雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律及び労働基準法の一部を改正する法律
法律第八十二号(平一八・六・二一)
(雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律の一部改正)
第一条 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和四十七年法律第百十三号)の一部を次のように改正する。
目次を次のように改める。
目次
第一章 総則(第一条―第四条)
第二章 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等
第一節 性別を理由とする差別の禁止等(第五条―第十条)
第二節 事業主の講ずべき措置(第十一条―第十三条)
第三節 事業主に対する国の援助(第十四条)
第三章 紛争の解決
第一節 紛争の解決の援助(第十五条―第十七条)
第二節 調停(第十八条―第二十七条)
第四章 雑則(第二十八条―第三十二条)
第五章 罰則(第三十三条)
附則
第二条第一項中「女性労働者」を「労働者」に、「かつ、母性を尊重されつつ」を「また、女性労働者にあつては母性を尊重されつつ、」に改め、同条第二項中「女性労働者」を「労働者」に改める。
第四条第二項第一号及び第三項中「女性労働者」を「男性労働者及び女性労働者のそれぞれ」に改める。
「第二章 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保」を「第二章 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等」に改める。
「第一節 女性労働者に対する差別の禁止等」を「第一節 性別を理由とする差別の禁止等」に改める。
第五条の見出しを削り、同条の前に見出しとして「(性別を理由とする差別の禁止)」を付し、同条中「女性に対して男性と」を「その性別にかかわりなく」に改める。
第六条及び第七条を次のように改める。
第六条 事業主は、次に掲げる事項について、労働者の性別を理由として、差別的取扱いをしてはならない。
一 労働者の配置(業務の配分及び権限の付与を含む。)、昇進、降格及び教育訓練
二 住宅資金の貸付けその他これに準ずる福利厚生の措置であつて厚生労働省令で定めるもの
三 労働者の職種及び雇用形態の変更
四 退職の勧奨、定年及び解雇並びに労働契約の更新
(性別以外の事由を要件とする措置)
第七条 事業主は、募集及び採用並びに前条各号に掲げる事項に関する措置であつて労働者の性別以外の事由を要件とするもののうち、措置の要件を満たす男性及び女性の比率その他の事情を勘案して実質的に性別を理由とする差別となるおそれがある措置として厚生労働省令で定めるものについては、当該措置の対象となる業務の性質に照らして当該措置の実施が当該業務の遂行上特に必要である場合、事業の運営の状況に照らして当該措置の実施が雇用管理上特に必要である場合その他の合理的な理由がある場合でなければ、これを講じてはならない。
第八条を削る。
第九条中「第五条から前条まで」を「前三条」に改め、同条を第八条とし、同条の次に次の一条を加える。
(婚姻、妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いの禁止等)
第九条 事業主は、女性労働者が婚姻し、妊娠し、又は出産したことを退職理由として予定する定めをしてはならない。
2 事業主は、女性労働者が婚姻したことを理由として、解雇してはならない。
3 事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第六十五条第一項の規定による休業を請求し、又は同項若しくは同条第二項の規定による休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であつて厚生労働省令で定めるものを理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
4 妊娠中の女性労働者及び出産後一年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、無効とする。ただし、事業主が当該解雇が前項に規定する事由を理由とする解雇でないことを証明したときは、この限りでない。
第十条第一項中「及び第六条」を「から第七条まで及び前条第一項から第三項までの規定」に改める。
第二十八条中「第二章、第二十五条及び第二十六条」を「第二章第一節及び第三節、前章、第二十九条並びに第三十条」に、「第三章」を「第二章第二節」に改め、第四章中同条を第三十二条とする。
第二十七条第一項中「第二十一条第三項及び第二十三条第三項」を「第十一条第三項及び第十三条第三項」に、「第二十一条第二項、第二十三条第二項」を「第十一条第二項、第十三条第二項」に、「第七条、第十二条、第二十二条及び第二十五条第二項」を「第六条第二号、第七条、第九条第三項、第十二条及び第二十九条第二項」に、「第八条第三項」を「第九条第三項」に、「若しくは第二項の規定による」を「の規定による休業を請求し、又は同項若しくは同条第二項の規定による」に、「第八十七条第一項若しくは」を「第八十七条第一項又は」に、「第十三条第一項、第十四条第一項及び第二十五条第二項」を「第十七条第一項、第十八条第一項及び第二十九条第二項」に、「第十四条第一項中「個別労働関係紛争解決促進法」を「第十八条第一項中「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」に改め、同条第二項中「第十四条第一項」を「第十八条第一項」に、「第二章第二節」を「前章第二節」に改め、同条第四項中「第十七条から第十九条まで」を「第二十条及び第二十二条から第二十七条まで」に、「第十七条及び第十八条」を「第二十条、第二十二条、第二十三条及び第二十六条」に、「第十九条中」を「第二十七条中」に、「第二十七条第三項」を「第三十一条第三項」に改め、同条を第三十一条とする。
