未復員者給与法の一部を改正する法律
法律第二百七十七号(昭二三・一二・二九)
未復員者給与法(昭和二十二年法律第百八十二号)の一部を次のように改正する。
第四条第二項中「二百二十五円」を「二百五十円」に改める。
第七条中「四百五十円」を「千円」に改める。
第八条第一項中「八百円」を「千五百円」に、「千円」を「千五百円」に改める。
第八条の次に次の五条を加える。
第八条の二 厚生大臣が、未復員者が自己の責に帰することのできない事由に因り疾病にかかり、又は負傷し復員後療養を要するものと認めた場合においては、復員後二年間、その者に対し、必要な療養費を支給する。
前項に規定する療養の範囲は、左に掲げるものとする。
一 診察
二 薬剤又は治療材料の支給
三 処置、手術その他の治療
四 病院又は診療所への収容
五 看護
六 移送
第一項の療養費の額は、療養に要する費用で厚生大臣の定める基準に従つて算定した額とする。但し、その額は、現に要した額をこえることはできない。
第八条の三 前条の規定により療養費の支給を受けている者が、その間に死亡した場合においては、遺骨の埋葬に要する経費として死亡者一人当り千五百円をその遺族に支給する。
第八条第二項の規定は、前項の場合に準用する。
第八条の四 未復員者が自己の責に帰することのできない事由に因り疾病にかかり、又は負傷した場合において、復員の際治ゆしているとき、復員後二年(療養費の支給を受ける者については、その受けることのできる期間)以内に治ゆしたとき又は治ゆしないがその期間を経過したときに、厚生大臣が、別表第一に掲げる程度の障害の状態にあると認めた者には、その程度に応じ、障害一時金として同表下欄の甲に定める金額を支給する。
第八条の五 障害一時金の支給を受けた者には、以後療養費を支給せず、又、重ねて障害一時金を支給しない。
第八条の六 他の法令の規定により療養費又は障害一時金に相当する給付の支給を受ける者には、この法律による療養費又は障害一時金を支給しない。
第十一条中「別表」を「別表第二」に改める。
「別表」を「別表第二」に改める。
附 則
第一条 この法律は、公布の日から施行する。但し、障害一時金に関する部分の規定は、昭和二十三年九月一日から、第四条第二項、第七条及び第八条第一項の改正規定は、昭和二十三年十月一日から適用する。
第二条 厚生大臣が、この法律施行前に復員した者が未復員中において自己の責に帰することのできない事由に因り疾病にかかり、又は負傷し療養を要するものと認めた場合においては、この法律施行の日から二年間、その者に対し、必要な療養費を支給する。
2 第八条の二第二項及び第三項並びに第八条の三の規定は、前項の場合に準用する。
第三条 昭和二十三年八月三十一日以前に復員した者が未復員中において自己の責に帰することのできない事由に因り疾病にかかり、又は負傷し同日前に治ゆしているときに、厚生大臣が、別表第一に掲げる程度の障害の状態にあると認めた者には、その程度に応じ、障害一時金として同表下欄の乙に定める金額を支給する。
第四条 昭和二十三年八月三十一日以前に復員した者が未復員中において自己の責に帰することのできない事由に因り疾病にかかり、又は負傷し同年九月一日以後この法律施行の日から起算して二年を経過した日までの間に治ゆしたとき又は治ゆしないがこの法律施行の日から起算して二年を経過したときに、厚生大臣が、別表第一に掲げる程度の障害の状態にあると認めた者には、その程度に応じ、障害一時金として同表下欄の甲に定める金額を支給する。
第五条 この法律の規定の適用を受ける日前に同一の事由につき他の法令の規定により障害一時金に相当する年金又は一時金の支給を受けた者には、この法律による障害一時金を支給しない。
別表第一
身体障害等級及び障害一時金額表
障害の程度 |
番号 |
障害の状態 |
金額 |
|
甲 |
乙 |
|||
円 |
円 |
|||
第一級 |
一 |
両眼が失明したもの |
一九、〇〇〇 |
三、八〇〇 |
二 |
そしやく及び言語の機能を廃したもの |
|||
三 |
精神に著しい障害を残し常に介護を要するもの |
|||
四 |
胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し常に介護を要するもの |
|||
五 |
半身不随となつたもの |
|||
六 |
両上しをひじ関節以上で失つたもの |
|||
七 |
両上しの用を全廃したもの |
|||
八 |
両下しをひざ関節以上で失つたもの |
|||
九 |
両下しの用を全廃したもの |
|||
円 |
円 |
|||
第二級 |
一 |
一眼が失明し他眼の視力が〇・〇二以下に減じたもの |
一七、〇〇〇 |
三、四〇〇 |
二 |
両眼の視力が〇・〇二以下に減じたもの |
|||
三 |
両上しを腕関節以上で失つたもの |
|||
四 |
両下しを足関節以上で失つたもの |
|||
円 |
円 |
|||
第三級 |
一 |
一眼が失明し他眼の視力が〇・〇六以下に減じたもの |
>一五、〇〇〇 |
三、〇〇〇 |
二 |
そしやく又は言語の機能を廃したもの |
|||
三 |
精神に著しい障害を残し終身労務に服することができないもの |
|||
四 |
胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し終身労務に服することができないもの |
|||
五 |
