国鉄改革のあゆみ 「公企業レポート」と呼ばれる労働運動等の動向をレポートしたもの
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こちらでは、国鉄旅客輸送今昔というタイトルで書かせいただきました、blogのindexになります。
「国鉄改革のあゆみ」は、「公企業レポート」と呼ばれる公共企業体並びに現業機関の労働運動等の動向をレポートしたもので、国鉄改革の時期であったことからコピーをファイリングしていたものを底本としてblogにアップしたものです。
第60話以前は、こちらをクリックしてください- 国鉄改革のあゆみ 第61話
衆参同時選挙の効果で自民党が圧勝、国鉄改革関連八法案の成立を待つだけの状態となった国鉄当局の見解です。
国鉄当局としては、この時期には余剰【過剰】人員の有効活用として人材活用センターを設置、ただしその実態は、単なる隔離であり本来業務に着かせずに、草むしりや、文鎮作り【架線やレールを切断して作る文鎮】など、本来業務と全く異なる仕事をさせるなどの精神的にもきついものでした。
さて、そんな背景もあった国鉄ですが当局側の見解というのを記述したいと思います。
答えているのは、国鉄当局・人事担当の澄田常務理事【元島根県知事・故人】、人材活用センター設置の責任者でもありました。
「新事業体発足」至上命題、早期成立を願う
【来年の4月1日にむけて残り時間の少ない改革に取り組まれておりますが、改革法案というものに対する当局の今後の対応はどのようになりますか】- 国鉄改革のあゆみ 第62話
さて、今回は公企労レポートの後半をアップしたいと思います。
【地方段階で雇用安定協約を結びたいということで、第二次共同宣言に踏み込んだような行動がいくつかの地本で出たとしましても当局としては対応できないということですか】
そうですね、一つの大きな単一組合という組織ですからその下部が、組織の一単位が、そういった考え方を表明したからといって直ちに協約を結ぶというわけにはいきません。それをやればむしろ不当労働行為になると考えています。- 国鉄改革のあゆみ 第63話
今回は、国鉄改革労協・志摩議長の談話です。
今回もかなり長いので、3回程度に分けてアップしていきたいと思います。
政府原案成立のため院内外で全力
【いよいよこの臨時国会で8法案の審議に入り、4月1日新会社のスタートをめざすわけですが、院内外における今後の対応は】
改革協としては第2次共同宣言で明確に民営分割による国鉄改革、しかも政府及び国鉄当局が進める方法しかないということを明らかにしました。- 国鉄改革のあゆみ 第64話
本日も公企労レポートからの引用を続けたいと思います
【改革協の議長、鉄労組合長として、これからの総連合に大きな影響力をもつわけですが、総連合の方向性について】
われわれは、総評から分裂した全労会議以降、同盟が指向してきた労働運動をまじめに推進してきたと自負していますから。それを基軸にして進めているわけで、この方向しかないと思う。国鉄という狭い枠内ではなく、全民労協の運動とこれからの動向は絶対に無視しえないと思います
したがって、この方向での労働運動でなければ、連合など絶対にできません
当面は改革協議会を設置していますが、協議会と連合体の違いは、協議会というのはお互いの自主性を尊重し、お互いの運動方針にも不介入で、共通の目的を達成するためのもので、私はかねてから、共闘ではなく共闘歩調だと申し上げてきたわけです。- 国鉄改革のあゆみ 第65話
本日も引き続き公企労レポートからの引用です
【一企業一組合を実現するために、少なくとも4月1日前に総連合を作るのが形の上では望ましいと思いますが】
だから、われわれは4月1日以降でなければやらないというのではなく、できるなら好ましい条件として、11月でも12月でもやれる条件ができればと今改革協などで議論しています。ただ、それは未調整のまま、ただまとまればいいのだという議論ではなく、将来に向け、4月1日以降の連合に向けて一致点、不一致点を明らかにし、その上でネックがとれれば、10月でも11月でもやります。- 国鉄改革のあゆみ 第66話
国鉄改革に進む鉄労を中心とした改革労協はどうだったのでしょうか。
以下公企労レポートの引用です。
【壊れないための最大限の努力をするということですね】
どんな組織体を作っても壊れないことを考えなければ。例えば連合を作るために一定の運動方針が必要です。われわれは自分たちの考えを押し付けるわけではなく、各自の言い分を出し合って調整していきたいということです- 国鉄改革のあゆみ 第67話
以下公企労レポートからの引用です。
