動物の保護及び管理に関する法律の一部を改正する法律
法律第二百二十一号(平一一・一二・二二)
動物の保護及び管理に関する法律(昭和四十八年法律第百五号)の一部を次のように改正する。
題名を次のように改める。
動物の愛護及び管理に関する法律
題名の次に次の目次及び章名を付する。
目次
第一章 総則(第一条―第四条)
第二章 動物の適正な飼養及び保管
第一節 総則(第五条―第七条)
第二節 動物取扱業の規制(第八条―第十四条)
第三節 周辺の生活環境の保全に係る措置(第十五条)
第四節 動物による人の生命等に対する侵害を防止するための措置(第十六条)
第五節 動物愛護担当職員(第十七条)
第三章 都道府県等の措置等(第十八条―第二十二条)
第四章 雑則(第二十三条―第二十六条)
第五章 罰則(第二十七条―第三十一条)
附則
第一章 総則
第一条中「保護」を「愛護」に改める。
第二条中「何人も」を「動物が命あるものであることにかんがみ、何人も」に改め、「のみでなく」の下に「、人と動物の共生に配慮しつつ」を加える。
第十三条の見出しを削り、同条第一項を次のように改める。
愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
第十三条第二項中「前項」を「前三項」に、「保護動物」を「愛護動物」に改め、同項第二号中「又は鳥類」を「、鳥類又は爬虫類」に改め、同項を同条第四項とし、同条第一項の次に次の二項を加える。
2 愛護動物に対し、みだりに給餌又は給水をやめることにより衰弱させる等の虐待を行つた者は、三十万円以下の罰金に処する。
3 愛護動物を遺棄した者は、三十万円以下の罰金に処する。
第十三条を第二十七条とし、同条の前に次の章名を付する。
第五章 罰則
本則に次の四条を加える。
第二十八条 第十二条第二項の規定による命令に違反した者は、三十万円以下の罰金に処する。
第二十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。
一 第八条第一項又は第九条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
二 第十三条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
三 第十五条第二項の規定による命令に違反した者
第三十条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前三条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。
第三十一条 第九条第二項又は第十条第二項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、二十万円以下の過料に処する。
第十二条の見出しを「(動物愛護審議会)」に改め、同条第一項中「動物保護審議会」を「動物愛護審議会」に改め、同条第二項中「保護」を「愛護」に改め、同条第三項中「第四条第二項若しくは前条第三項」を「第五条第四項、第十一条第一項若しくは第二十四条第三項」に、「又は第七条第五項(第八条第三項」を「、第十五条第一項の事態の設定又は第十八条第五項(第十九条第三項」に、「第十条第二項」を「第二十三条第二項」に改め、「これらの基準」の下に「、事態」を加え、同条第四項中「保護」を「愛護」に改め、同条を第二十六条とする。
第十一条を第二十四条とし、同条の次に次の一条を加える。
(経過措置)
第二十五条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
第十条を第二十三条とし、同条の前に次の章名を付する。
第四章 雑則
第九条に次の一項を加える。
2 都道府県等は、第十八条第一項の規定による犬又はねこの引取り等に際して、前項に規定する措置が適切になされるよう、必要な指導及び助言を行うように努めなければならない。
第九条を第二十条とし、同条の次に次の二条を加える。
(動物愛護推進員)
第二十一条 都道府県知事等は、地域における犬、ねこ等の動物の愛護の推進に熱意と識見を有する者のうちから、動物愛護推進員を委嘱することができる。
2 動物愛護推進員は、次に掲げる活動を行う。
一 犬、ねこ等の動物の愛護と適正な飼養の重要性について住民の理解を深めること。
