国立国会図書館から引用

日本軍の撤兵前に根本的大綱の脅威を先決とする方針決定について

昭和6年10月9日 閣議決定

一、九月十八日夜半奉天付近ニ於ケル日華両国軍隊ノ衝突以来日本軍隊カ満鉄全線ニ亘ツテ行動ヲ開始シタルハ其四辺ニ優勢ナル中国軍隊ノ駐屯セルニ顧ミ機先ヲ整シテ脅威除カムトセルカ為ニ外ナラス当時中国軍隊ハ無抵抗主義ヲ声明セルニ拘ラス事実ニ於テハ随所ニ抵抗ヲ試ミ日本軍隊ニ多数ノ死傷者ヲ生スルニ至レリ
二、今回中国政府ハ張作相、王樹常二将軍ニ命シ帝国軍事官憲ト会同接洽ノ上現二満鉄付属地外数ケ所ノ地点ニ出動スル日本軍隊ノ右地点撤退後各地ニ於ケル治安維持ノ任務ヲ引継カシメムコトヲ提議セラレタルモ今直ニ中国軍隊カ各地ニ武装集結セラルルニ於テハ仮令其目的カ単ニ地方治安ノ維持ニ在リトスルモ日本軍隊トシテハ過般事件ノ突発セル当初ノ情態ニ於ケルト同様再ヒ重大ナル脅威ヲ感セサルヲ得ス殊ニ最近日華両国間ノ国民的感情ノ著シク興奮セルニ際シ両国軍隊衝突ノ危険更ニ大ナルモノアルヘシ
三、帝国政府ノ所見ヲ以テスレハ目下最先ノ急務ハ日華双方協力シテ国民的感情ノ緩和ヲ図ルニ在リ之カ為ニハ速ニ両国間ニ於テ平常関係確立ノ基礎タルヘキ数点ノ大綱ヲ協定スルコトヲ要ス右大鋼ノ協定ヲ了シ従テ国民的感情ノ緩和ヲ見ルニ至ラハ日本軍隊ハ茲ニ安ンシテ全部満鉄付属地内ニ帰還スルコトヲ得ヘク同時ニ各地ニ於ケル治安維持ノ任務継ハ容易ニ且円滑ニ行ハルヘシ
四、帝国政府ハ前顕根本的大綱ノ協定ニ付責任アル中国代表者ト直ニ会商ヲ開始スルノ用意ヲ有ス

昭和6年後半

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