国立国会図書館から引用

予算ノ徹底的単純化ニ関スル件

昭和18年10月1日 閣議決定

 行政運営の決戦化を図る為戦時非常の措置として左記要領に依り予算及之に伴う決算に関する事務の徹底的単純化を図ることとし併せて緊急の事態に応ずべき所要の準備を整ふるものとす
    記
一 予算の形式を単純化すること
 (イ) 予算科目を徹底的に統合整理し同一種類の経費を一括計上すること
 (ロ) 計表の整理、説明の単純化等に依り予算関係文書を縮減すること
 (ハ) 特別会計の改廃整理を行ふと共に会計相互間に適当なる調整を図ること
二、予算の編成を敏速容易ならしむること
 (イ) 予算の要求は各省に於て事実を充分に研究したる上之を為すこととし大蔵省に於ては査定に際し資料の堤出要求等を努めて簡略化すること
 (ロ) 新規重要政策に関しては閣議に於ける先議画定の方法を一層活用すること
 (ハ) 予備金支出の事務に付ても前各号に準ずること
 (ニ) 予算の弾力性を強化する為予備費を増額すること
三 予算実行を機動的且つ効果的ならしむること
 (イ) 資金前渡、前金払、概算払の範囲等を拡大し官庁の物品購入、金銭支払等の手続を簡易ならしむること
 (ロ) 随意契約の範囲拡張等に依り官庁の契約手続を簡素化すること
 (ハ) 定額繰越の範囲を拡大し手続を簡易化すること
 (ニ) 予算実行に関する各種協議事項並に要報告事項及要通知事項を整理すること
四 決算事務の簡捷化を図ること
 (イ) 一の(ロ)に準じ決算関係文書を縮減すること
 (ロ) 国有財産事務の簡捷化を図ると共に国有財産増減総計算書及国有財産現在額総計算書の議会提出は戦時中之を停止すること
 (ハ) 委託検査の範囲拡張、要提出証憑書類の減少等に依り会計検査に関する計算証明等の手続を簡素化すること
五 会計諸法規を改正すること
 (イ) 右各項を実施すると共に其の他会計諸手続を簡略ならしむる為会計法戦時特例、会計規則等戦時特例其の他諸法規の改正を行ふこと
 (ロ) 空襲其の他緊急の事態に際し要すれば予算提出期の変更其の他の機宜の処置に遺憾なからしむる為会計法上必要なる特例を設くること
六 地方予算に関しても本件の趣旨に則り必要なる措置を講ずること

昭和18年後半

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