国鉄改革のあゆみ 「公企業レポート」と呼ばれる労働運動等の動向をレポートしたもの
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こちらでは、国鉄旅客輸送今昔というタイトルで書かせいただきました、blogのindexになります。
「国鉄改革のあゆみ」は、「公企業レポート」と呼ばれる公共企業体並びに現業機関の労働運動等の動向をレポートしたもので、国鉄改革の時期であったことからコピーをファイリングしていたものを底本としてblogにアップしたものです。
第50話以前は、こちらをクリックしてください- 国鉄改革のあゆみ 第51話
民営・分割支持、新会社でも争議権自粛
労使協議制を基軸に協力体制を鮮明 国鉄史上画期的な平和協定の継承に踏み切る
国鉄と国鉄改革労働組合協議会は「第二次労使共同宣言」(今後の鉄道事業のあり方についての合意事項)を締結した。一方国鉄監査委員会も機を一つにして監査報告書を橋本運輸大臣【当時】に提出し、「鉄道事業の維持・発展には民営・分割・労使関係の安定が不可欠」と指摘
「第二次労使共同宣言」はさらに労使一体となって国鉄改革に取り組むため、
が骨子となっている。
- 一、組合側は国鉄改革は分割民営しかないとの認識に立つ、
- 二、国鉄改革労組協と国鉄が作る「国鉄改革労使協議会」を今後の労使関係の基軸に置く、組合は鉄道事業の健全経営が定着するまでスト権行使を自粛する、
- 三、今後の鉄道事業は企業人としての自覚、意欲ある者により担われるべきである、
- 国鉄改革のあゆみ 第52話
本日も公企労レポートからの引用を始めたいともいます。
▽・・・・第二次共同宣言は、今年7月に、鉄労、動労、全施労、真国労の四組合が協議会を結成、国鉄の分割民営化後をにらんだ新しい事業体の労使関係の確立を目指し共同歩調をとって活動する方針を打ち出し、当局と国鉄改革労使協議会を設置し、協議を重ね、来年4月に向け、労使とも限られた時間の中で、国鉄改革を進めるため、労使がさらに共通認識を高めることにしている。組合側は改革労組協の組合員を新事業体に優先雇用することを明文化するよう求めていたが、文書表現として明確になっていないが「国鉄改革労使協議会」が今後の鉄道事業における労使関係の基軸として発展的に位置づけられるよう、緊密な連携、協議を行うとし組合側の要求を一応配慮した形となっている- 国鉄改革のあゆみ 第53話
本日は、国鉄当局側から見た労使関係についてです
国鉄葛西職員局次長(当時・現・JR東海会長)の見解です
民間型労使関係確立に向け着実に前進 新事業体の雇用問題に一定のニュアンス
第一次の成果を確認、更に拡大へ
【今回第二次労使共同宣言を締結されたわけですが、今後どのように取り組んでいかれるのか】
1月に締結した労使共同宣言の基本となっているのは、雇用問題を円滑に推進するということです。そのためには、自分たちの自助努力というものを徹底するということです
それによって、国民各層の理解、共感を得て、雇用対策をスムーズにして行こうと始めたわけです。そして、大変大きな成果をあげてきたわけです。- 国鉄改革のあゆみ 第54話
前章の続きとなりますので、よろしくお願い申し上げます
それは当然のことですが、能力、技能に優れているだけでなくて、企業人としての意識を持つとかあるいは向上心、意欲を持つような職員でなければいけないということです
そしてこのような認識の下で労使共同宣言を結び、派遣など三本柱や企業人教育、広域移動などの施策を今日間ですすめてきたわけであり、実績も上げてきたのだということを相互に認めてきている訳です。例えば、派遣、休職などの三本柱というのは、ある意味ではそういうことの現われで、派遣に行ってきた人たちとか、休職でいろんな勉強をしてきたという人は、新しい事業体を担うにふさわしいような素養を身につけてきたという側面が十分にあるということを認めているわけです- 国鉄改革のあゆみ 第55話
今回は、鉄労、(改革労組協・志摩議長)の談話です