十指を失つたもの |
|||
円 |
円 |
|||
第四級 |
一 |
両眼の視力が〇・〇六以下に減じたもの |
一三、五〇〇 |
二、七〇〇 |
二 |
そしやく及び言語の機能に著しい障害を残すもの |
|||
三 |
鼓膜の全部の欠損その他に因り両耳の聴力を全く失つたもの |
|||
四 |
一上しをひじ関節以上で失つたもの |
|||
五 |
一下しをひざ関節以上で失つたもの |
|||
六 |
十指の用を廃したもの |
|||
七 |
両足をリスフラン関節以上で失つたもの |
|||
円 |
円 |
|||
第五級 |
一 |
一眼が失明し他眼の視力が〇・一以下に減じたもの |
一二、〇〇〇 |
二、四〇〇 |
二 |
一上しを腕関節以上で失つたもの |
|||
三 |
一下しを足関節以上で失つたもの |
|||
四 |
一上しの用を全廃したもの |
|||
五 |
一下しの用を全廃したもの |
|||
六 |
両足の指を全部失つたもの |
|||
円 |
円 |
|||
第六級 |
一 |
両眼の視力が〇・一以下に減じたもの |
一〇、五〇〇 |
二、一〇〇 |
二 |
そしやく又は言語の機能に著しい障害を残すもの |
|||
三 |
鼓膜の大部分の欠損その他に因り両耳の聴力が耳かくに接しなければ大声を解することができないもの |
|||
四 |
せき柱に著しい奇形又は運動障害を残すもの |
|||
五 |
一上しの三大関節中の二関節の用を廃したもの |
|||
六 |
一下しの三大関節中の二関節の用を廃したもの |
|||
七 |
一手の五指又はおや指及びひとさし指をあわせ四指を失つたもの |
|||
円 |
円 |
|||
第七級 |
一 |
一眼が失明し他眼の視力が〇・六以下に減じたもの |
九、〇〇〇 |
一、八〇〇 |
二 |
鼓膜の中等度の欠損その他に因り両耳の聴力が四十センチメートル以上では尋常の話声を解することができないもの |
|||
三 |
精神に障害を残し軽易な労務の外服することができないもの |
|||
四 |
胸腹部臓器の機能に障害を残し軽易な労務の外服することができないもの |
|||
五 |
一手のおや指及びひとさし指を失つたもの又はおや指若しくはひとさし指をあわせ三指以上を失つたもの |
|||
六 |
一手の五指又はおや指及びひとさし指をあわせ四指の用を廃したもの |
|||
七 |
一足をリスフラン関節以上で失つたもの |
|||
八 |
両足指全部の用を廃したもの |
|||
九 |
女子の外ばうに著しい醜状を残すもの |
|||
一〇 |
両側のこう丸を失つたもの |
|||
円 |
円 |
|||
第八級 |
一 |
一眼が失明し、又は一眼の視力が〇・〇二以下に減じたもの |
七、五〇〇 |
一、五〇〇 |
二 |
せき柱に運動障害を残すもの |
|||
三 |
神経系統の機能に著しい障害を残し軽易な労務の外服することができないもの |
|||
四 |
一手のおや指とあわせ二指を失つたもの |
|||
五 |
一手のおや指及びひとさし指又はおや指若しくはひとさし指をあわせ三指以上の用を廃したもの |
|||
六 |
一下しを五センチメートル以上短縮したもの |
|||
七 |
一上しの三大関節中の一関節の用を廃したもの |
|||
八 |
一下しの三大関節中の一関節の用を廃したもの |
|||
九 |
一上しに仮関節を残すもの |
|||
一〇 |
一下しに仮関節を残すもの |
|||
一一 |
一足の指の全部を失つたもの |
|||
一二 |
ひ臓又は一側のじん臓を失つたもの |
|||
円 |
円 |
|||
第九級 |
一 |
両眼の視力が〇・六以下に減じたもの |
六、〇〇〇 |
一、二〇〇 |
二 |
一眼の視力が〇・〇六以下に減じたもの |
|||
三 |
両眼に半盲症、視野狭さく又は視野変状を残すもの |
|||
四 |
両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの |
|||
五 |
鼻を欠損しその機能に著しい障害を残すもの |
|||
六 |
そしやく及び言語の機能に障害を残すもの |
|||
七 |
鼓膜全部の欠損その他に因り一耳の聴力を全く失つたもの |
|||
八 |
一手のおや指を失つたもの、ひとさし指をあわせ二指を失つたもの又はおや指及びひとさし指以外の三指を失つたもの |
|||
九 |
一手のおや指をあわせ二指の用を廃したもの |
|||
一〇 |
一足の第一指をあわせ二指以上を失つたもの |
|||
一一 |
一足の指の全部の用を廃したもの |
|||
一二 |
生殖器に著しい障害を残すもの |
|||
円 |
円 |
|||
第一〇級 |
一 |
一眼の視力が〇・一以下に減じたもの |
四、八〇〇 |
九六〇 |
二 |
そしやく又は言語の機能に障害を残すもの |
|||
三 |
十四歯以上に対し歯科補てつを加えたもの |
|||
四 |
鼓膜の大部分の欠損その他に因り一耳の聴力が耳かくに接しなければ大声を解することができないもの |
|||
五 |
一手のひとさし指を失つたもの又はおや指及びひとさし指以外の二指を失つたもの |
|||
六 |
一手のおや指の用を廃したもの、ひとさし指をあわせ二指の用を廃したもの又はおや指及びひとさし指以外の三指の用を廃したもの |
|||
七 |
一下しを三センチメートル以上短縮したもの |