第二十六条中「第八条まで」を「第七条まで、第九条第一項から第三項まで、第十一条第一項、第十二条及び第十三条第一項」に改め、同条を第三十条とし、第二十五条を第二十九条とする。
第二十四条第一項中「女性労働者」を「男性労働者及び女性労働者のそれぞれ」に改め、同条を第二十八条とする。
第二章第三節及び第三章を削る。
第二章第二節中第十九条を第二十七条とする。
第十八条に見出しとして「(資料提供の要求等)」を付し、同条を第二十六条とし、第十七条を第二十二条とし、同条の次に次の三条を加える。
第二十三条 委員会は、調停に係る紛争について調停による解決の見込みがないと認めるときは、調停を打ち切ることができる。
2 委員会は、前項の規定により調停を打ち切つたときは、その旨を関係当事者に通知しなければならない。
(時効の中断)
第二十四条 前条第一項の規定により調停が打ち切られた場合において、当該調停の申請をした者が同条第二項の通知を受けた日から三十日以内に調停の目的となつた請求について訴えを提起したときは、時効の中断に関しては、調停の申請の時に、訴えの提起があつたものとみなす。
(訴訟手続の中止)
第二十五条 第十八条第一項に規定する紛争のうち民事上の紛争であるものについて関係当事者間に訴訟が係属する場合において、次の各号のいずれかに掲げる事由があり、かつ、関係当事者の共同の申立てがあるときは、受訴裁判所は、四月以内の期間を定めて訴訟手続を中止する旨の決定をすることができる。
一 当該紛争について、関係当事者間において調停が実施されていること。
二 前号に規定する場合のほか、関係当事者間に調停によつて当該紛争の解決を図る旨の合意があること。
2 受訴裁判所は、いつでも前項の決定を取り消すことができる。
3 第一項の申立てを却下する決定及び前項の規定により第一項の決定を取り消す決定に対しては、不服を申し立てることができない。
第十六条を第二十一条とし、第十五条を第十九条とし、同条の次に次の一条を加える。
第二十条 委員会は、調停のため必要があると認めるときは、関係当事者の出頭を求め、その意見を聴くことができる。
2 委員会は、第十一条第一項に定める事項についての労働者と事業主との間の紛争に係る調停のために必要があると認め、かつ、関係当事者の双方の同意があるときは、関係当事者のほか、当該事件に係る職場において性的な言動を行つたとされる者の出頭を求め、その意見を聴くことができる。
第十四条第一項中「第十二条」を「第十六条」に、「第五条に定める事項」を「労働者の募集及び採用」に、「個別労働関係紛争解決促進法」を「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」に改め、同条第二項中「女性労働者」を「労働者」に改め、同条を第十八条とする。
第十三条第二項中「女性労働者」を「労働者」に改め、第二章第一節中同条を第十七条とする。
第十二条中「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇に関する事業主の措置で厚生労働省令で定めるものについての女性労働者」を「第五条から第七条まで、第九条、第十一条第一項、第十二条及び第十三条第一項に定める事項についての労働者」に改め、「。第十四条第一項において「個別労働関係紛争解決促進法」という。」を削り、「第十九条までに」を「第二十七条までに」に改め、同条を第十六条とする。
第十一条中「から第八条までの規定に定める事項」を「、第七条、第九条、第十二条及び第十三条第一項に定める事項(労働者の募集及び採用に係るものを除く。)」に、「女性労働者」を「労働者」に改め、同条を第十五条とし、同条の前に次の章名及び節名を付する。
第三章 紛争の解決
第一節 紛争の解決の援助
第十条の次に次の二節を加える。
第二節 事業主の講ずべき措置
(職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置)
第十一条 事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
2 厚生労働大臣は、前項の規定に基づき事業主が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(次項において「指針」という。)を定めるものとする。
3 第四条第四項及び第五項の規定は、指針の策定及び変更について準用する。この場合において、同条第四項中「聴くほか、都道府県知事の意見を求める」とあるのは、「聴く」と読み替えるものとする。
(妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置)
第十二条 事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、その雇用する女性労働者が母子保健法(昭和四十年法律第百四十一号)の規定による保健指導又は健康診査を受けるために必要な時間を確保することができるようにしなければならない。
第十三条 事業主は、その雇用する女性労働者が前条の保健指導又は健康診査に基づく指導事項を守ることができるようにするため、勤務時間の変更、勤務の軽減等必要な措置を講じなければならない。
2 厚生労働大臣は、前項の規定に基づき事業主が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(次項において「指針」という。)を定めるものとする。
3 第四条第四項及び第五項の規定は、指針の策定及び変更について準用する。この場合において、同条第四項中「聴くほか、都道府県知事の意見を求める」とあるのは、「聴く」と読み替えるものとする。
第三節 事業主に対する国の援助
