地方鉄道軌道整備法

衆議院HPより引用


    法律 第百六十九号(昭二八・八・五)
    改正 法律第百六十号(昭三三・五・二〇)
    改正 法律第三号(昭三九・二・二九)
    改正 法律第九十号(昭五〇・一二・二六)
    改正 法律第三十七号(昭六〇・五・一八)
    改正 法律第九十三号(昭六一・一二・四)

    鉄道軌道整備法

    改正
     (目的)
    第一条 この法律は、鉄道事業に対する特別の助成及び補償に関する【削除】措置を講じて鉄道の整備を図ることにより、産業の発達及び民生の安定に寄与することを目的とする。
     (定義)
    第二条 この法律において、「鉄道事業」とは、鉄道事業法(昭和六十一年法律第九十二号)による鉄道事業及び軌道法(大正十年法律第七十六号)による軌道業をいい、「鉄道事業者」とは、鉄道事業を営む者をいう。
    2 この法律において「新線」とは、鉄道(軌道を含む。以下同じ。)のうちこの法律施行後敷設されるものをいう。
     (助成の対象とする鉄道
    第三条 この法律の規定に基く助成の対象とする鉄道は、第一号若しくは第三号に該当するものとして運輸大臣の認定を受けたもの、第二号に該当するもので当該改良計画につき運輸大臣の承認を受けたもの又は第四号に該当するものとする。
     一 天然資源の開発その他産業の振興上特に重要な新線
     二 産業の維持振興上特に重要な地方鉄道であつて、運輸の確保又は災害の防止のため大規模な改良を必要とするもの
     三 設備の維持が困難なため老朽化した地方鉄道であつて、その運輸が継続されなければ国民生活に著しい障害を生ずる虞のあるもの

     四 洪水、地震その他の異常な天然現象により大規模の災害を受けた地方鉄道であつて、すみやかに災害復旧事業を施行してその運輸を確保しなければ国民生活に著しい障害を生ずる虞のあるもの
    2 前項の規定により承認を受けた改良計画を変更しようとするときは、運輸大臣の承認を受けなければならない。
     (認定の取消)
    第四条 運輸大臣は、前条の規定により認定した鉄道が同条第一項第一号又は第三号に該当しなくなつたと認めたときは、当該認定を取り消すものとする。前条第一項第一号に該当するものとして同条の認定をした鉄道が、その運輸開始後十年を経過したときも、同様とする。
     (承認の取消)
    第五条 運輸大臣は、第三条の規定により改良計画の承認をした鉄道が、同条第一項第二号に該当しなくなつたと認めたとき(当該改良計画に係る改良を完了した場合においては、当該鉄道が産業の維持振興上特に重要なものでなくなつたと認めたとき)、又は当該改良計画に係る改良の完了後十年を経過したときは、当該承認を取り消すものとする。
     (経営保全に関する指示)
    第六条 運輸大臣は、第三条の規定により認定した鉄道及び同条の規定により改良計画の承認をした鉄道の鉄道事業者に対し、その業務の改善及び財産の保全に関し、必要な指示をすることができる。
     (兼業等に関する指示)
    第七条 運輸大臣は、第三条の規定により認定した鉄道及び同条の規定により改良計画の承認をした鉄道鉄道事業者に対し、その者の行う兼業又は投資に関し、必要な指示をすることができる。
     (補助)
    第八条 政府は、第三条第一項第一号に該当するものとして同条の規定により認定を受けた鉄道の運輸が開始されたときは、当該地方鉄道業者に対し、毎年、予算の範囲内で、当該鉄道の営業用固定資産の価額の六分に相当する金額を限度として補助することができる。
    2 政府は、第三条の規定により改良計画の承認を受けた鉄道の当該改良が完了したときは、当該地方鉄道業者に対し、毎年、予算の範囲内で、当該改良によつて増加した営業用固定資産の価額の六分に相当する金額を限度として補助することができる。
    3 政府は、第三条第一項第三号に該当するものとして同条の規定により認定を受けた鉄道につき適切な経営努力がなされたにかかわらず欠損を生じたときは、当該地方鉄道業者に対し、毎年、予算の範囲内で、当該鉄道業の欠損金の額に相当する金額を限度として補助することができる。

    4 政府は、第三条第一項第四号に該当する鉄道鉄道事業者がその資力のみによつては当該災害復旧事業を施行することが著しく困難であると認めるときは、予算の範囲内で、当該災害復旧事業に要する費用の一部を補助することができる。

