社会保障に関する日本国と大韓民国との間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律

法律第百二十七号(平一六・六・一八)

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 国民年金法関係(第三条)

 第三章 厚生年金保険法関係(第四条)

 第四章 国家公務員共済組合法関係(第五条・第六条)

 第五章 地方公務員等共済組合法関係(第七条―第九条)

 第六章 私立学校教職員共済法関係(第十条・第十一条)

 第七章 雑則(第十二条―第十五条)

 附則

   第一章 総則

 (趣旨)

第一条 この法律は、社会保障に関する日本国と大韓民国との間の協定(以下「協定」という。)を実施するため、日本国及び大韓民国の両国において就労する者等に関する年金制度について、国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)、厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)、国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)、地方公務員等共済組合法(昭和三十七年法律第百五十二号)及び私立学校教職員共済法(昭和二十八年法律第二百四十五号)の特例その他必要な事項を定めるものとする。

 (定義)

第二条 この法律において「大韓民国年金法令」とは、協定第二条(a)に掲げる大韓民国の年金制度に関する協定第一条1(b)に規定する法令をいう。

   第二章 国民年金法関係

第三条 日本国内に住所を有する者であって次の各号のいずれかに掲げるものは、国民年金法第七条第一項の規定にかかわらず、国民年金の被保険者としない。

 一 日本国の領域内において就労する者であって、協定第五条から第九条までの規定(以下「協定適用調整規定」という。)により大韓民国年金法令の規定の適用を受けるもの(第三号に掲げる者を除く。)

 二 大韓民国の領域内において就労する者であって、協定適用調整規定により大韓民国年金法令の規定の適用を受けるもの(次号に掲げる者を除く。)

 三 第四条第一項の規定により厚生年金保険の被保険者としないこととされた者、第五条の規定により国家公務員共済組合法の長期給付に関する規定を適用しないこととされた者、第七条第一項の規定により地方公務員等共済組合法の長期給付に関する規定を適用しないこととされた者又は第十条第一項の規定により私立学校教職員共済法の長期給付に関する規定を適用しないこととされた者

 四 第一号又は前号のいずれかに該当する者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)又は子であって政令で定めるもの

2 前項に規定する者の国民年金の被保険者の資格の取得及び喪失に関し必要な事項は、政令で定める。

   第三章 厚生年金保険法関係

第四条 厚生年金保険の適用事業所に使用される者であって次の各号のいずれかに掲げるものは、厚生年金保険法第九条の規定にかかわらず、厚生年金保険の被保険者としない。

 一 日本国の領域内において就労する者であって、協定適用調整規定により大韓民国年金法令の規定の適用を受けるもの(第三号から第五号までに掲げる者を除く。)

 二 大韓民国の領域内において就労する者であって、協定適用調整規定により大韓民国年金法令の規定の適用を受けるもの(次号から第五号までに掲げる者を除く。)

 三 日本国の領域及び大韓民国の領域内において同時に就労する者であって、協定適用調整規定により大韓民国年金法令の規定の適用を受けるもの(次号及び第五号に掲げる者を除く。)

 四 日本国又は大韓民国の国籍を有する船舶において就労する者であって、協定適用調整規定により大韓民国年金法令の規定の適用を受けるもの

 五 第五条の規定により国家公務員共済組合法の長期給付に関する規定を適用しないこととされた者、第七条第一項の規定により地方公務員等共済組合法の長期給付に関する規定を適用しないこととされた者又は第十条第一項の規定により私立学校教職員共済法の長期給付に関する規定を適用しないこととされた者

2 前項に規定する者の厚生年金保険の被保険者の資格の取得及び喪失に関し必要な事項は、政令で定める。

   第四章 国家公務員共済組合法関係

 (長期給付に関する規定の適用範囲の特例)

第五条 国家公務員共済組合法の長期給付に関する規定は、同法第二条第一項第一号に規定する職員(同法第百二十五条及び第百二十六条第二項の規定により当該職員とみなされる者を含む。)のうち、協定適用調整規定により大韓民国年金法令の規定の適用を受ける者には、適用しない。

 (財務大臣の権限)

第六条 財務大臣は、協定及びこの法律の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、国家公務員共済組合又は国家公務員共済組合連合会に対して、その業務に関し、監督上必要な命令をすることができる。

   第五章 地方公務員等共済組合法関係

 (長期給付に関する規定の適用範囲の特例)

第七条 地方公務員等共済組合法(以下この章において「地共済法」という。)の長期給付に関する規定は、地共済法第二条第一項第一号に規定する職員(地共済法第百四十一条第一項及び第二項、第百四十一条の二、第百四十二条第一項並びに第百四十四条の三第一項の規定により当該職員とみなされる者を含む。)及び地共済法第百四十条第一項に規定する公庫等職員(同条第二項に規定する継続長期組合員の資格を有する者に限る。)のうち、協定適用調整規定により大韓民国年金法令の規定の適用を受ける者には、適用しない。

2 地共済法の長期給付に関する規定の適用を受ける地方公務員共済組合の組合員が、前項の規定によりその適用を受けない地方公務員共済組合の組合員となったときは、地共済法の長期給付に関する規定の適用については、そのなった日の前日に退職(地共済法第二条第一項第四号に規定する退職をいう。)をしたものとみなす。

 (主務大臣の権限)

