戦傷病者戦没者遺族等援護法案要綱
昭和27年2月26日 閣議決定
第一、対象
一 昭和二十一年勅令第六十八号第一条に規定する「軍人若しくは準軍人又は内閣総理大臣の定める者以外の陸軍若しくは海軍の部内の公務員若しくは公務員に準ずべき者」であって、公務のため負傷し、若しくは疾病にかかったもの又はこれらの遺族
二 もとの陸軍又は海軍部内の有給の嘱託、雇員、よう人、工員又は鉱員のうち昭和十六年十二月八日以降の戦地勤務の者(但し、死亡した後において、死亡の際にそ及してこれらの身分を取得した者を除く、以下同じ。)であって公務(これらの者に関しては昭和二十年九月二日前にあっては昭和十六年十二月八日以降の戦時災害に限る。以下同じ。)のため負傷し、若しくは疾病にかかったもの又はこれらの者の遺族
三 未復員者であって公務のため負傷し、若しくは疾病にかかった者又はこれらの遺族
(註)一「軍人軍属」とは、昭和二十一年勅令第六十八号第一条に規定する軍人、準軍人及び公務員、公務員に準ずべき者並びにもとの陸軍又は海軍部内の有給の嘱託、雇員、よう人、工員及び鉱員であって昭和十六年十二月八日以降の戦地勤務の者及び未復員者をいう。
第二、援護の種類
一 傷病者に対する援護
1 障害年金の支給
2 更生医療の給付
3 補装具の支給
4 国立保養所への収容
二 遺族に対する援護
1 遺族年金の支給
2 遺族一時金の支給
第三、障害年金
一 軍人軍属であって、公務のため負傷し、又は疾病にかかった者であって、その障害の程度が特別項症から第六項症までのものに対し障害年金を支給する。
二 金額
障害年金の金額は、左表の通りとする。
障害の程度 年金額
特項症 六六、〇〇〇円
一項症 五四、〇〇〇円
二項症 四八、〇〇〇円
三項症 四二、〇〇〇円
四項症 三六、〇〇〇円
五項症 三〇、〇〇〇円
六項症 二四、〇〇〇円
第四、更生医療及び補装具
一 軍人軍属でおって、公務のため負傷し、又は疾病にかかり、身体に一定の機能障害のある者に対して、その機能障害を改善除去して職業能力を増進するため、これらの者に対して必要な更生医療を行う。
二 軍人軍属であって、公務のため負傷し、又は疾病にかかり、身体に一定の機能障害のある者に対して、必要な補装具を支給するものとし、その支給には、その修理、再交付を含む。
第五 遺族年金及び遺族一時金
一 遺族年金
(一)軍人軍属であって、公務のため負傷し、又は疾病にかかり、死亡した者の遺族には遺族年金を支給する。
(二)遺族年金を支給すべき遺族の範囲
1 遺族の範囲は、本人の死亡当時その者によって生計を維持し、又はその者と生計をともにしていた者であって、左に掲げるものとする。
(イ) 配偶者(事実婚を含む。但し、夫は、不具廃疾の者に限る。)
(ロ) 子(十八歳未満の者又は不具廃疾の者に限る。)
(ハ) 父、母(六十歳以上の者又は不具廃疾の者に限る。)
(ニ) 孫(十八歳未満の者又は不具廃疾の者であって、他に扶養する者のないものに限る。)
(ホ) 祖父、祖母(六十歳以上の者又は不具廃疾の者であって、他に扶養する者のないものに限る。)
(三)金額
1 遺族年金の額は、左の通りとする。
(イ) 配偶者一万円
(ロ) 子、父母、孫、祖父、祖母一人につき五千円
2 障害年金を受けていた者が当該年金を受けるべき事由となった負傷又は疾病以外の事由により死亡した場合に支給する遺族年金は、一定額を減額する。
二 遺族一時金
(一)軍人軍属であって、昭和十六年十二月八日以降において公務のため負傷し又は疾病にかかり、死亡した者の遺族には、遺族一時金を支給する。
(二)遺族一時金を支給すべき遺族の範囲及び順位
1 遺族の範囲は、本人の死亡当時その者によって生計を維持し、又はその者と生計をともにしていた者であって、左に掲げるものとする。
(イ) 配偶者(事実婚を含む。但し、夫は、不具廃疾の者に限る。)
(ロ) 子(十八歳未満の者又は不具廃疾の者に限る。)
(ハ) 父、母
(ニ) 孫(十八歳未満の者又は不具廃疾の者であって、他に扶養する者のないものに限る。)
(ホ) 祖父、祖母
2 遺族一時金の支給の順位は、前記1に掲げる順位とする。
(三)金額
死亡者一人につき五万円とし、国債証券をもって交付する。
第六、この法律の施行に要する費用は、国庫の負担とする。
第七、この法律の施行に関する事務は、厚生省において処理する。
第八、この法律は、昭和二十七年四月一日から施行する。