを提供する場合又は認証業務情報の利用につき当該認証業務情報に係る本人が同意した事務を遂行する場合を除き、認証業務情報を利用し、又は提供してはならない。
(都道府県の職員等の秘密保持義務)
第二十二条 電子証明書の発行に係る電子計算機処理等に関する事務又は認証業務情報の電子計算機処理等に関する事務に従事する都道府県の職員又は職員であった者は、その事務に関して知り得た電子証明書の発行若しくは認証業務情報に関する秘密又は電子証明書の発行に係る電子計算機処理等若しくは認証業務情報の電子計算機処理等に関する秘密を漏らしてはならない。
2 都道府県知事から電子証明書の発行に係る電子計算機処理等又は認証業務情報の電子計算機処理等の委託を受けた者若しくはその役員若しくは職員又はこれらの者であった者は、その委託された業務に関して知り得た電子証明書の発行若しくは認証業務情報に関する秘密又は電子証明書の発行に係る電子計算機処理等若しくは認証業務情報の電子計算機処理等に関する秘密を漏らしてはならない。
(市町村の職員等の秘密保持義務)
第二十三条 電子証明書の提供に係る電子計算機処理等に関する事務に従事する市町村の職員又は職員であった者は、その事務に関して知り得た電子証明書の提供に係る電子計算機処理等に関する秘密を漏らしてはならない。
2 市町村長から電子証明書の提供に係る電子計算機処理等の委託を受けた者若しくはその役員若しくは職員又はこれらの者であった者は、その委託された業務に関して知り得た電子証明書の提供に係る電子計算機処理等に関する秘密を漏らしてはならない。
(認証業務情報等に係る電子計算機処理等の受託者等の義務)
第二十四条 都道府県知事の委託を受けて行う電子証明書の発行に係る電子計算機処理等又は認証業務情報の電子計算機処理等に関する事務に従事している者又は従事していた者は、その事務に関して知り得た事項をみだりに他人に知らせ、又は不当な目的に使用してはならない。
2 市町村長の委託を受けて行う電子証明書の提供に係る電子計算機処理等に関する事務に従事している者又は従事していた者は、その事務に関して知り得た事項をみだりに他人に知らせ、又は不当な目的に使用してはならない。
(署名検証者による受領した失効情報等の安全確保)
第二十五条 第十八条第一項及び第二項の規定により保存期間に係る失効情報及び保存期間に係る失効情報ファイルの提供を受けた署名検証者がこれらの規定により提供を受けた保存期間に係る失効情報及び保存期間に係る失効情報ファイル(以下「受領した失効情報等」という。)の電子計算機処理等を行うに当たっては、当該署名検証者は、受領した失効情報等の漏えいの防止その他の当該受領した失効情報等の適切な管理のために必要な措置を講じなければならない。
2 前項の規定は、署名検証者から受領した失効情報等の電子計算機処理等の委託を受けた者が受託した業務を行う場合について準用する。
(署名検証者の受領した失効情報等の利用及び提供の制限)
第二十六条 署名検証者は、第十九条第一項の規定により電子証明書が効力を失っていないことの確認をするため必要な範囲内で、受領した失効情報等を利用するものとし、受領した失効情報等の全部又は一部を当該確認以外の目的のために利用し、又は提供してはならない。
(署名検証者の職員等の秘密保持義務)
第二十七条 受領した失効情報等の電子計算機処理等に関する事務に従事する署名検証者若しくはその役員若しくは職員又はこれらの者であった者は、その事務に関して知り得た受領した失効情報等に関する秘密又は受領した失効情報等の電子計算機処理等に関する秘密を漏らしてはならない。
2 署名検証者から、受領した失効情報等の電子計算機処理等の委託を受けた者若しくはその役員若しくは職員又はこれらの者であった者は、その委託された業務に関して知り得た受領した失効情報等に関する秘密又は受領した失効情報等の電子計算機処理等に関する秘密を漏らしてはならない。
(受領した失効情報等に係る電子計算機処理等の受託者等の義務)
第二十八条 署名検証者の委託を受けて行う受領した失効情報等の電子計算機処理等に関する事務に従事している者又は従事していた者は、その事務に関して知り得た事項をみだりに他人に知らせ、又は不当な目的に使用してはならない。
(自己の認証業務情報の開示)
第二十九条 何人も、都道府県知事に対し、自己に係る認証業務情報について、政令で定める方法により、その開示(自己に係る認証業務情報が存在しないときにその旨を知らせることを含む。以下同じ。)を請求することができる。
2 都道府県知事は、前項の開示の請求があったときは、当該開示の請求をした者に対し、政令で定める方法により、当該開示の請求に係る認証業務情報について開示をしなければならない。
(開示の期限)
第三十条 前条第二項の開示は、当該開示の請求を受けた日から起算して三十日以内にしなければならない。
2 都道府県知事は、事務処理上の困難その他正当な理由により前項に規定する期間内に開示をすることができないときは、同項に規定する期間内に、当該開示の請求をした者に対し、同項の期間内に開示をすることができない理由及び開示の期限を政令で定める方法により通知しなければならない。
(自己の認証業務情報の訂正等)
