国鉄改革のあゆみ 「公企業レポート」と呼ばれる労働運動等の動向をレポートしたもの
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こちらでは、国鉄旅客輸送今昔というタイトルで書かせいただきました、blogのindexになります。
「国鉄改革のあゆみ」は、「公企業レポート」と呼ばれる公共企業体並びに現業機関の労働運動等の動向をレポートしたもので、国鉄改革の時期であったことからコピーをファイリングしていたものを底本としてblogにアップしたものです。
第71話以前は、こちらをクリックしてください- 国鉄改革のあゆみ 第71話
【皆同じ目標を持っているのだから、今までの経緯を拭い去ってくれよということですね】
そうです。過去の何かを問えばいろいろあります。おじいさんやおばあさんは、昔青年であり娘だったんです。皆きれいだからと威張ったって今が大事なんです。今何をなすか、この一点に集中できればよいので、できない理由のあれこれ捜すのは共産党の論理です。排除の論理です。だからそういうものはもう通用しないということをどんどん論理の場で確認していきます。- 国鉄改革のあゆみ 第72話
本日も公企労レポートの引用を始めたいと思います。
客観情勢無視、国労強硬路線を継続
組合員の雇用不安、解消の望み絶つ
社会党・総評・自民との約束ホゴ、苦悩隠せず
国鉄労働組合は10月9日・10日の両日注目の臨時大会を開催、中央本部が起死回生策として打ち出した柔軟路線を否決。執行部総辞職の結末となった。この間、妥協を見出すべく、OBを含め水面下の工作も行われたが、派閥の思惑違いから最悪の分裂状態となった。社会党、総評は労使関係正常化が国労の組織を守る最善策と政府・自民党、国鉄当局と公式、非公式の折衝を重ね、国労を指導してきたが、ホゴにされた形となった。臨時国会で審議中の国鉄関連8法案の与野党攻防にも影響が出そう。一方国鉄当局は、左派系執行部の出現で対立関係がさらに深刻化することは避けられないと見ている。改革労組協も国労路線は完全に崩壊した、国労組合員の脱退は増加すると予見している。新執行部は分割・民営化反対の強硬路線の継続に逆戻りしたが、法案成立の政治情勢は確実であり、国労組合員の間に高まっている深刻な雇用不安解消の望みは断たれた形となった。- 国鉄改革のあゆみ 第73話
再び公企労レポートを綴っていきたいと思います。
国労は、国鉄分割民営化を容認する大胆な妥協路線を模索する右派と、強硬路線を継続することを是とする左派路線による対立が続き、結果的には従来路線を主張する左派がイニシアチブを取ることとなり、ここに来て国労は当局とは対立の構図を取らざるを得ない状況に追い込まれるとともに、総評、社会党からも距離を置かざるを得ない形となってしまいましった。その結果が、その後25年近くにわたって紛糾するJR採用差別問題になるのだがその根底はこのへんにあることを認識しておかないと議論がブレることになります。- 国鉄改革のあゆみ 第74話
【路線の修正、あるいは労使共同宣言を結びたいんだという人たちもたくさんいる訳ですが、この人達の扱いがたいへんむずかしくなるのではないでしょうか】
旧主流派に属する勢力の強い地方本部が国労内部でいくつか集まって連絡会議を設けて、その中で、否決された運動方針を支持するという噂があります。その中で1〜2の地本では労使共同宣言をあくまで求めていくという話があります。
当局としての立場は、国労の中央が労使共同宣言をあくまで否定するという立場であるにもかかわらず、その下部組織である地方本部がいくら求めたからといっても、地本単位で協定を結ぶということは支配介入になるおそれがありますし、分裂を画策するといわれてもやむを得ない行為であり不当労働行為と言われますので、これは取ることができませんし、取るつもりもありません。- 国鉄改革のあゆみ 第75話
本日も公企労レポートからの引用を始めたいと思います。
本日は、国労の見解です、国労は修禅寺大会で、大胆な妥協を含む労使協調路線に家事をとろうとしていた右派から、あくまで現行の路線を維持する左派が主導権を握り六本木委員長を選出、路頭に迷う組合員を一人も出さないという方針で挑むのですが、結果的には当初の予想通り、九州・北海道で半数以上の不採用者を出した他、本州3社にあっても意識的に国労組合員を本来業務から外す対応が取られました。- 国鉄改革のあゆみ 第76話
昨日に引き続き公企労レポートの引用を続けたいと思います。