    5 前二条の規定は、前項の規定により補助を受けた鉄道事業者(当該補助に係る災害復旧事業を完了した者及び十四条の規定により当該補助金の全部を返還した者を除く。)について、準用する。

    6 災害復旧事業の範囲、補助率その他の第四項の規定による補助に関し必要な事項は、政令で定める。

     (補助金の交付の申請)
    第九条 前条の補助を受けようとする鉄道事業者は、運輸省令の定めるところにより、補助金の交付申請書に当該鉄道に関する損益見込計算書その他の書類を添付して運輸大臣に提出しなければならない。
     (損益計算書等の提出)
    第十条 前条の規定により補助金の交付申請書を提出した鉄道事業者は、毎営業年度終了後三箇月以内に、運輸省令の定めるところにより、当該鉄道に関する損益計算書その他の書類を運輸大臣に提出しなければならない。 (帳簿等の整理)
    第十一条 第九条の規定により補助金の交付申請書を提出した鉄道事業者は、当該鉄道に関する損益計算の根拠が明らかであるように関係帳簿及び書類の整理をしなければならない。
     (補助金の使途についての条件)
    第十二条 運輸大臣は、第八条の規定により補助する場合には、当該補助金の使途につき必要な条件を付することができる。
     (補助金の交付の停止)
    第十三条 運輸大臣は、第八条第一項又は第二項の規定による補助を受けるため第九条の補助金の交付申請書を提出した鉄道事業者の当該鉄道につき、その営業用固定資産の価額に政令で定める割合を乗じて得た金額をこえる益金を生じたときは、補助金を交付することができない。
     (補助金の不交付及び返還)
    第十四条 運輸大臣は、第八条の規定により補助を受ける若しくは受けた鉄道事業者次の各号の一に該当するときは、交付すべき補助金の全部若しくは一部を交付せず、又は交付した補助金の全部若しくは一部に運輸省令で定める利息を付して返還を命ずることができる。
     一 第三条第二項の規定による承認を受けなかつたとき。
     二 第六条又は第七条(これらの規定を第八条第五項の規定において準用する場合を含む。)の規定による指示に従わなかつたとき。
     三 第十条の規定により提出する書類に虚偽の記載をしたことが判明したとき。
     四 第十二条の規定による条件に違反したとき。

     五 第十五条の二の規定に違反したとき。


     (利益金の納付)

    第十五条 第八条の規定により補助を受けた鉄道事業者は、当該鉄道につき、その営業用固定資産の価額に政令で定める割合を乗じて得た金額をこえる益金を生じたときは、その超過額の二分の一に相当する金額を、当該益金を生じた営業年度末からさかのぼり十年以内に交付を受けた補助金の総額(前条の規定により補助金を返還したときは、当該返還額を控除した残額)に達するまで、国庫に納付しなければならない。

    (配当の許可)

    第十五条の二 第八条の規定により補助を受けた鉄道事業者は、政令で定める割合以上の利益の配当をしようとするときは、運輸大臣の許可を受けなければならない。ただし、次の各号の一に該当する場合においては、この限りでない。