二 住民に対し、その求めに応じて、犬、ねこ等の動物がみだりに繁殖することを防止するための生殖を不能にする手術その他の措置に関する必要な助言をすること。
三 犬、ねこ等の動物の所有者等に対し、その求めに応じて、これらの動物に適正な飼養を受ける機会を与えるために譲渡のあつせんその他の必要な支援をすること。
四 犬、ねこ等の動物の愛護と適正な飼養の推進のために国又は都道府県等が行う施策に必要な協力をすること。
(協議会)
第二十二条 都道府県等、動物の愛護を目的とする公益法人、獣医師の団体その他の動物の愛護と適正な飼養について普及啓発を行つている団体等は、当該都道府県等における動物愛護推進員の委嘱の推進、動物愛護推進員の活動に対する支援等に関し必要な協議を行うための協議会を組織することができる。
第八条を第十九条とする。
第七条第一項中「都道府県又は政令で定める市(以下「都道府県等」という。)」を「都道府県等(都道府県及び指定都市、地方自治法第二百五十二条の二十二第一項の中核市(以下「中核市」という。)その他政令で定める市(特別区を含む。以下同じ。)をいう。以下同じ。)」に、「都道府県知事又は当該政令で定める市の長(以下「都道府県知事等」という。)」を「都道府県知事等(都道府県等の長をいう。以下同じ。)」に改め、同条第三項中「市町村長(第一項の政令で定める市の長を除き、特別区の区長を含む。)」を「市町村(特別区を含む。)の長(指定都市、中核市及び第一項の政令で定める市の長を除く。)」に改め、「以下」を削り、同条を第十八条とし、同条の前に次の章名を付する。
第三章 都道府県等の措置等
第四条の前の見出しを削る。
第六条中「ある動物」の下に「として政令で定める動物」を加え、「を制限する」を「について許可を必要とする等により制限し、当該動物の所有者又は占有者その他関係者に対し、当該動物による人の生命、身体又は財産に対する侵害を防止するために必要な措置をとるべきことを命じ、必要があると認めるときは、その職員に、当該動物の所有者又は占有者の飼養施設を設置する場所その他関係のある場所に立ち入り、当該動物の飼養状況を調査させる」に改め、同条を第十六条とし、同条の次に次の一節を加える。
第五節 動物愛護担当職員
第十七条 地方公共団体は、条例で定めるところにより、第十三条第一項の規定による立入検査又は前条の規定に基づく条例の規定による立入調査その他の動物の愛護及び管理に関する事務を行わせるため、動物愛護管理員等の職名を有する職員(次項において「動物愛護担当職員」という。)を置くことができる。
2 動物愛護担当職員は、当該地方公共団体の職員であつて獣医師等動物の適正な飼養及び保管に関し専門的な知識を有するものをもつて充てる。
第五条に見出しとして「(地方公共団体の措置)」を付し、同条中「保持する」の下に「とともに、動物が人に迷惑を及ぼすことのないようにする」を加え、「の指導及び助言に関し」を「、動物の所有者又は占有者に対する指導その他の」に改め、同条を第七条とし、同条の次に次の二節及び節名を加える。
第二節 動物取扱業の規制
(動物取扱業の届出)
第八条 動物( _ 哺乳類、鳥類又は _ 爬虫類に属するものに限り、畜産農業に係るもの及び試験研究用又は生物学的製剤の製造の用その他政令で定める用途に供するために飼養し、又は保管しているものを除く。以下この節及び次節において同じ。)の飼養又は保管のための施設(以下「飼養施設」という。)を設置して動物取扱業(動物の販売、保管、貸出し、訓練、展示その他政令で定める取扱いを業として行うことをいう。以下同じ。)を営もうとする者は、飼養施設を設置する事業所ごとに、総理府令で定めるところにより、次の事項を都道府県知事(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)にあつては、その長とする。以下この節並びに第十五条第一項及び第二項において同じ。)に届け出なければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては代表者の氏名
二 飼養施設を設置する事業所の名称及び所在地
三 主として取り扱う動物の種類及び数
四 飼養施設の構造及び規模
五 飼養施設の管理の方法
六 その他総理府令で定める事項
2 前項の規定による届出には、飼養施設の配置図及び付近の見取図その他の総理府令で定める書類を添付しなければならない。
(変更の届出)
