今後における行政改革の具体化方策について(行政改革大綱)

【1982 年9 月24 日】行政改革大綱 閣議決定

〔昭和 57 年9 月24 日閣議決定〕
臨時行政調査会の「行政改革に関する第3 次答申」(以下「第3 次答申」という。)において提起された改革課題については、昭和57 年8 月10 日閣議決定「臨時行政調査会の第3 次答申に関する対処方針」に基づき、改革の推進に努めるものとし、その具体化については、当面下記によるものとする。
第 1 三公社の改革
1 日本国有鉄道
(1)日本国有鉄道の改革については、第3 次答申に沿って、5 年以内に事業再建の全体構想を設定しその実現を図る。
(2)国鉄再建監理委員会の設置のための法律案を次期国会に提出するものとし、関係法律案の立案等諸般の準備を進める。
(3)国鉄再建関係閣僚会議を設置する。(「国鉄再建関係閣僚会議の設置について」(昭和57 年9 月24 日閣議決定)参照)
(4)日本国有鉄道の経営の危機的状況にかんがみ、当面緊急に講ずべき対策については、早急にその実施方針を確立し、逐次これを実施に移すものとし、その細目については、別に定める昭和57 年9 月24 日間議決宝「日本国有鉄道の事業の再建を図るために当面緊急に講ずべき対策について」によるものとする。
なお、これに伴い、当面の緊急対策の実施の推進を図るため、運輸省及び日本国有鉄道において所要の体制を整えるものとする。
2 日本電信電話公社及び日本専売公社
(1)日本電信電話公社及び日本専売公社の改革については、第3 次答申の趣旨に 沿って、各方面の意見を聴取し、所要の法律案を次期通常国会に提出すべく準備を進める。
このため、政府・自由民主党行政改革推進本部常任幹事会において関係者の出席を求めつつ調整を進めるとともに、政府部内においても、検討、立案のための体制を整えて所要の調整を進めるものとする。
(2)日本電信電話公社の合理化に関する当面の措置として次の方策を講ずる。
ア 交換手等運用部門、保守部門、電報部門等について極力要員合理化を図ることとし、新規採用を抑制する。
イ また、宅内機器部門、データ通信設備サービス部門、保守部門の一部等の分離を図る方向で所要の検討を進める。
(3)日本専売公社の合理化に関する当面の措置として,工場の統廃合等による要員の合理化、葉たばこの過剰在庫の解消のための諸施策の実施等を進める。
第 2 公務員の給与に関する取扱い
1 昭和57 年度の人事院勧告による国家公務員の給与の改定については、別に定める昭和57 年9 月24 日閣議決定「公務員の給与に関する取扱いについて」により、これを見送るものとする。
2 三公社、五現業、公庫、公団等の役職員の給与及び地方公務員の給与についても、同閣議決定により対処するものとする。
第 3 重要政策分野における制度、施策の合理化及び行政体制の効率化等
1 年金等
(1)公的年金制度の全体としての改革について計画的に検討を進めることとし、このため、公的年金制度に関する関係閣僚懇談会及び公的年金制度調整連絡会議等の場を活用するとともに、年金問題担当大臣を指名するものとする。
(2)当面、公的年金制度全体の再編・統合の第1 段階として、国家公務員共済組合と公共企業体職員等共済組合の長期給付制度の統合に関する法律案を次期通常国会に提出するものとし、政府部内において所要の調整を進める。
(3)これと並行して、厚生年金、国民年金を中心とする公的年金制度の長期的安定を図るため、将来の一元化を展望しつつ、給付と負担の関係等制度全般の在り方について見直しを行い、昭和58 年度末までに改革の具体的内容、手順等について成案を得るものとする。
(4)年金行政機構及び年金業務処理体制の一元化問題については、年金制度の改革の動向を踏まえつつ、年金の現業業務の統合を図るとの方向で検討・立案を進めるものとし、まず社会保険庁におけるオンライン計画の進捗状況等を考慮しつつ、記録の統一的管理、通算年金の支払窓口の一本化等から着手する。
(5)恩給については、当面抑制を図るとともに、年金制度改正とのバランスを考慮し、必要な検討を行う。
2 医 療
(1)医寮費の適正化については、医療費総額の抑制を図るとともに、医療資源の効率的利用に資するため、次の対策を講ずる。
ア 医療機関に対する指導監査の強化、レセプト審査の充実、医療費通知の充実等による医療費適正化対策を推進する。