     一 当該営業年度末からさかのぼり五年以内に補助金の交付を受けていないとき。

     二 第十四条の規定により、当該営業年度末からさかのぼり五年以内に交付を受けた補助金の全部を返還したとき。

     三 前条の規定により同条に規定する補助金の総額に相当する金額を納付した後において補助金の交付を受けていないとき。

     (利子補給金の支給)
    第十六条 政府は、第三条の規定により認定を受けた地方鉄道及び同条の規定により改良計画の承認を受けた鉄道鉄道事業者が、運輸大臣の指示に基づき当該地方鉄道の設備の改良(第三条の規定により承認を受けた改良計画に係るものを除く。)を行う場合において、運輸省令で定める範囲の金融機関がその資金を融通するときは、運輸省令の定めるところにより、当該融資につき利子補給金を支給する旨の契約を当該金融機関と結ぶことができる。
     (利子補給金の支給の年限)
    第十七条 前条の規定による契約により政府が利子補給金を支給することができる年限は、当該契約をした会計年度以降八箇年度以内とする。
     (利子補給金の総額)
    第十八条 政府は、第十六条の規定による契約を結ぶ場合には、利子補給金の総額が国会の議決を経た金額をこえることとならないようにしなければならない。
     (利子補給金の限度)
    第十九条 第十六条の規定による契約により政府が支給する利子補給金の額は、運輸省令の定めるところにより、金融機関がした当該契約に係る融資の融資残高について、当該金融機関が通常それと同種類の融資を行う場合における利率と年七分五厘との差の範囲内で運輸大臣が告示で定める利率で計算する額を限度とする。
     (融資利率)
    第二十条 政府と金融機関との間に第十六条に規定する契約が成立したときは、当該金融機関は、当該契約に係る融資の融資残高についての利率を、当該金融機関が通常それと同種類の融資を行う場合における利率から政府が支給する利子の補給金の額を基礎として算出した利率だけ引き下げたものとしなければならない。
     (金融機関の法令等の違反に対する措置)
    第二十一条 政府は、金融機関が第十六条の規定による契約又は前条の規定に違反したときは、当該金融機関に対し、支給すべき利子補給金の全部若しくは一部を支給せず、又は支給した利子補給金の全部若しくは一部の返還を命ずることができる。
     (融資金の流用禁止)
    第二十二条 第十六条の規定による契約に係る融資を受けた鉄道事業者は、当該融資金を当該融資の目的以外の用途に使用してはならない。
     (固定資産税及び事業税の課税免除及び不均一課税)
    第二十三条 第三条の規定により認定を受けた鉄道(同条第一項第一号に該当するものとして同条の規定により認定を受けた鉄道にあつては、敷設の完了したもの)及び同条の規定により承認を受けた改良計画に係る改良を完了した鉄道に係る固定資産税及び事業税については、当該認定又は承認が取り消されるまで、地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第六条の規定の適用があるものとする。
     (補償)【削除】
    第二十四条 日本国有鉄道が地方鉄道に接近し、若しくは並行して鉄道線路を敷設して運輸を開始し、又は日本鉄道建設公団が地方鉄道に接近し、若しくは並行して建設した鉄道線路を日本国有鉄道が借り受け、若しくは譲り受けて運輸を開始したため、鉄道事業者がこれと線路が接近し、若しくは並行する区間の営業を継続することができなくなつてこれを廃止したとき、又は当該地方鉄道業の収益を著しく減少することとなつたときは、日本国有鉄道は、その廃止又は収益の減少による損失を補償するものとする。当該鉄道事業者が、日本国有鉄道又は日本鉄道建設公団の当該鉄道線路と接近しない、又は並行しない区間につき地方鉄道業を継読することができなくなつてこれを廃止したときも、同様とする。
    2 前項の規定による収益の減少による補償は、日本国有鉄道が同項の運輸を開始した日から五年をこえてすることができない。
    3 第一項の規定により収益の減少による損失の補償をした場合には、同項の規定による廃止による損失の補償をすることができない。
    4 第一項の規定により日本国有鉄道が補償した場合において、日本国有鉄道の鉄道線路の敷設が政府の命令に基くときは、政府は、日本国有鉄道に対して当該補償金に相当する金額を交付する。
    5 第一項の規定は、いまだ運輸を開始しない地方鉄道の線路について準用する。
     (廃止補償金額)
    第二十五条 前条第一項の地方鉄道業を廃止した場合(同条第五項において準用する場合を含む。)における補償金額は、左の各号によつて算出した金額から残存物件の価額を控除した残額以内において運輸大臣の定める金額とする。
     一 日本国有鉄道が前条第一項の運輸を開始した日の属する当該地方鉄道業の営業年度の前営業年度末までに運輸開始後三年を経過した線路を含む開業線路については、その営業年度末からさかのぼり既往三年間における当該開業線路に係る営業用固定資産の価額に対する益金の平均割合を日本国有鉄道が同条同項の運輸を開始した日における当該開業線路に係る営業用固定資産の価額(以下この号において「開始の日の営業用固定資産額」という。)に乗じて得た額を政令で定める割合で除して得た金額(その金額が開始の日の営業用固定資産額に達しないときは、開始の日の営業用固定資産額に相当する金額)
     二 日本国有鉄道が前条第一項の運輸を開始した日の属する当該地方鉄道業の営業年度の前営業年度末までに運輸開始後三年を経過した線路を含まない開業線路、敷設工事中の線路及びいまだ使用開始に至らない改良施設については、日本国有鉄道が同条同項の運輸を開始した日におけるこれらに係る営業用固定資産の価額に相当する金額
     三 日本国有鉄道が前条第一項の運輸を開始した日において、いまだ敷設工事に着手していない線路については、測量その他に要した費用に相当する金額
     (減益補償金額)
    第二十六条 第二十四条第一項の地方鉄道業の収益が減少した場合における毎営業年度の補償金額は、当該地方鉄道業の毎営業年度における益金が、その営業年度の営業用固定資産の価額に日本国有鉄道において同条同項の運輸を開始した日の属する当該地方鉄道業の営業年度の前営業年度末からさかのぼり既往三年間(運輸開始後三年を経過しないものにあつては現に経過した期間)における営業用固定資産の価額に対する益金の平均割合を乗じて得た額に不足する金額以内において運輸大臣の定める金額とする。但し、毎営業年度における補償金額は、益金とあわせて営業用固定資産の価額に政令で定める割合を乗じて得た金額をこえてはならない。