第三十一条 都道府県知事は、第二十九条第二項の規定により開示を受けた者から、政令で定める方法により、当該開示に係る認証業務情報についてその内容の全部又は一部の訂正、追加又は削除(以下この条において「訂正等」という。)を求められた場合には、遅滞なく調査を行い、その結果に基づき、当該認証業務情報の内容の訂正等を行わなければならない。
2 都道府県知事は、前項の規定に基づき求められた訂正等を行ったとき、又は訂正等を行わない旨の決定をしたときは、第二十九条第二項の規定により開示を受けた者に対し、遅滞なく、その旨(訂正等を行ったときは、その内容を含む。)を政令で定める方法により通知しなければならない。
(苦情処理)
第三十二条 都道府県知事及び市町村長は、この法律の規定により当該都道府県及び市町村が処理する事務の実施に関する苦情の適切かつ迅速な処理に努めなければならない。
(認証業務に関する情報の適正な使用)
第三十三条 都道府県知事及び市町村長は、認証業務及びこれに附帯する業務の実施に際して知り得た情報を認証業務及びこれに附帯する業務の用に供する目的以外に使用してはならない。
第四章 指定認証機関
(指定認証機関の指定等)
第三十四条 都道府県知事は、総務大臣の指定する者(以下「指定認証機関」という。)に、次に掲げる認証業務の実施に関する事務(以下「認証事務」という。)を行わせることができる。
一 第三条第五項の規定による電子証明書の発行の申請書の内容及び利用者署名検証符号に係る通知の受理に係る電子計算機処理等並びに同条第六項の規定による電子証明書の発行に係る電子計算機処理等及び同項の規定による通知に係る電子計算機処理等
二 第八条の規定による発行記録の記録に係る電子計算機処理等及び発行記録の保存
三 第九条第二項において準用する第三条第五項の規定による電子証明書の失効の申請書の内容に係る通知の受理に係る電子計算機処理等及び第九条第三項の規定により送信される電子証明書の失効を求める旨の申請の受理に係る電子計算機処理等
四 第十条第二項において準用する第三条第五項の規定による利用者署名符号の漏えい等の届出書の内容に係る通知の受理に係る電子計算機処理等
五 第十一条から第十四条までの規定による失効情報の記録に係る電子計算機処理等及び失効情報の保存
六 第十五条第二項の規定による通知及び同条第三項の規定による公表
七 第十六条の規定による失効情報ファイルの作成及び保存
八 第十八条第一項の規定による保存期間に係る失効情報の提供に係る電子計算機処理等及び同条第二項の規定による保存期間に係る失効情報ファイルの提供に係る電子計算機処理等
九 第十八条第三項の規定による保存期間に係る失効情報及び保存期間に係る失効情報ファイルの提供の停止に係る電子計算機処理等
十 第十八条第四項の規定による報告書の作成及び公表
2 指定認証機関の指定は、認証事務を行おうとする者の申請により行う。
3 第一項の規定により指定認証機関にその認証事務を行わせることとした都道府県知事(以下「委任都道府県知事」という。)は、認証事務を行わないものとする。
4 委任都道府県知事は、指定認証機関に第一項の規定により指定認証機関に行う第三条第六項の規定による電子証明書の発行に係る電子計算機処理等に係る手数料(第六項において「発行手数料」という。)を指定認証機関の収入として収受させることができる。
5 委任都道府県知事は、指定認証機関に第一項の規定により指定認証機関が行う第十八条第一項の規定による保存期間に係る失効情報の提供に係る電子計算機処理等及び同条第二項の規定による保存期間に係る失効情報ファイルの提供に係る電子計算機処理等に係る手数料(次項において「情報提供手数料」という。)を指定認証機関の収入として収受させることができる。
6 前二項の場合における発行手数料及び情報提供手数料の額は、委任都道府県知事の統括する都道府県の条例で定めるところにより、指定認証機関が定めるものとする。この場合において、指定認証機関は、あらかじめ、当該発行手数料及び情報提供手数料の額について委任都道府県知事の承認を受けなければならない。
(指定認証機関への異動等失効情報の通知)
第三十五条 委任都道府県知事(住民基本台帳法第三十条の十第三項に規定する委任都道府県知事を除く。次項において同じ。)は、同法第三十条の八第三項に規定する通知があったときは、速やかに当該通知に係る異動等失効情報を指定認証機関に通知するものとする。
2 前項の規定による通知は、総務省令で定めるところにより、委任都道府県知事の使用に係る電子計算機から電気通信回線を通じて指定認証機関の使用に係る電子計算機に送信することによって行うものとする。
(指定の基準)
第三十六条 総務大臣は、第三十四条第二項の規定による申請が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、指定認証機関の指定をしてはならない。
一 職員、設備、認証事務等(指定認証機関が行う認証事務及び第五十三条第一項において準用する第二十九条から第三十一条までに規定する事務をいう。以下同じ。)の実施の方法その他の事項についての認証事務等の実施に関する計画が認証事務等の適正かつ確実な実施及び認証業務情報の保護のために適切なものであること。