イ 医薬品の実勢価格の的確な把握とその薬価基準への的確な反映に努めるとともに、薬価算定方式の在り方についても改革を行い、早急に薬価基準を改定する。
なお、今後とも年1 回薬価調査の実施とそれに基づく薬価基準の改定を行う。
ウ 現行医療費支払方式の問題点を踏まえ、医療費適正化のために有効な改革案を検討し、早急な実施を図る。
(2)医療保険制度の在り方については、次によるものとする。
ア 医療保険制度における適切な医療給付の在り方(一部負担、給付率等)について検討を進め、成案を得次第所要の措置を講ずる。
イ 国民健康保険制度の在り方については、第3 次答申に沿って政府部内において改革方策の検討、立案を急ぎ、早急に所要の措置を講ずる。
また、日雇労働者健康保険制度については、制度の在り方を含め、全般的な見直しに着手することとし、社会保険審議会等に改革方策についての検討を求める。
(3)医療供給の合理化については、次によるものとする。
ア 医療従事者については、将来の需給バランスを見通しつつ養成計画の適正化に努める。特に医師及び歯科医師については、全体として過剰を招かないよう配慮し、適正な水準となるよう合理的な養成計画の確立について政府部内において検討を進める。
イ 公的医療機関について、配置の適正化に努める。
3 農 業
(1)産業として自立し得る農業を確立するため、価格政策中心から構造政策の推進等に重点を移すことにより、生産性の向上等を図る。
(2)米の需給均衡化を進めるため、転作の定着化、需給を反映した米価の設定、転作作物の生産性向上等により転作奨励金依存からの早期脱却を図ることとし、第3 期水田利用再編対策の枠組みについては、このような観点に立って昭和59 年度の予算編成までの間において、結論を得るよう努める。
(3)食糧管理制度に係る財政負担の縮減合理化を図るため、売買逆ざやを早期に解消するとともに、政府管理経費の縮減を図ることとし、農産物検査官の大幅縮減その他の合理化対策を推進する。
4 そ の 他
以上のほか、文教、国土、住宅・土地、エネルギー、科学技術、外交、経済協力、防衛、税制等についても、答申の指摘に即してそれぞれの改革を進める。
第 4 昭和58 年度予算編成における歳出及び歳入構造の合理化昭和58 年度予算編成に当たっては、臨時行政調査会の第1 次及び第3 次答申において指摘された歳出及び歳入構造の合理化につながる諸方策については、制度、施策の抜本的見直しを行い、極力その実現を図る。
第 5 行政組織の整理及び再編成第3 次答申の行政組織及び総合調整機能等に関する改革方策のうち、法律改正に係る事項(省庁再編成の問題及び行政組織規制の弾力化のための国家行政組織法の改正の問題等)の取扱いについては、目下、臨時行政調査会において進められているこれに直接、間接に関連する諸問題(総合企画機能の在り方、省庁組織すなわち内部部局、附属機関、地方支分部局の在り方、中央省庁の機能分担の在り方等)についての審議状況等をも注目しつつ、政府部内において更に検討を進めることとし、臨時行政調査会の審議の結果をまって、答申の趣旨を踏まえつつ検討の上、所要の結論を得るものとする。
第 6 国、地方を通ずる行政改革
1 機関委任事務の整理
国の機関委任事務について、許認可等の整理合理化によるものを含め、2 年間に全体として少なくとも1 割程度の整理合理化を進めることとし、臨時行政調査会における地方支分部局の整理合理化、許認可等の整理合理化等に関する今後の審議の動向等をも注目しつつ、各省庁において昭和57年度末を目途として総点検を行い、所要の調整を経て政府全体としての整理合理化計画を定める。
2 国の機関委任事務等に関する新たな審議機関の設置国の機関委任事務等の在り方に関する重要かつ基本的な事項についての調査、審議を進めるため、臨時行政調査会の審議の結果をまって、新たな審議機関を設置するものとする。
3 地方行政の減量化、効率化
地方公共団体に対しても事務・事業の合理化、組織機構の見直し、定数の合理化等による減量化、効率化を進めるよう求める。
なお、地方議会の議員定数等地方議会の合理化問題については、まず、各地方公共団体における検討に期待するとともに、必要に応じ地方制度調査会の検討を求める

参考資料

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