     (省令への委任)
    第二十四条 第八条第一項及び第二項、第十三条並びに第十五条の営業用固定資産の価額、第八条第三項の欠損金の額並びに第十三条及び第十五条の益金並びに第二十五条第一号及び第二十六条の益金の平均割合【削除】の算定方法、この法律の実施のための手続その他その執行について必要な事項は、運輸省令で定める。
       附 則
    1 この法律は、公布の日から施行する。
    2 地方鉄道補助法(明治四十四年法律第十七号)及び北海道拓殖鉄道補助ニ関スル法律(大正九年法律第五十六号)は、廃止する。
    3 この法律施行の際現に北海道拓殖鉄道補助ニ関スル法律の規定の適用を受ける地方鉄道については、昭和二十八年度に限り、なお、従前の例により補助することができる。
    4 この法律施行の際現に北海道拓殖鉄道補助ニ関スル法律の規定の適用を受ける地方鉄道は、その運輸開始後二十五年を限り、第三条第一項第一号に該当するものとして同条の規定により認定を受けたものとみなす。
    5 この法律施行の日において現に敷設されている地方鉄道で、いまだ運輸を開始しないもの及び運輸開始後十年を経過しないものは、第二条第二項の新線とみなす。
    6 地方鉄道法(大正八年法律第五十二号)の一部を次のように改正する。
      第三十六条を削る。
      第三十六条ノ二第一項中「前二条」を「前条」に改め、同条を第三十六条とする。
      第三十六条ノ三を削り、第三十六条ノ四を第三十六条ノ二とする。
    7 軌道法(大正十年法律第七十六号)の一部を次のように改正する。
      第十九条中「第三十六条ノ二」を「第三十六条」に改める。
      第二十六条中「、第三十条乃至第三十六条ノ二及第三十六条ノ四」を「及第三十条乃至第三十六条ノ二」に改める。
    8 運輸省設置法(昭和二十四年法律第百五十七号)の一部を次のように改正する。
      第四条第一項第三十四号の次に次の一号を加える。
      三十四の二 地方鉄道及び軌道を助成し、並びに地方鉄道及び軌道に関する補償金の額を決定すること。
      第二十七条第一項第八号の次に次の一号を加える。
      八の二 地方鉄道及び軌道の補助その他の助成に関すること。
      第五十一条第一項第一号の次に次の一号を加える。
      一の二 地方鉄道及び軌道の補助その他の助成に関すること。

    (内閣総理・運輸大臣署名)

     法律第百六十号(昭三三・五・二〇)に基づく附則

    附 則

    1 この法律は、公布の日から施行する。

    2 改正後の第八条第四項の規定は、鉄道事業者が昭和三十二年七月一日以後受けた災害についてこの法律施行の日の前日までに施行した災害復旧事業についても、適用する。

国鉄に関する主な法令

日本国憲法

陸上交通事業調整法

地方鉄道軌道整備法

国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律

日本鉄道建設公団法

運輸施設整備事業団法

独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法

東京地下鉄株式会社法

都市鉄道等利便増進法

日本国有鉄道法

国有鉄道運賃法

日本国有鉄道法施行法

鉄道公安職員の職務に関する法律

日本国有鉄道新線建設補助特別措置法

日本国有鉄道財政再建促進特別措置法

日本国有鉄道の経営する事業の再建の推進に関する臨時措置法

日本国有鉄道清算事業団法

日本国有鉄道退職希望職員及び日本国有鉄道清算事業団職員の再就職の促進に関する特別措置法

運輸省設置法

戦傷病者等の日本国有鉄道無賃乗車等に関する法律

東海道新幹線鉄道における列車運行の安全を妨げる行為の処罰に関する特例法

全国新幹線鉄道整備法

航空・鉄道事故調査委員会設置法

日本国有鉄道の経営する事業の運営の改善のために昭和六十一年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律

日本国有鉄道改革法

日本国有鉄道改革法等施行法

旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法

鉄道事業法

JR化以降制定法令

旅客鉄道株式会社が建設主体とされている新幹線鉄道の建設に関する事業の日本鉄道建設公団への引継ぎに関する法律

新幹線鉄道に係る鉄道施設の譲渡等に関する法律

鉄道整備基金法

日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律

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独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法

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