国立国会図書館から引用

仏印経済調査計画要綱

昭和16年6月27日 閣議決定

一、方針
今次成立ノ日仏印経済協定ニ関連シ仏印ニ於ケル法人企業ニ関シテハ政府統制ノ下ニ之ヲ進出セシメ以テ企業ノ強化拡充ヲ図ルヲ要スルニ鑑ミ之ト密接不可分ノ関係ニ在ル経済調査ニ関シテハ政府指導ノ下ニ官民一体トナリ組織的ニ之ヲ実施シ以テ皇国ノ当面ニ於テ必要トスル重要物資ノ急速確保ヲ図ルト共ニ皇国ノ経済発展ニ必要ナル資料ヲ獲得セントス
二、実施要領
 (一) 一般的且系統的経済調査ニ関シテハ河内及西貢帝国総領事館ニ設置セラルヘキ常駐経済調査機関ヲシテ之ヲ実施セシム
 (二) 差当リ急速ニ企業化ヲ目標トシテ関係各庁ノ官吏並ニ民間ノ技術家及企業家ヲ以テ構成スル資源調査団ヲ仏印ニ派遣ス(別紙参照)
 (三) 学術的資源調査ノ為調査団ヲ派遣ス
    本調査団ハ主トシテ学者ヲ以テ構成シ前項ノ調査団ト別箇ニ派遣スルモノトシ其ノ詳細ハ別ニ之ヲ定ム
 (四) 常駐経済調査機関設置及調査団派遣ニ要スル費用ニ付テハ必要ニ応シ予算的措置ヲ講スルモノトス

別紙
 仏印資源調査団派遣計画
一、本調査団ノ目的ハ急速企業化ヲ目標トシタル調査ヲ実施シ資源開発暫定計画ノ立案ニ資セントス
二、本調査団ノ編成ハ第五委員会ニ於テ之ヲ行フモノトス
三、調査団ハ主トシテ関係各庁ノ官吏並ニ民間ノ技術家及企業家ヲ以テ構成シ調査団長ハ対外折衝ニ経験ヲ有シ且仏印事情ニ精通スル適任者ヲ以テ充ツルコトトス
  調査団長ハ調査団ヲ統轄シ調査各班ノ連絡調整ヲ図リ且調査団ノ活動ニ附帯シテ生スル重要事項ニ付仏印政庁トノ交渉ニ当ルモノトス現ニ仏印ニ在住スル関係官庁官吏、技術家、企業家ヲ調査団員ニ加フルコトヲ妨ゲズ
四、調査団ハ概ネ左ノ要領ニヨリ必要ナル人員ヲ以テ之ヲ組織ス
 (一) 総務班ハ調査団長及其ノ直属ノ随員ヲ以テ組織シ各班ノ総括、連絡、調整ヲ行ヒ且各班ニ関スル一般的事項ヲ調査スルモノトス
 (二) 農林関係調査ハ農業一般、米、玉蜀黍、護謨、綿花、黄麻、林業、畜産等ニ付キテ行ヒ之ヲ数班ニ分ツモノトス
 (三) 水産関係調査ハ水産班ヲ以テ行フモノトス
 (四) 塩業関係調査ハ塩業班ヲ以テ行フモノトス
 (五) 鉱業関係調査ハ鉱業一般、鉱産資源概査、非鉄金属(錫、亜鉛、銅、ニツケル、コバルト)鉄、タングステン、マンガン、無煙炭等ノ精査ニ付キテ行ヒ数班ニ分ツモノトス
 (六) 水力電気調査ハ電力班ヲ以テ行フモノトス
   右各班ノ派遣ハ重点主義ニ依リ之ヲ実施ス
 右各班ハ班毎ニ主任ヲ定メ之ヲ中心トシテ具体的調査計画ヲ立ツルモノトス尚班毎ニ助手一名通訳者一名案内人一名程度ノ随員ヲ附ス
 右調査計画ハ調査団長ノ承認ヲ経ルヲ要ス
 各班ノ数及構成ハ調査計画ニ従ヒ適宜増減スルコトアルベシ
五、調査団本部(総務班)ハ河内総領事館内ニ置ク
六、調査ノ結果ハ各班ニ於テ取纏メ調査団長ヨリ之ヲ政府ニ報告ス
  調査ノ結果ハ一切之ヲ私スルヲ許サス其企業化ニ付テハ政府之ヲ別途決定ス
七、調査期間ハ原則トシテ各班約三ヶ月(鉱業関係諸班ハ約六ヶ月トシ出発ノ時期ハ班毎ニ調査団長ト協議ノ上之ヲ決定ス尚調査団長及総務班員ハ調査終了後一定期間仏印ニ駐在スルコトアルベシ
備考
 (一) 本調査団ノ派遣ハ仏印側ト打合ノ之ヲ実施スルモノトス実施ニ当リテハ不必要ニ不必要ニ仏印側ヲ刺戟スルカ如キコトナキ様措置スルモノトス
 (二) 現在仏印ニハ外交機関、澄田機関及作戦部隊アリテ夫々経済事務ヲ実施シ居ル処本調査団進出ノ上ハ其ノ目的完遂ノ為右諸機関トノ調整ヲ図ル為適当ナル措置ヲ講スルモノトス

仏印経済調査計画ノ機構並ニ予算ニ関スル件
           (了解事項)(昭一六、六、二四)
一、一般的且系統的経済調査ニ関シテハ河内及西貢帝国総領事館ニ設置セラルヘキ常駐経済調査機関ヲシテ之ヲ実施セシム
  右常駐機関ノ構成ニ付テハ別途協議アルヘキモ本機関ハ当然外務省機関ニシテ本機関ノ予算並ニ之ニ対スル指揮命令ハ外務大臣(現地ニ於テハ総領事)之ヲ行フモノトス
二、今次仏印ニ派遣セムトスル資源調査団ノ指揮命令ハ外務大臣及拓務大臣之ヲ行フ但シ本調査団ノ編成並ニ調査報告ノ措置ニ付テハ第五委員会ニ於テ審議ノ上決定ス
三、本調査団ニ要スル費用ハ本年度ノ暫定措置トシテハ本年度拓務省及台湾総督府予算ニシテ仏印経済調査ノ為予定セラレ居ル費用ヲ凡テ本調査団ノ費用ノ一部ニ充当シ更ニ不足ノ部分ハ外務省予算トシテ第二予備金ヨリ支出ス
備考
 一、本文中二、ニ於テ「・・・指揮命令ハ外務大臣及拓務大臣之ヲ行フ」トアルハ外務大臣ノ発議ニヨリ拓務大臣ト協議ノ上外務大臣之ヲ行フコトヲ意味ス
   之カ為調査団員ハ凡テ外務大臣ヨリ依嘱ノ形式ヲ採ラシムルモノトス
 二、昭和十七年度以降ノ南方経済調査団ニ要スル費用ノ所管ニ関シテ別途之ヲ決定ス
   但シ海外拓殖上企業化ニ関スル拓務省所管ノ調査費ニ付テハ従来ノ通トス

昭和16年後半

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