国鉄改革に最も積極的に取組み、分割民営化を推進することを組合運動としてきたのは鉄労であり出向や、一時帰休にも積極的に応じてきた組合でした、当時は運転所の公開などがいたるところで開かれており、民営化に向けての努力がされているときでした、そんな中、国労が出向反対、一時帰休反対とポスター等を掲示しているのに対し、分割民営化推進と堂々とっかれたスローガンや看板を上げていたのが鉄労でした。- 国鉄改革のあゆみ 第56話
引き続き公企労レポートからの引用を続けたいと思います
本日は、動労・福原書記長の見解です
スト権、経営基盤確立まで保留
【今回の共同宣言は第1回のものをさらに発展、深化させたものと思われますが、この意義、狙いについてお伺いしたい】
これには二つの意義が有ります、第一は、最初の共同宣言でのべられている内容を深めたことです
たとえば雇用の問題など、極めて表現が豊かであり、一層突っ込んだものとなっています
第二に、第一次共同宣言が、改革するまでのものであったのに対し、これは新事業体移行移行における労使間の問題についてふれていることです。たとえば新事業体のあるべき方向、それを目的にした労使のあり方などで、改革協の側も、スト権が付与されたとしても行使については経営基盤が安定するまでは保留するということになっています。- 国鉄改革のあゆみ 第57話
さて、今回も公企労レポートからの引用を続けたいと思います
本日は全施労、滝口書記長の談話です
本音で国民に社会的責任を明確化
【今回の第二次労使協調宣言は、新事業体へ踏み込んで新しい労使のあり方、民営・分割を支持する立場で行われた訳ですが締結の狙い、その意味するところを全施労はどう考えておられるか】
国鉄改革は、どんな事情があっても国民的課題としてやらなければならないという立場で、第一次労使共同宣言を明確にしながら努力し、今日の社会状況からも、国民からも期待されており、当然我々の立場からすれば、今後の鉄道事業の健全な経営を目指して、労使がさらに努力と協力をしなければならないと往古とで第二次共同宣言を締結した訳です- 国鉄改革のあゆみ 第58話
本日は、国労下田書記長の談話です
国労を意識しての姑息な手段
【四組合は第二次共同宣言を予定していますが、これに対してどう見ておられますか】
まだ十分に内容を検討していませんが、印象を率直に申し上げれば、今回は前回と違って四組合側から提案されたものと思います。経営形態問題が国会で議論されていますが、それはそれとして当事者である労使がそれに対する一定の考えを持つことはありうるでしょう。しかし、職場では、国労にいれば新事業体に行けないなどといいながら、四組合の方々も雇用を守る自信がないから、いろいろなことをやるのだと思います。- 国鉄改革のあゆみ 第59話
本日は公企労レポートの要約の部分のみになります
共同宣言参加組合、大同団結を目前
民間型労使関係の基盤、漸次固まる
法の許容範囲、政府方針に従い意欲的準備態勢進む
国鉄関連八法案は今次国会に上程、実質審議に入る。7月の衆参同一選挙の結果、自民党が両院で安定多数を占め、改革法案の成立が確実な情勢となった。分割民営化を予定どおり来年4月に実施するには11月上旬までに法案を成立させる必要がある。- 国鉄改革のあゆみ 第60話
第61話以降は、こちらをクリックしてください
さて、今夜も公企労レポートからつづりたいと思います
名実ともに民間型労使関係移行へ
▽・・・国労は先の大会で「大胆な妥協」の現実路線を選択したが。運動方針と共同宣言の整合性は明確でない。第二次共同宣言は分割・民営化推進を明文化したものだけに国労としては、分割・民営化の反対の旗を降ろすことはできない基本的ジレンマがあり、具体的行動を行っていない。第二次共同宣言が締結された日、国労は雇用に関する申し入れを当局に行い、雇用に関する基本要求でし、職員の進路決定に当たって選別、強制を排除、本人の希望意思の尊重、年齢構成などを勘案し、一定の期間を設けて緩やかな人員調整の措置をとることを要求、このことは、今国会の提出した法案の基本にふれる部分であり、法案を推進する立場からは受け入れ難い条件であった。