あくまで当時の記録にとどめた言う気持ちから始めたものであり、いろいろな批評をいただければと思います。
それでは、引続き公企労レポートから引用していきます。
【執行部が代わったので、いわゆるねじれを治すということだけにとどまらないのでは】
ですから、話を軌道に乗せるために皆で一緒になって、問題を一つひとつ具体的に解決する手立てを探る、あるいは政府なり当局とのパイプを作るということを急がなければならないと思っています。
【労使共同宣言、雇用安定協約の締結がない限り雇用の確保ができないと、組織脱退が続出しているわけですが、どのように判断しているのですか】- 国鉄改革のあゆみ 第77話
今回は、動労の動きについてです。
全民労協加盟。綱領・方針改定目指す
改革協内部の信頼関係、更に高揚を図る
二重の労働組合加盟、過渡期的措置、早期解消必要
国鉄動力車労働組合は第四二回全国大会でいち早く、新事業体に対応する新しい労働組合は一企業一組合を基礎に、健全な労使関係を確立することを決定、内部で議論を重ねてきた。一方、改革協も来年四月一日「鉄道労連」並びに新会社別鉄道労働組合の結成を決定、これに基づき、各地方改革協は「結成を進める会」を発足させ、国労組合員を含め加入呼びかけの行動に入った。しかし来年四月一日を目前に控え、解決すべき課題は山積みしている。改革協内部の組合間の信頼関係を高めることを第一義に、各組合の歴史からくる考え方の違いなどを乗り越え、人間的信頼関係を組織的信頼関係に高めつつ、当面、現実的対応として二重の労働組合加盟もあくまで過渡的措置として止むを得ないとし、早期の発展的解消を志向している。国労の一部に柔軟路線を取り新しい組合を目指す動きがあるが、「単一組織、当局が応じられる整理」が前提であり、単に新事業体への採用が目的であっては問題であろう。- 国鉄改革のあゆみ 第78話
【本来、労組というのは、雇用確保、労働条件の向上ということが基本ですが、しかし新事業体が軌道に乗るまでは、その辺も出来るだけ抑えこんで、まず基盤を確立することにポイントをおかれるわけですね。】
そのとおりです、まして昨今の雇用環境は非常に悪くなっており増して、私達がこれから新しい事業体を作るにも、このことは強く意識していかなければなりませんので、労使が努力し、実績を上げ、それを踏まえての配分ということになると思います。従って従来のように権利意識を振り回したりするのではなく、雇用と生活を守るために、鉄道の発展のために労働組合として力を入れていくことになります。
【具体的な動きとして、改革協を軸に今ブロック毎に結成を進める会が発足されていますが、動労としての取組み、考え方をお聞きしたい】- 国鉄改革のあゆみ 第79話
【過渡的な措置と言うことはよく分かります。しかし例えば、専従職員の問題とかいろいろ具体的な話になると問題が残りますが、これは単位組合でそれぞれ解決するということになるのですか】
単位組合で処理すべきこと、新労組で処理すべきこと二通りあると思います。動労についていえば専従の問題、財産にかかわる問題方針にかかわる問題とか、自分たちで処理のできる問題については進めていますが、動労だけでなくそれぞれの組合が同じ問題をもっているわけですが、自らがそれぞれ解決する努力をしながらその上で各組合が問題をもち寄り討論を深めていけば、解決は早いのではないかと思います。但し、各組合がセクトに固執すれば過渡的措置を克服する時間は長引くことになります。そのようなことのないよう、取り組んでいきたいと思っています。- 国鉄改革のあゆみ 第80話
第81話以降は、こちらをクリックしてください
さて、国鉄改革で大きく綱領の変更まで踏み込んだ動労が発表した、動労全国戦術委員長会議の要点を記した記事がありましたので、全文引用させていただきます。
引続き組織拡大に全力 新労組結成へ準備会を作る
動労全国戦術委員長会議【要点】
▽・・・動労中央本部は、10月15日に全国戦術委員長会議を開き、国鉄改革法案の進展状況、国労の動向、62年4月に予定される新会社における新しい労組の結成を目指して組織の意識統一を図った。更に、改革労組協参加の各組合と連携をとりながら具体的行動に入ることを確認した。国労の動向については、国労は臨時大会を境に北陸地本等で大量脱退が出るなど崩壊に向かっている。全国地本連絡会議は、静岡地本の動きに示されるように新事業体へのなだれ込みを策動しているが、動労はこれまでの方針に基づき、組織拡大に全力をあげていくと報告している。