二 前号の認証事務等の実施に関する計画の適正かつ確実な実施に必要な経理的及び技術的な基礎を有する法人であること。
三 申請者が、認証事務等以外の業務を行っている場合には、その業務を行うことによって認証事務等の適切な執行が困難となるおそれがないこと。
2 総務大臣は、第三十四条第二項の規定による申請をした者が、次の各号のいずれかに該当するときは、指定認証機関の指定をしてはならない。
一 この法律に違反して、刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して二年を経過しない者であること。
二 第四十九条第一項又は第二項の規定により指定を取り消され、その取消しの日から起算して二年を経過しない者であること。
三 その役員のうちに、次のいずれかに該当する者があること。
イ 第一号に該当する者
ロ 第四十条第二項の規定による命令により解任され、その解任の日から起算して二年を経過しない者
(指定の公示等)
第三十七条 総務大臣は、指定認証機関の指定をしたときは、当該指定認証機関の名称及び主たる事務所の所在地並びに当該指定をした日を公示しなければならない。
2 指定認証機関は、その名称又は主たる事務所の所在地を変更しようとするときは、変更しようとする日の二週間前までに、その旨を総務大臣に届け出なければならない。
3 総務大臣は、前項の規定による届出があったときは、その旨を公示しなければならない。
第三十八条 委任都道府県知事は、第三十四条第一項の規定により指定認証機関にその認証事務を行わせることとした旨を総務大臣に報告するとともに、当該指定認証機関に認証事務を行わせることとした日を公示しなければならない。
2 指定認証機関は、その名称又は主たる事務所の所在地を変更しようとするときは、変更しようとする日の二週間前までに、その旨を委任都道府県知事に届け出なければならない。
3 委任都道府県知事は、前項の規定による届出があったときは、その旨を公示しなければならない。
(認証業務情報保護委員会の設置)
第三十九条 指定認証機関には、認証業務情報保護委員会を置かなければならない。
2 認証業務情報保護委員会は、指定認証機関の代表者の諮問に応じ、認証業務情報の保護に関する事項を調査審議し、及びこれに関し必要と認める意見を指定認証機関の代表者に述べることができる。
3 認証業務情報保護委員会の委員は、学識経験を有する者のうちから、指定認証機関の代表者が任命する。
(役員の選任及び解任)
第四十条 指定認証機関の役員の選任及び解任は、総務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
2 総務大臣は、指定認証機関の役員が、この法律、この法律に基づく命令若しくは処分若しくは第四十二条第一項の認証事務管理規程に違反する行為をしたとき、又は認証事務等に関し著しく不適当な行為をしたときは、指定認証機関に対し、その役員を解任すべきことを命ずることができる。
(役職員等の秘密保持義務)
第四十一条 指定認証機関の役員若しくは職員(認証業務情報保護委員会の委員を含む。第三項において同じ。)又はこれらの職にあった者は、認証事務等に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
2 指定認証機関から電子証明書の発行に係る電子計算機処理等又は認証業務情報の電子計算機処理等の委託を受けた者若しくはその役員若しくは職員又はこれらの者であった者は、その委託された業務に関して知り得た電子証明書の発行若しくは認証業務情報に関する秘密又は電子証明書の発行に係る電子計算機処理等若しくは認証業務情報の電子計算機処理等に関する秘密を漏らしてはならない。
3 認証事務等に従事する指定認証機関の役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
(認証事務管理規程)
第四十二条 指定認証機関は、総務省令で定める認証事務等の実施に関する事項について認証事務管理規程を定め、総務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 指定認証機関は、前項後段の規定により認証事務管理規程を変更しようとするときは、委任都道府県知事の意見を聴かなければならない。
3 総務大臣は、第一項の規定により認可をした認証事務管理規程が認証事務等の適正かつ確実な実施上不適当となったと認めるときは、指定認証機関に対し、これを変更すべきことを命ずることができる。
(事業計画の認可等)
第四十三条 指定認証機関は、毎事業年度、事業計画及び収支予算を作成し、当該事業年度の開始前に(指定を受けた日の属する事業年度にあっては、その指定を受けた後遅滞なく)、総務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 指定認証機関は、事業計画及び収支予算を作成し、又は変更しようとするときは、委任都道府県知事の意見を聴かなければならない。
3 指定認証機関は、毎事業年度、事業報告書及び収支決算書を作成し、当該事業年度の終了後三月以内に、総務大臣及び委任都道府県知事に提出しなければならない。
(交付金)