第九条 前条第一項の規定による届出をした者(以下「動物取扱業者」という。)は、同項第三号から第六号までに掲げる事項の変更をしようとするときは、総理府令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。ただし、その変更が総理府令で定める軽微なものであるときは、この限りでない。
2 動物取扱業者は、前条第一項第一号若しくは第二号に掲げる事項に変更があつたとき、又は届出に係る飼養施設の使用を廃止したときは、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
3 前条第二項の規定は、第一項の規定による届出について準用する。
(承継)
第十条 動物取扱業者について相続又は合併があつたときは、相続人又は合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人は、当該動物取扱業者の地位を承継する。
2 前項の規定により動物取扱業者の地位を承継した者は、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
(基準遵守義務)
第十一条 動物取扱業者は、動物の健康及び安全を保持するために飼養施設の構造、その取り扱う動物の管理の方法等に関し総理府令で定める基準を遵守しなければならない。
2 都道府県又は指定都市は、動物の健康及び安全を保持するため、その自然的、社会的条件から判断して必要があると認めるときは、条例で、前項の基準に代えて動物取扱業者が遵守すべき基準を定めることができる。
(勧告及び命令)
第十二条 都道府県知事は、動物取扱業者が前条第一項又は第二項の基準を遵守していないと認めるときは、その者に対し、期限を定めて、飼養施設の構造、その取り扱う動物の管理の方法等を改善すべきことを勧告することができる。
2 都道府県知事は、前項の規定による勧告を受けた者がその勧告に従わないときは、その者に対し、期限を定めて、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。
(報告及び検査)
第十三条 都道府県知事は、第八条から前条までの規定の施行に必要な限度において、動物取扱業者に対し、飼養施設の状況、その取り扱う動物の管理の方法その他必要な事項に関し報告を求め、又はその職員に、当該動物取扱業者の飼養施設を設置する事業所その他関係のある場所に立ち入り、飼養施設その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(条例による措置)
第十四条 都道府県又は指定都市は、動物の健康及び安全を保持するため、必要があると認めるときは、飼養施設を設置して動物取扱業を営む者(動物取扱業を営もうとする者を含む。)に対して、この節に規定する措置に代えて、動物の飼養及び保管に関し、条例で、特別の規制措置を定めることができる。
第三節 周辺の生活環境の保全に係る措置
第十五条 都道府県知事は、多数の動物の飼養又は保管に起因して周辺の生活環境が損なわれている事態として総理府令で定める事態が生じていると認めるときは、当該事態を生じさせている者に対し、期限を定めて、その事態を除去するために必要な措置をとるべきことを勧告することができる。
2 都道府県知事は、前項の規定による勧告を受けた者がその勧告に係る措置をとらなかつた場合において、特に必要があると認めるときは、その者に対し、期限を定めて、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。
3 都道府県知事は、市町村(特別区を含む。)の長(指定都市の長を除く。)に対し、前二項の規定による勧告又は命令に関し、必要な協力を求めることができる。
第四節 動物による人の生命等に対する侵害を防止するための措置
第四条に見出しとして「(動物の所有者又は占有者の責務等)」を付し、同条第一項中「占有者は」の下に「、命あるものである動物の所有者又は占有者としての責任を十分に自覚して」を加え、同条第二項を同条第四項とし、同条第一項の次に次の二項を加える。
2 動物の所有者又は占有者は、その所有し、又は占有する動物に起因する感染性の疾病について正しい知識を持つように努めなければならない。
3 動物の所有者は、その所有する動物が自己の所有に係るものであることを明らかにするための措置を講ずるように努めなければならない。
第四条を第五条とし、同条の次に次の一条を加える。
(動物販売業者の責務)