第十四条 国は、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇が確保されることを促進するため、事業主が雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保の支障となつている事情を改善することを目的とする次に掲げる措置を講じ、又は講じようとする場合には、当該事業主に対し、相談その他の援助を行うことができる。
一 その雇用する労働者の配置その他雇用に関する状況の分析
二 前号の分析に基づき雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保の支障となつている事情を改善するに当たつて必要となる措置に関する計画の作成
三 前号の計画で定める措置の実施
四 前三号の措置を実施するために必要な体制の整備
五 前各号の措置の実施状況の開示
本則に次の一章を加える。
第五章 罰則
第三十三条 第二十九条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、二十万円以下の過料に処する。
(労働基準法の一部改正)
第二条 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)の一部を次のように改正する。
目次中「女性」を「妊産婦等」に改める。
「第六章の二 女性」を「第六章の二 妊産婦等」に改める。
第六十四条の二を次のように改める。
(坑内業務の就業制限)
第六十四条の二 使用者は、次の各号に掲げる女性を当該各号に定める業務に就かせてはならない。
一 妊娠中の女性及び坑内で行われる業務に従事しない旨を使用者に申し出た産後一年を経過しない女性 坑内で行われるすべての業務
二 前号に掲げる女性以外の満十八歳以上の女性 坑内で行われる業務のうち人力により行われる掘削の業務その他の女性に有害な業務として厚生労働省令で定めるもの
第六十四条の三の見出し中「妊産婦等に係る」を削る。
第七十条中「並びに第六十三条及び第六十四条の二の年少者及び女性の坑内労働の禁止」を「、第六十三条の年少者の坑内労働の禁止並びに第六十四条の二の妊産婦等の坑内業務の就業制限」に、「満十六才」を「満十六歳」に改める。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、平成十九年四月一日から施行する。ただし、附則第七条の規定は、社会保険労務士法の一部を改正する法律(平成十七年法律第六十二号)中社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)第二条第一項第一号の四の改正規定の施行の日又はこの法律の施行の日のいずれか遅い日から施行する。
(紛争の解決の促進に関する特例に関する経過措置)
第二条 この法律の施行の際現に個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律(平成十三年法律第百十二号)第六条第一項の紛争調整委員会(以下「委員会」という。)に係属している同法第五条第一項のあつせんに係る紛争については、第一条の規定による改正後の雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(以下「新法」という。)第十六条の規定にかかわらず、なお従前の例による。
(時効の中断に関する経過措置)
第三条 この法律の施行の際現に委員会に係属している第一条の規定による改正前の雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律第十四条第一項の調停に関し当該調停の目的となっている請求についての新法第二十四条の規定の適用に関しては、この法律の施行の時に、調停の申請がされたものとみなす。
(罰則に関する経過措置)
第四条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(検討)
第五条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、新法及び第二条の規定による改正後の労働基準法第六十四条の二の規定の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、これらの規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
(船員職業安定法の一部改正)
第六条 船員職業安定法(昭和二十三年法律第百三十号)の一部を次のように改正する。
第九十一条中「第三章」を「第九条第三項、第十一条第一項、第十二条及び第十三条第一項」に、「第二十一条第一項」を「第十一条第一項」に改める。
第九十二条第五項中「第二十七条第一項」を「第三十一条第一項」に、「若しくは」を「又は」に改める。
(社会保険労務士法の一部改正)
第七条 社会保険労務士法の一部を次のように改正する。
第二条第一項第一号の四中「第十四条第一項」を「第十八条第一項」に改める。
(船員の雇用の促進に関する特別措置法の一部改正)
第八条 船員の雇用の促進に関する特別措置法(昭和五十二年法律第九十六号)の一部を次のように改正する。
第十四条第六項中「第二十七条第一項」を「第三十一条第一項」に、「若しくは」を「又は」に改める。
(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の一部改正)
第九条 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)の一部を次のように改正する。
第四十七条の二中「第三章」を「第九条第三項、第十一条第一項、第十二条及び第十三条第一項」に、「第二十一条第一項」を「第十一条第一項」に改める。
(厚生労働・国土交通・内閣総理大臣署名)