第四十四条 委任都道府県知事の統括する都道府県は、指定認証機関に対して、当該委任都道府県知事が行わせることとした認証事務に要する費用の全部又は一部に相当する金額を交付金として交付するものとする。
2 前項の交付金の額については、当該委任都道府県知事が指定認証機関と協議して定めるものとする。
(帳簿の備付け)
第四十五条 指定認証機関は、総務省令で定めるところにより、認証事務等に関する事項で総務省令で定めるものを記載した帳簿を備え、保存しなければならない。
(監督命令等)
第四十六条 総務大臣は、認証事務等の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、指定認証機関に対し、認証事務等の実施に関し監督上必要な命令をすることができる。
2 委任都道府県知事は、その行わせることとした認証事務の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、指定認証機関に対し、当該認証事務の適正な実施のために必要な措置を講ずべきことを指示することができる。
(報告及び立入検査)
第四十七条 総務大臣は、認証事務等の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、指定認証機関に対し、認証事務等の実施の状況に関し必要な報告を求め、又はその職員に、指定認証機関の事務所に立ち入り、認証事務等の実施の状況若しくは設備、帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
2 委任都道府県知事は、その行わせることとした認証事務の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、指定認証機関に対し、当該認証事務の実施の状況に関し必要な報告を求め、又はその職員に、当該認証事務を取り扱う指定認証機関の事務所に立ち入り、当該認証事務の実施の状況若しくは設備、帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
3 前二項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。
4 第一項又は第二項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(事務の休廃止)
第四十八条 指定認証機関は、総務大臣の許可を受けなければ、認証事務等の全部又は一部を休止し、又は廃止してはならない。
2 総務大臣は、指定認証機関の認証事務等の全部又は一部の休止又は廃止により認証事務等の適正かつ確実な実施が損なわれるおそれがないと認めるときでなければ、前項の規定による許可をしてはならない。
3 総務大臣は、第一項の規定による許可をしようとするときは、委任都道府県知事の意見を聴かなければならない。
4 総務大臣は、第一項の規定による許可をしたときは、その旨を委任都道府県知事に通知するとともに、公示しなければならない。
(指定の取消し等)
第四十九条 総務大臣は、指定認証機関が第三十六条第二項第一号又は第三号に該当するに至ったときは、その指定を取り消さなければならない。
2 総務大臣は、指定認証機関が次の各号のいずれかに該当するときは、その指定を取り消し、又は期間を定めて認証事務等の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
一 第三十六条第一項各号の要件を満たさなくなったと認められるとき。
二 第四十三条第一項若しくは第三項、第四十五条又は前条第一項の規定に違反したとき。
三 第四十条第二項、第四十二条第三項又は第四十六条第一項の規定による命令に違反したとき。
四 第四十二条第一項の規定により認可を受けた認証事務管理規程によらないで認証事務等を行ったとき。
五 不正な手段により指定認証機関の指定を受けたとき。
3 総務大臣は、前二項の規定により指定を取り消し、又は前項の規定により認証事務等の全部若しくは一部の停止を命じたときは、その旨を、委任都道府県知事に通知するとともに、公示しなければならない。
(認証事務の委任の解除)
第五十条 委任都道府県知事は、指定認証機関に認証事務を行わせないこととするときは、その三月前までに、その旨を指定認証機関に通知しなければならない。
2 委任都道府県知事は、指定認証機関に認証事務を行わせないこととしたときは、その旨を、総務大臣に報告するとともに、公示しなければならない。
(委任都道府県知事による認証事務の実施)
第五十一条 委任都道府県知事は、指定認証機関が第四十八条第一項の規定により認証事務の全部若しくは一部を休止したとき、総務大臣が第四十九条第二項の規定により指定認証機関に対し認証事務の全部若しくは一部の停止を命じたとき、又は指定認証機関が天災その他の事由により認証事務の全部若しくは一部を実施することが困難となった場合において総務大臣が必要があると認めるときは、第三十四条第三項の規定にかかわらず、当該認証事務の全部又は一部を行うものとする。
2 総務大臣は、委任都道府県知事が前項の規定により認証事務を行うこととなるとき、又は委任都道府県知事が同項の規定により認証事務を行うこととなる事由がなくなったときは、速やかにその旨を当該委任都道府県知事に通知しなければならない。