第八条 地共済法第百四十四条の二十九第一項に規定する主務大臣は、協定及びこの法律の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、同項に定めるところにより地方公務員共済組合又は地方公務員共済組合連合会に対して、その業務に関し、監督上必要な命令をすることができる。

 (地方公務員共済組合連合会の事業)

第九条 地方公務員共済組合連合会は、地共済法第三十八条の二に規定する事業のほか、協定に基づく連絡機関としての事業を行うものとする。

   第六章 私立学校教職員共済法関係

 (長期給付に関する規定の適用範囲の特例)

第十条 私立学校教職員共済法(以下この条において「私学共済法」という。)の長期給付に関する規定は、私学共済法第十四条第一項に規定する教職員等のうち、次の各号のいずれかに掲げるものには、適用しない。

 一 日本国の領域内において就労する者であって、協定適用調整規定により大韓民国年金法令の規定の適用を受けるもの(第三号に掲げる者を除く。)

 二 大韓民国の領域内において就労する者であって、協定適用調整規定により大韓民国年金法令の規定の適用を受けるもの(次号に掲げる者を除く。)

 三 日本国の領域及び大韓民国の領域内において同時に就労する者であって、協定適用調整規定により大韓民国年金法令の規定の適用を受けるもの

2 私学共済法の長期給付に関する規定の適用を受ける私学共済制度の加入者が、前項の規定によりその適用を受けない私学共済制度の加入者となったときは、私学共済法の長期給付に関する規定の適用については、そのなった日の前日に退職(私学共済法第二十五条において準用する国家公務員共済組合法第二条第一項第四号に規定する退職をいう。)をしたものとみなす。

3 第一項の規定により私学共済法の長期給付に関する規定を適用しないこととされた私学共済制度の加入者の私学共済法による掛金の標準給与の月額及び標準賞与の額に対する割合は、政令で定める範囲内において、共済規程(私学共済法第四条第一項に規定する共済規程をいう。)で定める。

 (文部科学大臣の権限)

第十一条 文部科学大臣は、協定及びこの法律を施行するため必要があると認めるときは、日本私立学校振興・共済事業団に対して、その業務に関し、監督上必要な命令をすることができる。

   第七章 雑則

 (情報の提供等)

第十二条 社会保険庁長官、国家公務員共済組合連合会、地方公務員共済組合、地方公務員共済組合連合会又は日本私立学校振興・共済事業団(次項において「日本側保有機関」という。)は、国民年金法、厚生年金保険法、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法又は私立学校教職員共済法(以下この項及び第十五条において「公的年金各法」という。)の被保険者、組合員又は加入者に関する情報であってこの法律、公的年金各法その他関係法令の実施のために自らが保有するもの(以下この項において「保有情報」という。)を、保有情報の本人の権利義務に係る協定の規定の実施に必要な限度において、協定第一条1(c)に規定する大韓民国の権限のある当局又は同条1(d)に規定する大韓民国の実施機関(次項において「大韓民国側保有機関」という。)に対して提供することができる。

2 日本側保有機関は、大韓民国側保有機関から提供を受けた情報であって個人に関するものについて、行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律(昭和六十三年法律第九十五号)の規定によるほか、同法における個人に関する情報の保護の措置に準じて、個人に関する情報の安全の確保その他の必要な措置を講じなければならない。

 (経過措置)

第十三条 この法律に基づき政令を制定し、又は改廃する場合においては、政令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置を定めることができる。

 (実施命令)

第十四条 この法律に特別の規定があるものを除くほか、この法律の実施のための手続その他その執行について必要な細則は、内閣府令・総務省令・文部科学省令、総務省令、財務省令、文部科学省令又は厚生労働省令で定める。

 (政令への委任)

第十五条 前各条に規定するもののほか、公的年金各法の被保険者、組合員及び加入者の資格に関する事項その他の協定及びこの法律の実施に関し必要な事項は、政令で定める。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、協定の効力発生の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、それぞれ当該各号に定める日から施行する。

 一 次条の規定 公布の日(次号において「公布日」という。)

 二 附則第三条の規定 国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律(平成十六年法律第百三十号)の公布の日又は公布日のいずれか遅い日

 (行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の一部改正)

第二条 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十五年法律第六十一号)の一部を次のように改正する。

  目次中「第二十二条の二」を「第二十二条の三」に改める。

  第七章中第二十二条の二の次に次の一条を加える。

  (社会保障に関する日本国と大韓民国との間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律の一部改正)

 第二十二条の三 社会保障に関する日本国と大韓民国との間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律(平成十六年法律第百二十七号)の一部を次のように改正する。

   第十二条第二項中「行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律(昭和六十三年法律第九十五号)」を「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十八号)又は独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十九号)」に、「同法」を「これらの法律」に改める。

 (国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律の一部改正)

第三条 国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律の一部を次のように改正する。

  附則第一条第二号中「及び第七十九条」を「、第七十九条及び第八十一条」に改める。

  附則第八十条の次に次の一条を加える。

  (社会保障に関する日本国と大韓民国との間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律の一部改正)

 第八十一条 社会保障に関する日本国と大韓民国との間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律(平成十六年法律第百二十七号)の一部を次のように改正する。

   第五条中「(同法」の下に「第百二十四条の三、」を加える。

(内閣総理・総務・財務・文部科学・厚生労働大臣署名) 

法令一覧(年度別)に戻る