【第二次労使共同宣言に、経営基盤が確立されるまでスト自粛することになっていますが、これは民間ですら踏み込んでいない。画期的なことと思いますが】
画期的ではありますが、民間でも会社設立当時は当然そういうスタンスになると思います。これが自殺行為とか何とかいわれていますが、スト権ストというのは権利として保有するが、行為は自粛するということで、凍結でも、当局から押し付けられたものではなく、なんの実績も持たない会社に対してストライキを実施することは企業倒産につながる恐れがあるということです。一定の基盤の確立とはまず黒字になること、国鉄公社のように余剰人員失業者を出さないこと、労使関係の安定ということです。- 国鉄改革のあゆみ 第68話
さて、本日も公企労レポートからの引用です
本日は、国鉄改革におけるもう一つの推進役である、動労・松崎委員長の見解です
【国鉄改革の今日を早くから予見してこの道しかないということで、全てをかけられたということだろうと思うのですが、最大の念願である雇用確保ということが不動になったという自信はいかがでしょうか】
自信の方から言えば万全であるという自信を持っております。ただどう担保するかといいますと、設立準備委員会がこれからできる訳ですから、これからの余地というのはたくさんあります。設立準備委員会は宇宙の全く関係の無い星からくるわけではないし、この日本の然るべき人達がなるのでしょうから、これまでの国鉄の中の様々な動きを見た上で、鉄道を改革するというその立場に立つ方々との最終的な交渉が残されているとしましても、我々としてはやるべきことは全てやったんでありまして、これ以上何をしろといわれましても、前に向かって行くしかない、後ろを向くことはない、もう分割民営そのもとにおける効率化を図って、生き残る鉄道、利用される鉄道、これに向かっての最大限の努力をしていくだけでありまして、そういう鉄道にしていくためには、私達の力は絶対必要だと、これなくしてはできない、と思っております。本当にいろんな人達に支えて頂きましてここまでやりえたという、ある意味での安堵感みたいなものも一面では持っております。- 国鉄改革のあゆみ 第68-2話
引き続き公企労レポートからの引用をつづけていきます。
以下、公企労レポートからの引用です。
【ことに動労は既に新事業体を意識した新しい民間型労使関係を予見した運動を展開し、第二次共同宣言にもその点が鮮明になっていますが】愈々(いよいよ)向かえる新事業体の労働運動の基本、方向性について・・・】
私は労働運動はう一方的なものではないと思います。ワンサイドのものではなくて相関関係で成り立つので、それが労使関係としての労働運動だと思うんです。ですから質のいい労使によって初めて質のいい労使関係がつくられると、そういう意味では、かって親方日の丸意識を労使双方が明らかに脱却したと私は思います。過去形で語ってもいいと思います。新事業体の中での労使関係は、正々と理路整然たるものが必ずなってくると思うんですね。- 国鉄改革のあゆみ 第69話
公企労レポートからの引用を続けたいと思います
【不幸にも国鉄労使は厳しい世論の批判を受け最悪の状態に陥った、幸いにもこれしか無い出口を求めた、厳しい環境、激しい反省の上にたった厳しい割り切り方、やり方ができたろうと思うので、民間労組でもそこまで踏み込めてはいませんね】
割り切れないから総評大会でも国労を応援する演説はありましたが、動労を応援する演説はありませんでした。しかしどう考えても現状における労使関係の中で国労が正しいと総評加盟の皆さんがそう思っておられるなら応援すればいいし、そうでなければ少なくとも一つや二つの援護があっても自然だし、それがしきれないところに総評総体、日本の労働の総体の、日本の労働の総体の弱点がると思います。- 国鉄改革のあゆみ 第70話
第71話以降は、こちらをクリックしてください
【これからの組織展開として一企業一組合を目標としておられますが、これだけ多数の組織を以下にまとめ、また将来像として4月1日までにはどういう姿であるべきかと考えておられますか】
まず、障害となっているのがやはり労働組合主義でないところにあります。つまり鉄労が民社党を支持し、動労が社会党を、それからそれぞれの所属するナショナルセンターがあります
これは私の言葉の本当の意味での労働組合主義とは反するのです
私が労働組合主義と言ってるのは、この新事業体をどうするのか、この一点に全部集中することであって、原発や安保自衛隊がどうだとか、我々が直面する課題と、本質的には平和の問題と関わっておりますが、しかしそのことは置きませんと事業体の中で共通基盤ができません。