3 委任都道府県知事は、前項の規定による通知を受けたときは、その旨を公示しなければならない。
(認証事務の引継ぎ等に関する省令への委任)
第五十二条 前条第一項の規定により委任都道府県知事が認証事務を行うこととなった場合、総務大臣が第四十八条第一項の規定により認証事務の廃止を許可し、若しくは第四十九条第一項若しくは第二項の規定により指定を取り消した場合又は委任都道府県知事が指定認証機関に認証事務を行わせないこととした場合における認証事務の引継ぎその他の必要な事項は、総務省令で定める。
(認証業務情報の保護に関する規定の準用等)
第五十三条 第二十条、第二十一条、第二十四条第一項及び第二十九条から第三十三条までの規定は、指定認証機関について準用する。この場合において、第二十一条中「第十一条から第十四条までの規定による失効情報の記録のために発行記録を利用する場合、第十八条第一項の規定により保存期間に係る失効情報を提供する場合若しくは同条第二項の規定により保存期間に係る失効情報ファイルを提供する場合」とあるのは「第三十四条第一項の規定により同項第五号及び第八号に掲げる認証業務の実施に関する事務を行う場合」と、第三十二条中「都道府県知事及び市町村長」とあるのは「指定認証機関」と、「当該都道府県及び市町村が処理する事務」とあるのは「指定認証機関が処理する認証事務等」と、第三十三条中「都道府県知事及び市町村長」とあるのは「指定認証機関」と読み替えるものとする。
2 指定認証機関は、前項において準用する第二十九条第一項の規定により自己に係る認証業務情報の開示の請求をする者から指定認証機関が総務大臣の認可を受けて定める額の手数料を徴収することができる。
(指定認証機関がした処分等に係る不服申立て)
第五十四条 指定認証機関が行う認証事務等に係る処分又はその不作為について不服がある者は、総務大臣に対し、行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)による審査請求をすることができる。
第五章 雑則
(総務大臣の援助等)
第五十五条 総務大臣は、地方公共団体の認証業務に係る技術の評価に関する調査及び研究を行うとともに、都道府県及び市町村並びに利用者に対し必要な情報の提供、助言その他の援助を行うよう努めなければならない。
(報告の徴収)
第五十六条 総務大臣は、この法律の施行に必要な限度において、第十七条第一項の認定を受けた者に対し、その業務の実施の状況に関し必要な報告を求めることができる。
2 都道府県知事は、この法律の施行に必要な限度において、署名検証者(行政機関等を除く。第六十五条第二項において同じ。)に対し、その業務の実施の状況に関し必要な報告を求めることができる。
(運用規程)
第五十七条 都道府県知事は、総務省令で定めるところにより、認証業務の実施のための手続その他必要な事項を定めた運用規程を作成し、これを公表しなければならない。
2 都道府県知事は、前項の運用規程を作成しようとするときは、あらかじめ、当該都道府県の区域内の市町村の市町村長の意見を聴かなければならない。
(技術的基準)
第五十八条 認証業務の用に供する施設又は設備の管理の方法その他認証業務及びこれに附帯する業務の実施について必要な技術的基準は、総務大臣が定める。
(指定都市の特例)
第五十九条 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市(次項において「指定都市」という。)に対するこの法律の規定の適用については、政令で定めるところにより、区を市と、区長を市長とみなす。
2 前項に定めるもののほか、指定都市に対するこの法律の規定の適用については、政令で特別の定めをすることができる。
(政令への委任)
第六十条 この法律の実施のための手続その他その施行に関し必要な事項は、政令で定める。
第六章 罰則
第六十一条 都道府県知事に対し、その認証業務に関し、虚偽の申請をして、不実の電子証明書を発行させた者は、五年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
2 前項の未遂罪は、罰する。
第六十二条 第二十二条、第二十三条、第二十七条又は第四十一条第一項若しくは第二項の規定に違反して秘密を漏らした者は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
第六十三条 第四十九条第二項の規定による認証事務等の停止の命令に違反したときは、その違反行為をした指定認証機関の役員又は職員は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第六十四条 次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした指定認証機関の役員又は職員は、三十万円以下の罰金に処する。
一 第四十五条の規定に違反して帳簿を備えず、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかったとき。
