国立国会図書館から引用

阿部新内閣の政綱

昭和14年9月12日 閣議決定

国体の本義に徹し、外交を調整し、国防を強化し、産業を振興し、銃後生活を確保する等凡そ国政の全般に亘り不断の努力を傾注すると共に、特に現下の重大時局に処し現内閣が堅き決意を以て其の具現に邁進せんとする当面の要務概ね左の如し。
一、根本方針
 政策の中核を支那事変の処理に置き、外は自主的立場を堅持して複雑微妙なる国際情勢に対処し、内は軍備の充実と基本国力の培養とに精進し、内外諸般の施策を此の目的に統合集中し、以て日満一体の実を挙げ、日支新関係の実現を期す。
一、支那事変の処理
 支那事変の処理は先に決定せられたる確固不動の根本方針あり、最近抗日政権の実力漸く減退し、又近く新中央政府の成立を見んとするの趨勢に鑑み、進んで之が成立を援助し之と協力し、更に適切機宜の方策を講じて事変処理の完遂を図る。
一、総合経済力の拡充運用
 急迫せる国際情勢の近情に鑑み、重要国防資源の自給自足を実現するが為め、生産力拡充計画の実行を促進すると共に、新情勢に応ずる貿易体制を強化整備す。
 生産力拡充計画其の他経済諸部門に亘り、速に日満支を通ずる総合計画を確立し、之が円滑なる運用を期す。
一、国家総動員態勢の整備強化
 国家総動員体制の整備強化、就中総動員指導体系の確立、物資動員の整備、物価統制の徹底、労務の需給調整の速なる実践を期す。
一、諸制度の刷新並に運用
 国勢の全般に亘り、官民協力の実を挙げ、政府各部の連絡協調を一層緊密ならしめ、敏速にして統一ある処理を確保するは刻下の急務なるに鑑み、行政機構、官吏制度其他各般の制度の刷新並に運用の改善に付適切なる方策を講ぜんことを期す。

昭和14年前半

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