第六条 動物の販売を業として行う者は、当該販売に係る動物の購入者に対し、当該動物の適正な飼養又は保管の方法について、必要な説明を行い、理解させるように努めなければならない。
第三条第一項中「間に」の下に「命あるものである」を加え、同条を第四条とし、同条の次に次の章名及び節名を付する。
第二章 動物の適正な飼養及び保管
第一節 総則
第二条の次に次の一条を加える。
(普及啓発)
第三条 国及び地方公共団体は、動物の愛護と適正な飼養に関し、前条の趣旨にのつとり、相互に連携を図りつつ、教育活動、広報活動等を通じて普及啓発を図るように努めなければならない。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、附則第三条の規定は、公布の日から施行する。
(検討)
第二条 政府は、この法律の施行後五年を目途として、国、地方公共団体等における動物の愛護及び管理に関する各種の取組の状況等を勘案して、改正後の動物の愛護及び管理に関する法律の施行の状況について検討を加え、動物の適正な飼養及び保管の観点から必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
(施行前の準備)
第三条 改正後の第十一条第一項の基準の設定及び改正後の第十五条第一項の事態の設定については、内閣総理大臣は、この法律の施行前においても動物保護審議会に諮問することができる。
(経過措置)
第四条 この法律の施行の際現に改正後の第八条第一項に規定する飼養施設を設置して同項に規定する動物取扱業を営んでいる者は、当該飼養施設を設置する事業所ごとに、この法律の施行の日から六十日以内に、総理府令で定めるところにより、同条第二項に規定する書類を添付して、同条第一項各号に掲げる事項を都道府県知事(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、その長とする。)に届け出なければならない。
2 前項の規定による届出をした者は、改正後の第八条第一項の規定による届出をした者とみなす。
3 第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、二十万円以下の罰金に処する。
4 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同項の刑を科する。
(総理府設置法の一部改正)
第五条 総理府設置法(昭和二十四年法律第百二十七号)の一部を次のように改正する。
第四条第七号中「動物の保護及び管理に関する法律」を「動物の愛護及び管理に関する法律」に改める。
(環境省設置法の一部改正)
第六条 環境省設置法(平成十一年法律第百一号)の一部を次のように改正する。
第四条第十七号中「保護」を「愛護」に改める。
(中央省庁等改革のための国の行政組織関係法律の整備等に関する法律の一部改正)
第七条 中央省庁等改革のための国の行政組織関係法律の整備等に関する法律(平成十一年法律第百二号)の一部を次のように改正する。
第百八十一条を次のように改める。
(動物の愛護及び管理に関する法律の一部改正)
第百八十一条 動物の愛護及び管理に関する法律(昭和四十八年法律第百五号)の一部を次のように改正する。
第二十六条を次のように改める。
第二十六条 削除
第百八十五条のうち環境基本法第四十一条第一項の改正規定中「動物の保護及び管理に関する法律」を「動物の愛護及び管理に関する法律」に改める。
(中央省庁等改革関係法施行法の一部改正)
第八条 中央省庁等改革関係法施行法(平成十一年法律第 号)の一部を次のように改正する。
第千二百七十九条を次のように改める。
(動物の愛護及び管理に関する法律の一部改正)
第千二百七十九条 動物の愛護及び管理に関する法律(昭和四十八年法律第百五号)の一部を次のように改正する。
本則中「内閣総理大臣」を「環境大臣」に、「総理府令」を「環境省令」に改める。
第二十六条を次のように改める。
(審議会の意見の聴取)
第二十六条 環境大臣は、第五条第四項、第十一条第一項若しくは第二十四条第三項の基準の設定、第十五条第一項の事態の設定又は第十八条第五項(第十九条第三項において準用する場合を含む。)若しくは第二十三条第二項の定めをしようとするときは、中央環境審議会の意見を聴かなければならない。これらの基準、事態又は定めを変更し、又は廃止しようとするときも、同様とする。
(内閣総理大臣署名)