二 第四十七条第一項又は第二項の規定による報告を求められて、報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又はこれらの規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくはこれらの規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をしたとき。
三 第四十八条第一項の規定による許可を受けないで認証事務等の全部を廃止したとき。
第六十五条 第五十六条第一項の規定による報告を求められて、報告をせず、又は虚偽の報告をした第十七条第一項の認定を受けた者は、三十万円以下の罰金に処する。
2 第五十六条第二項の規定による報告を求められて、報告をせず、又は虚偽の報告をした署名検証者は、三十万円以下の罰金に処する。
第六十六条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従事者が、その法人又は人の業務に関し、前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同条の刑を科する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
ただし、第三十四条第一項から第三項まで、第三十六条から第三十八条まで及び第四十条から第五十二条まで並びに附則第三条から第五条までの規定は、公布の日から施行する。
(住民基本台帳カードに関する経過措置)
第二条 この法律の施行の日(以下「施行日」という。)から住民基本台帳法の一部を改正する法律(平成十一年法律第百三十三号)附則第一条第一項第三号に掲げる規定の施行の日の前日までの間における第三条第四項の規定の適用については、同項中「住民基本台帳法第三十条の四十四第一項に規定する住民基本台帳カードその他の総務省令で定める電磁的記録媒体」とあるのは、「総務省令で定める電磁的記録媒体」とする。
(準備行為)
第三条 市町村長、都道府県知事及び指定認証機関は、施行日前においても、この法律に規定する事務の実施に必要な準備行為をすることができる。
(指定認証機関に関する経過措置)
第四条 施行日前に指定認証機関の指定がされた場合においては、指定認証機関は、第三十四条第一項の規定にかかわらず、施行日の前日までの間は、同項各号に掲げる事務を行わないものとする。
(その他の経過措置の政令への委任)
第五条 前三条に定めるもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。
(住民基本台帳法の一部改正)
第六条 住民基本台帳法の一部を次のように改正する。
第三十条の八の見出し中「本人確認情報」を「本人確認情報等」に改め、同条に次の二項を加える。
3 都道府県知事は、第三十条の五第一項の規定により第七条第一号から第三号まで及び第七号に掲げる事項(同号に掲げる事項については、住所とする。)の全部又は一部について住民票の記載の修正(総務省令で定める軽微な修正を除く。)があつた旨の通知又は住民票が消除された旨の通知があつたときは、これらの通知があつた旨の情報を、電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律(平成十四年法律第百五十三号)第十二条に規定する事務に利用することができる。
4 電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律第三十四条第三項に規定する委任都道府県知事は、前項の通知があつた旨の情報を、同法第三十五条に規定する事務の処理のため、総務省令で定めるところにより、同法第三十四条第一項に規定する指定認証機関に提供することができる。
第三十条の十一に次の一項を加える。
9 指定情報処理機関は、電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律第三十四条第一項の規定により同項の指定認証機関(以下この項において「指定認証機関」という。)にその認証事務を行わせることとした委任都道府県知事から第一項の規定により第七条第一号から第三号まで及び第七号に掲げる事項(同号に掲げる事項については、住所とする。)の全部又は一部について住民票の記載の修正(総務省令で定める軽微な修正を除く。)があつた旨の通知又は住民票が消除された旨の通知があつたときは、指定認証機関の求めに応じ、同法第三十四条第一項第五号に掲げる事務の処理のため、総務省令で定めるところにより、これらの通知があつた旨の情報を指定認証機関に提供するものとする。
第三十条の十二第一項第一号中「第八項」を「第九項」に改める。
(行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律の一部改正)
第七条 行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律の一部を次のように改正する。
別表に次のように加える。
電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律(平成十四年法律第百五十三号) |
第三条第二項(第十条第二項において準用する場合を含む。) |
第三条 |
(総務・内閣総理大臣署名)