|||
八 |
一足の第一指又は他の四指を失つたもの |
|||
九 |
一上しの三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの |
|||
一〇 |
一下しの三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの |
|||
円 |
円 |
|||
第一一級 |
一 |
両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの |
三、六〇〇 |
七二〇 |
二 |
両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの |
|||
三 |
一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの |
|||
四 |
鼓膜の中等度の欠損その他に因り一耳の聴力が四十センチメートル以上では尋常の話声を解することができないもの |
|||
五 |
せき柱に奇形を残すもの |
|||
六 |
一手のなか指又はくすり指を失つたもの |
|||
七 |
一手のひとさし指の用を廃したもの又はおや指及びひとさし指以外の二指の用を廃したもの |
|||
八 |
一足の第一指をあわせ二指以上の用を廃したもの |
|||
九 |
胸腹部臓器に障害を残すもの |
|||
円 |
円 |
|||
第一二級 |
一 |
一眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの |
二、四〇〇 |
四八〇 |
二 |
一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの |
|||
三 |
七歯以上に対し歯科補てつを加えたもの |
|||
四 |
一耳の耳かくの大部分を欠損したもの |
|||
五 |
鎖骨、胸骨、ろく骨、肩こう骨又は骨盤骨に著しい奇形を残すもの |
|||
六 |
一上しの三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの |
|||
七 |
一下しの三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの |
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八 |
長管骨に奇形を残すもの |
|||
九 |
一手のなか指又はくすり指の用を廃したもの |
|||
一〇 |
一足の第二指を失つたもの 第二指をあわせ二指を失つたもの又は第三指以下の三指を失つたもの |
|||
一一 |
一足の第一指又は他の四指の用を廃したもの |
|||
一二 |
局部に強固な神経症状を残すもの |
|||
一三 |
男子の外ばうに著しい醜状を残すもの |
|||
一四 |
女子の外ばうに醜状を残すもの |
|||
円 |
円 |
|||
第一三級 |
一 |
一眼の視力が〇・六以下に減じたもの |
一、六〇〇 |
三二〇 |
二 |
一眼に半盲症、視野狭さく又は視野変状を残すもの |
|||
三 |
両眼のまぶたの一部に欠損を残し、又はまつ毛はげを残すもの |
|||
四 |
一手のこ指を失つたもの |
|||
五 |
一手のおや指の指骨の一部を失つたもの |
|||
六 |
一手のひとさし指の指骨の一部を失つたもの |
|||
七 |
一手のひとさし指の末関節を屈伸することができなくなつたもの |
|||
八 |
一下しを一センチメートル以上短縮したもの |
|||
九 |
一足の第三指以外の一指又は二指を失つたもの |
|||
一〇 |
一足の第二指の用を廃したもの、第二指をあわせ二指の用を廃したもの又は第三指以下の三指の用を廃したもの |
|||
円 |
円 |
|||
第一四級 |
一 |
一眼のまぶたの一部に欠損を残し、又はまつ毛はげを残すもの |
八〇〇 |
一六〇 |
二 |
三歯以上に対し歯科補てつを加えたもの |
|||
三 |
上しの露出面に手掌面大の醜こんを残すもの |
|||
四 |
下しの露出面に手掌面大の醜こんを残すもの |
|||
五 |
一手のこ指の用を廃したもの |
|||
六 |
一手のおや指及びひとさし指以外の指骨の一部を失つたもの |
|||
七 |
一手のおや指及びひとさし指以外の指の末関節を屈伸することができなくなつたもの |
|||
八 |
一足の第三指以下の一指又は二指の用を廃したもの |
|||
九 |
局部に神経症状を残すもの |
|||
一〇 |
男子の外ばうに醜状を残すもの |
備 考
一 視力の測定は、万国式視力表による。屈折異状のあるものについては、きよう正視力について測定する。
二 指を失つたものとは、おや指は指関節、その他の指は第一指関節以上を失つたものをいう。
三 指の用を廃したものとは、指の末関節の半分以上を失い、又は掌指関節若しくは第一指関節(おや指にあつては指関節)に著しい運動障害を残すものをいう。
四 足指を失つたものとは、その全部を失つたものをいう。
五 足指の用を廃したものとは、第一指は末関節の半分以上、その他の指は末関節以上を失つたもの又はせつし関節若しくは第一指関節(第一指にあつては足指関節)に著しい運動障害を残すものをいう。
(大蔵・厚生・内閣総理大臣署名)